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2020年04月23日

安倍首相が「世界最大級」と胸を張る 117兆円対策の大いなるウソ




 安倍首相が「世界最大級」と胸を張る 

 117兆円対策の大いなるウソ


       〜ニューズウィーク日本版 加谷珪一 4/23(木) 12:21配信〜


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 一律10万円の支給に方針転換したことは評価できるが<安倍政権が打ち出したコロナ危機への経済対策は、表面的な金額こそ立派だが、その中身をひもとくと問題が山積している>

 政府は新型コロナウイルスの感染拡大に対応する為、総額117兆円の緊急経済対策を取りまとめた。だが、支援の実施方法や金額に関して多くの批判が寄せられて居る。率直に言って今回の対策は、直面している危機に十分な効果を発揮するとは思えない。
 世論の批判を受けて安倍首相は、世帯を限定して30万円を給付するプランを撤回し、個人に対して一律10万円を支給する施策に変更した。広範囲な給付に切り替わったことは評価して好いが、課題は山積している。

 安倍政権は4月7日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急経済対策を閣議決定した。事業規模の総額は108兆円とGDPの2割を突破して居る。これはアメリカやドイツに匹敵する水準で、表面的な金額としては過去最大といって好い。だが、この施策には大きな問題があり、このまま実施した場合、十分な効果を発揮しない可能性が高い。
 安倍首相は117兆円という金額について「世界最大級」と胸を張るが、これは事業規模の総額であって、実際に政府が財政支出する金額では無い。企業に対する納税や社会保険料の支払い猶予(約26兆円)は、飽く迄一時的な猶予に過ぎず、資金繰り支援に使われる財政投融資(約10兆円)に付いても、基本的には貸し付けなので返済が求められる。
 更に言えば、昨年12月に閣議決定した26兆円の経済対策の内、未だ執行していない分(約20兆円)や、3月までにまとめた緊急経済対策の第1弾と第2弾の分(約2兆円)など、今回の支援策と無関係なものまで含まれている。

 条件が厳しすぎた30万円給付プラン

 政府は各支援項目の詳細を明らかにしていないが「真水(まみず)」と呼ばれる政府が実際に支出する金額は18兆円程度・コロナ終息後に実施する旅行券配布等の施策を加えても28兆円程度と推定される。約47 兆円を真水とする政府の説明とは大きな乖離がある。
 政府が撤回した30万円給付プランの最大の問題点は、給付条件を余りにも厳し過ぎた事である。基本的には住民税非課税水準に収入が落ち込ま無いと給付され無い仕組みだが、中間層の世帯は殆ど支払い対象に為ら無い。政府は1,300万世帯が給付対象に為ると説明して居たが、もしこのプランが実際に発動された場合、給付対象と為る世帯はもっと少なかっただろう。

 消費は現在の日本経済のエンジン

 一連の施策は閣議決定されたものであり、行政運営上、閣議決定の意味は重い。閣議決定を覆して10万円支給に切り換えた事は素直に評価して好いと筆者は考える。だが、真水部分が少ない等、この施策には依然として問題が多く、経済の落ち込みに対して十分な効果を発揮しない可能性が高い。
 一方で、支出の詳細項目が定められておらず、資金の使途は或る程度、自由に為る余地も残されている。今は、補正予算を成立させる事が最優先だが、この法案を成立させた後、給付金以外の資金使途についても、給付金と同様、柔軟な決断を行って行く必要がある。

 今の日本は、輸出で経済を成り立たせて居るのでは無く、既に消費主導型経済に為って居る。消費は経済のエンジンであり、個人の経済状況が悪化すれば、日本経済そのものが立ち行か無く為る。
 賃貸住宅に住んでいる場合、当座、10万円の支給があれば何とか為った世帯でも、家を追い出されてしまえば、その金額で生活を立て直す事は極めて難しい。一度消費が壊れてしまうと、再構築するのは容易な事では無い。

 今後の経済対策に付いても、個人の生活を破綻させ無い事を主軸に、各種のプランを検討することが重要である。個人の生活を守ることは「福祉政策」では無く、列記とした「経済政策」であるとの認識が必要だ。


  <本誌2020年4月28日号掲載のものを一部変更・加筆> 加谷珪一 経済評論家  以上









 コロナ地獄の中で 神対応が話題の各国リーダーたち

 一方で安倍晋三は・・・


            〜プレジデントオンライン 4/23(木) 9:16配信〜

 世界中が新型コロナウイルス感染拡大による医療崩壊の危機や経済への打撃と必死で闘っている今、問われているのは政治的リーダーの指導力や判断力かも知れない。迅速な対応と強いリーダーシップで支持を集める者も居れば、的外れな発言を繰り返して批判の的と為る者も居る。SNSの活用にも注目だ。

       042302.jpg

              アンゲラ・メルケル首相

 メルケル首相 「制限は絶対に必要な場合にだけ正当化される」  

 ドイツのメルケル首相は3月18日、14年超の在任の中で、恒例と為って居る毎年の大晦日のものを除いて初めてのテレビ演説を行った。
 演説の中でメルケル首相は、新型コロナウイルスの感染拡大について「東西ドイツ統一以来、嫌、第二次世界大戦以来の試練だ」と表現して国民に危機感を持たせた。又、一時に余りに多くの感染者が増えれば、医療システムが「完全に参ってしまう」と発言。人々が他者との接触を避け、感染者の数を抑える事がいかに重要かを説いた。
 メルケル首相は旧西ドイツ生まれで、生後間も無く西側への移動が禁じられた旧東ドイツに移住して居り、移動を制限された暮らしの不自由さに付いて身を以て知って居る。しかし「旅行や移動の自由を苦労して勝ち取った私の様な者に取って、こうした制限は絶対に必要な場合にだけ正当化される」として、国民に真摯に理解を求める姿で支持を集めている。

 国内3,000世帯に手紙を送付したボリス・ジョンソン

        042303.jpg ボリス・ジョンソン首相 
 
 イギリスは、現地時間3月23日にロックダウン宣言を行った。自身もコロナに感染し、4月12日に入院していたロンドンの病院から退院したボリス・ジョンソン首相は、症状が出るまでホボ毎日の様に自ら記者会見を行って専門家と共に感染拡大の状況や対応を説明していた。又、3月末には国内の約3,000世帯に手紙を送付。飾ら無い言葉で支持を集めた。
 手紙の冒頭では「もし余りに多くの人が一時に深刻な病状に陥れば、NHS・イギリスの国民保健サービスは対処出来無く為ってしまいます。(中略)私達は可能な限り命を救う為に、この病気の感染拡大を遅らせ、病院での治療を必要とする人々の数を減らさ無くては為ら無いのです」と率直に述べて居る。
 更に、同居する家族や友人以外に会わ無い事・極力家に留まる事・外に出る時は他者と2メートルの距離を開ける事等・・・国民がすべき事を端的に示し協力を求めた。

 ライブ配信で国民の質問に答えるNZ首相

        042304.jpg ジャシンダ・アーダーン首相(左)
 
 ニュージーランドの新型コロナウイルスに対する対応は、他の国とは一線を画している。国内で感染者が確認されるより早く、2月3日の時点で外国籍の人の中国からの入国を禁止。同月28日に国内初の感染者が確認されると、直後に入国禁止の対象国を拡大。3月19日には世界のすべての国からの入国を禁じ「鎖国状態」と為った。
 アーダーン首相は鎖国の翌日にテレビを通じて国民に新型コロナウイルス対策に関する説明を行った。彼女は1982年以来初めて官邸からテレビで国民に呼び掛けたニュージーランド首相だと云う。アーダーン首相の国民に対するメッセージはメディアを通じたものに留まらず、3月26日には外出制限中の国民に向け、自宅からFacebookを通じてのライブ配信を実施している。スウェット姿で登場した首相は配信の中で「外に散歩に出てもいいの?」と云った国民からの質問にリアルタイムで答え、支持を集めた。

 オフィス内で腕立てジョギング ウガンダ大統領


      042305.jpg ヨウェリ・ムセベニ大統領

 ウガンダでは、4月1日からショッピングモールや商店街・宿泊施設など商業施設の営業停止や、公共交通機関の停止等のロックダウン措置を行っている。当初この規制は入国・出国や航空輸送の中止、非食料品市場の営業停止を32日間とするほかは14日間を予定して居たが、4月14日に5月5日迄の延長が発表された。
 ロックダウンを伝えるガイドラインには大統領の写真が使われ、ツイッターやFacebookのアカウントも記載されている。
 ムセベニ大統領は自らのツイッターで国民に対して家に居る様呼びかけ、4月9日には「集団でジョギングをしている人たちを見てガッカリした」と云う書き出しのツイート(書き込み)を投稿。「運動の為に外へ行く必要は無い」として大統領が自らグレーのジャージに裸足の姿で、オフィス内でジョギングや腕立て伏せなどをしている動画を公開した。

  「家でプレステしてろ!」とイタリアの市長

           042306.jpg アントニオ・デカロ市長

 イタリアでは感染者が多数発生した自治体を政府が封鎖する等の対策を進めていたが感染の連鎖を止めることは出来ず、3月10日には一部地域に限定していた移動制限措置を全土に拡大した。又、12日からは食料品店と薬局を除く全ての店舗を閉鎖。19日には新型コロナウイルスによる死者数が世界最多と為った。
 しかしそんな中でも3月末には外出自粛指示を守らず外出する市民が後を立たず、各市の市長が激しい言葉で家に留まるよう訴えた。南部バーリのアントニオ・デカロ市長は外で卓球する市民に向けて「家でプレイステーションしてろ!」等と叱責するシーンが話題と為った。
 又、南部のレッジョ・ディ・カラブリア市長ジュゼッペ・ファルコマータ氏は「これは映画じゃ無い。貴方は『アイ・アム・レジェンド』のウィル・スミスでは無いのだから帰宅しろ」と、SF映画で只一人生き残った主人公に例えて外出中の市民を注意したと報道された。

 イスラエルは大統領がテレビで絵本読み聞かせ

      042307.jpg ルーベン・リブリン大統領 

 イスラエル政府は感染が拡大する各国からの入国を拒否し、3月9日には全ての国からの外国人の入国を拒否する等、世界でも迅速かつ厳粛な新型コロナウイルス対策を行って来た国だ。しかしそれでもウイルスの封じ込めは出来ず、3月14日には既に教育施設の閉鎖が発表された。それ以降も、公共施設への訪問が禁じられ、食料品や医薬品の調達などの止むを得ない場合を除いて外出し無い様に国民に求めた。
 そんな中、3月31日にはリブリン大統領が自ら、テレビを通じて絵本の読み聞かせを行って話題に為った。これは教育機関が閉鎖に為り、自宅待機を強いられた子供達を持つ親達が休める様にと云う配慮によるものだという。ちなみに、イスラエルの大統領は儀礼的存在であり、行政府の主張は首相であるベンヤミン・ネタニヤフ氏が務めている。

 ブラジル大統領「私達は、何時かどうせ死ぬのだ」

       042308.jpg ジャイル・ボルソナロ大統領

 「ブラジルのトランプ」と呼ばれるボルソナロ大統領は、3月24日、政見放送で新型コロナウイルスを「軽い風邪」呼ばわりした。自身の支持者には「私達は皆、何時かどうせ死ぬのだ」等と語ってロックダウンを否定、サンパウロ州等が取った外出制限措置には「犯罪だ。国を破壊している」等と批判を繰り返した。
 又、3月下旬には自身のツイッターとフェイスブックに「60%から70%の国民が感染する事でブラジルに免疫が着く」「特効薬はもう直ぐ出来る」等と投稿し、デマとして両社に削除されて居る。こうした発言は国内外から批判を集め、対策を進める保健相やリオ連邦地裁の判事等とも対立して居る。ブラジル国内の感染者数は右肩上がりだが、未だ大統領の事態の軽視は変わらず、商業活動の制限には消極的だ。

 我らの総理が投稿した動画は大大大炎上

         042310.jpg 

 安倍総理がコロナに関して初の会見を行ったのは、国内の感染者数が200を超えて居た2月29日の事だ。既に国内ではマスクや除菌スプレー、トイレットペーパーやティッシュ等が品薄になり混乱を極めていた。同会見で安倍総理は「躊躇なく対策を講じて来た」等と発言し、3月2日からの全国一斉臨時休校要請を発表した。しかし、一方的に冒頭で文章を読み上げた後、記者からの質問も数問しか答えず不満に思う国民も出た。
 又、マスクの不足に関しては当初から品薄の解消を行うとして居たが解決は為されず、4月1日には全世帯に布マスクを2枚配布すると発表し「エイプリルフール?」等と揶揄される事と為った。この施策は批判を集めながらも敢行され、4月第3週以降、順次配布される予定だ。

 更に、4月12日朝に安倍総理はSNSアカウントに動画を投稿。ミュージシャンの星野源さんが歌う動画とのコラボレーションが流行っていたものに、安倍総理が乗っかった形だが大炎上した。「友達と会えない。飲み会もできない。ただ、皆さんのこうした行動によって、多くの命が確実に救われて居ます」等と安倍総理はメッセージを添えたが「友達に会え無いのでは無くて、ナカナカ進ま無い政府の対応にイライラして居る」などと批判が殺到した。

 新型コロナウイルスの終息は何時に為るのか、終息した時、国民の生活や経済はどのように為って居るのか、政治的リーダーの手腕が明暗を分ける事に為るかも知れない。


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          フリーランスライター  梁 観児    以上



















2020年04月22日

「アベノマスク」めぐる報道に違和感 今求められる国民の為のジャーナリズム




  「アベノマスク」巡る報道に違和感 

 今求められる 国民の為のジャーナリズム


              〜週刊女性PRIME 4/22(水) 21:00配信〜

 毎日新聞が4月21日、以下の様な検証記事を出した。安倍晋三首相が17日の記者会見で、布マスク全戸配布(通称・アベノマスク)への批判の声に関して朝日新聞記者から質問を受けた際に「御社も2枚3,300円で販売して居た」等と言及した、朝日新聞社の通販マスク(通称・アサヒノマスク)に付いて「朝日新聞社が通販サイトで販売したマスクは、繊維の街として知られる大阪府泉大津市の地元繊維メーカーが手作りした製品で、高性能の立体構造マスクだった。ボッタクリでは無かった」とする内容だ。

