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2016年03月10日

洗練されたイスラムファッション、東南アジアで注目



イスラム教が最大の宗教である東南アジアでは、イスラムをテーマにしたファッションショーがジャカルタやクアラルンプールなどで開催され、この地域に暮らす現代のムスリム(イスラム教徒)女性がファッションを通じて自己表現できるよう、エレガントでエキゾチックな、洗練された装いの楽しみを紹介している。

 東南アジアでアパレル通販サイトを運営するザローラ(Zalora)は、昨年春、さりげなく流行を取り入れた服のコレクション「ザリア(Zalia)」を創設し、毎月、50〜60点の新商品を発売している。「この地域向けの商品の選択肢を増やすことで、当社はイスラムファッション産業が成長し、東南アジアで流行の先端を行くムスリムウエアへの関心が高まるよう尽力している」。ザローラで広報を担当する男性はそう語る。

■ユニクロも販売開始

 東南アジア市場で、最初にヒジャブ(ムスリム女性が頭を覆うベール)を発売したもう1つの大手アパレル企業がユニクロだ。2015年7月に好調な出だしを見せたことを受け、ユニクロは今年1月、シンガポール、マレーシア、インドネシア、タイで、新たにイスラムにヒントを得たコレクションの販売を開始した。

ユニクロは2月15日、米国で展開する新商品群を発表。東南アジアでも販売するヒジャブも含まれている(同社米国向けサイトから)
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ユニクロは2月15日、米国で展開する新商品群を発表。東南アジアでも販売するヒジャブも含まれている(同社米国向けサイトから)
 インドネシア・イスラムファッション・コンソーシアムは、2020年までにインドネシアをイスラムファッションの世界の中心地にする計画を立てている。イスラム教が最大の宗教である東南アジアにあって、インドネシアは最も多くのイスラム教徒を抱える国だ。

 イスラムファッションは、アパレル企業にとっても急成長の可能性を秘めている。ロイター通信の依頼で行われた調査によれば、13年にムスリムが費やした服飾費は2660億ドル(約30兆円)に上り、日本とイタリアの服飾の売り上げの合計を上回っている。この金額は19年には倍近い4840億ドル(約54兆6000億円)に達するとみられる。

 人気の服飾ブランドが、落ち着きがあり、着やすいヒジャブの販売を手掛けるようになったことで、イスラム教徒が多数派を占めない東南アジア以外の地域を中心に、奇をてらわない、ありきたりでさりげない服が新たに脚光を浴びている。

 だがイスラムのファッションにはリスクもある。ムスリム女性のファッションには独特の社会的制約があるのだ。ムスリム女性がどのような服を着用するかは、イスラム教徒が少数派の社会でも、多数派の社会でも、厳しいチェックを受ける。フランスでは顔を覆う衣装の着用は禁止され、イランやサウジアラビアでは、頭を覆うヒジャブや体を隠す丈の長い衣服「アバヤ」の着用が義務付けられている。イスラムファッションを身にまとうという選択は、(立場の違う)人々すべてを心地よくするものでは決してない。


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■社会現象にまで発展するかがカギ

 大手ファッションメーカーのあいだでヒジャブが受け入れられているにしても、世界各地のムスリムが、イスラムファッションにどう反応するかは未知数だ。DKNYやオスカー・デ・ラ・レンタ、トミーヒルフィガー、マンゴ、モニーク・ルイリエは、ラマダン(イスラム教の断食月)の時期を中心に、中東でカプセルコレクション(期間限定の小さなコレクション)を展開している。本当の手ごたえが確かめられるのは、伊高級ブランド「ドルチェ&ガッバーナ」がアバヤとヒジャブの新しいコレクションを発表してからのことになるだろう。

 ドルチェ&ガッバーナは、ファッション情報サイトstyle.com/Arabiaでイスラムファッションの発売を明らかにしたが、販売場所はまだ明らかにしていない。同社のオートクチュールのヒジャブとアバヤは、イスラムファッションの多くに求められる控えめさを守りながら、16年の春コレクションと合うようなものになるだろう。

 インスタグラムでも、ファッショナブルなヒジャブが流行し、脚光を浴びている。ナイジェリアのラゴスでは、ヒジャブをまとったおしゃれだが保守的なバービー「ヒジャービー」が生まれ、ヒジャービーのインスタグラムサイトには約3万6000人のフォロワーがいる。このアカウントを開設した24歳の医学生ハニーファ・アダムさんは、バービーの人形に着せるヒジャブを手作りしている。

 イスラムファッションの成否は、多くの人々が興味を抱き、社会現象にまで発展するかどうかにかかっている。東南アジアは、その市場のユニークさで注目を集めている。だが、イスラムファッションが東南アジアで経済的成功を収め、他の地域にも波及して、それがムスリム女性の気持ちへの社会や政治の見方に影響を与えるかどうかは未知数だ。

By Mica Kelmachter, Contributor





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