2020年04月07日
「緊急事態宣言」で知って置くべき12のこと
「緊急事態宣言」で知って置くべき12のこと
〜BUSINESS INSIDER JAPAN 4/7(火) 8:10配信〜
〜〔緊急事態宣言〕は〔ロックダウン〕と何が違うのか
私達の経済活動や日常生活にドンな影響を与えるのか〜
首都圏を中心に新型コロナウイルスの感染が拡大して居る事を受けて、安倍晋三首相は4月7日午後5時43分、法律に基づく「緊急事態」を宣言した。対象地域は東京・神奈川・埼玉・千葉・大阪・兵庫・福岡の7都府県。宣言の効力は5月6日迄の1カ月。
この〔緊急事態宣言〕とはどういうもので〔ロックダウン〕とどう違うのか。私達の経済活動や日常生活にどの様な影響を与え、どの様な課題があるのか・・・特措法の条文を基にまとめた。
Q.〔緊急事態宣言〕とは?
内閣総理大臣は、新型インフルエンザ等国民の大部分が免疫を獲得して居ない感染症が発生した場合、緊急の措置を講ずる為に〔緊急事態〕を宣言する事が出来る。これを〔新型インフルエンザ等緊急事態宣言 以下 緊急事態宣言〕と云う。
根拠と為る法律は〔新型インフルエンザ等対策特別措置法 以下特措法〕だ。元々は新型インフルエンザ等新感染症の対応策を定める為に2012年5月に公布されたが、この3月に新型コロナウイルスにも適用出来る様に改正された〔新型コロナウイルス特措法〕
Q.〔緊急事態宣言〕で何が出来るの?
内閣総理大臣が〔緊急事態〕を宣言すると、対象地域の都道府県知事が法律に基づき、感染防止に必要な協力を要請・指示が出来る。実際の〔要請〕や〔指示〕を発するのは、内閣総理大臣では無く都道府県知事と為る。
Q.〔緊急事態宣言〕発令迄のプロセスは?
内閣総理大臣が緊急事態を宣言する為には、特措法32条に基づき、以下の条件を満たす必要がある。
1)国内で発生した新型インフルエンザ等が、次の2要件を満たすこと。 「国民の生命や健康に著しく重大な被害を与えるおそれがある場合」 「全国的かつ急速なまん延によって国民生活と経済に甚大な影響を及ぼすおそれがある場合」
2)事前に感染症に関する専門家ら「諮問委員会」に図り、その意見を踏まえて緊急措置を実施すべき期間(2年を超え無い期間。但し1年延長可能)区域・緊急事態の概要(患者が確認された地域・患者数等・ウイルスの病原性・症状・感染拡大を防ぐ為に必要な情報等)を定める。
3)緊急事態宣言の発令を国会に報告し、公示し無ければ為ら無い。
Q.〔緊急事態宣言〕は〔ロックダウン〕と同じ?
日本では〔緊急事態宣言〕と共に〔ロックダウン・都市封鎖〕と云う強い言葉が独り歩きして居るが、ヨーロッパ等で見られる戒厳令の様な〔ロックダウン〕とは異なる。内閣官房新型インフルエンザ等対策室は、以下のような見解を示している。
・・・欧米に於けるロックダウンの様に強制的に罰則を伴う都市の閉鎖は生じません。特措法に基づき、都道府県知事により外出自粛要請・施設の使用制限に係る要請・指示・公表等が出来る様に為ります。ソモソモ、日本の現行法では〔ロックダウン〕の定義に付いて定められて居ない。日本の〔緊急事態宣言〕には罰則を伴う外出禁止命令や強制力を以て交通機関をストップさせる様な都市封鎖を実施出来る規定は無い。
一方、諸外国を見ると、例えばイギリスやフランスでは買い出しや散歩・医療上の理由・必要不可欠な出勤以外の外出が原則禁止され、ドイツでも連邦政府が外出自粛等のガイドラインを発表。ノルトライン=ヴェストファーレン(NRW)州など一部の州では違反者に罰金が課せられる。イタリアでは鉄道の運行停止・移動制限や必要不可欠な部門以外の生産活動を停止して居り、こうした措置を4月13日迄実施する。公共の場所での2人以上の集会を禁止し違反者には罰則を設ける州もある。
アメリカでは連邦政府が3月13日に〔非常事態宣言〕を発出。10人以上の会合やレストラン等での食事・不要不急の旅行を避ける等の大統領ガイドラインが出された。ニューヨーク州では一部を除き出勤禁止と為った。只、こうした国々では行動制限が課される一方〔ロックダウン〕に伴う損失の補償・給付・休業補償等の公的支援等が施されて居る。
Q.〔緊急事態宣言〕で、お店はどう為るの?
