2021年12月10日
「暴力団との交際を堂々とアピール」 ソンな人間に何故日本大学は牛耳られて居たのか?
「暴力団との交際を堂々とアピール」
ソンな人間に 何故日本大学は牛耳られて居たのか?
12/10(金) 11:16配信 12-10-10
所得税法違反容疑で東京地検特捜部に逮捕された田中英寿氏 写真 時事通信フォト 12-10-11
■暴力団幹部と一緒に写った写真が次々と流出
住吉会の福田晴瞭会長(当時)・山口組六代目の司忍組長・弘道会傘下佐々木一家の山本岩雄総長(故人)と一緒に写って居る人間が大学を牛耳って居る理事長だったら、その学校の学生やOBは如何思うのだろう。
日本大学の理事長だった田中英寿(74)が、11月29日に東京地検特捜部に逮捕された。田中は歴代の総長選で、自分の推す候補者を勝たせて来た。コンなエピソードが在ると週刊新潮(12月9日号)が報じて居る。
「13年前の総長選では自分が着いた候補の対抗馬を向島の料亭に呼び出し〔出馬を辞退して呉れたら5,000万円渡す。次期総長選は勝たせる様にするから〕と協力を仰いで居ました。余りに一方的な申し出に、その候補は断って居ましたが」(さる日大関係者)
気に要ら無い教授が居ると「夜道に気を着けろ!」と脅した事も在ったと云う。俺のバックには暴力団が居ると仄めかし我が物顔に振る舞って居た。
■対立して居た幹部は グラウンドの守衛に左遷
瀬在幸安(せざいさちやす)総長は田中(当時は常務理事)の言動に疑問を持ち始め、6人の弁護士から為る特別調査委員会を造り、疑惑の調査を指示したと週刊文春(12月9日号)が報じて居る。だが調査は有耶無耶に為り、反瀬在に転じた田中は、2005年の総長選では小嶋勝衛(こじまかつえ)を推して瀬在を破ったと云う。
文春に依れば、その後、名古屋で行われたイベントに出席した小嶋総長に「会わせたい人が居る」と田中が誘った。行った先に居たのは「司(忍=筆者注)氏だったそうです」と、同大学の元幹部が話して居る。 田中が2008年に理事長に就任すると
「先ず着手したのは学内に在る在籍を知らせる電光掲示板の『総長』と『理事長』の位置を入れ替える事でした。 それ迄は総長が上だったのを、理事長を上にし自らがトップだと宣言した。対立して居た幹部を左遷し、最終的に東京・稲城のグラウンドの守衛にする等、逆らう奴が居れば呼び出して〔北海道の大学施設の管理人が空いてるぞ〕と脅すのです」(週刊新潮 同)
■教育を食いものにする社会悪
逮捕の発端は、田中の側近だった大学理事の井ノ口忠男と医療法人「錦秀会」の藪本雅巳理事長が、日大医学部附属板橋病院の建て替えを巡り、大学に4億2,000万円の損害を与えた背任容疑で逮捕、起訴された事だった。
そのカネの一部が田中に渡って居るのではないか。特捜部は今年9月8日に阿佐ヶ谷の彼の自宅で1億円超の現金を発見、藪本からも約6,000万円を田中に渡したと云う供述を引き出して居た。
約5,300万円を脱税した所得税法違反容疑だが、特捜部は最初から、5年以下の懲役で在る背任では無く、10年以下の懲役の所得税法違反で遣る積りだったと、週刊文春(同)が報じて居る。それが証拠に、特捜部から上級庁には、コノ様な報告が為されて居たと云うので在る。
「特捜部は、全て当初の予定通り、田中を逮捕致します。予てよりご報告の通り、教育を食い物にする社会悪としての田中を、可罰に於いて重い量刑を科す本来目的の、所得税法違反による逮捕です。全ては狡猾な巨悪を油断させる為の〔死んだ振り〕が功を奏しました」
だが、立件・逮捕に至る迄には高いハードルが在った様だ。
■決定的な証拠を掴め無い中作戦を変え・・・
捜査の手が伸びると、田中は駿河台に在る日本大学病院に逃げ込んだ。ソコで行われた特捜部の任意の事情聴取では、一貫して容疑を否認し強気だったと云う。
「田中氏が背任工作のスキームを指示、或いは承知して居た事を証明する必要が在りましたが、それが難しかった」(司法担当記者)
田中はいちいち細かい事には口を出さ無い為決定的な証拠が無い。背任の共犯での立件は困難だと云う見方が広がったそうだ。そこで特捜部は、田中が会長を務める〔国際相撲連盟〕を使った金の出入りと、昨年行われた〔田中邸のリフォームを巡る支払いの疑惑〕へと戦線を拡大して行った。
