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2021年11月24日

立憲と共産の選挙協力の是非 フジテレビ 解説委員 平井文夫



 立憲が共産との閣外協力を辞めると言っても

 選挙協力を続けるなら 同じ事なんだけどナ



 FNNプライムオンライン  11/24(水) 11:51配信


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 立憲代表選の討論にイラッ!


 日本記者クラブで22日に行われた立憲民主党代表選の候補者討論会を聞いて居てイラっとしたので何故なのか考えてみた。 代表選の最大の争点は衆院選惨敗の原因と為った共産党との「おつきあいの仕方」をどう総括するかだと思うのだが、先ず「共産党との共闘は間違って居たか」と云う司会者の質問に「はい」と答えた人は一人も居なかった。
 詰まり誰が代表に為っても立憲と共産との選挙協力は続く。 次に共産と結んだ「限定的な閣外協力」等の合意に付いては、逢坂誠二氏が「国民感覚から相当ズレて居た」と発言した他、小川淳也・泉健太・西村智奈美の3氏も見直しが必要との考えを示した。

 僕はコレを聞いて、誰が代表に為っても如何やら共産との閣外協力に付いては取り下げるのだなと思った。 共産との閣外協力は枝野前代表が衆院選の前に初めて明言したのだが、世間では「共産の圧力に屈服した」との批判が出ていた。自民は「あちらさんは立憲共産党」(BY麻生太郎)等と揶揄し、結局立憲はこの「共産との閣外協力」と云う一言で惨敗してしまったのだ。

 枝野幸男は真面な政治家だ

 僕は枝野さんが「閣外協力」と云う言葉を出した時「この人は真面な政治家だな」と、彼の事を少し見直した。選挙協力する以上そう言うのが筋だからだ。例え批判されようと筋を通す事は大事だ。だが同時に「大丈夫かな」とも思ったら案の定、選挙で負け、枝野さんは代表を辞めてしまった。
 立憲の次期代表は来年の参院選でこの「共産との閣外協力」と云う言葉を取り下げるのだろうか。「衆院選は政権選択だから政権の形を示したが、参院選は政権選択では無いので形を示す必要は無無い」と云う理屈は「あり」かも知れない。

 只普通の人が普通に考えたら、選挙を一緒に戦った政党は勝ったら政権に入るだろう。一緒に戦うが政権に入れて挙げません、と云うのは余りにも虫の好い話ではないか。そう云う肝心な部分を説明し無かったり、誤魔化誤魔化したりして居ては有権者の信頼は得られ無いと思うのだ。

 代表選では相手に殴り掛かれ

 一連の論戦でもう1つ気に為ったのは、経済も安保も4人の主張に大きな差が無い事だ。自民党総裁選では河野太郎氏が最低保障年金を打ち出して他の候補にボコボコにされ、結局「太郎は未だ早い」と云云う事で岸田文雄さんが勝った。
 面白かったのは河野さんは格下げのポストを与えられ、冷や飯食いに為った癖に涼しい顔して選挙応援に飛び回って居た。これが自民の強さである。

 立憲にこう云う強さは無いのか。例えば国民民主出身で最も保守的と見られる泉さんは「共産との選挙協力は辞め様」となぜ言わ無い。或いは泉さんよりは共産との連携に熱心な小川さんは「共産との閣外協力の何が悪い」と何故言わ無い。そして共産と組んでも大丈夫だと云う事を何故説明しない。

 09年に発足した民主党政権は辺野古で社民党が離れ、消費税で旧自由党が離れ、最後に小池劇場で真っ二つに分裂した。彼等はそのトラウマで政策の違いによる対立や分裂を怖がって居る様に見える。 だが旧民主が本当に再生する為には、例え対立しても分裂せずに一緒に遣って行く方法を考える事だ。
 で無いと何時迄も自民の対抗勢力には為り得無い。ボヤボヤして居ると維新が国民民主も抱き込んで立憲を上回る勢力に為る可能性が在る。この様なユルい代表選を遣って居てはダメだ。モッとガチで緊張感を以て、相手に殴り掛かる様な代表選を遣って欲しいと思うのだ。選挙戦後半に期待する。



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           執筆 フジテレビ 解説委員 平井文夫



