2017年02月13日
【コラム】アニメーター、「平均年収332万円」という現実
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宇都宮 徹:東洋経済 記者
「映画界にとって自信を持てた1年だったと思う」
1月下旬、都内で開催された日本映画製作者連盟の新年記者発表会の席上で、同連盟会長の岡田裕介・東映会長は、昨年の映画業界をそう振り返った。
興行収入は2355億円と、これまで最高だった2010年の2207億円を大きく上回った。最大の牽引役は新海誠監督のアニメ作品「君の名は。」だ。1月時点で歴代4位となる235億円超の興収に達した。公開は昨年の8月末だが、今なお上映中で興収ランキングの上位に顔を出す。歴代3位の「アナと雪の女王」(興収255億円)を超える可能性は高い。
東宝の島谷能成社長は、大ヒットにつながった要因を「若者が作品の魅力を評価して、SNSで拡散してくれたことが大きい」と分析する。
2016年は10億円超のヒット作が61本
〜略〜
この2作品だけでなく、ヒットの目安といわれる興収10億円以上の作品が2016年は61本と高水準。少数の大ヒット作が業界全体を引っ張るという形ではない。「映画の媒体価値が上がっている。テレビに押されていたが、いいソフトにはおカネをかけてくれる環境になってきたのかもしれない」(岡田会長)。
数年前まではテレビドラマの劇場版や、テレビ局が製作する作品が興収の上位に名を連ねていた。が、今や映画会社主導の作品が観客のニーズをとらえ、「映画館に行かないと見られない」作品が増えていることもあるだろう。
もう一つ特徴的なのはアニメの比重が高まっていることだ。興収トップ10のうちアニメ作品は実に7本に達する。邦画優位が続いている中、ディズニーの「ズートピア」や「ファインディング・ドリー」などアニメ作品では洋画の人気も高い。
監督業では食えない
活況に沸く映画業界だが、もろ手を挙げて喜んでいられない状況もある。
「われわれクラスの監督でも公開作品だけで食べていけるのはほんの一握りだ」。「半落ち」や「ツレがうつになりまして。」などの代表作を持つ佐々部清監督は「大学や映画学校の講師の収入で生活している人は多い」と語る。
そもそも、映画業界のおカネの流れは、映画の作り手に届きにくい仕組みになっている。まず、興収の半分は劇場側の取り分となり、残りの半分からプリント費や宣伝費などの必要経費が控除される。その残りから配給手数料や制作費、出資者の取り分が配分される。見込みの興収から逆算して予算を立てるため、興収10億円規模の作品でも映画制作に回る金額は2億〜3億円程度になる。
現実には多くが興収1億円に満たず、制作予算が1000万円以下の作品ばかりだという。監督やスタッフにかけられる金額はごくわずかで、少ない予算で完成させるために、通常なら準備1カ月、撮影1カ月かかるところを、準備1週間、撮影2週間に短縮するといった具合で乗り切っている作品がほとんど。当然作り手には大きな負担となる。
それでも映画作りを志す人はおり、そうした駆け出しの人材を集めて低予算の作品を完成させるプロダクションは少なくない。「中には最初のギャラだけ支払い、ビデオ化などで発生する二次・三次利用の報酬の権利を放棄させるケースもある」(佐々部監督)という。
アニメーターの職場環境は過酷
近年作品数が増加しているが、背景には映画のデジタル化や機材の進化により、ある程度の水準の映画が簡単に作れるようになったことがある。スマートフォンのみで撮影した映画作品も登場しており、低予算の作品が登場する土壌が整ってきている。これは新しい才能が出る可能性を広げるものの、映画作品が劣化していく危険性をはらんでいる。
当記事は 「週刊東洋経済」2月18日号<2月13日発売>からの転載記事です
映画界を牽引するアニメ業界も作り手には厳しい環境だ。日本アニメーター・演出協会が2015年に発表した、「アニメーション制作者実態調査報告書」によると、アニメーターの平均年収は332.8万円。民間給与所得者の平均に比べて2割ほど低い。年収が200万円以下の人が27%にも達する。報告書には「作業内容と報酬が見合わない」など、低報酬かつ厳しいスケジュールで作業をこなすスタッフの惨状が書き連ねられていた。
映画各社も小規模作品の上映機会を増やすなど、若手人材の発掘に努めてはいる。ただ、才能のある作り手を中長期的に確保するためには、報酬など経済的な底上げや環境整備が求められる。興収の配分の仕組み見直しなど、抜本的な構造改革を検討する必要もあるだろう。
http://toyokeizai.net/articles/-/157838