 しかし、一寸待って欲しい。最初に安倍首相の記者会見での発言を無批判に伝え、寧ろ面白可笑しく報じたのは毎日新聞ではないか、ソコに付いてはスルーなのか。自社記事の第一報を検証もせず、こうした続報をシレッと出す事には強い違和感と不信感を覚える。
 17日の会見で最も疑問を感じたのは、首相が朝日新聞記者からの質問をハグラかした対応そのものと、それをそのママ批判する事無く報じ、しかも・・・首相が朝日新聞に対して「反撃」「皮肉った」と居った表現で煽(あお)って伝えた毎日新聞の内容だった。だから私は先日《アベノマスクでアサヒノマスクに反撃、安倍首相の「ハグラかし」コソ問題》と云う記事を執筆した。

 第一報に於ける問題意識の無さ

 毎日新聞の第一報は、先ず見出しで《「布マスク批判」を指摘の朝日記者に首相が反撃「御社も3,300円で販売」》と記し、本文では《朝日新聞の記者から指摘された際(中略)反撃する一幕があった》《「御社のネットでも布マスクを3,300円で販売して居られたと承知して居る。詰り、その様な需要も十分に有る中で2枚の配布をさせて頂いた」と皮肉った》と書いた。
 朝日新聞社の通販マスクの実態を検証する事も無く、増してや、安倍首相が記者の質問から論点をズラした点を追及する事も無い。首相の朝日批判をそのママ垂れ流しただけで無く、朝日新聞を揶揄(やゆ)するかの様な記事に仕立てたのが、毎日新聞の第一報だった。

 この記事を担当した毎日新聞記者の問題意識の無さには正直、驚き呆れた。一体、何処を向いて記者の仕事をして居るのだろうと愕然とした。
 繰り返して指摘するが、17日の記者会見に於ける安倍首相の発言は、記者から問われた内容をハグらかすものだった。毎日新聞記者は、安倍首相の受け答えに疑問を感じ無かったのか。何故、ソコを問題視せず無批判な記事に仕立て上げたのか。これ迄も国会質疑や記者会見で、安倍首相が繰り返して来た手法ではないか。これに付いて厳しく取り上げて行く事コソ、記者の職責では無かろうか。

 アサヒノマスクに付いては、独立系ニュースサイトの『LITERA(リテラ)』を皮切りに『BUZZAP』『BuzzFeed JAPAN』等が「感染予防に効果が見込めるか」「政府が配布するマスクとの性能の差」等に関する検証記事を掲載。本サイトでも、安倍首相の朝日攻撃発言が如何に的外れで有るかを裏付ける記事をアップした。
 遅ればせながらではあっても、毎日新聞が第一報の記事を軌道修正し、キチンと続報を書いた事自体は勿論評価出来る。しかし、上述した様な自社の第一報に於ける問題点に付いても、確り反省し検証して欲しかった。嫌、検証すべきだ。

 ジャーナリズムの役割 再確認を

 ジャーナリズムに取って一番大事な役割は、権力をチェックして問題提起し、読者や視聴者に判断材料を提供する事だ。

 「こんな緊急・非常事態なのに政府や首相を批判するべきでは無い」と云った声が一部から聞こえて来るがそれは間違いだと感じる。新型コロナウイルスの感染拡大防止で緊急事態宣言が出されて居る今の様な非常時で有っても、或いは戦時下で在ったとしても、嫌、寧ろそう云う時だからコソ、ジャーナリズムは全力で権力者の可笑しな言動を厳重に問い質さなければ為ら無い。
 ジャーナリズムがその役割を果たさ無ければ権力は暴走する一方で、国民は正しい判断をする事が出来無く為って仕舞うだろう。戦前の国家統制や大本営発表が何をもたらしたか。悪夢へと突き進んで迎えた悲惨な結末を、私達は歴史から学んだ筈だ。過ちを繰り返しては為ら無い。










〔関連報道〕


 アベノマスクでアサヒノマスクに反撃 

 安倍首相の「はぐらかし」コソ問題


 安倍晋三首相が4月17日の記者会見で、政府に於ける布マスクの全戸配布(通称・アベノマスク)が批判を浴びて居る現状に付いて朝日新聞記者から問われた事に対し「御社のネット(通販)でも布マスクを(2枚)3,300円で販売して居られたと承知して居る。その様な需要も十分に有る中で2枚の配布をさせて頂いた」と反撃し「皮肉った」と同日、毎日新聞が伝えた。

 募って行く安倍首相への不信感

 ネットを中心に波紋が広がって居るが、ソモソモ、この遣り取りの問題点は安倍首相が記者の質問に真面に答えず、話をハグラかして論点をズラした処にコソ有る。記者会見だけでは無い。国会質疑でも、質問に正面から答えず話をズラすのは安倍首相の常套(じょうとう)手段だ。
 そんな安倍首相の狡さや卑劣さが明確に為ったのがこの日の受け答えだった。政府の施策への問いを棚に上げ、関係の無いネット通販の話を持ち出し言及したのは詭弁(きべん)でしか無い。

 この時期に約466億円もの多額の税金を投じて、小さくて貧相な布マスクを1世帯に僅か2枚配布する事の「ショボさ」と「虚しさ」「ガッカリ感」更に、他にもっと遣るべき事が有るだろうと云う「疑問」「憤り」そして「失望」様々なツールを通して、これ等を訴えて居る国民が数多く居る。だからコソ、以前から納得の行く説明が求められて居るのに常に話を逸(そ)らす。
 モリ・カケ・桜問題・・・森友・加計学園を巡る様々な疑惑や、首相主催『桜を見る会』の在り方に於ける対応の杜撰さを指す・・・を初め、安倍首相が繰り返すこうした不誠実極まり無い行為は「この人物は信用も信頼も出来無い」と強く思わせる。処が、自分の言動の異常性を、安倍首相は全く自覚して居ない。

 ちなみに、朝日新聞社のネット通販『朝日新聞SHOP』のマスクは、大阪・泉大津市の老舗繊維メーカーが地元自治体や商工会議所等と協力して製造販売したもので、地場産業の技術を生かした手作り製品だと云う(※4月20日現在は受注停止中)そうで有る為らば、この通販はマスク不足解消を狙った町おこし応援企画へのサポートと言えるかも知れない。安倍首相にトヤカク言われる筋合いの話では無い。

 朝日新聞社の話で云えば、寧ろ問題に思えたのは、同社が3月22日付の12面(スポーツ面)の下段に掲載した「立体マスク30枚セット3,600円」と云う『株式会社夢グループ』の広告だ。「緊急入荷」と銘打ち「仕入れ価格が著しく高騰して居り、ご提供価格が割高に為ってしまいました」等と説明されて居るが、確かに高額である。
 相場より高値での転売が社会問題化し懐疑的に報道されて居たタイミングだっただけに、こうした広告を無批判に掲載する事には疑問を感じる。それから1か月後、4月19日付の朝日新聞は6面に通販会社『快適生活(株)ライフサポート』の全面広告を掲載。衣料品や食料品等の9商品と共に「3層構造プリーツマスク50枚セット4,500円」と「3D『立体マスク』30枚6,000円」の2種類のマスクが売り出された。何れも相場より、やや高額であった。

 マスク不足が一向に解消され無い状況が続けば、多少高額であっても購入を希望する人も当然増えて来るだろう。自宅に備蓄して居たマスクが底を尽き始め不安を抱く人が増えて居る状況では、通販広告は需要があるのかも知れない。
 相場と比べて法外に高額なのか許容範囲の値段なのかにも依るが、余りに消費者の足元を見るかの様な販売手法には矢張り違和感が有る。新聞広告の掲載基準に照らして、どの様に判断して掲載したのか、新聞社としての説明はあって然るべきだろう。

 それでも記者は怯まずに追及を

 しかし、だからと云って朝日新聞の記者がアベノマスクに付いて批判的に報じてはいけ無い事には為ら無いし、安倍首相の姿勢を正さずに居る必要も、全く無い。何より、安倍首相が記者の質問をハグらかし、説明責任を逃れて好い事には断じて為ら無い。
 記者の後ろに居る国民・主権者に対し、安倍首相(権力者)は判り易く明確に、そして真摯(しんし)に説明する義務が有る。記者は怯まず遠慮せず臆する事無く、厳しい質問を投げ掛けて権力をチェックする職責を果たすべきだ。国民・主権者に判断材料を提供する事に為るからだ。その事は改めて明記して置きたい。


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 取材・文 池添徳明 埼玉新聞記者 神奈川新聞記者を経て現在フリージャーナリスト 関東学院大学非常勤講師 教育・人権・司法・メディア等の問題を取材 著書に『日の丸がある風景』(日本評論社)『教育の自由はどこへ』(現代人文社)『裁判官の品格』(現代人文社)等









 【管理人のひとこと】

 池添徳明氏の言葉に両手を打って賛意を表したい。多くの国民が同じ様に感じ賛同する事だろう。本当に安倍氏の嫌な面が凝縮するのが「ハグラカシ」に至る低級な「やり返し」だろう。先日国会での立憲の幹事長代行・団体交流委員長の辻元清美議員から散々説教され一方的に指摘され続けた安倍氏は、マルで非力で小さな女の子から虐められた如く、悔しさの余りに「関係ない!無意味な質問だ!」と叫び大声でヤジってしまった。
 管理人もTVで丁度拝聴したが、辻元清美議員の指摘は全てが的を得た真摯な批判と指摘であり、一つの間違いも無い正確な表現だったと確信するものだ。全く安倍氏当人としては、グーの音も出ない程の満点の指摘であり何等言い返す隙も無いものだった。それに対し安倍氏は、有ろうことか辻元清美議員の質問それ自体を否定せざるを得ない・・・屈辱のど真ん中に落とし込まれてしまって・・・その言葉しか出ない、咄嗟に出た悔し紛れの舌打ちだったのだろう。
 殊程左様に、安倍氏の中身の無い人間性と何に対しても卑怯な性格から来る「余裕のなさ」故の末路を演じたのだった。彼の他の全ての答弁にも共通するのが、安倍流の薄ら笑いに依る誰も笑えない比喩だろう。「悪夢のような民主党政権」の言葉もそのまま安倍政権へ投げ付けたいものだ。他人の過去の政権の悪口を言ったら少しは安倍政権の為に為るのだろうか・・・考え無くとも判る小学生未満の思考回路なのだ。この様な男が史上最高の長期政権を誇る偉大な指導者・主導者なのである。




















コロナ不況下の日本に、最悪のスタグフレーションが迫る構図を読み解く



 コロナ不況下の日本に 

 最悪のスタグフレーションが迫る 構図を読み解く


           〜ニューズウィーク日本版 4/21(火) 12:15配信〜

 <新型コロナで日本経済が既に景気後退入りして居るとされる中、物価だけが上がると云う最悪の状況が現実に為りつつある>

 新型コロナウイルスの感染拡大でデフレ激化を懸念する声が上がるが、一方でスタグフレーション・不景気下のインフレのリスクも徐々に高まって居る。好景気に依るインフレは、賃金も上がるのでそれ程大きな混乱は生じないが、スタグフレーションではそうはいか無い。只でさえ苦しかった庶民の懐は更に厳しく為る可能性もある。
 経済学的に見てインフレには2種類ある。一つは需要の伸びが大きく、供給が追い付か無い場合に発生するディマンドプル・インフレ、もう一つは、何等かの理由で供給側のコストが上昇するコストプッシュ・インフレである。

 一般的にディマンドプル・インフレは好景気の時に起こり易いが、コストプッシュ・インフレはそうとは限ら無い。1973年に発生したオイルショックはその典型だが、原油価格の一方的な上昇を切っ掛けにあらゆる製品の価格が上昇し、景気とは無関係に一気にインフレが進んだ。
 日本では近年、デフレが続いて居るとされて来たが、それは物価上昇率が鈍いと云う意味で、物価の絶対値は寧ろ上昇を続けて居る。アベノミクス以降はその傾向が顕著で、消費者物価指数(総合)は過去7年間で6.5% も上昇した。徐々にインフレが進んで居ると云うのが実態だ。

 コロナで起きるのはデフレかインフレか

 インフレが進む最大の理由は、諸外国とのGDP格差が拡大した所為で、輸入価格が上昇した事に加え、深刻な人手不足から、建設や外食等、現場作業が必要な業界を中心に人件費の高騰が進んで居るからである。
 こうした中で発生したのが新型コロナウイルスである。各国に感染が拡大して居る事から、世界的な景気後退の可能性が高まって居るが、需要減からモノが余るので一見するとデフレを誘発しそうに思える。確かに総需要が減るので、一部の商品は価格が下がるかも知れないが、話はそう単純では無い。全世界で人やモノの流れが停滞して居る事で、航空機等の便数が大幅に減少し、貨物運賃の急騰を招いて居るからだ。

 インフレ目前で有る事を示すデータ

 ウイルスが終息した後も、近い将来、再び似た様な感染拡大が発生すると予想する専門家は多く、企業側はグローバルな物流網や生産体制の見直しを進める可能性が高い。そう為ると、従来の様に世界各国から最安値で商品を大量に調達する事が難しく為るので、最終的には輸入価格の上昇に繋がる。
 国内の労働市場に付いても同じだ。これ迄は世帯年収の低下を補う為、主婦や高齢者が安い賃金で労働市場に参加して居り平均賃金を引き下げて居た。だが、日本の就業率はここ数年で大幅に上昇し、先進国の中でも可成り高い水準と為った。今の日本は、働ける人はホボ全員、働きに出た状態であり、労働者の増加による賃金低下はこれ以上進ま無い可能性が高い。

 しかも、失業率とインフレの関係を示すフィリップス曲線を見ると、現時点に於ける日本の失業率(2.4%)は、丁度インフレが顕著と為る敷居値に位置して居り、経験則上は物価高騰目前である。日本経済には、輸入価格の高騰・人手不足・物流コスト増大等、多くのインフレ要因が存在して居る。
 コロナショックで一時的にはデフレと為り、失業率も上がるかも知れないが、物価上昇等在り得無いと云った思い込みは危険である。


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       本誌2020年4月21日号掲載 加谷珪一 経済評論家     以上









