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2021年11月12日

子役から60年芸能界を生き抜いて来た秘訣 岡本信人が語る




 「渡る世間は鬼ばかり」周平役の岡本信人が語る

 子役から60年 芸能界を生き抜いて来た秘訣



  11-12-1.png 11/12(金) 8:30配信 11-12-1


 「渡鬼」の新作のスペシャル制作が予定されて居た


  11-12-2.jpg

     「渡鬼」では役の為に髪を染めて居た岡本信人さん【写真 山口比佐夫】11-12-2


 「渡る世間は鬼ばかり」(TBS系)の脚本家・橋田壽賀子さんがこの4月に95歳で逝去。本作のプロデューサーの石井ふく子さん(95)は健在だが「渡鬼」ファンは「もう見られ無いのか・・・」とショックを受けた。
多くの石井作品を初め「渡鬼」でもレギュラー出演して来た俳優・岡本信人さん(73)も同じだったろう。〔草を食べる人〕としても知られる岡本さんに弊社事務所で今の思いを聞いた。
(取材・構成 中野裕子)



 2020年の5月に、石井先生から「今年も鬼渡のスペシャルを遣りますので」と云うお電話を頂いて居ました。でも、それから新型コロナウイルス感染症がドンドン拡大して行き、その後の連絡が無かったので「こりゃあダメかナア」と思って居ました。そうしたら、橋田先生がこの4月に亡く為られて・・・具合が悪いとは聞いて居無かったので驚きました。
 橋田先生の遺志で葬儀もお別れの会も執り行われず、予定のスペシャルも無く為り「渡鬼」は終わってしまいました。本当に残念。寂しいですネ。
 
 橋田先生とは「渡鬼」の他、もう10年以上前ですが「橋田さん家のティータイム」と云うTBSのCS番組でナレーションをさせて頂いて居ました。特番のゲストに呼んで頂いた事も在り、熱海の野草を先生と一緒に摘んで先生のご自宅で料理をして食べて頂いたんです。
 4月でしたからタンポポ・ヨモギ・ハコベ・ナズナ・・・先生が「トテモ楽しかった。ハコベのバター炒めが一番美味しかった」と仰ったので驚きました。結構青臭いのでお嫌いかと思ったので。ヨモギは先生のお宅のお手伝いさんがヨモギ餅にして下さって、新鮮で香り高く美味しかったですね。楽しい思い出です。

 泉ピン子とえなりかずきの本当の仲は・・・?

 橋田先生は、本を書かれたら後は役者にお任せで何にも要望を出されませんでした。でも、ラジオドラマの様にキチっと台詞(せりふ)を書かれて居るので、アドリブを入れたりしたら辻褄が合わ無く為ったりして後々大変。だから、先生の書かれた通りに喋って居ました。
 私ナンかの台詞は短いのですが、長いセリフの間に丁度好い具合に入れる・・・と云うのは案外プレッシャーナンですよ。トチッたら、長いせりふを喋って居る方達にもう一度初めから喋らせる事に為る訳だから。長台詞を喋ってる方が楽だナ・・・と云うのは、台詞が短い者の負け惜しみなんですけど(笑) 

 親子役だった泉ピン子さん(74)とえなりかずきさん(36)が話題に為って居る件に付いては、何で?と思って居ます。私は、えなりさんが役の上で結婚してからは、撮影現場で一緒に為らず、リハーサル室でも会わ無いので、会うと言ったら打ち上げの時位。
 だから、2人の間に何が在ったか全く分から無いんですよ。でも、ワザワザ「如何為ってるの?」と電話で聞く事も出来無いしね。視聴者は「渡鬼」と云うホームドラマのイメージで見て居る訳ですから、楽屋の事は表に出さ無い方が好いんじゃないかと思いますネェ。

 ナンと! 役者を辞め様とした事も在った


      11-12-3.jpg
      
       「運が90%以上」と謙虚な岡本さん【写真 山口比佐夫】 11-12-3


 私は12歳の時、建築家だった父の仕事の関係で山口・萩から横浜・東京と転居して来て、大人しく為った私を心配した父に「劇団ひまわり」を勧められてコノ世界に入りました。子役でデビューし、最初は周りに言われるがママでしたが、日活の撮影所の食堂で故・石原裕次郎さんにお会いして「ウワアッ!」と驚いて、華やかなこの世界に魅力を感じる様に為りました。
 お陰で、中3の通知表は〔アヒル(2)の行進〕(笑) 高校生に為ると、父が自分でコノ世界を勧めて置きながら「劇団を辞めて建築の勉強をしなさい」と私を理系に進ませたんです。

 大学時代に石井先生の「肝っ玉かあさん」(TBS系)がスタートしたので「『肝っ玉かあさん』が終わったら辞めるから」と言って居たら「肝っ玉かあさん」に重なって「ありがとう」(TBS系)が始まり長く続いたので父も諦めましたけどネ。
〔子役は大成しない〕と言われ苦労する子役出身俳優は少なく在りませんが、私は恵まれて居ました。「肝っ玉かあさん」「ありがとう」で石井先生に使って頂き、その後「渡鬼」ですから。ホームドラマのイメージでズッと遣って来られました。

