2017年08月29日
「なぜ気付かなかったのか」10年以上のベテランが… 死角の悲劇、原因究明難航 大分のコースター事故
大分県別府市の遊園地「城島高原パーク」で、木製ジェットコースター「ジュピター」に点検中の作業員2人がはねられ死傷した事故から2週間余。コースターを操作するオペレーターと作業員の連絡不足が背景にあるとみられるが、現場付近は通常立ち入りできず事故の目撃者はいない。経験豊かな2人がなぜコースターの接近に気付かなかったのか。原因究明は長期化しそうだ。
⇒【画像】事故が起きた木製ジェットコースターを調べる捜査員
事故が起きた12日は、お盆前の3連休の中日で、パークは家族連れらでにぎわっていた。ジュピターは正午すぎの時点で40〜50分待ち。このためパークは午後2時20分ごろ、1編成を追加し計2編成で運行することを決めた。
追加するのは7月に導入したばかりの新型車両。上り坂の巻き上げ部分にフックがきちんと引っ掛かるか確認する必要があり、同3時ごろ試運転を始めた。メンテナンス会社の大久保崇さん(44)とパークの従業員男性(45)が、巻き上げ部の横にある足場で目視点検。問題なかったが、従業員男性は「念のため、もう一度、試運転を」とオペレーターに無線で伝えた。
園の運営会社によると、その後、大久保さんは従業員男性に「近くに気になるレールがある」と言い、目視点検場所から十数メートル移動したという。そこは約150メートル離れたコースター発着場からは見えず、2人がレール点検に移ったことをオペレーター側は知らなかった、とみられる。
パークの首藤忠支配人(53)に、従業員男性から事故の通報電話があったのは同3時半ごろ。首藤支配人が駆け付けると、2人は2メートル下の地面に転落、従業員男性は重傷、大久保さんは死亡していた。2人は、2回目の試運転で走ってきたコースターにはねられたとみられる。
「なぜコースターに気付かなかったのか…」と首藤支配人は首をかしげる。2人とも保守点検10年以上のベテラン。出発の無線連絡はないが、出発時にはブザーが大音量で鳴る上、走行音も激しい。運営会社の志賀敏昭社長(64)は「点検に集中していたのか、出発のタイミングなどオペレーター側と2人とのやりとりにずれがあったのか。人的ミスと考えざるを得ない」。
県警は業務上過失致傷容疑で捜査中。幹部は「現段階では事故の状況は推測するしかない。捜査には相当時間がかかるだろう」と話す。
=2017/08/28付 西日本新聞朝刊=
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