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2016年02月26日

未成年者契約の取消しに応じない出会い系サイト業者

副収入サイトを紹介しているページから出会い系サイトに誘導された未成年者が、異性とメール交換するため高額なポイント代を支払った事例を紹介する。


相談内容

 携帯電話でアルバイト先を検索していたら、副収入が得られるという携帯サイト(副収入サイト)を紹介しているページがあった。【もっと詳しく知りたい方】をクリックすると、別の携帯サイト(無料出会い系サイト)へ移動したが、会員登録無料というので、軽い気持ちで実際の年齢等を入力し登録した。

 サイトの内容を知りたくて数カ所クリックしたら、また別の携帯サイト(有料出会い系サイト)へ移動し、数時間後、無料ポイントをプレゼントする旨のメールが届いた。【ポイントを受け取る方はコチラ】をクリックすると、登録完了の旨が表示された。

 まもなく、若い女性から「出会いは求めていない。1000万円を受け取ってほしいだけ」とメールが届いたので、無料ポイントを使いメール交換した。女性が「会ってお金を渡したい」というので待ち合わせをしたが、「道に迷った」といって約束の場所に現れなかった。

 その後も毎日メールが届き、まじめな内容と思えたのでメール交換を続けた。しかし、無料ポイントがなくなり、コンビニ決済でポイント購入を繰り返すうち約40万円となり、奨学金や親からの仕送りも使い切った。「1000万円はもう要らない。ポイント代だけでも返してほしい」と伝え、何度か会う約束をしたが、いろいろな言い訳をして結局一度も現れなかった。今までに使ったお金を返してほしい。

(10歳代 男性 大学生)



結果概要

 国民生活センター(以下、当センター)では、相談を受け付けた消費生活センター(以下、受付センター)から本件への対応に関し照会を受け、受付センターとの間で以下の事実関係・交渉の経過を確認し、共同処理を行うこととした。

(1)相談者は未成年の大学生で、親からの仕送りを頼りに生活している。
(2)無料出会い系サイトに登録した際、相談者は年齢を「18歳」と正確に入力した。
(3)相談者は1カ月足らずで40万円近くをポイント購入に使っている。受付センターとしては小遣いの範囲を超えていると考えるが、相談者は親の同意を得ていない。
(4)受付センターは、(1)〜(3)の事実関係から民法5条2項に基づく契約の取消し(以下、未成年者取消し)が可能と判断し、手紙でその旨を主張するよう相談者に助言した。
(5)有料出会い系サイトの運営業者(以下、サイト業者)は、コンビニ決済によるポイント購入代金の収納事務を決済代行業者に委託している。
(6)受付センターが決済代行業者に苦情を伝えたところ、「サイト業者は『出会い系サイト規制法*に基づき相談者に身分証明書の画像を送らせて年齢確認した。相談者は自分の意思で契約しており当社に問題はない』と主張し未成年者取消しを拒んでいる」と説明を受けた。相談者は画像を送った覚えはないというのでその旨を伝えたところ、サイト業者は取得後1週間で破棄したということだった。
 当センターでは、決済代行業者が以前から「消費生活センターと協力し、消費者からの苦情の解決を図りたい」と話していたことも踏まえ、決済代行業者に以下の点を指摘し、改めてサイト業者の対応を促してほしいと伝えた。

出会い系サイト規制法による年齢確認と民法上の未成年者取消しとは趣旨が異なる。まして、年齢確認について相談者とサイト業者の主張が対立したままであり、サイト業者が相談者の年齢確認をしたとしても、未成年者取消しを拒む理由にならない。
相談者は、副収入サイトから無料出会い系サイト、有料出会い系サイトという順序で誘導され、無料ポイントをもらえる旨の言葉に釣られてメールのリンク部分をクリックしたという。相談者に有料サービスの契約をする明確な意思があったとは言い難い。
 後日、サイト業者が未成年者取消しに応じ、相談者がメール交換を続けるために支払ったポイント代は全額返金されることになり、相談を終了した。

*正式名称:「インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律」。


問題点

 出会い系サイト規制法による年齢確認は、児童買春等の犯罪から18歳未満の子どもを守るため、出会い系サイト事業者に課された義務である。これに対し、未成年者取消しは、契約等に関する判断能力が不十分な未成年者を保護するため、民法上、未成年者が法定代理人(親や後見人)の同意を得ないで契約等をした場合に原則として取消しが認められる、というものである。本件は、サイト業者が出会い系サイト規制法と民法の違いを正しく理解しようとしなかったため、消費者への対応に問題が生じた事例といえよう。

 一方、決済代行業者は「直接の契約当事者ではない」「収納代行をしているだけ」などの理由で関与を拒むことがある。しかし、決済代行業者は、加盟店の苦情対応に関して責任を問うことは難しいとしても、問題がある場合には、消費者保護の観点から、加盟店契約に基づき、是正の指導等、加盟店への積極的な働きかけが期待される。



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