 【管理人のひとこと】

 人々が見落とし勝ちな日常の風景・・・所得が年々下がる感覚なのに公共料金が上がり、生活費が膨らみ何と無く生活が苦しい大変な時代・・・と。しかし、実際は、デフレの国内経済状態なのに、個人としては生活苦が重く圧し掛かる日常なのである。
 加谷珪一氏が警告を発する様に最悪の「不況下のインフレ」への恐怖が我々を襲って来る・・・その危険性が高いのかも知れない。これは、最悪のシナリオである。
 安倍政治の経済政策の失敗で、掛け声だけの〔景気浮揚策〕として、オリンピック招致・海外からの旅行者誘致(インバウンド)・IR・大阪万博招致・・・と、全て他者や人頼みの掛け声だけの政策に邁進し、足元の国民の購買力を無視し軽んじた政策の連続だった。国としての全ての力を国民を除外した外へ向けての政策だった訳だ。国内は疲弊し購買力も減少・・・頼みは海外からの旺盛な経済力のみに頼ったモノだけだった。
 現在は、先ずは海外からの観光客は消滅し、オリンピックも延期か中止を迫られ、疲弊した国内の購買力は益々低下する。安倍政治の全ての失敗が集中して、今我々を襲って居る。この上食料や日用品が高騰する様な事態と為ったら・・・その恐れは高いのかも知れない。








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2020年04月21日

【満蒙開拓の記憶】「日本に来て幸せなのか」日本と中国・二つの祖国の間で 帰国者2世の苦悩と旅立ち




 【満蒙開拓の記憶】「日本に来て幸せなのか」
 
 日本と中国・二つの祖国の間で 帰国者2世の苦悩と旅立ち


             〜SBC信越放送 4/21(火) 18:00配信〜


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                  大橋春美さん

 戦争が終われば、苦しみや悲しみが消える訳では無い。中国残留日本人の父と中国人の母をもつ中国帰国者2世に取って苦難は戦後に始まった。
 長野県豊丘村に住む大橋春美さんは、中国で生まれ、8歳の時父親の祖国・日本に永住帰国。虐めやアイデンティティに悩みながら、長野県では帰国者として初めて教師と為った。自分の原点を見詰める事は、満蒙開拓の歴史と向き合う事だった。

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                 中国での春美さん

 戦争が無ければ生まれ無かった命

 2012年の夏、長野県の豊丘村に住む大橋春美さん(当時42歳)を訪ねた。教師として母親として、慌ただしい毎日を送って居た。一人息子の遼太郎くんは中学1年生。10年前に離婚して母子2人の暮らしだった。春美さんは中国で生まれた。中国残留日本人の父と中国人の母を持つ帰国者2世。8歳迄は中国人、家族で日本に帰国してからは日本人として生きて来た。

 「中国に居た時は日本人だと言われて、日本に来たら今度は中国人だと言われて。人から受ける言葉だけでは無くて、自分自身は何者なのかと云うのを思ったり悩んだり」

 春美さんのルーツは満州に在る。1937年、祖父母は満蒙開拓団として満州国へ入植する。しかし、祖父は病に倒れ24歳の若さで亡く為った。敗戦後の満州で、祖母は父親を連れて逃避行と収容所生活を送り、生き延びる為に中国人の男性と家庭を持つ。ヤガテ父親は中国人の女性と結婚し春美さんが生まれた。

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                   父・英夫さん

 「戦争が無ければ父は中国に残る事も無かったと思うんですね。ソコで母と出会って今の私が有る。戦争が無ければ私は生まれて来なかった命。正直、苦しいです。戦争に付いて深く考えれば考える程、自分が引き裂かれそうに為る事があります」 

 自分のルーツを辿る事は、二つの祖国の戦争と向き合う事でもあった。「立派な日本人として生きて行く」 春美さんが、日本に永住帰国したのは1978年、8歳の時。両親と3人の兄が一緒だった。しかし、言葉の問題や生活習慣の違い等、ナカナカ日本に馴染めずに居た。

  「『中国人なら中国へ帰れ』と言われた事のショックが大きかった。独りで布団の中で泣いたけど、両親には言え無かったですね」

 父親の英夫さんは、工場の仕事や清掃のアルバイトで生計を立てて居た。敗戦当時5歳。戦後30年余り中国で暮らし、日本語の記憶は無く言葉の壁に苦しんで居た。母親の玉江さんに取っては、故郷・中国を離れ異国での暮らし。村のスーパーで働き家計を支えた。

 「帰りたい気持ちは何回か出たけれど、皆一生懸命頑張って居るのに、親達が帰ると言え無い。自分達が来ると言ったので、本当に我慢しか無い、頑張るしか無いって」

 日本に来て幸せなのか、家族一人一人が自問して居た。しかし、日本への帰国の理由は、望郷だけでは無かった。中国で、1960年代から始まった文化大革命で、侵略者で在った日本人は弾圧を受けた。英夫さんも嫌がらせを受け、仕事を失くし生きる術が絶たれた。

 「私が日本人だから、子供の将来に限界が有ると感じて居た。好い仕事に就こうと思っても日本人と云う理由で限界が有ったから。日本人への憎しみを込めた日本鬼子と云う言葉を聞くと心苦しい思いをした。
 日本に帰れば政治的な抑圧も無く、子供達は自分が選んだ道に進む事が出来る。だから、家族全員を連れて日本に帰る事に決めた」


 春美さんは、両親が日本で必死に頑張る姿を見て来た。自分達に期待して居る事も痛い程感じて居た。だから、その期待に応えよう、日本人として日本の社会で立派に生きて行こう、そう自分に誓って居た。

 中国人の自分を封印して

 春美さんは、高校に入学すると帰国者で在る事を隠す様に為った。中国から来た事を負い目に感じて居たからだ。帰国者で在る事を明かす様に為ったのは、大学を卒業後、英語の教師と為り中学校に赴任してから。同僚等周りに理解者を得た事が大きな理由だった。
 帰国者の教員採用は長野県では初めてで、その事も自信に繋がった。日本人として、社会に認められたい。只それだけを目標に生きて居た。2002年、初めて取材した時、当時32歳の春美さんは悩みの中に居た。

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                中学校にて(2002年)

  「教師とかそう云うものを捕ってしまったら、未だ自分に自信が持て無い」

 この頃、息子の遼太郎くんは2歳だったが夫とは別居して居た。日本人の夫は、春美さんを理解して支えようとして呉れた。しかし春美さんは、物事が上手く行かず失敗した時に、自分は帰国者だからと思ってしまう・・・そんな自分が嫌だったと振返る。
 何時の間にか気持ちがスレ違う様に為り、狂い始めた歯車が戻る事は無かった。遼太郎くんが父親と過ごす時間は大切にして居るが、自分が成長を支え見守ろうと心に決めた。

 「息子の前ではメソメソして居られないし、何時も元気でニコヤカな母親で居たいし、もうこれ以上悲しい思いはさせたく無いし」

 離婚の後、思い切って中国の北京師範大学に留学。7歳の遼太郎くんを連れて2007年から3年間、北京で暮した。

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                遼太郎くんと中国の故郷にて

 「改めてリセットして、もう一度中国へ行って、自分自身はドンな存在なんだろうと、もう一度確かめる事で、もっと前向きに色々考えられるのかと思って」
 
 大学では、異文化の理解と交流をテーマに学んだ。日本で生きる為に封印して来た中国人の自分。原点を見詰め直す時間だった。

 ルーツを辿る故郷への旅

 2012年、春美さんは、遼太郎くんを連れて中国の故郷を訪ねた。遼寧省の瀋陽から車で1時間余り、生まれ育った村の近くに在った小学校は、この時既に取り壊されマンションが建てられる事に為って居た。自分が日本人で有る事を初めて突き付けられた場所だった。

 「小学校の同級生と喧嘩した事が切っ掛けで、お前は日本鬼子だと言われて、その言い方がとても憎しみを持って言われた感じがしたから、一寸悔しかった。何でお父さんが日本人ナンだろうって思ったりしましたね」

 その頃から、父親が日本人で有る事を知る様に為った。侵略者の子孫で有る自分達。しかし、生まれ育った村の人達は、日本人の血を引く自分達に分け隔て無く接して呉れた。その村は、昔の佇まいを残して居たが、住民の気配は疎らだった。
 開発が進み、150人程居た村人は立ち退きを迫られて居た。最後迄離れたく無いと残って居たのは、馴染の顔だった。一人又一人、集まって来ては家族の消息を尋ね合い、笑い声が静かな村に響き渡る。生まれ育った家を訪ねた。建物は建て替えられて居たが、見覚えの有るナツメの木が一本だけ残って居た。

 貧しい暮らしの中、何時もお腹を空かせて居た子供時代。春美さんを夢中にしたのがナツメの実だった。ここで生まれ育った確かな証、記憶の奥底に有る懐かしさに包まれて居た。村人との話は尽き無い。笑顔にも、時折涙が浮かぶ。両親に宜しく、必ず又戻って来て呉れ・・・別れを惜しむ人々が、何時までも手を振って見送る。日本人として生きる為に、ズッと心の奥に仕舞い込んで来た、もうひとつの祖国。その温もりが、心を満たして居た。

 ふたつの祖国に生きる

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 2019年の秋、長野県阿智村に在る満蒙開拓平和記念館に春美さんの姿があった。開館以来続く語り部講座で初めて講師を務める。これ迄は戦争体験者が話して来たが、高齢化が進む中、直接、戦争を経験して居ない春美さんも、その舞台に立つ事に決めた。これ迄の体験を通して、満蒙開拓と自分の人生に付いて語った。

 「人って何の為に生まれて来たんだろうって、ズッと自分の生まれて来た意味とかを考えながら生きて行くと思うんですけれど、自分がこう云う運命を背負って生まれて来たからには、今度は、負の遺産をプラスの方向へ変えて行くのも、自分が生きる意義かなと思います」

 戦争が無ければ生まれ無かった命。だからコソ伝えたい。この苦しみが終わる様に。そして、二度と起き無い様に。国境を越えて手を取り合う事の尊さを伝えたい。涙が込み上げて言葉に詰まる場面もあったが、力強く語り掛ける姿は、日本人で有り中国人で有る自分の存在を受け止めて生きて行く、そんな覚悟と決意に満ちて居る様だった。


 連載 満蒙開拓の記憶 この記事は信越放送とYahoo!ニュースによる連携企画記事です。1931年に満洲事変が起きると、翌年、現在の中国東北部に「満洲国」が建国。日本全国から農民を中心とした移民「満蒙開拓団」が送り出され、長野県からは最も多い3万人余りが満州に渡りました。戦後75年、戦争体験者が減って行く中、一人一人の記憶から満蒙開拓の歴史を問い直します。

                SBC信越放送    以上
















コロナ禍で露わに為った「リーダーシップの欠如」決断出来無い人材を生む日本型教育の致命的な問題




 コロナ禍で露わに為った 「リーダーシップの欠如」
 
 決断出来無い人材を生む 日本型教育の致命的な問題


             〜REAL SPORTS 4/21(火) 17:07配信〜


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 何故日本のリーダーは決断出来無いのだろうか? サッカー世界最高峰の舞台、UEFAチャンピオンズリーグに携わる初のアジア人、岡部恭英氏は、日本の教育に問題があると話す(撮影 野口学)

 〜新型コロナウイルスの脅威は、未だ収束の目途が見えて来ない。この未曽有の危機に、日本社会における或る一つの問題が浮き彫りにされた。リーダーシップの欠如だ。何故日本のリーダーにはリーダーシップが足りないのか? どうすればリーダーシップを身に付ける事が出来るのか? そもそもリーダーシップはリーダーだけが身に付ければ好いものなのか?
 サッカー世界最高峰の舞台、UEFA チャンピオンズリーグに携わる初のアジア人、岡部恭英氏に、大学卒業後に海外へと飛び出しスポーツビジネスの最前線で闘い続けて来た目線から「正解の無い時代」に於ける日本人・日本社会の問題点を考察して貰った 文 岡部恭英〜


 変化を嫌う日本人 日本社会が変化する機会と為るか?

 コロナショックのお陰と言うと、多くの人々が苦しむ中不謹慎かも知れませんが、今後の課題や機会がクリアに為ったと思います。特に「諸行無常」(万物は変化し続けて留まる事は無い)と云う世の常とは真逆に、「安全・安定・安心」を好み変化を嫌う日本人や日本社会に取って、大きな変革・躍進のチャンスだと思います。

 政府が好い例かも知れませんが、残念ながら今回の騒動で浮き彫りに為った一つに「リーダーシップ不足」が有ると思います。歴史を紐解くと、伝染病が戦争や自然災害と並び、常に人類への脅威であったこと、そして人やモノの行き来が人類史上想像すら出来無かったレベルで実現されているグローバリゼーションが加速した今、コロナショックは一過性のものでは無いでしょう。
 新型コロナウイルスや新たな伝染病に適応しながら生きて行かなくてはいけ無い今後、政財界だけで無く、個々人のリーダーシップが欠かせ無い筈です。

 リーダーシップとは、3つの要素に分ける事が出来る

 では「リーダーシップ」とは何か?リーダーシップ論に関しては、沢山本も出ていますので、学術論はさて置き、リーダーシップの定義として、今回のコロナ騒動で明らかに為ったのは「決断」ではないでしょうか。首相を例に取ります。各国の惨状を見ながら、万能薬やワクチンも無い中、限られた情報を基に、国に取って最善の選択を「決断」する必要があります。
 正直「コロナがどう為るか?」ナンて、大臣や官僚は当然の事、疫学専門家ですら判りません。孤独な仕事です。そして、その正誤が定かでは無い「決断」を下した後は、国民と確りコミュニケーションを取って「伝え」実行に「導く」と、云う一連の流れか必要です。要するに 

 <Decide・決断  Communicate・伝える  Lead・導く> 

 がリーダーの仕事と云えます。では「優れたリーダーの条件」とは何でしょうか?この記事を執筆しながら思い出したのが、ケンブリッジ大学MBA・経営学修士号留学中に、著名な経営者から受けた授業です。「リーダーシップ論」的な授業で、「リーダーに欠かせ無いものは何か?」と彼に問われ「ビジョン」「戦略」「遂行能力」「コミュニケーション能力」等、級友達が一通り発言して行きました。「全て大切だと思う」との前置きの後、彼は一言だけ「フォロワー」と放ちました。リーダーには「フォロワーが欠かせ無い」と言ったのです。

 当時は只フムフムと聞いて居ましたが、コロナショック真っ只中の今、より強く心に響きます。前述の「リーダーシップとは何か?」で挙げた通り、リーダーは「決断」しなくてはいけません。しかし、どんなに良い「決断」をして、どんなに素晴らしいコミュニケーションを取って「伝え」ても、国や会社組織やチームで、皆が実行に至ら無ければ「導く」事には為って居ないのです。
 現在、首相のリーダーシップ欠如が巷を騒がせ批判されたりもして居ますが、元々、国民では無く与党が選んだ首相であり「フォロワー」が余り居ないリーダーとも云えるので、或る意味当然の結果とも云えます。

 何故日本人にはリーダーシップが不足しているのか?