 〜管理人のひとこと〜

 流石、公器・TVの解説委員の文章で在る。実に的確に全体の内実を解説して居る。管理人が云わんとした事が全て網羅されて居る。立憲は、リベラル野党として共産党との選挙協力は不可欠で在る・・・と大きな声で訴えれば好い。それで離れる支持者で在れば居無くとも好い、それが党としての存在の基本で在るからだ。
 それを理解出来無い〔閣外協力〕と説明付けた枝野氏の失態は隠しようは無い辞任に値する行為だった。〔共産革命〕とは、自民が喜んで使う戦前からの反共思想で在り、現在の日本では起こり様も無い架空の絵空事を用居て難癖を付けるだけの戯言だ。相手にする必要も反論の必要も無い無視するだけで結構だ。麻生の威張り腐った顔を想像するだけで腹が立つ。落選して欲しい議員・・・第一位の麻生太郎を選択する国民が居る事が我が国の脅威で在る。




















最早ジリ貧の立憲民主党・・・代表選候補4人の主張と 立ちはだかる課題



 最早ジリ貧の立憲民主党・・・

 代表選候補4人の主張と 立ちはだかる課題



  11-24-10.png 11/24(水) 8:45配信 11-24-10


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  コロナ禍での代表選は11月30日の臨時党大会で投開票されて新代表が選出される見通し11-24-11


 2021年10月31日に投開票された第49回衆議院議員選挙は、野党第一党である立憲民主党が野党一本化を進めて臨みました。しかし、思う様な結果を残せず、改選前から議席を減らして居ます。立憲民主党を率いて来た枝野幸男代表は、衆院選の結果を受けて辞任。新たな顔と為る代表を決める選挙が11月19日に告示されました。
 代表選に立候補したのは、逢坂誠二議員・小川淳也議員・泉健太議員・西村智奈美議員(届出順)の4候補です。代表選は30日の臨時党大会で投開票され選出される予定です。
 本記事では、首相官邸や政界の取材歴が10年超のフリーランスカメラマン小川裕夫(@ogawahiro)が、立憲民主党の代表選を解説します。



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              フリーランスカメラマン 小川裕夫


 今回の代表選は接戦に為る見込み

 先の衆院選により、立憲民主党に所属する国会議員は衆議院96名・参議院44名の140名に為って居ます。立憲民主党代表選に立候補するには、現職の国会議員20名以上の推薦人を集め無ければ為りません。今回の代表選に4名が立候補した事を踏まえると、早くも代表選が接戦に為って居る事が窺えます。  

 今回の代表選は、これ迄築いて来た立憲民主党カラーを刷新する事が求められて居ると云われます。2009年に誕生した民主党政権は、党内のゴタゴタも在って2012年には政権を奪還されました。以降、民主党は党勢を回復する策を模索。
 一部の議員が民主党から離れ、再び合流すると云った事を繰り返して居ます。そうした混乱も、支持者の民主党離れを加速させました。民主党政権の中枢に居た議員が多くを占める立憲民主党にも同様の不信感が長らく付き纏って居ました。

 代表を担う議員に必要な要素は


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    共同記者会見は、予定の終了時刻を過ぎても記者からの質問が絶え無かった 11-24-12


 立憲民主党は衆院選で議席を減らしましたが、来夏には参議院選が迫って居ます。それだけに、此処で一致団結し無ければ党勢回復は見込めません。今回、代表選に出馬した4議員は全員が衆議院議員です。旧民主党色を感じさせ無いフレッシュな顔を選ぼうとする意図が見えますが、代表と云う重責を担う議員はそれ為りの期数、詰まり議員経験数が無ければ務まりません。国民的な人気の高い議員でも、それは一過性かも知れないからです。  

 議員を長く務めれば、順風の時だけでは無く必ず逆風も経験します。又、自分のミスで無くても同じ党の議員が不祥事を起こせば、代表は責任を問われます。期数を重ねた議員は、そうした苦渋・辛酸を経験して居ます。それだけに、逆境を跳ね退ける力が在ります。詰まり安定感と表現出来る力です。

 新たな立憲民主党のイメージを生み出せるか


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     逢坂誠二候補は、ニセコ町長の経験も在るので地方の問題にも精通 11-24-13

 立候補した4候補の経歴を見てみましょう。62歳で最高齢の逢坂候補が5期、小川候補が6期、47歳で最年少候補の泉候補が8期、西村候補が6期です。経歴から、中堅クラスの議員が立候補して代表の座を争って居る事が窺えます。
 中堅クラスと云っても、4候補とも旧民主党政権で副大臣や政務官を務めた経験が在ります。その為、旧民主党カラーを完全に刷新して居ると迄は言え無いでしょう。当選したばかりの新人議員に、党の代表を任せる訳には好きません。だから、或る程度の議員経験を求められる事は仕方が無いのかも知れません。