 自分で特段、アア為りたいコウ為りたいと藻掻(もが)いたと云うより、小川に流された笹舟みたいに流れに任せ、沈ま無い様その場その場で最善を尽くして来たと云うだけです。運が90%以上。
 子役は、大きく為った姿を突然皆さんに見せたら違和感が在るかも知れませんが、例えばえなりさんの様な場合も、幼い時から作品の役と共に成長しその姿を視聴者に見守って頂けたのは、俳優としては幸せな事ではないかと思います。  

 橋田先生も優しかったですが、石井先生も優しい方ですよ。初めてお会いしたのは「肝っ玉かあさん」のオーディションの時。当時の所属事務所から「TBSのプロデューサーに会って来て」と言われてお会いしたのが石井先生だったんです。
 先生は私を見て「イヤホン付けてトランジスタラジオ聞こうか」ってそれだけ。何だったんだろうと思って居たら、そう云う役・・・〔出前の健ちゃん〕だったんですネ(笑)今振り返ると運命的な出会いでした。ホンと感謝しか無いですネ。  

 その後、先生が担当されて居たドラマ枠・東芝日曜劇場にも呼んで下さったのですが、そのスタジオでトライリハーサルをして、終わって化粧室に戻ったら、台本をスタジオに忘れて来た事を思い出し取りに戻ったんです。
 そうしたら、石井先生が「信人は叱るとダメだから叱ら無いで」とディレクターに話して居るのが耳に入って来ました。細かい事迄見抜かれて居るんだなと有難く恐縮しました。でも、その後に先生の舞台に出させて頂いたら「バカ! 何遣ってんだ!」って叱られましたけどね(笑)

 ソロソロ終活を・・・と思って居たら大河出演のオファーが!


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      緊急事態宣言下では野草を堪能して居た【写真 山口比佐夫】11-12-4


 カミさんとは29歳で結婚し娘と息子が居ます。子供は2人共芸能界には入りませんでした。私がスターでは無いから、興味が沸か無かったのかな(笑)カミさんは見た目も中身も「渡鬼」の(役の上で妻だった)聖子ちゃんの様な女性じゃ無いですよ(笑)孫は2人。

 コロナ前は毎年皆で年2回旅行をして居たのですが、コロナの間は殆ど会えず、お誕生日の時等だけ玄関先で会ってプレゼントを渡すダケでした。でも、孫は受験を控えたりもして居ますから、勉強に忙しくもうお爺ちゃん処じゃ無いんです。  
 私自身はコロナ禍で緊急事態宣言が出て居た間はズッと家に居て、毎日グルグルと近所を散歩して野草を観察して居ました。春から秋に為り、年が明けたら七草を採りに行っておかゆを炊いて。3月半ばに為ったら土筆(つくし)で卵とじ。土筆は旬が10日間位しか楽しめ無いから絶対外せません。ソンな生活を2回転して、四季の季節感をユックリ楽しんで居ました。

 私も73歳に為り年が明けたら74歳。ソロソロ終活を考える年齢です。「押し入れのものを片付け様かな」なんて思って居ました。処が、この3月にNHKから電話が来て2022年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」への出演を打診されました。
 脚本家の三谷幸喜さんのご指名でしょうか、10年振りの大河です。この歳で呼んで頂けるナンて嬉しくてご期待に応えたいですね。

 7月に撮影が始まりました。私は源頼朝の御家人・千葉常胤(ちばつねたね)と云う勇猛な板東武者の役。鎧を着けて演じて居ます。鎧が結構重くて、胡坐(あぐら)から立ち上がろうとすると、スッと立つのが大変で(笑)元気で体力が無いと行けません。
 毎日5,000歩以上散歩を兼ねたウォーキングを続け、食事に気を付けお酒も程々にしてコンディションを整えて居たので頑張れて居ます。お陰で考えて居た終活は、暫く出来そうにありませんね。



 岡本信人(おかもと・のぶと) 1948年1月2日 山口県岩国市生まれ 山口市・萩市育ち 東海大学第二工学部建築学科卒 中学2年の時「劇団ひまわり」入団 62年12月、子供向け連続ドラマ「明日を告げる鐘 少年福沢諭吉」(NHK)で子役デビュー 石井ふく子プロデュースの大ヒット家族ドラマ「肝っ玉かあさん」「ありがとう」「渡る世間は鬼ばかり」(TBS系)にレギュラー出演した他 人気ドラマ「ふぞろいの林檎たちU」「アリよさらば」(TBS系)等にも出演し名脇役として活躍 又〔雑草を食べる〕と云う個性的なキャラでバラエティー番組でも活躍 私生活では77年に結婚し娘1人孫2人 2022年1月スタートの大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(NHK)に出演予定

 中野裕子



 〜管理人のひとこと〜

 私もTBSドラマ「渡鬼」を楽しみにして来たファンの一人である。妻は「理屈ポク・台詞が長く聞いてられ無い」と嫌うが、私はソコが面白いのである。この役者はどの様に努力してコノ長い台詞を覚えたのだろうか・・・難儀な役だな・・・と、同情しながら「途中で詰まら無いだろうか?」と意地悪な目線で見て居た。
 ドラマは次々と難儀な事件が起こり、それを色々な人が努力して切り抜けるのだが、常に時の話題を取り入れた斬新な設定の筋書きだった。これも、作者が猛勉強されて居たのだ。予算と時間と「人情」の三拍子が揃わ無いと不可能な企画なので、今後は期待出来ない作品だろう。コレはTVドラマ界の古き良き時代の産物だったのだ。













 

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