2021年10月01日
安倍晋三の暗躍 岸田総裁の創出
速報!! 安倍晋三の暗躍 陰で岸田総裁を創出する
菅義偉の仕掛けた世代交代は鎮圧され
安倍晋三が キングメーカーとして政界に君臨する事に為った
ジャーナリスト 田中良紹 9/30(木) 15:47
9月29日に行われた自民党総裁選は河野太郎の完敗に終わった。党員・党友票で過半数近い得票を得ながら、国会議員票を加えた1回目の投票で既に首位の座を岸田文雄に奪われ、国会議員票だけを見れば高市早苗にも敗れて3位と云う無残な結果だった。
決選投票等しなくとも河野の完敗はその時点で既に明らかで、決選投票は河野を針の筵(むしろ)に座らせて居ただけで在る。その残酷な時間を河野はジッと目を瞑(つむ)って耐え続けて居た。
河野が完敗した事は、自分が出馬しない代わりに河野を担いだ菅義偉(かんよしひで)の完敗を意味する。自民党に世代交代を引き起こし〔安倍⇔麻生体制〕を終わらせ様とした菅の野望は儚(はかな)く消えた。自民党に〔革命〕を起こそうとした菅の野望を鎮圧したのは安倍晋三で在る。
今回の総裁選の主役は、河野太郎でも岸田文雄でも高市早苗でも野田聖子でも無く安倍晋三只一人だ。
キングメーカー 安倍晋三 10-1-1
コロナ禍と云う危機の最中に現職総理を交代させる事等通常では考えられ無い。菅は恐らく無投票で再選されると信じて居ただろう。安倍からも麻生からも再選支持のサインが送られて居たからだ。処が安倍は菅に再選支持のサインを送りながら別の事を考えて居た。
安倍の岩盤支持層で在る〔右翼陣営〕が菅総理に不満を募らせて居たからだ。菅総理は少しも安倍路線に忠実で無いと右翼陣営の目には映って居た。
菅義偉(かんよしひで)の完敗 10-1-2
その象徴的な出来事が日本学術会議の任命拒否問題だ。安倍政権の方針に反対を表明した6人の学者を安倍政権は任命拒否した。しかしそれが公表されたのは菅政権に代わった直後だ。従って任命拒否の責任は菅総理が負う事に為る。
処が菅は野党の追及にシドロモドロの答弁を繰り返し、その人事は自分では無く杉田官房副長官が行ったと釈明し、右翼から見れば菅は・・・許し難い学者を非難する姿勢を見せ無い安倍政治の継承者に見えず、ソコから菅総理に対する不満が生まれた。
杉田官房副長官 10-1-3
野党やメディアは菅と安倍を一体と見るが、右翼陣営はそう思わ無い。安倍が宿題とした敵基地攻撃にも消極的で右翼イデオロギーが希薄だ。そして同時に安倍の継承者で在る筈の稲田朋美が、総理を目指す為なのかジェンダー問題でリベラル勢力と手を結び自分達の主張と相容れ無く為った。
安倍を支えて来た岩盤支持層の自民党不信は増大する。それが自民党離れを引き起こす事に為れば、安倍の政治力は減殺される。
右翼風おばさん 稲田朋美 10-1-4
それで無くとも〔安倍⇔麻生連合〕が生み出した菅政権は、河野太郎と小泉進次郎を重用し、自分が〔禅譲〕しようと思って居た岸田を徹底的に干し上げて居る。更に菅は総理を4年間は続ける姿勢を見せた。それは安倍の将来をも危うくする。
安倍はソモソモ東京五輪を招致した総理が開催時の総理も遣る事を目標にして来た。祖父の岸信介が五輪招致に成功したものの、60年安保を巡って退陣せざるを得無く為り、開催時の総理が池田勇人に代わった事に対するリベンジだ。
敗れ去った改革派 河野太郎 10-1-5
だから安倍はスーパーマリオの格好迄して東京五輪招致に力を入れた。2020年に東京五輪が開催されれば、開催国の総理として世界の注目を浴びた後、電撃的に退陣を表明し、岸田に政権を「禅譲」する予定だった。
世界中に惜しまれながらの退陣を演出する事で、安倍はキングメーカーとしての力を見せ着け、その余力で長州の先輩で在る桂太郎と同じ3度目の総理に就任する。そして憲法改正と云うレガシーを歴史に刻むのだ・・・それが安倍の夢だった。
小泉進次郎 1-10-6
しかしその夢にコロナが立ち塞がる。当初は自分の任期中に東京五輪を開催すべく、森喜朗前東京五輪組織委会長が提案した「2年延期」を退け「1年延期」を決定したが、コロナ対策と東京五輪開催の両立が困難な事を悟ると、病気を口実に一時的に避難する道を選ぶ。退陣して難事業を菅官房長官に委ねる事にしたのだ。
そして総理と為った菅が自分の夢の障害に為ら無い様、日本学術会議会員の任命拒否を「置き土産」にして踏み絵を踏ませ、国民的人気が出る事を阻止しようとした。
森喜朗前東京五輪組織委会長 10-1-7