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宇都宮 徹:東洋経済 記者
「映画界にとって自信を持てた1年だったと思う」
1月下旬、都内で開催された日本映画製作者連盟の新年記者発表会の席上で、同連盟会長の岡田裕介・東映会長は、昨年の映画業界をそう振り返った。
興行収入は2355億円と、これまで最高だった2010年の2207億円を大きく上回った。最大の牽引役は新海誠監督のアニメ作品「君の名は。」だ。1月時点で歴代4位となる235億円超の興収に達した。公開は昨年の8月末だが、今なお上映中で興収ランキングの上位に顔を出す。歴代3位の「アナと雪の女王」(興収255億円)を超える可能性は高い。
東宝の島谷能成社長は、大ヒットにつながった要因を「若者が作品の魅力を評価して、SNSで拡散してくれたことが大きい」と分析する。
2016年は10億円超のヒット作が61本
〜略〜
この2作品だけでなく、ヒットの目安といわれる興収10億円以上の作品が2016年は61本と高水準。少数の大ヒット作が業界全体を引っ張るという形ではない。「映画の媒体価値が上がっている。テレビに押されていたが、いいソフトにはおカネをかけてくれる環境になってきたのかもしれない」(岡田会長)。
数年前まではテレビドラマの劇場版や、テレビ局が製作する作品が興収の上位に名を連ねていた。が、今や映画会社主導の作品が観客のニーズをとらえ、「映画館に行かないと見られない」作品が増えていることもあるだろう。
もう一つ特徴的なのはアニメの比重が高まっていることだ。興収トップ10のうちアニメ作品は実に7本に達する。邦画優位が続いている中、ディズニーの「ズートピア」や「ファインディング・ドリー」などアニメ作品では洋画の人気も高い。
監督業では食えない
活況に沸く映画業界だが、もろ手を挙げて喜んでいられない状況もある。
「われわれクラスの監督でも公開作品だけで食べていけるのはほんの一握りだ」。「半落ち」や「ツレがうつになりまして。」などの代表作を持つ佐々部清監督は「大学や映画学校の講師の収入で生活している人は多い」と語る。
そもそも、映画業界のおカネの流れは、映画の作り手に届きにくい仕組みになっている。まず、興収の半分は劇場側の取り分となり、残りの半分からプリント費や宣伝費などの必要経費が控除される。その残りから配給手数料や制作費、出資者の取り分が配分される。見込みの興収から逆算して予算を立てるため、興収10億円規模の作品でも映画制作に回る金額は2億〜3億円程度になる。
現実には多くが興収1億円に満たず、制作予算が1000万円以下の作品ばかりだという。監督やスタッフにかけられる金額はごくわずかで、少ない予算で完成させるために、通常なら準備1カ月、撮影1カ月かかるところを、準備1週間、撮影2週間に短縮するといった具合で乗り切っている作品がほとんど。当然作り手には大きな負担となる。
それでも映画作りを志す人はおり、そうした駆け出しの人材を集めて低予算の作品を完成させるプロダクションは少なくない。「中には最初のギャラだけ支払い、ビデオ化などで発生する二次・三次利用の報酬の権利を放棄させるケースもある」(佐々部監督)という。
アニメーターの職場環境は過酷
近年作品数が増加しているが、背景には映画のデジタル化や機材の進化により、ある程度の水準の映画が簡単に作れるようになったことがある。スマートフォンのみで撮影した映画作品も登場しており、低予算の作品が登場する土壌が整ってきている。これは新しい才能が出る可能性を広げるものの、映画作品が劣化していく危険性をはらんでいる。
当記事は 「週刊東洋経済」2月18日号<2月13日発売>からの転載記事です
映画界を牽引するアニメ業界も作り手には厳しい環境だ。日本アニメーター・演出協会が2015年に発表した、「アニメーション制作者実態調査報告書」によると、アニメーターの平均年収は332.8万円。民間給与所得者の平均に比べて2割ほど低い。年収が200万円以下の人が27%にも達する。報告書には「作業内容と報酬が見合わない」など、低報酬かつ厳しいスケジュールで作業をこなすスタッフの惨状が書き連ねられていた。
映画各社も小規模作品の上映機会を増やすなど、若手人材の発掘に努めてはいる。ただ、才能のある作り手を中長期的に確保するためには、報酬など経済的な底上げや環境整備が求められる。興収の配分の仕組み見直しなど、抜本的な構造改革を検討する必要もあるだろう。
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