 旧民主党で多少の実績が或る4候補ですが、これ迄に前面に立って党や政権を引っ張って来た議員では在りません。そうした事情から、新たな立憲民主党のイメージを生み出せるのではないか? と云う期待が寄せられて居る事も事実です。

 〔開かれた会見〕には多くの記者の姿が
 
 とは云え、代表選の話題が埋没してしまうのではないか? と云った危惧も在りました。9月に実施された自民党総裁選は、実質的に次の首相を決める選挙でした。その為、国民的な関心が高まりました。  
 一方、野党第一党ながらも衆院選で議席を減らした立憲民主党からは熱気や関心が薄れて居ました。そうした事情も在り、11月19日の共同記者会見を取材に来る記者は少ないのではないか? 盛り上がりに欠けるのではないか?と考えられて居たのです。  

 自民党総裁選の記者会見が、コロナ対応を理由に平河クラブ(自由民主党の記者クラブ)の記者ノミの参加に制限したのに対して、立憲民主党の代表選は記者クラブのみ為らず雑誌・インターネット・フリーランスの記者も参加出来る、開かれた会見に為りました。そうした理由も重なり、4候補による論戦を間近に取材しようとする記者が多く現場へと駆け付けました。

 立憲民主党代表選の共同記者会見は予定時間を延長する程の盛り上がりを見せました。集まった記者の関心事は来夏の参院選です。新代表は2022参院選を戦う顔にも為りますが、野党候補の一本化を進めるのか? それとも方針転換するのか? ソコに注目が集まりました。

 4候補とも野党共闘に付いては前向き


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        泉健太候補は、候補者のなかで最年少ながら当選回数は最多 11-24-14


 立憲民主党の支持者の間でも、野党共闘に付いての評価は分かれて居ます。野党候補を一本化した事に依り、小選挙区で接戦を制した候補者が居た事は事実です。その一方で、比例票は伸びを欠きました。それを、如何判断するのか・・・
 程度の差は在りますが、4候補共に基本的に一人区は野党一本化に前向きな意思を示して居ます。只、4候補共に地域の個別な事情を見て行く事にも言及。一本化に伴うメリット・デメリットを考慮して居る様です。  

 野党一本化で、特に焦点に為りそうなのが京都府選挙区です。京都選挙区は2人区の為一本化調整をしない可能性は高いのですが、改選を迎える福山哲郎議員は2017年に民進党が希望の党へと合流する騒動の際に枝野幸男議員と共に立憲民主党を立ち上げた、云わば創立者でも在ります。

 政策には大きな相違点は見られず
 
 福山議員は、先の衆議院選挙でも立憲民主党の幹事長として全国を飛び回りました。既に当選4回と云う重鎮で在り、出馬させ無いと云う選択肢は考えられません。他方、前回の2019参院選では共産党の倉林明子議員が立憲民主党の候補者に競り勝って議席を獲得。京都は従来から共産党が強い地域です。
 前回の参院選で議席を獲得した勢いに乗って、今回も共産党が候補者を立てたいと考える事は不自然な話では在りません。そうした政局的な話も重要ですが、モッと肝心な事は4候補者が掲げる政策です。

 実は、4候補者が掲げる政策は濃淡在るものの大きな相違点は見られません。経済政策・外交・安全保障等の基本的な方向性は変わりません。しかし、どの政策を優先的に取り組むのか? どの政策を特に重点的と考えて居るのか? 等で党の方針は異為って来ます。

 各候補は何に対して力を入れるのか


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   小川淳也候補は、ドキュメンタリー映画「なぜ君は総理大臣になれないのか」で話題 11-24-15


 逢坂候補は、人への投資を最重要政策として訴えて居ます。人への投資とは、詰まり教育に力を入れる事です。教育に力を入れても成果は直ぐに現れません。それは逢坂候補も口にして居ますが、教育を受ける選択肢を増やす事が将来的な成長に繋がる重要な政策で在り、教育への投資が結果的に経済への牽引力にも繋がって行くとして居ます。
 
 小川候補は、リベラルの立ち位置を守るとして国家主義・権威主義に陥ら無い事を掲げて居ます。その上で、政治を古い昭和モデルから新しい時代に適したものへとアップデートする必要性を強調。その鍵と為るのは政治家への信頼・信用で在るとし、支持を取り戻す為の政策課題に取り組む意気込みを語ります。
 
