2020年05月11日
池上彰が解説!今更聞け無い日本と韓国「対立の闇」
池上彰が解説!今更聞け無い
日本と韓国「対立の闇」
〜現代ビジネス 佐藤 優 5/11(月) 6:01配信〜
池上彰氏 写真 現代ビジネス
解釈が分かれた、日韓基本条約
『知らないと恥をかく 東アジアの大問題』は、ジャーナリストの池上彰氏と漫才コンビ「南海キャンディーズ」ツッコミ担当の山里亮太氏に依る優れた国際情勢解説だ。池上氏が持つ大量の知識から読者が関心を持つ内容を山里氏が巧みに引き出して居る。
韓国は日本の植民地支配を脱したのが1945年であるが、国交が正常化する迄に20年掛かった。その際に両国間の歴史認識の深刻な差異を玉虫色にして外交関係を樹立したツケを清算しなくては為ら無い状況に今日至っている。
山里 日本が引き揚げてから国交正常化迄可成り時間が有りますよね。
池上 時間が掛かりましたね。1965年に国交を正常化して〔日韓基本条約〕を結びました。その時、韓国を併合した条約〔韓国併合条約〕に付いてはどうなのか、と云う議論に為って、日本と韓国が激しく対立したんです。
日本にしてみれば、韓国併合は国際的に認められたものだ、何処からも文句が無かったと〔正当性〕を訴えた。韓国は「アノ時、日本は武力で無理遣り調印させたから無効だ」と。その結果、日韓基本条約は〔玉虫色の表現〕に為ったんです。
「日韓基本条約に依って、1910年8月22日以前に大日本帝国と大韓帝国との間で締結された全ての条約及び協定は、最早無効で有る事が確認される」
・・・こう云う言い方。詰り日本にしてみれば「前の条約も有効なものだったけど、新しい条約を結んだから前の条約が無効に為った」と解釈し、韓国は「嫌々、ソモソモ無効な条約だったと云う事を此処で改めて確認したよね」と。夫々が自分に取って都合の好い言い方が出来る様な条約に為って居ると云う事で、日本がソモソモ朝鮮半島を植民地化した事が合法か非合法かは決着し無いママ玉虫色で結んだと云う事です。
山里 で、同時に〔日韓請求権協定〕を。
池上 日韓基本条約を巡って日韓の間で交渉して要る時に、韓国が日本に対して「戦時賠償金を払え」と要求して来たんですよ。日本は戦争に負けた後、東南アジアの各国に、戦時賠償金を払って居るんです。だから韓国にも払えと。処が日本は韓国と戦争をして居ませんよね。
・・・最も韓国は〔亡命政府が日本と戦争して居た〕と強弁する。この辺りの事情に付いても詳しく解説して居る。
山里 だって、当時は日本の一部だった訳ですよね。
池上 そう、先の大戦で日本兵として戦った人も大勢居る。戦争をした訳じゃ無いからと拒んだ。でも、日本の朝鮮半島支配に反対する組織が上海に〔大韓民国臨時政府〕と云うのを作り、これが日本と戦争をして居たんだと言うんですよ。
事実〔大韓民国臨時政府〕は上海に出来たんですが、中華民国の庇護の下の形だけの存在で、実際は殆ど無いに等しい組織でした。処が韓国にしてみれば、この〔大韓民国臨時政府〕が日本と戦って韓国と云う国が出来たから戦時賠償金を払えと。
山里 それで売り言葉に買い言葉で、日本も韓国に対して請求権が有ると言い出したんですね。
池上 その通りです。
事実関係は2人が議論して居る通りだ。しかし、1965年当時と比べて韓国の国力は向上して居る。更に日韓基本条約は第3条で「大韓民国政府は、国際連合総会決議第百九十五号(三)に明らかに示されている通りの朝鮮に在る唯一の合法的な政府で有る事が確認される」と定められて居る。
将来、日本が北朝鮮・朝鮮民主主義人民共和国と国交正常化交渉を始めると、日韓基本条約第3条と矛盾する事に為るので、この条約の改定が必要に為る。外交は力と力の均衡で決まるので、1965年当時と比べ圧倒的な経済力が着いた韓国に対して日本は可成り譲歩し無くては為ら無く為るであろう。
コロナウイルスの「歴史」
新型コロナウイルスに関する遣り取りも興味深い。
山里 でも今回のウイルスは「新型」って付いて居るから。
池上 コロナウイルスが突然変異を起こしたんですね。ウイルスは生き物の細胞に入り込んで自分の遺伝子のコピーを作って増殖して行くんですけど、その過程でコピーミスを起こすんです。
このコピーミスこそがウイルスの変異。ミスなので大体はそこから生き延びる事は出来無いんですが、極稀にこれが強力なものに為る。
山里 突然変異して、確か、過去にも有りましたよね。
池上 コロナウイルスが突然変異したものって、過去に2種類見付かって居ます。ひとつは2002年に中国・広東省で発生したSARS・重症急性呼吸器症候群・(中略)もうひとつは2012年、サウジアラビアで発生したMERS・中東呼吸器症候群。
・・・通常の風邪の約3割はコロナウイルスが原因と言われて居る。普段は大した事の無いコロナウイルスが突然変異を起こして猛威を振るって居るのだ。
山里 人間って、考えてみれば小さなウイルスに勝て無い存在なんですね。
池上 その通り。人々は新型ウイルスと云う不条理と直面して居るんです。歴史を振り返ると、中世にはペストが大流行して大勢の人間が犠牲に為りました。(中略)全世界で少なくとも5000万人以上が死んだと云われる第1次世界大戦の頃の「スペイン風邪」は、インフルエンザウイルスに依るものだと判明して居ます。
・・・当時は風邪との区別が着か無かったんです。今回の新型肺炎も、言わば現代のペストであり現代のスペイン風邪なんでしょうね。新型コロナウイルスの致死率は、ペストやスペイン風邪と比べると遥かに低いが、経済に与える影響が深刻だ。
週刊現代2020年4月4日号より 佐藤 優 作家 以上
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