これに対し菅はグリーンとデジタルと云う中長期の政策課題に国民に人気の在る河野太郎と小泉進次郎を登用し、安部が菅政権を潰しに掛かれば世代交代に打って出る構えを見せた。
コロナ対策と東京五輪の開催は、相反する事を同時に遣ろうとする矛盾の極致で在る。菅は安倍の言う「完全な形」では無く「無観客開催」で乗り切ろうとしたが「不完全な形」に為った五輪に安倍は出席する訳には行か無く為る。そして同時にコロナ対策と東京五輪開催と云う矛盾は菅政権の支持率を押し下げて行く。
私はその時点で安倍が菅の続投を見限り、岸田政権を誕生させると同時に自分の岩盤支持層を自民党に呼び戻す目的の自民党総裁選を画策し始めたと思う。
東京五輪中止に言及した二階幹事長を3A(安倍・麻生・甘利)の一人で在る甘利明に交代させろと菅総理に要求し、岸田には二階幹事長交代と総裁選出馬を表明させる。同時に無派閥の高市早苗に右翼陣営にアピールする主張をさせて総裁選出馬に踏み切らせた。
二階幹事長交代を要求された菅は、その要求に応えながらも甘利では無く、幹事長候補に小泉進次郎・河野太郎、そして安倍の天敵で在る石破茂の名前を出して抵抗した。それ等が拒否されると最後に自分は出馬せず、河野太郎を担ぐ事で世代交代と云う「革命」を実現しようとしたので在る。
新総裁 岸田文雄 10-1-8
世代交代は「革命」で在る。現役のベテラン議員に取って政治的死を意味するからだ。だから長老達は命懸けで世代交代を潰しに掛かる。私は田中角栄がキングメーカーとして日本政治に君臨して居た頃、田中支配に挑戦した若手政治家を、長老達が如何に恐れて居たかを知って居る。長老達は政敵同士で在っても手を結んで世代交代を潰しに掛かった。
角栄は私に「世代交代は革命だ。絶対に潰して見せる」と言ったが、角栄の天敵で在る福田赳夫も角栄が健在で在る限りは世代交代を認めず、安倍晋太郎は派閥を継承出来無かった。
田中角栄 10-1-9
その為田中派の金丸・竹下と安倍(父の晋太郎)は秘かに手を組む。親分には絶対知られ無い様にして仲間を増やして行った。そうして出来た竹下の「創政会」を安倍(父)は裏から応援する。しかし角栄が病に倒れ無ければ「創政会」は潰されて居たと私は思って居る。
それ程に凄まじい攻防が野党も巻き込み水面下で起きた。そして角栄が病に倒れた事で、竹下安倍(父) は夫々派閥の会長に為る事が出来た。私は世代交代が簡単では無い事を嫌と云う程思い知らされた。
派閥の数の論理に対抗するには国民的世論を動かすしか無い。それを証明したのは小泉純一郎で在る。小泉は森喜朗が退陣した後の2001年の自民党総裁選に出馬したが、派閥の数の論理で最大派閥の橋本龍太郎に勝てる筈は無かった。
しかし小泉は街頭で「自民党をブっ壊す!」と絶叫し、田中真紀子が応援演説をすると、忽(たちま)ち黒山の人だかりと為り、それをテレビが連日報道した為、日本列島に一種のフィーバーが起きた。自民党総裁選は自民党の枠を超えて国民的一大関心事に為った。
小泉純一郎 10-1-11
国民的熱狂に国会議員票は影響され、当選する筈の無かった小泉が総理と為り、自民党本部は観光バスのツアーが訪れる観光スポットに為った。今回の河野太郎陣営が目指したのはその再来だったのではないか。それ以外に〔安倍⇔麻生体制〕に対抗する方法は無い。
しかしコロナ禍がそれを阻んだ。今回も街頭で訴える事が出来れば、小泉進次郎や石破茂の応援に多くの聴衆を集める事は出来たと思う。それは岸田や高市・野田より多くの聴衆を集める事で、他候補との違いを可視化出来た。その効果で国会議員を動かし、派閥の論理を打ち破れた可能性は在る。しかしそれが出来無かった。
無用の長老 麻生太郎 10-1-12
一般の世論調査で5割を超える河野に対する支持率は可視化されず、それが可視化され無い為、自民党の党員・党友票も5割に近いとは云え5割を超え無かった。それでは派閥の締め付けを撥ね返す事が出来ない。更に菅政権の不人気から「選挙の顔」を代える様求めた若手に取って、菅の不出馬は一転して自民党の支持率を上昇させ、国民に人気の在る河野で無くとも選挙を戦えるのでは無いかと云う「錯覚」を生んだ。
それが「錯覚」だと思うのは、菅総理の退陣表明に敏感に反応したのは株式市場で、株価は3万円を超えてバブル期以来の最高値を付けたが、それは改革派の河野が新総理に為る事への期待感で在る。自然エネルギーへの転換が加速されるとマーケットは見たので株価は上昇した。