 泉候補は、普通の安心が得られる社会を掲げ、医療・介護・教育・保育と云ったベーシックサービスの体制作りや拡充に力を入れると宣言。泉候補は国民民主党に属して居ましたが、2020年に立憲民主党と国民民主党が合流したのを機に新・立憲民主党に属しました。
 新・立憲民主党が発足した際の代表選にも出馬した過去が在り、そうした意味でも他候補より熟練な面も在りそうです。

 立憲民主党代表は11月30日に


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    西村智奈美候補は、実家が米農家の為第一次産業への取り組みにも積極的 11-24-16


 西村候補は国際NGO活動に従事して居た経験から、内と外から社会を見詰め続けて来た事を強調。コロナで疲弊した社会を克服する力として、地方の力・女性の力・草の根の力の3つが重要だとして居ます。又、多様な声を反映させる事の必要性も掲げて居ます。
 
 立憲民主党は強い逆風下に在るので、代表に意欲を示す議員は居ないのではないか? 仮に代表選に出馬する議員が居ても、その数は少ないのではないか? との事前報道も在りました。
 フタを開けてみれば、幅広い立候補者が出揃いました。それだけに1回目の投票で過半数を獲得する候補者が出無い事は十分に予想されます。その場合、上位2候補による決選投票に為ります。何れにしても、今月30日には新しい代表が決ります。誰が代表に就任しても、党勢の立て直しから始まります。それは決して容易な作業ではありません。
 

           フリーランスカメラマン小川裕夫  11-24-17

            取材・文・撮影 小川裕夫 bizSPA!フレッシュ 編集部 



 〜管理人のひとこと〜

 社会とは、敗者を批判し挙句には人格迄を蔑(ないがし)ろに扱う・・・これが普通の人間の持つ本質です。表に出る新聞・TVでも、記者やコメンテイターと呼ばれる〔ガヤ〕の人達は押し並べてこの種類の人です。そして裏で暴れるSNS・ネットの住民達はモット激しく極端に掌を反すのです。
 彼等にしたら、多くの人達の支持を得られ無い人間は〔クズ〕以外の何者でも無くゴミ以下に扱われる・・・これが普通の社会です。
 戦後最悪の政治家と呼ばれる安倍晋三長期政権(彼は悪夢の民主党政権・・・が口癖)が成り立ったのは、この様な普通の人を上手く手懐けたに過ぎ無い。それは、次の新たな悪を生む迄に咲いた仇花に過ぎ無いのです。

 が、コレに真摯に対抗しようと足掻くのが立憲民主党に共産党・れいわ新選組・民新党の4党合意で在った・・・筈で在ったのですが、敗北するとそれコソ人間以下に扱われてしまう。関が原で敗北し更に大坂の陣で敗走した豊臣側が、歴史上からも消されたのも致し方無いかも知れ無いですね。
 しかし、コノ筆者は温かく立憲民主党を取材し記事にして居ます。この様な人が我が国に存在するとは・・・現実はそれ程捨てたものでも無いのです。

 確かに創業者の枝野氏は勉強したし頑張った・・・しかし少し頑固だったのは致し方無い。立民の中の反共派を捨てる事も出来ず温存してしまった・・・これが敗因の大部分なのです。〔反共〕とは自民の喜ぶ旧時代の遺産に過ぎ無いのです。共産も含めて〔反自公・リベラル〕と一括りにして共闘するので好かったのです。
 〔閣外協力〕等と訳の分からぬ言葉がダメだったのです。共産党外しでは多くの支持者の理解は得られ無かったのです。新たな指導者は、コレを鮮明に宣言し〔維新・国民民主〕を除いた「オール野党」で参院選に臨むべきでしよう。















「一歩間違えば廃墟と化す」 IR計画の亡霊



 「一歩間違えば廃墟と化す」

 カジノ含む日本のIR計画 が暗礁に乗り上げている理由




 11-17-1.png 11/17(水) 9:16配信 11-17-1



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 カジノを含む統合型リゾート(IR)の事業者に付いて記者会見する大阪府の吉村洋文知事 2021年9月28日 大阪市中央区  写真 時事通信フォト 11-17-2