 それでは「何故、日本人にリーダーシップが足り無い様に見えるのか」?ズバリ「教育」の所為かと・・・要するに「家庭教育」と「学校教育」です。
 先ず「家庭教育」を例に取ります。私は、大学卒業と同時に日本を離れ人生の半分を海外で過ごす和僑(※)なので、日本に帰る旅に、日本の親御さんと子供達の遣り取りを見てビックリします。「〇〇しなさい」「××しちゃダメ」のオンパレードです。勿論、周りの目を気にして生きる日本人からすると、親や先生の事を好く聞いて真面目でお行儀の善い子を育てるシツケなのでしょうが、そこに「Think on your own・自ら考える力」を育てる余地は有りません。

 ※和僑 インターナショナル・ジャパニーズ・・・岡部氏が提言する「海外に飛び出して国際舞台で活躍し、日本の将来に貢献出来る人材」を指す。

 学校も同様です。受験勉強が日本の学校教育の中心に位置する本末転倒な形に為って居るので「学校教育」も「正解が存在する与えられた課題」を「早く、正確に、解く」が中心と為って居ます。此処にも「自ら考える力」を育てる余地は余り有りません。「正解が存在する課題を与えられ」て、その正解に「早く、正確に、辿り着く」と云う「訓練」を受けて居るに過ぎないのですから。日本では当然のこの学校教育ですが、欧米に於いては可成り異なります。
 私の子供達が生まれ育ったスイスや、妻が育ったアメリカ等を見ても顕著ですが「自ら考える力」を伸ばす教育です。大ザッパに言うと

 <課題自体を自ら調べ考えて決定  課題のリサーチ方法(本、ウェブサイト・社会見学等)も自ら決定  課題を調べ考えて構築した議論のクラス内に於けるプレゼン方法(パワポ資料・ホワイトボード・ビデオ・道具使用等)も自ら決定>

 と云った感じで、唯一と押し付けられて教え込まれる正解等、ソコには在りません。

 Educationの日本語訳は「教育」で、文字通り「教えて育てる」と云う意味ですが、元々のラテン語語源を辿ると全く異なる意味なのです。Educeとは「潜在して居るものを、引き出す」と云う意味であり、まさに上記の欧米に於ける学校教育は、語源通り生徒一人ひとりの「潜在して居るものを、引き出す」遣り方なのです。
 前述した「リーダーの仕事の流れ」を再度見ると、欧米の学校教育の遣り方が、リーダー養成に適した遣り方である事が判ります。

 <自ら考える  Decide・決断  Communicate・伝える  Lead・導く>

 コロナに突き付けられた「正解の無い」時代 リーダーシップは誰もが身に付けるべき

 それでは、「Withコロナ」で混迷する社会の中、「どの様にリーダーシップを身に付けるか」? 「教育」を変えるしか無いと思います。「寺子屋時代」から殆ど変わって居ない「学校教育」を変えるには時間が掛かりますが「学校教育」と同等に、若しくはそれ以上に人間形成に大きな役割を果たす「家庭教育」は、親御さん次第で今直ぐにでも変えられる筈です。
 具体的に、どうすれば好いのか? 上記にも挙げた「〇〇しなさい」「××しちゃダメ」を辞めて「質問する」事だと思います。親御さんの信じる正解を押し付ける事無く「どうしたら好いと思う?」「どうしたい?」と聞いて「自ら考える」習慣を子供達に着けさせる。日本の「学校教育」と「家庭教育」に於いては、世の中には、常に唯一の正解(The answer)が存在するかの様に教育します。

 しかし、今回のコロナショックでも明らかですが、唯一無二の正解(The answer)ナンてものは、世に出ると余り存在し無いのです。大事なのは「The answer」では無くて「Your answer」をケースバイケースで「自ら考える」力です。
 筆者の母校ケンブリッジ大学は、オックスフォードと並ぶ世界の名門大学ですが、オックス・ブリッジ共に「少数精鋭チュートリアル」教授法が有名です。マンツーマン、若しくは他の生徒数人と教授に囲まれ、課題に付いて「質問」されて「自ら考える」と「伝える」を繰り返し、徹底的に議論を深める学習方法です。大学時代の数年間で、

  <自ら考える  Decide・決断  Communicate・伝える  級友や教授さえもLead・導く>

 と云う訓練を徹底的に積んだ卒業生が、似たり寄ったりの唯一無二の正解(The answer)を教え込まれた日本の受験勉強マシン大学卒業生より、リーダーシップを備えて居ても何の不思議もありません。
 Withコロナで大変革期の今こそ、日本社会、そして日本のスポーツ界も、国民一人ひとりがリーダーシップを発揮するべき時です! 前述しましたが、世の中には、特に今の様な大混乱期は、単純な唯一無二の正解(The answer)ナンてものは殆ど存在しません。大変革時代に対応出来無い、日本の同調同意社会に蔓延る「かくあるべき」や「こうで無くては為ら無い」等には囚われず「Your answer」を追い求めましょう。

 米国シリコンバレーで一時期はやった、

  <Fail fast・早く失敗しろ  Learn fast・早く失敗から学べ  Fix fast・早く直せ>
では無いですが、一連の
 <自ら考える  Decide・決断  Communicate・伝える  Lead・導く>

 に何度もトライして、リーダーシップ力を向上させ、この大変な時期を一緒に乗り越えましょう!


 文 岡部恭英(おかべ・やすひで) 1972年生まれ サッカー世界最高峰のUEFAチャンピオンズリーグに携わる初のアジア人 UEFA(欧州サッカー連盟)専属マーケティング代理店「TEAMマーケティング」のテレビ放映権・スポンサーシップ営業 アジア・パシフィック地域統括責任者 慶應義塾体育会ソッカー部出身 ケンブリッジ大学MBA取得 スイス在住 夢は「日本でワールドカップを再開催して日本代表が優勝!」


 【管理人のひとこと】

 目の前に困難な壁が立ちはだかると、人はどうしても愚痴を溢し不運な己の環境を呪わずには居られない。更には「誰かが悪い」「アイツの所為だ」と他人の所為にするのが私達凡人がし勝ちな事です。ご多分に漏れず管理人も同じ。
 しかし、最早他人の所為にしても始まら無く為った時には、腹に力を込めて何とか生き残る道を必死に為って探し始める様に為り、死ぬ以外の道を探すしか無いと悟るのです。確かに子供の頃から親には「しつけ」として注意され続けて来た嫌いは有りますが、それ程の強制力は使われ無かった思いも有り、親からは「好きな様にしろ」とサジを投げられたものです。

 果たして、江戸時代以前の教育と明治以降の教育が同じ軌道の上を走って居るのか・・・との疑問は残りますが、明治以降の国家が上からの視線で「アア・コウ」全てを指図したのは考え物だった筈。ソレこそ箸の上げ下ろしから指図する教育って「何物にも替え難い邪道」な面が強かった筈。明治以降の学校教育は、少しの資本投下で最大の効果を挙げるべく「徹底した合理主義で貫かれた効率一辺の詰め込み教育」だったと感じます。50人以上の生徒を一つの枠に嵌め、個人の個性を殺し「等しく同じレベル」へ持って行く・・・究極は、兵隊として優秀な共同訓練を受け入れられる人間を育てる事に在ったのでしょう。
 戦後も官僚組織は温存され、お上が支配した教育にそれ程期待する人間を求める方が無理の様です・・・















 






東京五輪は国民の怒りと 5000億円の延期費用で破綻寸前




 東京五輪は国民の怒りと 5000億円の延期費用で破綻寸前

             〜Wedge 新田日明 4/21(火) 12:15配信〜


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 憂鬱で苦しい日々が続く。新型コロナウイルスの蔓延によって世界の生活スタイルは大きく一変してしまった。日本も緊急事態宣言が発令され、その範囲は当初の7都府県から全国へ拡大。政府や行政による自粛要請が感染拡大に歯止めを掛ける事を期待したいのは山々だが、容易ならざる現状のようだ。
 有識者達からはウイルスとの戦いは長期戦と為る事が指摘されており、世界のスポーツ界も理想論ばかり唱えるのでは無く厳しい現実を受け入れ無ければ行けない時が近づきつつある。

 ここ最近、スッカリ大半の人達の間の記憶から消されつつある東京五輪・パラリンピックは、2021年夏に延期が決まっている。1年先送りにしただけで本当に開催出来るのか。
 英BBC放送は英エディンバラ大学で国際公衆衛生の権威として知られるデヴィ・スリダール教授の話として、新型コロナウイルスのワクチンが開発され無ければ来年夏の東京五輪開催は「余りに非現実的」で有る事を報じた。

 この報道を打ち消すかのごとく、ロイターは別の公衆衛生と感染拡大防止の専門家が来年の東京五輪開催に付いて「現実的では無いと言うのは時期尚早」と示す反論を掲載。未だ準備期間として15カ月有るから「実現出来無いと云うのは早過ぎる」と云う見解だが、個人的には楽観論にしか思え無い。
 未知のウイルスによるパンデミックに苛まれる世界の苦境と冷静に照らし合わせれば、開催迄残り1年半を切って居るリミットでは逆に足り無い筈だ。BBCの報道は的を射て居る。

 東京五輪への参加を目指すアスリート達の気持ちを考えれば、大会開催に異を唱える事は心苦しい処もある。筆者だって曲がり為りにもスポーツライターを職業として居る立場の人間だ。スポーツ界を応援して居るし、その活性化の為にも東京五輪は願わくは開催して欲しい。しかしながら、そこには何処かの国の首相の言葉ではないが「完全な形で」と云う条件が付く。
 新型コロナウイルスの世界的な感染拡大は「有事」だ。嫌「戦争」と評した方が好いのかも知れない。再び平穏な日々を取り戻す為、誰もが今迄当たり前だった生活を犠牲にし無ければ為ら無く為った。日本でも経済や産業に急ブレーキが掛かり教育機関もストップ。

 これ迄全ての基盤であり根幹だったフェイス・トゥ・フェイスでのコミュニケーションそのものが断たれてしまった。そう云う閉鎖的な世の中で人々は見え無いウイルスとの戦いを強いられ、今日も多くの大切な命が失われて居る。だからこそ兎に角今は感染拡大を止め、ウイルスの根絶に心血を注が無ければ行けない筈だ。アスリート達も例外では無く、この状況下において特別扱い等無い。
 もっと正直に言えば東京五輪の来夏開催は、その足枷に為って仕舞って居る。東京五輪の1年延期が決まった途端、東京を筆頭に全国の感染者数が跳ね上がった疑惑に付いて米CBSや独ZDF等海外の有力メディアから「五輪開催の為に数をコントロールして居たのではないか」とツッコミを入れられた事もあった。

 勿論真相は分から無い。ただ少なくとも、元々今夏開催予定だった東京五輪に余りにも前ノメリに為り過ぎて居た事が、日本のウイルス対策への初動と本格的な取り組みを鈍らせて居たと疑念を抱く人達は可成りの数で居るだろう。
 そう云う背景も在って、多くの国民から開催を望まれて居ないのは先ず確かだ。今、仮に全国調査でアンケートをとったら「再延期」処か「中止」を臨む声が圧倒的多数を占める事は容易に想像がつく。東京五輪の開催は今直ぐ中止し、新型コロナウイルスの撲滅に国家を挙げて集中すべき・・・これは国民の総意に近い願いであろうと考える。

 遂先日、東京五輪・パラリンピック大会組織委員会に属する人物と連絡を取る機会があった。大会組織委員会の面々も現在は緊急事態宣言の発令によって幹部クラスを除いてホボ大半がリモートワークと為って居り、事実上「活動休止に近い状態」と為って居ると云う。
 この文中でも列挙しながら述べて来たコロナ禍による世の流れと空気感に付いて率直にブツけてみると「それに付いては此方も認識して居る」と打ち明け、次の様に続けた。

 「世界がコロナショックに喘ぐ現状をみれば、1年半を切った来夏の開催は極めて厳しいと言わざるを得無いだろう。それを覆せる材料を我々も残念ながら何ひとつ見付ける事が出来て居ない。これが今の偽らざる気持ちだ」
 
 更に1年先延ばしにしたものの実際の処裏側では殆ど何も纏まって居ないズサンな内情に付いて、こうも暴露している。

 重く圧し掛かる追加費用の負担

 「開催迄にクリアすべき難問が余りにも山積みに為って居る。16日に幹部がIOC・世界オリンピック委員会側と行ったテレビ会議では相変わらず玉虫色のママで目新しい結論は何も出無かった。特に追加費用負担に関する問題は重く圧し掛かる。約3,000億円と云う分析も目にしたが、シビアに見積もってみれば5,000億円以上に膨れ上がるのではないか。
 IOCは数百億円しか負担し無い様な事を仄めかして居ると聞くし、そう為るとツケは此方側に来る。都も組織委員会も想定外のケースとして予備費を計上済みではあるが、それでも300億円弱。ケタが違い過ぎるし、到底賄い切れ無い。組織委員会の収入として大きなパーセンテージを占め、大会運営の面でも欠かせ無い原動力と為る国内スポンサーの協賛金も延滞時にどう為るのか。これに関しても実は未だ不透明で未だ手を付けられない状況に為って居る。 
 要はコロナショックで話し合いが進まず、クライアントもそれ処では無く為って居ると云う事。経済が立ち行か無く為って(スポンサーから)出し渋られる形に為る事は想像に難く無い。契約条項の内容にもよるが、最悪ならスポンサー契約の破棄と云う事も有るかも知れない。そんな事にでも為ったら目も当てられ無い事態に陥ってしまう」


 べら棒な額に上りそうな追加費用を工面出来無く為るとすれば、恐らくその負担は東京都民に重く圧し掛かる事に為る。コロナ禍で多くの人が明日を生き延びる事に無我夢中と為って居る中、仮にその様な押し付けを強行すれば猛反発を食らうだろう。政府及び都や大会組織委員会側は納得させるだけの十分な弁明等出来る訳があるまい。
 これだけ機能不全に陥って居るにも関わらず、そこ迄日本がオリンピックに拘る必要性は果たして何なのだろうか。逆に今こそ大きな決断に踏み切り、全てのベクトルをコロナとの戦いに向けるべきではないか。国民の理解を得られ無ければ、東京五輪の来夏開催は難しいと思う。


