2016年03月09日
どこで間違ってしまったの? 日本の家電が競争力を失ったのはなぜ?
ャープがいよいよ外資系企業の傘下に入ることになります。
日本製品が競争力を失ったといわれてから久しいですが、日本の電機メーカーはどこで間違ってしまったのでしょうか。
セットメーカーとデバイスメーカー、異なるビジネスモデル
同じ電機メーカーといっても、消費者向けの最終製品を製造するセットメーカーと、デバイスを製造するデバイスメーカーでは、そのビジネスモデルはかなり異なっています。
シャープが経営危機に陥ってしまった最大の理由は液晶パネルに対する過剰投資ですが、シャープはもともと個性的な商品を開発するセットメーカーでした。
しかし液晶への大型投資をきっかけにデバイスメーカー型へとかじを切り、これが結果的に同社衰退の原因になってしまったわけです。同社は累計で数兆円の資金を投入し液晶パネルの生産ラインを拡充しましたが、液晶の価格下落が想定以上に進み、投資資金を回収することができなくなってしまいました。液晶そのものには強いニーズがありますから、投資の判断ミスが大きかったということになるでしょう。
ソニーがアップルに主導権を握られたのは?
一方、ソニーやパナソニックなどは少し事情が異なります。両者は非常に高いブランド力を持つセットメーカーであり、いまでも基本的にセットメーカーとしての色彩が濃いビジネスモデルです。
特にソニーは、世界で唯一、AV機器とIT機器、そして音楽コンテンツのすべてを持っているメーカーでしたから、世界の誰もが、いまのアップルのビジネスモデルはソニーが実現するものと思っていました。しかし、同社がアップル型のビジネスモデルに転換するためには、社内での利害関係を調整しなければなりません。
こうした調整に手間取っている間に、アップルがコンテンツとデバイスの融合を実現してしまい、すべてはアップル主導で市場が進むようになってしまったわけです。
日本の家電は先進国の中間層向け
白物家電については製品のセグメントがうまく市場にマッチしなかったと考えられます。日本メーカーは基本的に先進国の中間層向けの商品を得意としていますが、グローバル市場は、特殊な付加価値のある高級家電か、途上国向けのコストパフォーマンスを重視した製品に二極化してしまいました。
日本メーカーの規模は大きいですから、ダイソンのように高級家電という小さなマーケットだけで勝負するわけにはいかず、かといって韓国や中国メーカーと戦うには価格帯が高すぎました。
日本は最近、1人あたりのGDP(国内総生産)の順位が下落し、先進国の中ではそれほど豊かな国ではなくなっています。それでも、日本市場には一定の所得を持つ消費者が1億人以上も存在しているわけですから、非常に魅力的な市場であることに変わりはありません。
国内市場をフル活用すれば、まだまだ日本メーカーが活躍できる余地は大きいでしょう。他社に先駆けて国内市場回帰を打ち出したパナソニックの業績が好調なのもこうした事情を反映しています。
(The Capital Tribune Japan)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160308-00000010-wordleaf-bus_all
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日本製品が競争力を失ったといわれてから久しいですが、日本の電機メーカーはどこで間違ってしまったのでしょうか。
セットメーカーとデバイスメーカー、異なるビジネスモデル
同じ電機メーカーといっても、消費者向けの最終製品を製造するセットメーカーと、デバイスを製造するデバイスメーカーでは、そのビジネスモデルはかなり異なっています。
シャープが経営危機に陥ってしまった最大の理由は液晶パネルに対する過剰投資ですが、シャープはもともと個性的な商品を開発するセットメーカーでした。
しかし液晶への大型投資をきっかけにデバイスメーカー型へとかじを切り、これが結果的に同社衰退の原因になってしまったわけです。同社は累計で数兆円の資金を投入し液晶パネルの生産ラインを拡充しましたが、液晶の価格下落が想定以上に進み、投資資金を回収することができなくなってしまいました。液晶そのものには強いニーズがありますから、投資の判断ミスが大きかったということになるでしょう。
ソニーがアップルに主導権を握られたのは?
一方、ソニーやパナソニックなどは少し事情が異なります。両者は非常に高いブランド力を持つセットメーカーであり、いまでも基本的にセットメーカーとしての色彩が濃いビジネスモデルです。
特にソニーは、世界で唯一、AV機器とIT機器、そして音楽コンテンツのすべてを持っているメーカーでしたから、世界の誰もが、いまのアップルのビジネスモデルはソニーが実現するものと思っていました。しかし、同社がアップル型のビジネスモデルに転換するためには、社内での利害関係を調整しなければなりません。
こうした調整に手間取っている間に、アップルがコンテンツとデバイスの融合を実現してしまい、すべてはアップル主導で市場が進むようになってしまったわけです。
日本の家電は先進国の中間層向け
白物家電については製品のセグメントがうまく市場にマッチしなかったと考えられます。日本メーカーは基本的に先進国の中間層向けの商品を得意としていますが、グローバル市場は、特殊な付加価値のある高級家電か、途上国向けのコストパフォーマンスを重視した製品に二極化してしまいました。
日本メーカーの規模は大きいですから、ダイソンのように高級家電という小さなマーケットだけで勝負するわけにはいかず、かといって韓国や中国メーカーと戦うには価格帯が高すぎました。
日本は最近、1人あたりのGDP(国内総生産)の順位が下落し、先進国の中ではそれほど豊かな国ではなくなっています。それでも、日本市場には一定の所得を持つ消費者が1億人以上も存在しているわけですから、非常に魅力的な市場であることに変わりはありません。
国内市場をフル活用すれば、まだまだ日本メーカーが活躍できる余地は大きいでしょう。他社に先駆けて国内市場回帰を打ち出したパナソニックの業績が好調なのもこうした事情を反映しています。
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