 統合型リゾート施設(IR)誘致計画の申請が10月1日に始まった。現在誘致を公式に表明して居るのは、大阪府・市、和歌山県、長崎県だ。経済ジャーナリストの芳賀由明さん「横浜市が撤退した影響が3つの地域に及び始めて居る。コロナで状況は変わった。一歩間違えると、ハコモノ行政の繰り返しに為る」と云う・・・


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              経済ジャーナリスト 芳賀 由明 11-17-3


 ■このママでは「歴史的失敗」に現実味  

 カジノを含む統合型リゾート施設(IR)誘致施策が岐路に立たされて居る。有力候補地と目されて居た横浜市が撤退した影響が残りの3地域にも及び始め、来年4月以降の政府の誘致先選定に暗雲が掛かり始めた。
 又、世界で猛威を振るう新型コロナウイルスがIR環境を一変させた。コロナ以前に作られた大規模集客施設の建設計画や経済効果の皮算用を見直しせずに突き進めば、ラストリゾートと持て囃された日本のIR誘致が歴史的失敗に終わり兼ね無い。  

 国交省はIR誘致計画申請の受付を10月1日に始めた。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で当初予定より9カ月遅れてのスタートだが、コロナ禍がIR誘致に及ぼす影響は受付時期の遅れだけに留まりそうも無い。  
 現在、IR誘致を公式に表明し事業者の選定を終えたのは大阪府・市、和歌山県、長崎県の3地域。IRの旗振り役だった菅義偉前首相のお膝元で在り最有力候補と迄云われた横浜市が反対派市長の誕生で一転して撤退を決めた事で、政府方針の「最大3カ所迄」と云う枠に収まる3グループは安堵するかに観えた。

 しかし事態は全く逆の様だ。横浜の方針撤回に勢い付いて反対運動も活発化、IR誘致を表明した自治体への風当たりが俄かに強まって来た。

 ■コロナ前後でIRを取り巻く環境が変わった  

 「コロナの前と後ではIRを取り巻く環境が全く変わった。〔ポストコロナ〕に適応した形に見直さ無ければ必ず失敗する」


           11-24-5.jpg

                吉崎達彦チーフエコノミスト


 双日総合研究所の吉崎達彦チーフエコノミストは、コロナ感染拡大前に作られたIR政策や事業計画を早急に見直すべきだと警鐘を鳴らす。  
 IRの中核施設の開発要件は2018年に施行されたIR整備法とその後の施行令に定められて居り、宿泊施設は客室床面積の合計が10万平方メートル以上(客室換算2000〜2500室) 国際会議施設は概ね1,000人以上の収容能力 展示会施設は国際会議施設の広さに合わせて2万平方メートル・6万平方メートル・12万平方メートルから選択・・・等と為って居る。

 又、カジノ施設はIR施設全体の床面積の3%以下に制限する。IR誘致を目指す3地域はこれ等の開発要件に基づいて国に提出する〔区域整備計画〕を策定する為、事業者から提出された計画案を審査して発注事業者を選定する。
 詰まり〔区域整備計画〕は国が求めた巨大施設の建設と、それに見合う集客見通しや収益見通し・自治体が求める経済効果を全て盛り込んだものに為る訳だ。

 ■3地域は優先交渉権を持つ事業者を選定済み  

 IR誘致に名乗りを上げた3地域は今年9月末迄に優先交渉権を持つ民間事業者を選定済みだ。2025年に開催する万博会場と為る夢洲(ゆめしま)に誘致する大阪府・市は〔米カジノ大手MGMリゾーツ・インターナショナル〕〔オリックス〕の共同グループを、和歌山市の人口島マリーナシティに誘致する和歌山県は〔カナダ企業の日本法人クレアベストニームベンチャーズ〕を、ハウステンボス隣接地への誘致を決めて居る長崎県は〔オーストリア国営企業の日本法人カジノ・オーストリア・インターナショナル(CAIJ)〕を夫々決めた。  

 〔MGMとオリックス〕が大阪に提案した事業計画案は、初期投資が1兆800億円で最大規模。2028年の開業を想定して居り、2,500人収容の宿泊施設や6,000人超が利用出来る国際会議場等巨大な施設を造る。雇用創出数は約1万5,000人、府と市は合計年1,100億円の増収が見込めると云う。  
 〔クレア〕が和歌山県に提案した案は、初期投資約4,700億円で県が当初想定して 2,800億円を大幅に上回る。開業4年で経済波及効果は約2,600億円を見込み、雇用創出効果は大阪並みの約1万4,000人だ。  