          新田日明 スポーツライター   以上









 「安倍首相は指導力が無い」

 国民の過半数が嘆く コロナ対策の大迷走


             〜プレジデントオンライン 4/22(水) 18:16配信〜

 危機管理上 最も拙い手である「戦力の逐次投入」

 「迷走」「朝令暮改」「後手後手」 あらゆるメディアでは、連日、安倍政権の新型コロナウイルス対応を酷評する見出しが躍って居る。未曽有の国難に直面する中での安倍晋三首相の判断が、極めて心許無(こころもとな)い。
 一連の対応を見ると1つの「法則」に行き当たる。最初は小出しにして、足ら無いと為って追加対策を出したり判断を変えたりするのだ。だから朝令暮改と為り後手後手と為る。「戦力の逐次投入」とも云えるこの戦術は、危機管理上最も拙い手で有る事は歴史が証明して居る。

 「もっと判断を早くして置けば良かった」と云う後悔の言葉

 「1週間遅れる事に為りましたから、モッと判断を早くして置けば良かった。責任は私にあります。改めて国民の皆さまにお詫びを申し上げたいと思います」
 
 4月17日午後6時過ぎ。首相官邸で行われた記者会見で、安倍氏は謝罪の言葉を口にした。自身が任命した閣僚が不祥事を起こして辞任する様な時に「任命責任」を認めて謝罪する様な事は過去にも在ったが、自身が判断を誤ったと認めるのは極めて珍しい。
 それもその筈である。政府・与党はコロナ問題で困窮した世帯に30万円を給付する案を盛り込んだ経済対策を決め、補正予算案を閣議決定もして居る。これを一旦白紙に戻し、組み替えて「全国民に一律10万円」の配布を決めたのだ。一旦編成して閣議決定した予算案を組み替えると云うのは前代未聞の事態。政府、特に財務省に取っては大失態だ。

 この失態は、国民に皺寄せが行く。最初から「一律10万円」を決めた場合と比べて、編成の遣り直しによって国民の手に渡るのが遅れてしまうのだ。その事が、プライドの高い安倍氏をして「もっと判断を早くして置けば良かった」と云う後悔の言葉を吐かせて居るのだ。

 政府よりも東京都が正しいと云う意見が圧倒的に多い

 それにしても新型コロナウイルスの対応を巡って安倍政権の迷走は凄まじい。緊急事態宣言を巡っては、東京都や医師会側から早く宣言を出す様に要望を受けながら逡巡。宣言は4月7日に出したが、各種世論調査では国民の過半数が「遅かった」と評価して居る。
 それだけでは無い。宣言を出した際、一部の施設や店舗に対し休業要請を即時に行おうとして居た東京都に対し、政府は2週間程度、外出自粛の効果を見極めてからにすべきだとストップを掛けた。しかし東京都だけで無く全国で感染者増の勢いは止まら無かった。

 安倍氏は、16日に緊急事態宣言の対象を全国に拡大した。「たら」「れば」は禁物だが、この件に関しては政府よりも東京都の主張が正しかったと云う意見が圧倒的に多い。結果として制度自体見送りに為った「30万円」の給付基準に付いても揺れた。
 創設される臨時交付金の使い道に付いては、政府は当初、休業要請に応じた事業者への協力金に充てる事は否定的立場だった。これも19日に為って容認に転じて居る。

 「空振り三振は許されるが、見逃し三振は許され無い」

 最早旧聞に属する話だが、コロナ対応の初期には2月25日に策定した政府の基本方針では全国一律のイベント要請を求め無かったのに、翌26日には全国的イベントの中止・延期を要請。更に翌日の27日には全国の小中高校等に休校要請を行って居る。まさにブレ捲くって居る。
 これだけの事態だけに、或る程度方針が揺れる事は責められ無いだろう。但し、安倍政権の対応は、1つの傾向が見い出せる。何れの場合も、最初の対策は控え目で、それでは不十分だと分かった時に追加策を発表すると云う事だ。

 危機管理対応の鉄則として「空振り三振は許されるが、見逃し三振は許され無い」と云うものがある。目の前の危機に付いて、最初に大規模な対策を執る必要が有ると云う事だ。結果として過剰な対応・空振りだったとしても、それは許されるが、不十分な対応・見逃しは致命傷に為り兼ね無い。

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 危機管理の基本は「最初に厳しく、次第に緩める」

 4月13日の衆院決算行政監視委員会で、人差し指サイン江田憲司氏・無所属は、危機管理の基本は最初に厳しい対策を打ち、次第に緩めて行く事だと訴えた上で「戦力の逐次投入は一番の失敗の原因だ」と安倍政権を批判した。
 「戦力の逐次投入」と云うと第2次世界大戦でのガダルカナル島の戦いを思い出す人も居るかも知れない。日本軍が連合軍の実相を把握せず、戦力を小出しにする事で甚大な犠牲者を出した戦いだ。江田氏の批判に首肯する人も少なく無い事だろう。

 朝日新聞社が18〜19日に行った電話世論調査では内閣支持率・不支持率共同じ41%だった。この調査は「一律10万円」が給付される事が決まってから行われたもの。安倍政権は「一律10万円」で支持の回復を狙って居た。実際「一律10万円」は「大いに評価する」「或る程度評価する」を合わせると77%で歓迎されて居るのだが、政権全体を浮揚する効果は極めて限定的だった。
 15日に公開した「とうとう国民に見放され始めた『アベノリスク』の迷走」で紹介した状況は、何ら解決されて居ないのだ。

 緊急事態宣言が7日に出されてから2週間が経過した。感染状況は、オーバーシュート・爆発的患者増ギリギリの処で踏み留まって居るが、その一方で「自粛疲れ」の傾向も見える。そんな中で国民が一体と為って感染をピークアウトさせて行く為には、安倍氏の国民に対する求心力の回復が不可欠だ。
 しかし同調査では「安倍首相は感染拡大の防止に向けて指導力を発揮して居ると思いますか」との問いに対し「発揮して居る」と答えた人は僅か33%・「発揮して居ない」が57%に及んで居るのだ。信頼回復への道は遠い。


           永田町コンフィデンシャル   以上
















「官僚の言いなり」な安倍首相を見捨てる 自公実力者たちの実名




  「官僚の言いなり」な安倍首相を見捨てる 自公実力者達の実名

             〜まぐまぐニュース! 4/21(火) 5:00配信〜


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                ジャーナリストの高野孟さん

 〜新型コロナウイルスを巡る諸々の対応が批判的に受け取られ、支持率が急落した安倍政権。過つては「安倍一強」とも言われた同政権は、何故ここまで追い詰められるに至ったのでしょうか。
 その最大の要因として、とある官僚による「菅官房長官排除」の動きを挙げるのは、ジャーナリストの高野孟さん。高野さんは自身のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』で今回、官僚や側近等に操られ迷走する安倍首相に対して苦言を呈すと共に、現政権が「何時迄持つのか」を占って居ます〜


 ダッチロール状態に突入した安倍政権 「6月首相退陣」と云う予測迄飛び出した!

 4月7日発表の108兆円緊急経済対策の目玉で在った筈の「大幅減収家庭への30万円給付」を、僅か9日後の16日に撤回し「1人一律10万円給付」に切り替えたのは、前代未聞の大珍事で、これはもう「動揺」とか「混乱」とか云うレベルを超えて、政権自体がキリキリ舞いのダッチロール状態に入りつつ有る事の証左である。
 世論はこの政権の体たらくに結構敏感で、4月10日過ぎに発表された一連の世論調査では、内閣支持率が急落し不支持率と逆転すると云う現象がハッキリと現れた。共同通信がそう為るのは可笑しく無いけれども、露骨に安倍首相寄りの読売や産経でもそう為って居る事に、安倍首相は神経を擦り減らして居る事だろう。

    支持  不支持

 産経 39.0  44.3
 読売 42   47
 共同 40.4  43.0

 産経の調査では、7日の緊急事態宣言について「遅すぎる」が何と82.9%・アベノマスクを「評価しない」が74.8%である。私に言わせれば、それでも尚4割前後の支持が有る事の方が寧ろ不思議だが、支持の理由の断トツトップは相変わらず「他に代わるべき人が居ない」で、この数字には自民党内の反主流派や野党のダラシナサへの批判や失望が半分蔵いは含まれて居ると見無ければ為ら無いだろう。詰り、安倍首相への積極的な支持は多分20%程度だと云う事である。

 安倍首相は何時辞めるのか?

 代わりが居るか居ないかに関わらず、安倍政権は自壊しつつ有り、問題はこの有様で一体何時迄持つのかと云う事である。

 《20年6月?》

 「サンデー毎日」4月26日号は「安倍6月退陣で『麻生首相』の悪夢」と題した記事を掲げ、二階俊博自民党幹事長が安倍首相に見切りを付け、コロナ対策が落ち着く事を前提に「6月には退陣して貰うしか無い」と周囲に話して居る様だと書いている。

 《20年9月?》

 6月とはいかにも早過ぎて、コロナ対策が落ち着いて居る可能性は大きく無い。それでも「9月か10月に為ればコロナ対策も落ち着いて退陣の道筋が就きそう」だと、同誌は指摘する。仮に安倍首相が体調不良やコロナで入院した場合、麻生太郎副首相兼財務相が首相臨時代理と鳴り、21年9月の党総裁任期迄務め総裁選を行う事に為る。臨時代理とは云え「麻生首相」と云うのは、国民に取っては勿論、自民党に取ってさえも悪夢でしか無い。
 しかし、実際に安倍首相は、体調不安説に加えて、アベノマスクや「うちで踊ろう」便乗ビデオ等、何を遣っても裏目に出て、不評処か嘲笑の対象と為ってしまう状態に可成り精神的に参って居て、近しい者には「もう辞めたい」と漏らして居る様なので、有り得ないシナリオでは無い。

 《21年4月?》

 更に、そこを何とか乗り越えて来年迄辿り着いたとしても、果たして来夏に本当に五輪を開く事が出来るのかと云う大難問が待ち構える。本誌が再三強調して来た様に、新型コロナウイルス禍は来年7月迄に収まって居れば好いというものでは無く、出来れば来年1月、幾ら遅くとも3月一杯迄に全世界的に・・・第2波・第3波のブリ返しが各国毎に起こり得無いとホボ確信出来る処迄、収まって居なければ、日本もIOCも各国の五輪委や選手団も、本格的な準備作業に入る事が出来無い。

 アビガンにせよ何にせよ、安心して使える治療薬が国際的に承認されて行き渡って居ると云う奇跡的な状況が生まれて居れば別だけれども、来春迄に皆が気を取り直し心を一つにして五輪成功に向かって走り出すと云う事には、ナカナカ為り難いのではないか。とすると「再延期」は有り得ないから「中止」で、その時点で安倍首相は引責辞任せざるを得無く為る。

 《21年9月?》

 五輪が無事に開かれれば、その終了後に安倍首相は総裁の任期を満了し後を総裁選に委ねる。岸田文雄政調会長と石破茂元幹事長の対決と為れば、安倍首相に近過ぎる岸田に勝ち目は無い。

 総選挙を打つタイミングも無い

 こうした流れを解散・総選挙で断ち切る事は出来無いかと安倍首相周辺が考えるのは当然で、トランプ米大統領が11月に再選を果たせば早速12月にも来日を求め「強固な日米同盟」を演出して年末ないし年初に解散と云う話も持ち上がって居る様だが戯言に等しい。
 第1に、今秋にはコロナ禍は国内的には一段落して居るかも知れないが、米国を初め世界はどう為って居るか分かったものでは無い。
 第2に、その中で、殆ど酔っ払いのオジサンの様に為って居るトランプが再選されるかどうかは、益々疑わしく為って居る。
 第3に、大物の国賓としては今春の来日を延期した習近平中国主席を年内にも招くのが先で、その前にトランプを挟むのは筋違いである。
 第4に、それ以前に、来秋はこの数カ月の自粛による経済破綻が一気に爆発して大変な事に為って居る公算大で、到底安倍首相の「政権立て直し」と云う自己都合の為の総選挙に国民は付き合ってはいられない。

 安倍首相の下でも、増してや麻生臨時代理の下では猶更、総選挙は有り得ず、来年9月に選ばれる自民党新総裁の下で、10月の任期満了迄の間に行われると見るのが順当である。

 てんでんバラバラの政権運営

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 「安倍一強」と言われて来た政権が何故これ程無様な事に為ってしまったのか。致命的な要因は、昨年9月の人事で首相秘書官の肩書で満足に仕切れ無かった人差し指サイン今井尚哉が首相補佐官をも兼任して官邸を取り仕切る権限を得、菅義偉官房長官を意思決定システムから排除しようとした事である。
 安倍政権がこれ程迄に長続きして来た最大の要因は、良かれ悪しかれ、菅の如何にも旧自民党の党人派的な人脈管理術に基づく根回し能力であり、菅が居ればこそ二階幹事長や公明党の山口那津男代表とのパイプも繋がっていた。又菅とその脇を離れ無い警察出身の杉田和博官房副長官とは全省庁に目配りをし、その政策と人事の動きを情報管理して居た。

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 それに対して、今井、その副官である佐伯耕三秘書官(アベノマスクや安倍自宅リラックス動画アップの発案者)西村康稔経済再生症・コロナ対策相等、何れも東大⇒経産エリート官僚の道を歩んで来たグループは、本当の所は、その場限りを切り抜けるだけの小賢しい浅知恵しか持ち合わせて居ないのに、それで安倍首相を操ればこの国を取り仕切れると勘違いして、菅と云う「盲腸」を切って捨て様としたのである。

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 安倍首相は「今井ちゃんに聞けば、何だって直ぐ答えが出て来るんだよ」と、その圧倒的な学力の差に感服し捲くって居て、それはその通りなのだろうが、その今井らの「学力」とは上述の様な「小賢しい浅知恵」以上のものでは無いので、その結果が政権の迷走状態と為って発現するのである。
 この様にして、菅を無視した事で二階にも山口にも話が行き渡らず、結果として安倍首相が大恥をかくことに為った。サテ、これから二階や山口は、どう云うタイミングで安倍首相を見限る事に為るのだろうか。


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   高野孟 image by  首相官邸 MAG2 NEWS     以上