だが、相撲連盟の方は任意団体で、会計報告の義務も無く突破口には為ら無かった様だ。 リフォームの方は、工事の窓口に為ったのは田中が信頼を置く相撲部のOBで、過つて日大の建設工事等の差配役を担った会社の元社員だった。
その人間は田中の紹介で石川県の建設会社の営業部長に為り、日大の子会社・日本大学事業部にも籍を置いて居て、リフォームは件の会社が請け負い、日大工学部がコノ会社に発注した別の工事費用と併せて処理されて居たフシが在ったが、このルートも不発に終わった。
そこから特捜部は、脱税に焦点を合わせて行って要約逮捕に漕ぎ着けたと云うので在る。田中は逮捕されて理事長を辞任したが、彼には幾つもの疑惑が在る。冒頭書いた暴力団との強い繋がりが一つで在る。
■田中体制の集金マシンと化して居た「日大事業部」
週刊文春にはコンな話が載って居る。
「日大出身の或る親方が部屋を開いた際は、小雨の降る地鎮祭に、後に山口組若頭と為る高山清司氏が姿を見せたと言われて居た。田中氏と弘道会(司忍山口組六代目の出身母体=筆者注)の関係が密かに話題に為り、高山氏が田中氏の妻の優子夫人にエルメスのバーキンを一ダース送り、優子夫人が感激して居たとの話も耳にしました」(日大関係者)
田中の側近で在る井ノ口が牛耳って居た〔日大事業部〕と云う伏魔殿の実態も、明るみに出され無ければ為ら無い。 此処は別名「日大相撲部」と云われて居て、田中が率いる相撲部の関係者が複数採用されて居ると云う。その利益の大半は日大への寄付として処理されて居て、田中体制の集金マシンに為って居たと云われる。
薮本の政界人脈と豪遊振りも週刊新潮(10月21日号)と週刊文春(同)で報じられた。週刊新潮は、薮本が安倍晋三元総理と親しく、加計学園の加計孝太郎理事長等とゴルフクラブで撮った写真も掲載して居た。 口ひげを蓄えた面構えは如何にも〔政商〕と云われる雰囲気である。薮本の仲介で田中と安倍が会った事は無いのだろうか?
■「政治家に渡した裏金のことも全部ブチマケテ遣る」
田中との関係が最も強いのは相撲界だ。週刊文春によれば、
「1983年には日大相撲部の監督に就任。田中氏が指導した角界の日大出身者は50人を超えて居ます。現役理事の境川親方を始め、木瀬親方や入間川親方、解説者の舞の海も居ます。 更に角界に力士を輩出し続ける鳥取城北高の石浦外喜義総監督や埼玉栄高の山田道紀監督も田中氏の薫陶を受けて居ます」(角界関係者)
薫陶ばかりでは無い。
「田中氏はその豊富な人脈を駆使し、日大に有望な学生を集め、高値で相撲部屋に力士を送り込む事で絶大な影響力を誇った」(週刊文春)と云う。田中は入院中に、こんな言葉を口にして居た様だ。
「俺が逮捕される様な事が在れば、今迄政治家に渡した裏金の事も全部ブチマケテ遣る!」
逮捕されたのだからぜひ、そうして貰いたいものである。
■日大の「暗黒の歴史」が繰り返されて居る
日大と云う大学には帝王やドンと云われる人間達が、莫大な私学助成金や学生達の学費を私して来た「暗黒の歴史」が在る。
1960年代後半、吹き荒れた学生運動の〔先駆〕と為ったのは〔日大闘争〕だった。 以前にも書いた事が在るから詳しくは繰り返さ無いが、当時〔帝王〕と迄云われた古田重二良会頭は、学費の相次ぐ値上げに怒った学生達を右翼学生や体育部の学生達に襲わせた。その中に相撲部の田中も居たと云われて居る。
古田は、学生達のデモ鎮圧の為に機動隊迄導入したが、遂には学生たちに屈し、3万5000人の学生が見詰める中で大衆団交に応じ要求を認めた。だが、当時の佐藤栄作首相が「日大の大衆団交は常識を逸脱して居る」と発言。
約束は反故にされ、古田は会長として再び日大に戻るがその年に死去。アノ時、古田的なものを一掃出来て居れば、田中英寿前理事長も出て来無かったかも知れ無い。
田中は警察関係との繋がりも強い。 週刊新潮は、安倍晋三元首相時代、官邸の守護神と云われた警察庁出身の杉田和博前官房副長官もその1人ではないかと報じて居る。最も杉田は「サシでは無いと思いますよ。記憶に御座いませんね」と週刊新潮に答えて居るが。 警察官僚出身で衆院議員だった亀井静香も週刊新潮で「相撲取りからマンモス校のトップ迄行ったんだから、大人物だよ」と田中を擁護して居る。