 長崎県に提案された〔CAIJ〕の事業計画も大風呂敷だ。総事業費3,500億円や九州域内への経済波及効果を年3,200億円としたのは、県が経済波及効果3,200億〜4,200億円、雇用創出効果2万8,000〜3万6,000人として 当初見込みに合わせた格好だ。
 最大1万2,000人を収容出来るMICE(会議・展示場等)施設も建設する。更に雇用創出効果は大阪や和歌山を大きく引き離し3万人だ。

 ■「5,000人規模の会議なら、リモートで好い」  

 事業計画の策定や事業者選定時期は既に新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大して居た。しかし国交省は〔中核施設の開発要件〕に沿って巨大施設の建設を既定路線のママ事業計画に盛り込む事を求めて居る。  
 開発要件の見直しを行わ無かった理由に付いて、観光庁の特定複合観光施設区域整備推進本部は「公的財源を投入しない原則に基づいて自治体が現行制度で施設を造りたい希望もあり、国としても他国に比べて見劣りして居たMICEの国際競争力を高めたい考えもある」(前川翔企画官)と説明する。  

 地域経済活性化の起爆剤にしたい自治体に取っては、カジノに加えて巨大施設や大規模イベントに依る内外からの集客能力コソが頼りだからだ。しかし、コロナ禍の中、学術やビジネス分野では会議やイベントの大部分がオンラインで行われる様に為り、MICE施設の利用ニーズは世界的に縮小した感が否め無い。  
 IR業界に詳しい国際カジノ研究所の木曽崇所長「国交省は新型コロナ感染前に作った開発要件をコロナ後も全く変えて居ないが、今や5,000人も集めて会議を行うニーズは無い。リモート会議をすれば好い」とMICE市場の変貌を指摘する。
 大型IRの必要性や開発要件を見直すには政府方針の転換が不可欠でIR整備法の改正も必要と為る為、観光庁が及び腰に為るのも仕方が無いかも知れ無い。

 ■和歌山では「二階王国」が揺らぎ始めた  

 自治体のIR誘致計画申請の受付が始まった10月1日。横浜市では、林文子前市長が2年前に設置した都市整備局内の「IR推進室」が廃止された。「ホボ当確」(自民党関係者)とさえ言われて居た有力候補の横浜市が撤退した事で、以前から手を挙げて居た3地域の誘致政策にも少なからず影響を及ぼし始めた。

 10月31日の衆院選を機に市民運動にも新たな動きが出て来た。申請受付期限の2022年4月28日迄無風とは行かなそうだ。菅前首相と同様にIRを強力に推進して来た二階俊博前自民党幹事長の地盤・和歌山3区は衆院選で最多の4人が立候補した。
 元総務省職員の本間奈々氏等二階氏を除く3人がIR誘致に反対だった。中でも本間氏は二階氏を中国寄りだと厳しく批判し、二階氏が進めて来たカジノ建設で治安が悪化すると力説。反二階派や市民団体等の票を集めた。 

 選挙では殆ど地元回りをし無かった二階氏だが、今回は幹事長退任に依る影響力低下の危機感からか山間の過疎地区迄入り「政治の原点はふるさとだ」等と熱心に街宣して回った。蓋を開けてみれば二階氏の圧勝だったが二階王国が揺れ始めた。  
 衆院選前の10月8日に開かれた県のIR対策特別委員会では、県からIR運営会社クレアベストニームベンチャーズ(カナダ)の日本法人を中心とする共同事業体を優先事業者に選び〔区域整備計画〕の原案作りに入るとの説明が在った後、自民党県議から事業の不安定さや不透明さを問題視する質問が相次いだ。  

 山下直也議員は「非公開だからと云って姿が見え無いのでは信用出来無い」と指摘。事業者との契約関係が曖昧な事の説明を求めた。党県議団の重鎮、冨安民浩議員は「資金調達や収益等、大事業を遣るのにコレでは心許無い。県が何が何でも進め様として居るのは問題ではないか」と疑問を呈した。  
 県の楠見直博IR推進室長は「未だ未確定な部分は残って居るが11月には『区域整備計画』の原案を作り上げる」と苦しい説明に終始。推進派で在る筈の自民党議員からの追及に当惑気味だった。