108兆円の見せかけ 省庁の思惑 元官僚作家が斬る「コロナ対策迷走の元凶」




 108兆円の見せ掛け 省庁の思惑 

 元官僚作家が斬る「コロナ対策迷走の元凶」


          〜現代ビジネス 西村 健 作家 4/21(火) 11:01配信〜


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                 作家 西村 健氏 

 安倍晋三首相が4月16日、東京都など7都府県に発令していた「緊急事態宣言」の対象地域を全国に拡大すると発表した。同時に、困窮世帯に限り30万円を支給するとしていた経済対策を改め、現金10万円を全国民に一律給付するとの方針も打ち出された。

 前者は「何故7都府県に限るのか」との疑問が当初から上がって居り、愛知県や京都府等が「うちも対象地域に含めて呉れ」と要望して居た案件である。後者も「何故世帯毎に配るのか」との疑義が上がり「対象者の選別が分かり難い」「申請者にのみ配ると云うのでは、真に必要としている人に回ら無い恐れがある」と評判は散々だった。
 何れも世間からの批判に耐え切れず、方針返還を打ち出さざるを得なかった訳で「これなら最初から今のやり方にして置けば好かったではないか」との糾弾は免れ無い。こと程左様に安倍政権に於ける新型コロナウィルス対策は、後手後手と錯綜が繰り返されて居る。何故こうも対策が迷走ばかりしているのか。理解するには、国のホンネを押さえて置かなければ為ら無い。「兎に角為るだけ金を出したく無い」これである。

 「お願いベース」の理由

 元大阪府知事で弁護士の橋下徹氏が4月12日の生討論番組『日曜THEリアル! 』(フジテレビ系列)に出演し、新型コロナにも適用される事と為った新型インフルエンザ等対策特別措置法(以下「特措法」)を「天下の悪法」と扱き下ろした。「要請と云うお願いベースだから『休業しても金銭的な補償はしませんよ』と云うのがこの法律の根幹」だと云うのだ。
 小池百合子東京都知事等が今回の緊急事態宣言を受け、都民の「外出自粛」や各種商業施設の「営業自粛」を要請した様に、この特措法のキーワードは確かに「要請」に在る。これが「命令」であれば強制力は強い。出されれば従うしか無い。一方、営業停止を命令されたのだから「代わりに損失は補填して呉れ」とコチラも声を上げる権利が発生する訳だ。

 事実、欧米では多く外出禁止令が発されて居るが、例えばフランスでは代償として「企業に対する休業補償を強化する」など、強制と補償とはセットに為って居る。しかし「要請」であれば「お願い」に過ぎず、従ったからと言って補償する義務は発生しない道理だ。
 この点を衝いて橋下氏は「官僚の悪知恵を詰め込んだクソ法律」と斬り捨てた訳で、まさに仰る通りである。実際にはこの国に於いては、首長による「お願い」は限り無く「指示」「や「命令」に近く、地方公共団体毎に様々な救援策が打ち出されて居る。

 それでも、なのだ。それでもこれは飽く迄「お願いを聞いて呉れたお礼」に過ぎず、法で規定された補償では決して無い。その気に為れば「金は払えんよ」との最後っ屁を温存した法律であると云う事を忘れては為ら無いのである。この点にも垣間見えるであろう「兎に角国は金を払いたく無い」と云う大前提が。

 3月13日特措法改正 緊急事態宣言は4月7日

 思い出してみて欲しい。2012年に成立した特措法を改正し、新型コロナにも適用出来る様にしたのが今年の3月13日。「別に改正しなくても適用出来るのではないか」等の反対論を押し切り、拙速とも批判されつつ「改正法」は国会を通過した。
 そこ迄緊急性・必要性を認めて居たのなら成立した直後にでも、サッサと緊急事態宣言を出せば好かったではないか。なのに実際は「未だその状況では無い」とノラリクラリ逃げるばかり。痺れを切らした東京都が独自の「外出自粛要請」を出す等、周りから押される形で言わば渋々、宣言を行ったのが4月7日だった。

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 しかもその後、小池都知事人差し指サインが商業施設への「営業自粛」を呼び掛け様とすると国は「待った」を掛ける。西村康稔経済再生担当相は対象と為った7都府県知事とのテレビ会議で「外出自粛の効果を見極めてからにしよう」「休業要請を2週間程度見送る」様呼び掛けたと云う。
 「休業要請」と為れば業者の損失も大きい。国のこの反応は「補償を為るべく避けたいが為」と見なければ説明はつくまい。ここにも又「金を払いたく無い」ホンネが窺えるのだ。

 「そんなに待て無い」と反旗を翻した小池都知事と西村大臣は9日に会談。可成りの強硬策を考えて居た都知事に一部譲歩を認めさせた形で、お互いが擦り寄った。理髪店やホームセンターには営業を認める。居酒屋を含む飲食店には営業時間の短縮や、酒類の提供を早めに終える等の対応を求める事と為ったのは、衆知の通りである。
 この居酒屋への対応策にも、補償金を削りたいホンネが隠されて居る様に思えて為ら無い。ソモソモ開店時間は8時迄、酒の提供は7時迄などとされては居酒屋としては、真面な営業など出来はすまい。「閉めろ」と言って居る様なものではないか。都は要請を聞き入れて呉れた業者には独自の「協力金」を支払う、と言っているが、我が家の近所の居酒屋店主は「本当だろうか」と疑念を払拭出来ないで居る。

 「『閉めろ』と言われて閉めたら、ソリャ一目瞭然だからお金も払って貰えるでしょう。でも8時で店を閉めてお客への酒も7時で止めました、何てどう遣って証明するの。『ちゃんと遣りました』って分から無けりゃ、都だってお金は出せ無いでしょう。私はこの規制、居酒屋に補償金を出さ無い為の誤魔化しに思えて仕方がないんですけどねぇ」
 
 国が都に金をケチる入れ知恵をしたのではないか、と云う訳だ。

 「108兆円規模」のからくり
 
 此処で今更ながらだが、では何故国は金を払いたがら無いのか。そもそも論に付いて考察してみたい。既に広く知られている通り、我が国の財政は先進国の中でも突出して借金塗れである。2月10日に財務省の発表した、国債や借入金等の残高を合計した「国の借金」は2019年12月末時点で実に1,110兆7,807億円・・・単純計算で国民1人当たりの借金額は約896万円に上る異常事態である。
 この為財務省としては財政健全化が言わば至上命令。借金を減らす為には収入を増やすか歳出を減らすしか無い。消費税は昨年10月に8%から10%に引き上げられて居り、続けての増税はナカナカに難しい。為らば歳出を減らす、為るべく金は払わ無い・・・と云う対応に為るのも自然な流れではあろう。

 少し話はズレるが今般の緊急事態宣言に伴って「108兆円規模」と云う緊急経済対策が打ち出された。3月27日に成立した2020年度国家予算は一般会計で102兆6,580億円だから、予算1年分をも上回る大盤振る舞いと映る。だがこれも数字の誤魔化しに過ぎ無い。
 飽く迄事業規模が「108兆円」レベルだと云うだけで、実際の政府による財政支出は39兆円。この内「新型コロナウィルス 感染症緊急経済対策関係経費」として計上された額は16兆円に過ぎ無い。今般の10万円給付への方針転換に伴いこの額は変更される。「108兆」と云う数字にばかり注目を集めさせ「チャンと遣って居るよ」と見せ掛けたい財務省の思惑が此処にも透けて見える。

 必要なのは「真のリーダーシップ」
 
 立場が違うから反対意見が出るのは自然なことだ。そうして議論を尽くし、最適な政策に導いて行く。民主主義とは本来そう有るべきものだろう。だが現状は非常事態である。悠長に最適解を探っている余裕など無い。多少、乱暴ではあっても強力なリーダーシップで「エイヤッ」と政策を打ち出し、実行に移すべきだろう。途中で間違って居たと分かればその場で方向転換すれば好いのである。処がこの国では今でも、平時通りの遣り方を続けようとして居る。

 「10万円一律配布」へと組み替えが必要と為った補正予算も然り、だ。経済対策を実行するには裏付けとなる補正予算案が国会で成立し無ければ為ら無い。その審議に必要な予算書を作成するだけで大変なのだ。金額は1,000円単位で記載され、間違いが無いか財務省職員が数字を一つ一つ確認し無ければ為ら無い。それだけで通常2〜3週間は掛かる。
 更にこれを衆議院規則で「印刷して各議員に配布」することが求められて居る。衆参の国会議員は総勢、約700人。印刷するだけで2、3日は要す。こうして我々の手元にお金が届く迄、貴重な時間が費やされて行くのだ。「こんな事態なんだから今回はペーパーレスで好いじゃないか」と云う話にはナカナカ為って呉れ無い。

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 4月17日、麻生太郎財務相人差し指サインは「一律給付」の筈の10万円を「手を挙げた方」に払うと言い出した。迷走は止まら無い。緊急事態宣言を適用する対象とすべきは、先ず政府そのものなのかも知れない。

 各省庁の「思惑」

 只此処でつけ加えて置くと、一口に財務省と言っても一枚岩では決して無い。省内には有名な主計局だけで無く主税局・理財局等複数の局が存在し、夫々思惑が微妙に異なる。主計局は予算を編成する所で、今回の補正予算に付いても中心を担う。主税局は税制の企画立案をする所で、消費税増税でも辣腕を振るった。
 問題は理財局である。国有財産の管理や国債の発行等を主管する所で、森友問題の国有地払い下げに於いては疑惑の焦点と為った局だ。国債の発行も自らの責務だから、余りに乱発して収集がつか無く為る事は避けたい。只一方、税収が十分で国債が必要無く為ったらそれはそれで困る立場なのだ。財務省の友人が私に語って呉れた事がある。

 「省を挙げて財政健全化なんて言ってるけど、理財局の内心は一寸違います。国債が要ら無く為ったら自分の存在意義にも関わりますからね。或る程度、予算が国債に頼って貰わ無ければ困る、と云うのがアソコの偽らざるホンネですよ」
 
 自らの存在価値が危うく為る事態は避けたい、と云うのは役人の本性である。或る程度、借金が残って居た方が好いと云う立場も有るのか、と納得したのを好く覚えている。
 この様に局毎の思惑は有るものの基本的には、財務省は出来るだけ金は出したく無い。ソコに「経済の停滞は何としてでも避けたい」経済産業省と「アラユル手段を講じてウィルスを封じ込めたい」厚生労働省の思惑とが鬩ぎ合う。更に国民の人気取りに汲々とし、批判は避けたい政治家の思いが交錯し、パワーゲームの中で政策が決まって行く。

 何を遣りたいのか好く分から無い対策が次々と打ち出され、紆余曲折して居る現状の根源は、この政策決定過程に有るのだ。後手後手に回るのも、迷走ばかりして居るのも当たり前である。


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 作家 西村健 東京大学工学部土木工学科卒 旧労働省(現厚生労働省)勤務を4年で辞め講談社Views誌の記者に フリーライターを経て『ビンゴ』(講談社ノベルス1996年刊)でデビュー 代表作 デビュー作『ビンゴ』で第15回日本冒険小説協会優秀賞 『劫火』(講談社ノベルス)で第24回日本冒険小説協会大賞受賞 2012年『地の底のヤマ』にて第33回吉川英治文学新人賞を受賞 2014年『ヤマの疾風』にて第16回大藪春彦賞を受賞 他に小説に『脱出』(講談社文庫)『あぶく銭』(角川書店)等 ノンフィクションに『霞が関残酷物語』(中公新書ラクレ)など
 趣味・特技等 趣味は飲酒、読書、映画鑑賞、鈍行列車乗り歩き 特技は何時でも何処でも一人でも呑んで居られる事、位でしょうか・・・


                     以上












安倍政権のコロナ経済対策は「大失敗」に終わる 米最新論文で判明!




  安倍政権のコロナ経済対策は

 「大失敗」に終わる 米最新論文で判明!



              〜現代ビジネス 4/21(火) 7:31配信〜


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               法政大学の小黒一正教授

 コロナ衝撃試算 1020万世帯分の「年収」が消える・・・

 ここに来てコロナショックの経済危機の深刻度が、具体的な数字で示される様に為って来た。この程法政大学の小黒一正教授が試算した処、現在の状態が半年も続けば、日本の産業全体で何と43.2兆円の売り上げが「蒸発」してしまうと云う。
 3ヵ月で21.6兆円・一月に7.2兆円の売り上げが失われる計算で、イヨイヨ深刻な経済危機が目前に迫って来た。小黒氏が言う。

 「これは飽く迄簡易的な試算ですが、半年に消滅する売り上げ43.2兆円は、1020万世帯分の年収が丸毎消える事に匹敵します。日本経済は、空前のダメージを受ける事に為り兼ねません」

 政府ヒアリングで出た「悲鳴の数々」

 日本政府は4月7日に「緊急経済対策」を発表したが、それに先立ち、安倍晋三首相をはじめとした重要閣僚が出席し、コロナ禍における「実体経済への影響に関する集中ヒアリング」が実施された。そこに招かれた各業界の代表者たちからは数々の悲鳴が飛び出した。
 日本旅行業協会の坂巻伸昭副会長は「3月は前年比3274億円の減収、4月は2931億円の減収が見込まれる」とそのリアルな窮状を訴えたのだから衝撃的だ。航空・エアライン業界からも悲惨な実態が明らかにされた。

 定期航空協会の平子裕志会長・全日本空輸社長によれば「当面、4ヵ月で約4000億円以上、年間では1兆円規模の減収」国際線・国内線共に、旅行客数が大幅に減少し、旅客数が1ケタの便も散見されるなど「危機的な状況」(平子氏)であると云う。
 百貨店は、リーマンショックの起きた翌年の2009年でも前年比10%減・東日本大震災で消費自粛が広がった11年3月でも14.7%減だったが、3月は「史上最大規模の売り上げ減少」を予測、マイナス幅は40%に及んだ可能性があると云う。
 大阪・なんばの食いだおれで有名な「黒門市場」では、外国人観光客の姿が消え失せてどの店も閑古鳥。1日3万人も居た来訪者は、今では何と1〜2割程度だと云う。4月7日には緊急事態宣言が出され「人との接触8割減」が求められた。事態は益々深刻さを増している。