処が岸田が次期総理に為る事が分かると、29日の株式市場は大幅下げに転じた。新総裁が決まれば普通はご祝儀相場で株価は上がるものだが、マーケットは自民党に改革の意欲が無いと観たのだ。株価は将来を予測するもので在る。岸田政権の日本の将来をマーケットは明るく無いと予想した事に為る。岸田政権を誕生させたのは1から10迄安倍晋三の力だ。それは偏(ひとえ)に安倍の夢を実現させる為のもので在る。
自分の岩盤支持層(右翼勢力)を自民党に繋ぎ止め、岸田を傀儡(かいらい)にして3度目の総理就任に挑戦する。それに麻生と甘利が協力し、安倍政権を操った今井尚哉(いまいなおや)前総理首席秘書官が岸田の選挙参謀を務めた。岸田はこれ等の人達に操られる他に政権運営の方法は無い。
人事はそれを証明する事に為るだろう。そう為って初めて国民は岸田政権の本性を知る事に為る。9年前から続く〔安倍⇔麻生体制〕の延長に過ぎ無い事を。
今井尚哉 前総理首席秘書官 10-1-13
私が最も懸念するのは、気候変動問題で河野や小泉は自然エネルギーに大胆に舵を切る事を考えて居た。それが世界の潮流で在るからだ。しかし原発推進派の今井が操る岸田政権は、自然エネルギーより原発に依存する度合いが大きく為る。それでは世界から日本が取り残されて行く事に為ら無いか。
欧州を見て居ると、気候変動問題で自然エネルギーへの速やかな転換と、安全保障問題で米国に頼ら無い自立した軍事体制への転換が図られ様として居る。世界から手を引こうとする米国を見ればそれは当然の帰結で在る。
そうした中で岸田政権の誕生は、日本がこれ迄と変わら無い米国依存の路線を取り続けると思われる事に為る。米国は今、新型の小型原子炉を開発してそれを他国に売り着け様として居る。それに一早く乗ろうとして居るのが、高市や岸田の主張だった。そしてソコに河野との最大の違いが在った。
この選挙結果を見れば、自民党内での河野の主張は封印された。次の総裁選が行われる迄の3年間封印が解かれる事は無い。それを変え様と考える国民が居れば、国民が参加する選挙で岸田政権を倒すしか無い。
では今の野党に岸田政権を倒す力が在るか。私は悲観的に為らざるを得無い。実は河野総裁が誕生し自民党に世代交代が起これば、それは野党にも波及すると私は見て居た。河野政権を倒す為には野党のリーダーも若返りし無ければ為ら無いと国民は考え、野党にも世代交代の波は押し寄せると考えた。
しかしそう為ら無かったので、実は野党の幹部達は胸を撫で下ろして居るのでは無いかと思う。
岸田政権は表はリベラルだが実体は〔安倍⇔麻生体制〕で在る。野党に取っては表がリベラルで在るだけに攻め難い。そこに安倍の狙いは在る。それを打破するには、自民党内で封印された自然エネルギーへの大胆な転換を野党が前面に立てて岸田政権と対峙する事では無いか。水面下で河野達と連動する事も考えられる。
11月に予定される総選挙での政権交代は無く為ったと思うので、来年夏の参議院選挙で野党が過半数を得る事を目指す。「ネジレ」が生じれば岸田政権はソコで終わる。岸田政権が終われば安倍の夢も終わる。そうして日本政治に新たな舞台が登場する。
その為には野党はドンな事でも遣る。その覚悟を持た無ければ為ら無い。自分の肉を切らせて相手の骨を断つ。野党にその覚悟は在るか。
菅は自民党内で世代交代を仕掛け、今回は完敗したが、自民党が旧体制のママで居るのなら、野党の側にコソそれと同様の変革を起こさせ、参議院選挙で過半数を獲得する為の戦略を考える人間は居ないのか。それとも安倍の日本支配を許すのか。自民党総裁選はそれを考えさせた。
ジャーナリスト 田中良紹
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〜管理人のひとこと〜
〔安倍⇒菅の最悪コンビ〕が終了したと喜んで居たのだが、実は岸田氏を総裁に担ぎ上げたのは〔安倍⇔麻生連合〕の悪の復活を画策した安倍晋三の描いた策略だった・・・と、ジャーナリストの田中氏は指摘する。私達国民には、マスコミが報じる表面的な動きしか知らされ無い。
多くの国民は、安倍長期政権の〔政・官・民癒着〕の汚らしい動きに批判を通り越した〔倦んだ〕感情を持って居た。ソコに又も安倍晋三の仮病での中途放り出しで〔安倍傀儡の菅政権〕が生まれる。傀儡はコロナとオリンピックに挟まれ身動きも取れずに1年で政権を放り出す事態。
そして新たな自民の顔にと岸田氏を選任した。しかし、表は穏健なリベラルと見せ掛けた〔安倍⇔麻生連合〕の復活劇に過ぎ無かった様だ。このレポートは広く国民に知らせて頂きたいと思う。
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