 ■市民団体は住民投票を求める署名活動を開始  

 横浜市長選の影響を問われた仁坂吉伸知事は報道陣に「ヤッパリIRは良く無いんだと云う人が増えそうだ」と心配して居たがそれが現実に為った格好だ。
 県にはカジノに反対する3つの市民団体が在るが11月6日、これ等のグループが中心と為りIR誘致の是非を問う為の住民投票を求める署名活動を開始した。

 「ストップ!カジノ和歌山の会」の豊田泰史共同代表「新型コロナでIR事業者は何処も経営不振に為り、大きな会議場も要ら無く為った。強い業者は撤退したし選定された業者の経営状況も良く無い。建設しても更に環境が悪化すれば廃墟に為り兼ね無い」と危惧する。  
 豊田氏は横浜市と同じ方法で市民の問題意識を高めたいと考えて居る。「住民投票の請求は6,200人の署名で可能だが、2万人以上を集めて12月に市長に提出したい」と云う。署名が所定数に達すれば市長は住民投票条例案を市議会に諮ら無ければ為ら無い。

 自民県議は選定事業者の経営状況を不安視して居る上、維新の会は県議・市議共IR誘致に反対して居り大阪とは温度差が在る。二階氏の神通力が弱まり始めた和歌山でIR誘致の是非が改めてクローズアップされそうだ。

 ■事業者選定プロセスの不透明さが指摘される長崎県  

 近畿圏の2地域に比べ地元政財界や県民の歓迎ムードが強い長崎県だが、運営事業者の選定を巡り不透明な手続きが問題視されて来た。事業者選定では、1次審査で〔CAIJ〕を大幅に上回る得点を取って居た2事業者が2次審査で落選した事で、2事業者が審査結果に疑義を申し立てて居る。
しかも県から事前に「信用性」や「廉潔」の問題等を理由に辞退を迫られたと云うのである。

 9月16日の県議会で、自民党の溝口芙美雄県議は「(落選した)業者から選定過程に問題が在ったと云う意見が出た様だが公平・公正に行われたのか」と説明を求めた。中村法道知事は「選定は外部の専門家に依る審査委員会を設置して公平・公正・透明性を以て行われ内容は公表されて居る。社会的信用性と廉潔性は県が独自に行い、その結果は審査委員会にも開示して居ない」と答弁。

 落選事業者が問題視して居る県の「独自調査」の判断基準は飽く迄公表し無い方針だ。カジノ・オーストリアが本国で政治家の汚職事件に関係が在るとの報道も在り、県の選定過程の不透明さは今後も尾を引く可能性がある。
 「ストップ・カジノ!長崎県民ネットワーク」は6月末迄に1万人超のIR誘致反対署名を中村知事に手渡したが、その後も署名運動を継続中だ。新木幸次事務局長は「横浜の撤退やIRの実態も市民には好く知られて居ない様だ」とモドカシサを感じて居るが、11月末から始まる県議会に新しい署名を提出する準備を進めて居る。反対意見の盛り上がりに期待して居る。

 ■盤石の感が在る大阪にもサザ波が・・・  

 衆院選では維新の会が議席を41に伸ばして第3党に躍進。盤石の感が在る大阪も例外では無い。吉村洋文大阪府知事は8月の横浜市長選の翌日「横浜が大阪のIRに影響を与えるものでは無い。如何云うものが出来るかを丁寧に説明しながら進めて行く」と報道陣に述べ、横浜市撤退の影響を否定して見せた。  
 しかし〔カジノに反対する大阪連絡会〕等が11月中に横断的な反対活動に打って出る準備を進めて居る。同連絡会は2018年以降の署名運動で約10万人もの署名を府や市に提出した。有田洋明事務局長「大阪には今カジノ反対を掲げるグループが8団体在る。衆院選が終わったのでコレから足並みを揃えて強力に運動を展開する」と意気込む。無風に見えた大阪にもサザ波が立ち始めた。

 ■無視出来ない住民の「総意」  

 3地域は今後、選定した事業者と共同で国に提出する「区域整備計画案」を策定し、県議会やパブリックコメントに依る意見募集等を経た上で、来年4月28日迄に国交省に提出する。  
 和歌山県の場合は、現在〔クレアベスト〕と共同で区域整備計画の原案を策定中で11月末に完成させる。その原案を公表してパブリックコメントを募集。来年2月に和歌山市と県公安委員会の承諾を得た上で、県議会に区域整備計画案を提示し決議して貰う。国交省への申請は4月中に為る見通しだ。他の2地域も概ね同様のスケジュールと為りそうだ。  