 コロナショックの「長期化」は必至

 この惨状はどの程度、続くのだろうか。WHOはワクチンの開発について「最短で18ヵ月」との見解を示している。また筆者の取材にWHO事務局長上級顧問の渋谷健司氏ほか感染対策の専門家は、何れもコロナ禍の抜本的な終息の見通しを数年単位のスパンで考えていた。
 もちろん現在の外出規制・自粛要請などは医療崩壊を防ぐ為の措置で、自粛要請が何年も続くと云うことでは無いだろうが、小黒教授の試算が物語る様に、例え数ヵ月単位でも経済に深刻な打撃を与えることになりかねない。

 政府の集中ヒアリングでもエコノミストから感染対策の長期化の懸念が示されていた。日本総合研究所の山田久氏副理事長は「各国で人の移動を強く制限する措置が採られており、向こう数カ月で主要国での感染者数の拡大に歯止めが掛かることを期待」する一方で「最も、既に感染封じ込めは困難なことから、明確な終息宣言が行われず、対応が長期化する事を想定する必要がある」と指摘して居る。

 ハケン切りの再発も

 この長期化に耐えられる企業はどのくらい在るのだろうか。NHK「クローズアップ現代+」に出演したマネックス証券のチーフアナリストの大槻奈那氏は、中小・零細企業の資金繰りについて厳しい見通しを示している。大槻氏の調べでは、資本金1,000万円未満の企業では、全産業でも通常時に必要な支出の2.4ヵ月分の現預金しか残されていないのが現状だ。
 製造業では2.5ヵ月・飲食・サービス業で2.1ヵ月・小売業で1.5か月・宿泊業に至っては1.1ヵ月と云うから、事態は緊急を要して居る。

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 「中小企業は全国に380万社・従業員は3000万人。雇用維持の為には早急な手当てが必要だ」と大槻氏は言う。実際にリーマンショック時には1年で95万人も就業者数が減少し、完全失業率は5.5%に達した。有効求人倍率がリーマン前の水準まで戻るのに5〜6年掛かっている。
 特に大手も含めてコロナショックの直撃を受けている小売やサービス業では、派遣社員やアルバイトの比率が高く、あの「ハケン切り」の悪夢の再来に悩まされている人、或いは既に現実と為っている人も少なくないだろう。
 その災禍は学生たちにも容赦なく降りかかる。リーマンショック以降、大学生の仕送り額は年々減少しており、多くの学生はアルバイトして生活費を賄っている。今の外出自粛要請が深刻な影響をもたらす可能性もあるわけだ。エコノミストの田代秀敏氏が言う。

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 「中小・零細企業の倒産が相次げば、学生のアルバイト先も無くなり、大学を退学したり進学を諦める人も出始めるかもしれません。そう為れば、例えコロナの流行が沈静化しても、サービス産業やコンビニなどでは、優秀な労働力を大量に失うことになり、深刻な人手不足に陥りかねない。
 現在、政府は金融機関に積極的な貸し出しを要請していますが、こうした貸し付けが例え不良債権化したとしても、国が何らかの手立てを講じることを事前に金融機関に示唆すべきです。リーマンショックの際に起こった様な貸し渋り・貸しはがしを防止し無ければなりません」


 見せかけの経済対策

 政府は今感染爆発を抑える為に「外出自粛」の呼びかけに余念が無い。医療崩壊を防ぐために、その方針は勿論支持されなければならないが、この自粛状態はまた経済に大きなダメージを与えるもろ刃の剣だ。日本経済が壊滅しては、失業者が溢れることにもなれば、困窮した国民からも死者が出かねない。
 安倍政権はまさに難しいかじ取りに直面しているわけだが、どうも安倍首相はその深刻さをいまひとつ理解して居ない様に映る。当初、示されていた108兆円に上る緊急経済対策は日本のGDP比20%と云う大規模なものだが、多くは元々決まっていた予算から寄せ集めたもので「真水」と呼ばれる新規の財政拠出額は10兆円〜20兆円に留まると見られている。

 方々から「全く物足り無い」「見せ掛けだ」と批判が噴出するのも無理はない。この批判に慌てて4月17日になってから「国民一人当たり一律10万円の給付」を打ち出したとは云え、公明党の山口那津男代表から「連立離脱」も辞さぬ構えで迫られた結果だったと云うから、何とも心もとない。
 オマケにSNSに投稿したミュージシャンとの歌に合わせて、自宅で寛ぐ首相の姿が頗る不評で、明日をも知れ無い生活を強いられる国民の怒りに火を点けた。感染を防ごうと云う意図は分から無いでもないが、ドイツのメルケル首相が「第二次世界大戦以来」と極めて高い危機意識を示した演説で「危機の宰相」と支持を高めているのとは余りにも対照的だ。

 FRBとMITの衝撃レポート

 感染対策においても東京都をはじめ、自治体と足並みの揃わない政府の姿勢に対して、専門家からは批判の声が上がっているが、ここに来て政府の感染症対策や緊急経済対策の是非に関わるレポートがアメリカで示され注目を集めている。
 それは米連邦準備理事会・FRBとマサチューセッツ工科大学・MITの3人の研究者が、3月26日に発表した論文だ。タイトルは「Pandemics Depress the Economy, Public Health Interventions Do Not」いわば「不況を招くのは感染対策ではなく、パンデミックだ」と云う意味だが、この論文は新型コロナによる経済危機に執るべき対策を検証するために、1918年の「スペイン風邪」にその根拠を求めて居る。

 論文の結論は驚くべきもので、スペイン風邪に対応した都市を比較した処、当局が早期に、又強力に市民生活に介入した都市では、結果として経済は悪化せず、又パンデミックが終了した後にも力強く経済が拡大したと云う。
 詰まり検査の拡大や強化、又強力な外出規制やロックダウンは、新型コロナによる死亡者を減らすだけでなく、経済的にも有効な措置の可能性があると云うのだ。緊急事態宣言を出したとは云え、チグハグな安倍政権の感染対策を考えれば、この論文が主張する「正解」とは大きな隔たりがあることがわかるだろう。

 経済学者からの提言

 前出・小黒教授が言う。

 「この論文が示しているのは、早期かつ長期の厳格な感染対策を行ったほうが、その後の経済パフォーマンスも高かったと云うことです。先ず感染対策の基本は徹底した『検査』と『隔離』で、外出制限の強化のほか、飲食店なども一時的に閉鎖するような徹底的な対策が必要になる。
 その為には、経済対策として、テナントの賃料や金利支払い等を一時的に凍結して貰うなどの措置が必要に為るでしょう。その際に発生した損失の一部は、政府系金融機関などを通じて政府保証を行う議論も出てくるはず。
 又、検査で陰性だった人々が経済活動を自由に出来る枠組みをどう構築するかを早急に検討する必要がありますが、その準備が整うまでの間は、収入がストップする家計に対して、更なる生活保障が必要と為るでしょう」

 
 小黒氏は財政規律を重んじる論客として著名な人物。赤字国債には否定的な立場だが、そんな小黒氏がいま「赤字国債」の発行を主張しているのも注目だ。

 「今回、政府は国民一人当たり一律10万円の給付をすることにしました。そのための予算は約12兆円です。さらに感染対策を厳格化し、経済をフリーズさせるとしたら、さらなる予算が必要となり、概算だが今後数か月で50兆円規模の追加予算も覚悟する必要がある。
 当然ながら、財政にも限界があるため、追加予算を投じる前提として現在の問題を終息させる出口戦略も不可欠です。そして今回のコロナウイルスの問題が終息して経済活動が正常化してから、国債発行で賄った財源を10年〜20年と云う長期間、且つ追加の薄い課税で償還すれば好い。その際、所得の高低などに応じて追加課税を行えば、所得再分配の効果も期待出来ます。危機の今こそ、機動的に赤字国債を利用する意味がある」

 事態は風雲急を告げている。もっと大胆な感染対策と経済対策が、一刻も早く求められている。

   
           藤岡 雅 週刊現代記者       以上
















2020年04月20日

新型コロナによる「五輪延期」の裏側で囁かれる「安倍首相退陣論」


 

 新型コロナによる「五輪延期」

 の裏側で囁かれる「安倍首相退陣論」



  〜【週刊エコノミストOnline】4/20(月) 11:03配信 伊藤智永 毎日新聞編集委員・論説委員〜


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             伊藤智永 毎日新聞編集委員・論説委員

 五輪が安倍政権の命取りに為りつつある

 東京オリンピック・パラリンピックは本当に開けるのか。新型コロナウイルスの感染拡大で世界保健機関・WHOが3月11日、11年振りのパンデミック・世界的大流行を宣言し、7月の五輪開催に黄信号が点滅している。

 「2年延期が現実的」

 「開催は不可能かも知れない。無観客は考えられ無い。1年延期した方が好いかも知れない」3月12日、トランプ米大統領の発言で、延期論は現実的な選択肢に為った。翌日、トランプ氏と電話会談した安倍晋三首相は尚開催方針を強調したが、国際オリンピック委員会・IOCのバッハ会長も「WHOの助言に従う」と延期を仄めかす。
 先導したのはビジネスの論理だ。「ウイルスは世界中に蔓延(まんえん)して居る。強行開催しても選手が来られ無ければ、五輪は成立しない。2年の延期が現実的だ」
 
 3月10日付の米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』(電子版)に、大会組織委員会の高橋治之理事(75)の爆弾発言が流れた。高橋氏は大手広告代理店・電通の元専務。スポーツ・ジャーナリズムで「ブラッター(国際サッカー連盟前会長)に最も近い日本人」の異名を奉られるスポーツ・ビジネス界の大立者である。森喜朗会長等は火消しに追われた。
 処が、当の高橋氏はその後もメディアに「個人的見解」を繰り返した。「5月下旬に対応を決めるとの声が有るが、そんな悠長な事は言ってられ無い。決断を延ばせば多方面に迷惑が掛かる」として、3月下旬の理事会での提言を表明。

 無観客開催は「入場料収入は重要な収入源。入ら無ければ大変な赤字に為る」と却下。開催延期に付いては「年内は欧米のプロスポーツ・シーズンと重なる。来年のスポーツ日程は既に固まって居る。2年延期なら出来る」万事ソロバンずくで説得力がある。世論を地ならしする為の意図的発信と聞くべきだろう。

 先鞭(せんべん)を付けたのは、IOC最古参のディック・パウンド委員(78)だった。2月下旬から欧米有力メディアに精力的に登場。開催是非の判断期限を「延ばせても5月下旬」と言い出したのは同氏だ。
 ロンドン等他都市での代替開催や分散開催は準備期間が足りず、数カ月延期の年内開催も欧米スポーツ界との関係で難しいと否定。来年に延期が出来無ければ、中止も有り得るとの見通しを語った。IOC理事会は3月初めに緊急声明で全面否定。バッハ会長も臨時記者会見で「東京五輪成功に自信を持って居る」と断言したが、メディアは会長よりパウンド氏の発言を大きく報じた。何故か。

 パウンド氏は元カナダ代表の五輪入賞選手(水泳自由形)1978年にIOC委員に為って以来、オリンピックの商業主義化を進めたサマランチ元会長の下でマーケティング委員長を務め、米テレビ局との巨額スポンサー契約を取り仕切って来た顔役だ。IOC副会長に2度就任。会長選に立候補して敗れはしたものの、世界反ドーピング機関・WADA初代委員長も務めた。
 IOC委員の汚職もあってバッハ会長は商業主義路線の改革を進めるが、米テレビ局の影響力は尚絶大だ。東京五輪が猛暑期に縛られ、マラソン開催地が東京から札幌に変更されたのも、スポンサー問題抜きには有り得無い。パウンド氏が重視されるのは、米テレビ局の意向を反映して居ると見られて居るからだ。
 感染症は政治のコントロールが利かず、日程が立てられ無い。ビジネスが政治に引導を渡すしか無い。スポーツ国際政治の修羅場を潜って来た2人には、その嗅覚が備わって居たに違いない。

 安倍晋三首相は最側近の北村滋国家安全保障局長を始め、内閣官房と警察に万全の五輪テロ対策の布陣を敷いたが、ウイルスと云う古くて新しい「敵」に襲われ、自慢の危機管理体制は機能不全に陥った。唐突な全国一斉休校等社会・経済活動の停滞で世論の矢面に立つ与党内には、これ迄と異質な政権への不満が募って居る。

 「中止なら政治責任」

  「万一、五輪中止と云う事に為れば、政治責任と云う事が持ち上がる」2月末、自民党の鈴木俊一総務会長が講演で、安倍退陣の可能性に言及した。安倍内閣で五輪担当相を2度務め、鈴木善幸元首相の長男で麻生派副会長でもある。普段は地味だが、それだけにその発言は重みがある。
 小池百合子都知事の私的なブレーンは密かに「五輪中止・延期」のシミュレーション作りを始めて居る。7月に改選を迎える政治家のリスク管理として当然だが、それだけでは無い。関係者が明かす。

 「主催者が中止を言い出したら損害保険が下り無いかも知れない。日本は言い出せ無いので、IOCかWHOに勧告して貰うしか無いが、その段取りが難しい」

 勿論政府が急いで改正した新型インフルエンザ等対策特別措置法で緊急事態を宣言する事態に為れば即、五輪断念だ。「1年延期なら来年9月の自民党総裁任期と重なって花道に為る」との見方がある。だが、それを「花道」とは言わ無い。政治的には「死に体」だからだ。中止は勿論延期決定も、事実上の「退陣表明」を意味する事に為る。


           伊藤智永・毎日新聞編集委員     以上 










 安倍政権と云う泥船 から逃げ出す国賊達
 
 新型コロナウイルスは 総理大臣に忖度しない


            〜BEST TIMES 適菜収 4/20(月) 20:00配信〜


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 安倍政権のコロナ対策を批判し、真っ先に泥船から逃げ出したのは、安倍ヨイショライターの人差し指サイン百田尚樹先生だった。(写真 アフロ)

 〜新型コロナウイルスは総理大臣に忖度しない。そして現在の日本が三流国家に為って氏まったと云う事実を誰の目にも明らかにしてしまった。政府の対応は後手後手で、海外メディアからも叩かれる始末。支持率も急降下中。周辺の熱烈な応援団も泥船から逃げ出した。
 そこから見えて来たのは「今だけ」「カネだけ」「自分だけ」と云った思考停止した連中の利権構造だった。安倍政権の危険性を当初の段階から鋭く指摘して来た作家適菜収氏が新刊『国賊論〜安倍晋三と仲間たち』で、その背景を全て暴く️〜


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 騙された国民だけが悪いのでは無い メディアが腐り果てて居るのだ

