夏生の春 第2部 6話最終話
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五月五日
壮絶な夜が明け、新しい朝が来た。
ハルは自分が見れる最後の朝日だと思うと心が苦しかった。
夏生は冷凍庫で寝たおかげで多少体調が良さそうだが、やはり完治はしていなかった。
そんなフラフラな状態でも朝ごはんを作ると夏生さんは台所に立った。
ハルはずっと夏生さんの背中を見つめていた。
朝食ができる頃に丁度、おデブ様も朝の散歩から帰ってきた。
夏生さんが話し始めた。
「おデブさんすいません。なんかずっと寝込んでいたみたいで、ご迷惑をおかけしました。」
夏生さんは当たり前だが何も知らなかった。
おデブ様は台所へ歩いて向かい、ひょっこり顔を出した。
「夏生さん、旅の疲れってやつじゃないですか?
全然気にしてませんよ。
それよりごはんはおかわりしてもいいですか?」
ごはんを3杯も食べたおデブカメラマンは食器を重ねて台所に向かった。
「おいしい日本茶があるんで飲みますか?」
私も夏生さんも笑顔で頷いた。
おデブ様は台所から話し続けた。
「夏生さんもハルさんも身体には十分気を付けないといけませんよ。」
おデブ様がお茶を入れてくれるなんて珍しい朝だと私は思った。
いつも朝からビールのんでいるような人なのに・・・。
食後のお茶をいただいていると急に眠気が襲ってきた。
横目で夏生さんを見るとすでに眠っていた。
“これは睡眠薬入りのお茶?”
おデブ様を見ると笑顔で微笑んでいる。
そして意識が薄れる中おデブ様の声が聞こえる。
「ハルさんごめんね。
あの玉手箱には私が入るよ。
夏生君の育ての親としてね・・・。
これからも夏生君の傍にいてあげてください。」
目が覚めると窓から夕陽が差し込んでいた。
頭が痛くて、まだ意識がはっきりとしない。
おデブ様の姿はそこにはない。
私は夏生さんを起こして地下室の冷蔵庫を見に行った。
二段目の冷凍室を開けようとしたが、まるで中から鍵でも掛かったようにびくともしなかった。
夏生さんはおデブさんは気まぐれな人だから、また気が向いたら顔を出すだろうと言っていた。
帰り支度をしながらこう言った。
「ハルさん、しばらくこの家に来ないと思うけど何か持っていきたい物ある。」
「私は冷蔵庫を連れて行きたいです。」
〜〜Fin〜〜