 審査に当たっては、計画そのものの内容やギャンブル依存症対策に加えて「キチンとしたプロセスを経て居るか、住民のコンセンサスが出来て居るか如何かを観て行く」(特定複合観光施設区域整備推進本部の前川企画官)方針だ。
 自治体としての「総意」が認められ無ければ〔落選〕の憂き目に遭う能性も在る。その意味でも、反対派の活動を無視出来無い訳だ。

 ■IR計画の見直しには「ポスト菅」が不可欠  

 反対派の最大の理由はギャンブル依存症増加や治安悪化と云えるが、双日総研の吉崎氏は

 「依存症に神経を尖らせるのは、パチンコや競馬等誰でも何時でも出来る賭け事が野放し状態だったから。IR整備法に関連して全てのギャンブルが対象の依存症対策が義務付けられた上、カジノは日本人の個人管理を徹底するので心配には及ば無いだろう」

 と楽観視して居る。反対派の中には「コロナ禍で状況が変わったのに(和歌山県は)何も検証しないで突き進んで居る」(豊田氏)と県に見直しを求める意見も少なく無い。吉崎氏は、ポストコロナの時代に合わせて今からIR施策を見直すには、旗振り役を続けて来た菅前首相に代わる「ポスト菅」の存在が不可欠と云う。
 施設の規模を見直す場合はIR整備法や施行令等制度改正を伴う事に為る為「時間的に絶対無理」(観光庁)と云われるが見直すべき部分は他にも多い。高率の税制や納付金・10年の権利期間も有力事業者が撤退した要因と見られて居る。

 「コロナ後の世界経済の中で、完成後実質5年程度で投資回収を見込むのは厳しい。横浜のIRから早々に撤退した米ラスベガス・サンズの判断は極めて合理的だった」(吉崎氏)

 ■一歩間違えると「ハコモノ行政」を繰り返す事に為る  

 一方、木曽氏は自治体グループが公表した経済効果や集客予想に対し「事業者や自治体の事情も在ったのだろうが、盛り過ぎだ」と問題視する。予想数字と現実が余りに大きく乖離するとそれだけで「失敗」の烙印を押されかね無い。自治体側は区域整備計画で、ポストコロナを見据えた冷静な経済効果算出が不可欠と為りそうだ。  

 観光等の「遊民産業」の経済効果に期待する吉崎氏は「ポストコロナの観光業の答えは誰も判ら無いが、最も進んだIRを日本で実現出来れば良いツールに為る」と期待を寄せる。  
 2002年に発足した「カジノと国際観光産業を考える議員連盟」(現国際観光産業振興議員連盟・IR議連)の初代会長だった野田聖子氏はIR整備法案が党総務会で了承された時に「観光立国としての初めの1歩だ」と興奮気味に語った。  

 しかし、これから始まる本当の「1歩」を踏み間違えると、バブル経済期に日本各地で乱立し、解体されたり廃墟と為った「ハコモノ行政」の愚策を繰り返す事に為り兼ね無い。



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 経済ジャーナリスト 芳賀 由明  1981年早稲田大学法学部卒業 91年日本工業新聞社経済部および産経新聞社経済本部で電機・自動車・日銀・東証・経産省・総務省等の担当を経て次長 2013年経済本部編集委員 2017年NHK交響楽団総務部長 2021年6月独立 北海道出身



 〜管理人のひとこと〜

 昭和の時代の東映・ヤクザ映画を観て居る様だ。為政者とアラユル顔役が金儲けの為に不法な〔事業〕を法律で〔合法的な事業〕とし〔ドデカい利権〕に群がる色々な民間企業を巻き込んだ〔闘争劇〕と為る。堂々と事業の許認可を巡る札束が飛び交い、裏ではヤクザ同士の命の遣り取りが・・・主人公は、庶民に苦渋を与えるだけの〔合法的な事業〕に反対し庶民と共に立ち上がり戦う・・・この事業の為に新たな税金が作られ、更に官庁や地方自治体で新たな部署の為の増税が・・・全てのシワ寄せは庶民からの涙で在り税金で在る。
 公的賭博だけか問題では無い。この「利権」に群がる企業群から〔何等かの利益〕を掠め取ろうと云うサモシイ気持ちが時代遅れのヤクザの思考なのだ。安倍長期政権がもたらした最後の置き土産、安倍晋三の亡霊の様な「IR構想」なのである。コロナの終焉と同時に自然消滅される事を祈る・・・
















 

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