 国内で新型コロナウイルスの感染1例目が判明してから約3カ月。安倍政権が打ち出したのは「全世帯に布マスク2枚配布」だった。各家庭に布マスクを送る為に、どれだけの人の手間が掛かるのか。駆り出される配達員の事も考えて居ない。天下の愚策である。
 こうした中、安倍礼賛を続けて来た自称「保守」達が泥船から逃げ出し始めた。百田尚樹は、布マスク2枚配布に「何やねん、ソレ」「アホの集まりか」とツイートして居たが、その「アホの集まり」をヨイショし売国・壊国に加担にして来た自分のアホさ加減を先に恥じた方が好い。

「泥船逃げ出し系」の連中の言い訳は「これ迄の安倍の判断は間違って居ないが、コロナ対策で間違った」と云うものが多い。しかし、真面な判断をして来た人間が、行き成り大きく間違う訳が無い。この7年間、外交・国政・・・一貫して全て判断を間違えて来たのである。その結果が今の惨状だ。
 それでも安倍を支持する人々が居る。現実が見えて居ないのだ。しかしこれは彼等の責任とばかりは言得ない。国民を騙すメディアが腐って居るのだ。

 『プロパガンダ 広告・政治宣伝のからくりを見抜く』A・プラトカニス/E・アロンソン著・・・と云う本がある。刊行された1998年の段階で《アメリカ政府は、自国に有利なプロパガンダを作り出す為に8,000人以上の人間を雇って居るが、その費用は年間400億円に達する。その結果、1年間に90本の映画が製作され、22カ国語で12種類の雑誌が発行されて居る。ボイス・オブ・アメリカは、37カ国語で800時間に渉り番組を放送し、推定7,500万人がこれを聴いている。これ等が、全てアメリカの遣り方の正当性を主張する為に使われて居るのである》

 何処の国でも事情は同じだ。日本も広告会社によるマーケティングとプロパガンダで政治が動いて居る。その背景にはニヒリズムがある。議論に依って相手を説得し、合意形成を目指すよりも、社会に一定の割合で存在するバカの動向をマーケティングで探り、プロパガンダに依り「ふわっとした民意」を掬い上げた方が手っ取り早い・・・と考える連中が政権中枢に潜り込んだ。
 これを露骨に遣ったのが小泉政権に於けるB層・・・構造改革に肯定的なバカ戦略だった。騙すバカと騙されるバカの自転車操業。こうした平成の30年間に渉る政治の劣化と制度破壊の成れの果てが安倍政権だったのだと思う。

 自発的に隷属への道を選択させる情報操作の手法

 プロパガンダの技術を政治に応用するのはケシカラン等と、生徒会の優等生みたいな事を言いたい訳では無い。その語源はラテン語のpropagare・繁殖させる・種を撒くであり、特定の思想を拡散させる技術と考えれば、それは政治そのものである。しかし、技術が人間を破壊する事もある。

 《プロパガンダは、特定の観点を受け手に伝達する事であり、その最終的な目標は、受け手がその立場が恰も自分自身のものであるかの様に「自発的に」受け入れる様にする事に有る》(前掲書)

 強大な権力が情報を押し付けても無駄である。心理学の知見を駆使し自発的に隷属への道を選択する様に情報を操作する。その為にはテンプレートが予め用意される。例えば「既得権益を握って居る悪い人間が居るから駄目なんだ」と云った具合だ。
 守旧派・抵抗勢力・伏魔殿・・・何処かに悪を設定し、それを「改革」する姿勢を見せる事に依り、大衆のルサンチマンを吸収し拡大する。その背後では常に危機が演出される。人間の脳は認知した情報を全て処理するのでは無い。

 《人間の情報処理の能力には限りが有るので、複雑な問題を単純化する周辺ルートを採用する事が多い。何か良い理由が有るからでは無く、単純な説得の小道具に釣られて、好く考えずに結論や主張を受け入れてしまうのである》(前掲書)

 人間は理解出来無い事や自分の世界観に合致しない事実を提示されると、自分を守る為に事実の方を歪めて行く。社会心理学者のレオン・フェスティンガーは「認知的不協和」と云う言葉を作った。一貫しない二つの認知が有ると人間は不快に為る。特に自尊心が脅威にさらされると、歪曲・否認・自己説得が行われる。我々はその事例を日々目の当たりにして来た。
 「保守」「ナショナリスト」がナショナリズムを解体するグローバリストの安倍を礼賛する一方、頭の悪い一部の左翼は「戦後レジーム」を確定させた安倍を「戦前回帰の復古主義者」と誤認する。自分の世界観に合わせて、都合好く現実を解釈する訳だ。

 《アメリカの大統領は、状況を分析し合理的に行動する為に必要な情報を市民に提供する事を拒否して来た。本当の意味で不幸なのは、多くのアメリカ人がシニカルな態度を抱き、自分達が欺き導かれる事を当然の事として受け入れる様に為ってしまった事だろう》(前掲書)
 
 日本で発生した現象も同じだ。多くの日本人が政治に対してシニカルな態度を取る様に為った時、心理学から動物行動学迄アラユル知見が悪用され人間を傷つけ始めた。私は「国賊」と云う言葉は安易に使うべきでは無いと思う。これは、都合の悪い人間にレッテルを貼る為に使われて来た。
 例えば戦時中に戦争に反対すると「国賊」「売国奴」「非国民」と罵倒された。しかし、戦争に反対する事が国家に仇するとは限ら無い。それ処か、無謀な戦争は国を壊す。言葉は厳密に定義し、且つ正確に使わ無ければ為ら無い。
 私は安倍を罵倒する為に「国賊」と言って居るのでは無い。事実として、国を乱し、世に害を与えて来た者に付いて考えて行く上で、正確な言葉を選んだだけである。


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 文 適菜 収 作家 哲学者 1975年山梨県生まれ 早稲田大学卒 大衆社会論から政治論まで幅広く執筆活動を展開 訳書に『キリスト教は邪教です! 現代語訳「アンチクリスト」』著書に『ゲーテの警告』『ニーチェの警鐘』『日本をダメにしたB層の研究』『日本を救うC層の研究』『バカを治す』『なぜ世界は不幸になったのか』『愚民文明の暴走』(呉智英との共著)など多数

                    以上










 新型コロナ経済対策 自民党内で崩れ始めた安倍一強

            〜ニッポン放送 4/20(月) 17:45配信〜

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 〜ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(4月20日放送)にジャーナリストの人差し指サイン須田慎一郎が出演。政府がこれ迄難色を示して居た地方創生臨時交付金の協力金への財源活用を認めた事に付いて解説した〜

 協力金の財源に 地方創生臨時交付金活用を政府が認める

 新型コロナウイルスの感染が拡大する中、都道府県等が休業要請に応じた飲食店等に協力金を支給する動きが相次いで居り、政府にその財政措置を求める声が出て居る。協力金に付いて西村経済再生担当大臣は、新たな「地方創生臨時交付金」を協力金の財源として活用する事を認める考えを19日に明らかにした。

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               ニッポン放送 飯田浩司氏

 飯田)元々地方創生臨時交付金を協力金に充てることは、政府側が難色を示して居た処もありましたが、折れた形に為りますか?

 須田)可成り折れましたね。緊急経済対策の中で交付金に付いては、この様な使い方は認められ無いと枠組みが決まって居ましたから180度の転換です。背景としては、東京都がいち早く独自の財政力で、1店舗50万円・複数店舗を持って居る処は100万円と云う協力金を決めました。
 しかし、近隣の県は財源が無くて追随する事が出来無かった。勿論近畿に於いても、大阪府が遣りたくても出来無いと云う処で、東京都以外の自治体から強い突き上げが来たのだと思います。それに応じざるを得なかった、と云うのが実態でしょう。

 東京都以外の自治体からの突き上げに 応じざるを得なかった

  飯田)休業して貰うと経済に打撃が有る為、緊急事態宣言に付いても政府側は、どちらかと云うと及び腰だった部分があります。最近は色々な声に依って、一律10万円の給付も含め、方針が変わって来て居る感じがしますね。

 須田)これ迄は大きな枠組みで言うと、自民党内に於いても国会の権力構造に於いても、安倍一強と云う体制で進んで来ました。此処でトウトウ、その安部一強体制に風穴が空いたのかなと見て居ます。
 緊急事態宣言にしても緊急経済対策にしても、完全に官邸主導で進んで来ました。官邸と言っても、安倍さんと周辺のスタッフだけで決めて来た。安倍さんが盤石の体制を築いて居るので、これ迄は党や連立与党の公明党も従わざるを得なかったのですが、此処へ来て地盤沈下が進んだのです。
 自民党の中にも、給付金30万円では有権者の支持が得られ無い、勿論公明党の支援者からも理解を得られて居ないので、その辺りの不満が一気に出て来て、官邸サイドが押し切られたと云う形です。又地方に於いては、或る意味で東京都の反乱の様な事が起こり、各都道府県が追随する形と為って、交付金に就いても折れざるを得なかった。ですから当初に思い描いた緊急経済対策とは、全く違うものに為ってしまったのだと思います。

 公明党の意向で補正予算も組み換えることに 岸田政調会長のメンツは丸潰れ

 飯田)補正予算に付いても組み換えでは無く、一律10万円も最初は別で出そうと云う案もありましたが、結局は公明党の意向を受け入れて組み替える事に為った。それで1週間、提出が遅く為ると云う事も起こって居ます。

 須田)最初から組み替えると云うのは前代未聞の出来事です。しかし1週間の遅れよりも、第1次補正で組んで於いて第2次・第3次補正で遣るよりは、余程時間的にはスピーディーな対応に為って居るのではないかと思います。
 勿論安倍首相の全面的なバックアップを得てですが、108兆円の緊急経済対策案を纏め上げた岸田政調会長のメンツは丸潰れに為ったのではないかなと思います。

 飯田)最初に手を挙げたのは二階幹事長でしたよね。所得制限は着けるけれど10万円でどうだと。その辺りは、党内でも主導権争いが変わって来て居る処があるのですか?

 自民党内での「安倍一強」が崩れ始めた

 須田)官邸と一口に言っても、その中には様々な思惑が渦巻いています。限定的に言うと安倍首相と周辺のスタッフが、財務省の協力を得つつ108兆円、そして所得制限付きの30万円と云う案を纏め上げたのです。
 これが主導して、党や公明党の了解を得無いまま遣ってしまった。岸田さんに対しては「次はお前だから」と云う様な形で協力させた。二階幹事長は蚊帳の外に置かれて居た訳ですから、その不満が爆発した。全く議論に参加出来無かった公明党もそうです。
 今後はこう云う事を決める中で、これ迄の様に安倍一強で決めて行く事が出来無く為るのではないでしょうか。公明党や自民党・二階さんに対しても十分に配慮しつつ遣って行か無くては為ら無い。逆に考えると、これ迄安倍さんとその周辺を上手く言い包めて来た財務省に取っても大きな誤算だと思います。

 今後「消費税減税」がポイントに ポスト安倍の行方に左右

 飯田)この先の経済対策等も、党内では議論して居ると云う様な事が出て居ます。政調或いは総務会で、自由に意見を言い合える様な場では「消費税を下げたらどうだ」と云う事が可成り出て居るけれども、最終的に政調トップの岸田さん等が「それは遣ら無い」とした。そこにネジレが在ったのですが、これも正常化されると云う事ですか?

 須田)そうですね。今飯田さんが一番重要なポイントを突いたのですけれども、消費税の減税です。これに着いては自民党内・公明党もそうですが、要求する声の数は多いのです。それを安倍・岸田ラインで抑え込んで来た。ここが今後の大きな注目ポイントです。
 果たしてこれをヒックリ返す事が出来るのか? 当然、財務省も全力を傾けて逆進に転じて来るでしょう。それは取りも直さず、ポスト安倍の行方を大きく左右する事に為りますので、非常に激しい権力闘争に為って行く可能性が高いと思います。

 飯田)ポスト安倍と言えば、岸田さん菅さん石破さん等の名前が出て居ました。消費税に対してどう云う発言をするのかが、1つのポイントに為りそうですね。

 須田)そこは是非見て置いて頂きたい。消費税減税をポスト安倍と言われて居る人達が旗として掲げ始めたら、或る意味での反乱と考えて好いと思います。何れにしても過去の自民党政権で、こう云う事は度々起こって居た事です。その中で政策を磨き切磋琢磨して来たのが自民党の歴史ですから、有るべき姿に戻りつつあるのかなと思います。


                  以上









 【管理人のひとこと】

 管理人は、第一次安倍政権の時から、彼の人間性に大きな難があると感じて居たので、何れ馬脚を現すと思って居た。そして、矢張り不安定な内閣の中で閣僚等のスキャンダルが相次ぎ、何の抵抗もせず直ぐに体調不良を言い訳にして、大方の失望と共に政権を投げ出してしまった。
 その後、仮病も直し自民党は野党に転落、彼も少しは人間的に学んだのか、特に足繁く大阪に足を運び英気を養った。大阪で安部シンパを作り出し第二次政権を立ち上げ・・・色々な安倍スキャンダルを乗り越え安倍一強と云われる牙城を築いて来た。

 しかし、彼が強く為ったのは単純に「自分と仲間・友達の個人的利益を守り育てる」事だけに特化した利権政治に舵を切ってからだろう。利益を核に凝り固まった集団の結束は固く、政治の本道である・・・世の為人の為国の為の政治・・・を見事に裏切る政治へと邁進する。
 だから、今回の様な国家的危機に際しても政権の体質的に急に方向は変えられ無い。何かを遣るにしても先ずは「お友達」「仲間」の利益を探す事から始まって仕舞う・・・故に、全てに後手後手に、それも的を外れた対策しか打ち出せない。基本的な方向性が、国民には目が向かず後ろの「安倍応援団」のみに向いている証なのだ。肉券・魚券・マスク2枚・・・等、仲間の誰かの利益を優先してしまう政策しか出て来ない。これをチャンスに何とか仲間に儲けさせよう・・・それを第一とする、実に仲間思いの温かい性格なのだ。この人の為なら・・・少し位の嘘や改竄に協力しよう、統計の数字も変えてしまおう・・・嘘と欺瞞しか無い政権に一体何が出来、国民も何を期待出来るだろうか。彼の中身は、妻の明恵氏にも小言一つ云えず、ヘラヘラとしか対せない気弱い独善者的独裁者なのだ。























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