■〔田中派〕の評議員が理事長に復帰させるのでは無いか
特捜部は、悪質な所得隠しに妻の優子も共謀して居たと見て捜査を進めて居ると云う。実刑も視野に入れて居るとも云われる。だが、もしそう為っても、数年後に再び田中が理事長に復帰する可能性が在ると囁(ささや)かれて居る様だ。
現在の加藤直人学長はアメフト事件(日大の選手が監督やコーチの指示で相手選手に危険なタックルをして負傷させた)当時、アメフト部の部長だったが、不祥事にも関わらずトップに就けたのは、田中の力が在ったからだと云われて居る。
今回の件で理事は総辞職したが、大半が田中派と云われる評議員はそのママで在る。彼等を理事に横滑りさせ、時機を見て田中を理事長に復帰させるのではないか。 こう云うケースは他にも在ると大学ジャーナリストの石橋嶺司が「揺れ動く日大〜田中色一掃かそれとも復権狙いか、今後のシナリオは」(Yahoo!ニュース 12月2日 7:54)で書いて居る。
「2008年の東京福祉大事件です。当時、総長だった人物がわいせつ事件により逮捕。総長も辞任し、大学は『今後、大学経営に関与させ無い』と表明します。しかし、服役後には大学職員(事務総長)として大学に復帰。2020年には学長としても復帰します」
■政界迄深く食い込んで居る日大を改革出来るのか
石橋は、こうしたシナリオは文科省も承知して居るから、田中派を学内から一掃した日大再建を考えて居ると云う。その切り札は年間90億円と云われる私学助成金。日大側が説明責任を果たして徹底的な改革を断行し無ければ文科省は、コレを減額、又は不支給にすると〔脅し〕て学内の田中派を一網打尽にすると云うので在る。
確かに学生数6万5,000人と云われるマンモス校でも、助成金が減らされれば学校経営に大きな支障が出るだろう。増してや、理事長が反社と深い付き合いが在ったと云うのでは、来年の志望者が激減する事も予想され、受験料収入が大幅にダウンするかも知れない。
それでは、文科省主導の日大改革が行われるかと云うと、私には大いに疑問で在る。安倍元首相時代の官邸に迄食い込んで居た田中グループが、文科省の官僚や大臣達を手懐けて無い筈はは無いからである。 彼等を饗応した際の明細や録音を録って居るかも知れない。それが〔ヤクザの流儀〕で在る。もし、それを公開すると云えば、それでも日大改革を遣ると云う気骨の在る人間が出て来るだろうか。
第2の日大闘争を起こせとは云わ無いが、良識ある教授・学生達が立ち上がり、学長の説明責任を求め、納得出来無ければ辞任を要求するべきである。
学外に新学長に相応しい人材を求める事を考えても好いのではないか。コノ機を逃さず、真の改革に着手し無ければ、日大は「マンモスの化石」に為る。 (文中敬称略)
元木 昌彦(もとき・まさひこ) ジャーナリスト 1945年生まれ 講談社で『フライデー』『週刊現代』『Web現代』の編集長を歴任する 上智大学・明治学院大学等でマスコミ論を講義 主な著書に『編集者の学校』(講談社編著)『編集者の教室』(徳間書店)『週刊誌は死なず』(朝日新聞出版)『「週刊現代」編集長戦記』(イーストプレス)近著に『野垂れ死に ある講談社・雑誌編集者の回想』(現代書館)等が在る
【管理人のひとこと】
悪夢の安倍晋三長期政権・・・政・菅・財・学・・・と、アラユル金の為る存在に根を生やし吸い上げる力・・・それが持ち切れ無く為り脆くも自ら退陣した。彼の行った悪行の数々は、今後何十年と事件が起こる度に名前が飛び出し続けるだろう。
日大の金に纏わる事件にも、安倍晋三氏の身辺に及ぼす影響も計り知れ無い。コレだけの不正が永く続くには官憲との甘い付き合いが在ってコソでは無かろうかと疑問に思うのは当然。最近の官憲の甘い捜査は安倍氏の存在在ってのものだろうから、今度は確りとした存在感を示して欲しい。有耶無耶で済ますようなら未だ安倍氏の力は残っていると考えて好いだろう。
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