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2016年04月06日

中国版サブプライム住宅ローンのリスク高まる





 【南京】中国の大量な空き家を埋めるために住宅融資を活性化する取り組みが、さらに大きな問題を生んでいる。リスクの高いサブプライム(信用力の低い個人向け)型融資が急増し、規制当局者らの間で警戒感が深まっている。



 中国では住宅を購入する場合、通常は購入代金の3分の1を頭金とする。だが、米国の住宅市場を崩壊させ金融危機の発端となった安易な融資と似通った、頭金を借り入れての住宅購入が急増し、当局は引き締めを急いでいる。



 上海を拠点とするコンサルタント会社インキャンによると、投資家から資金を集めそれを高い金利で貸し付ける個人向け金融業者が1月にまとめた頭金融資額は9億2400万元(約160億円)で、昨年7月の3倍以上に達した。



 4大国有銀行のある上席幹部は、頭金融資が直接このところの大都市部の住宅価格の上昇につながっているとして、「これは抑えるべきリスクの高い慣行だ」と指摘した。



 政府のさまざまなレベルの当局がここにきてブレーキをかけている。中央銀行と住宅省は3月、「頭金ゼロ」のスローガンの下に住宅購入者の気を引いて融資の抑制に着手した。



 中国政府は、都市部集合住宅の空き家対策として2014年暮れに信用を緩和した。空き家は、10年間におよぶ都市の人口増加と金融緩和で弾みがついた住宅建設ブームの「遺産」だ。企業や地方政府が致命的な債務を抱え込んだため、当局は家計に借り入れ余地を与え住宅購入層を拡大しようとした。



 だが、頭金ローンの増加と地方出身の労働者などへの住宅ローンの垣根を下げたにもかかわらず、必要な場所での住宅購入にはつながらなかった。緩和措置と新たな奨励措置は、むしろ大都市部の不動産高騰を招いている。



 深セン市は頭金の要件を厳格化した。公式統計によると、同市の住宅価格は昨年来57%上昇した。1月に住宅ローンが前年比3倍以上に膨れあがった上海市も、同様の措置を講じた。



 銀行や不動産開発業者は、家計の借り入れはサブプライム危機前の米国の負債水準をまだはるかに下回っていると言う。住宅ローンのデフォルト(債務不履行)率は低く、頭金全額を蓄えている住宅購入者が圧倒的多数を占めている。



 それでも、経済成長が減速する中、スタンダード&プアーズ(S&P)をはじめ一部のアナリストは、住宅市場関連の不良債権の増加リスクを警告した。



 不動産市場は直接および間接的に中国の国内総生産(GDP)の5分の1近くを占めており、その健全性は世界経済に重要な意味がある。近年の不動産市場の減速は、需要の急激な落ち込みと鉄鋼や銅の価格急落につながり、世界各地の資源輸出国に打撃を加えた。





By Esther Fung and Lingling Wei




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