病院・薬局・コンビニやスーパーマーケット・食料品店等生活必需品を販売する施設が強制的に閉鎖される事は無い。緊急事態宣言が出された以降も買い物は出来る。JR・私鉄、バス・タクシー等の公共交通機関の運行を制限するものでは無い。電気・ガス・水道・電話・通信等のライフラインは平常通り維持され、銀行もメガバンクは全店で営業を続ける方針だ。
〔緊急事態宣言〕が出たからと云って、対象地域から別の地域に移動すれば感染を広げたり、移動先の医療体制を逼迫させたりする恐れがある、冷静な対応が必要だ。
Q.〔緊急事態宣言〕の対象と為った自治体で外出は出来るの?
都道府県知事は、生活維持に必要な場合を除き、妄りに外出し無い様「要請」出来る。医療機関への通院・生活必需品の買い物・必要不可欠な職場への出勤・健康維持の為の散歩やジョギング等〔生活の維持に必要な場合〕には外出出来る。只〔要請〕に応じ無かった場合の罰則は無い。
特措法45条 特定都道府県知事は(中略)当該特定都道府県知事が定める期間及び区域に於いて、生活の維持に必要な場合を除き妄りに当該者の居宅又はこれに相当する場所から外出し無い事(中略)を要請する事が出来る。
Q.使え無く為る可能性が在る施設は?
都道府県知事は、学校・デイサービスセンター等の社会福祉施設・映画館や劇場等娯楽施設・一定規模以上の遊技場・百貨店・美術館・キャバレー・ナイトクラブ・ボーリング場等の遊興施設・理髪店・学習塾等〔多数の者が利用する施設〕の使用制限を〔要請〕する事が出来る。但し〔要請〕に応じ無かった場合の罰則は無い。
〔緊急事態宣言〕が発出された場合も、百貨店やスーパーマーケットの中の食品・薬等生活必需品の売り場は営業出来る。
特措法45条の2 特定都道府県知事は(中略)学校、社会福祉施設(通所又は短期間の入所により利用されるものに限る)興行場・その他の政令で定める多数の者が利用する施設を管理する者又は当該施設を使用して催物を開催する者に対し、当該施設の使用の制限若しくは停止又は催物の開催の制限若しくは停止その他政令で定める措置を講ずる様要請する事が出来る。
Q.イベントはどう為るの?
特措法45条の2に基づき 都道府県知事はイベント開催の中止等を〔要請〕する事が出来る。又、正当な理由が無いのに施設管理者やイベント主催者が〔要請〕に応じ無い時は、都道府県知事が必要が有ると認める時に限り、中止を〔指示〕する事が出来る。〔要請〕や〔指示〕をした場合、都道府県知事はその旨を公表し無ければ為ら無い。只、この場合〔要請〕〔指示〕に応じ無かった場合の罰則は無い。
特措法45条の3 施設管理者等が正当な理由が無いのに前項の規定による要請に応じ無い時は、特定都道府県知事は(中略)特に必要が有ると認める時に限り、当該施設管理者等に対し、当該要請に係る措置を講ずべき事を指示する事が出来る。
Q.学校や保育園はどう為るの?
特措法45条の2に基づき 都道府県立の学校は知事の判断で休校出来る。私立学校や市町村立の小・中学校、保育園や学童保育等は知事が休校・休業を「要請」する事が出来る。
〔要請〕に応じ無い場合は、休業を〔指示〕出来るが応じ無かった場合の罰則は無い。
Q.他にどんな事が出来るの?
臨時の医療施設を開設する為に土地・建物を使用や医薬品・食品等の物資の売渡しを要請出来る。
特措法49条に基づき 都道府県知事は臨時の医療施設を開設する為に土地・建物を使用出来る。所有者の同意が得られ無い場合は強制的に〔収用〕出来る。
特措法55条に基づき 企業等に医薬品や食品等物資の売り渡しを〔要請〕出来る。所有者の同意が得られ無い場合は強制的に〔収用〕出来る。又、物資の保管を〔命令〕する事が出来る。
Q.「要請」「指示」に応じ無かった場合、罰則は無いの?
特措法の中で罰則が定められて居るのは、以下の2つだけだ。
⊡ 命令に従わず物資を隠したり、廃棄・搬出等をした場合。
特措法76条 第55条第3項の規定による特定都道府県知事の命令又は同条第4項の規定による指定行政機関の長若しくは指定地方行政機関の長の命令に従わず、特定物資を隠匿し、損壊し、廃棄し、又は搬出した者は、6月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
⊡ 物資の保管場所の立ち入り検査を拒否したり、妨害、虚偽報告などをした場合
特措法77条 第72条第1項若しくは第2項の規定による立入検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は同項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をした者は30万円以下の罰金に処する。
Q.「緊急事態宣言」で強制的な休業は有り得るの?収入は補償されるの?
特措法では、民間企業の経済活動を強制的に止める措置に付いての直接的な規定は無い。〔緊急事態宣言〕による〔要請〕〔指示〕を受けて企業が休業したりイベントが中止に為った場合の補償に付いても定められて居ない。営業停止を求められた事業者等への損失補てんに付いて、安倍首相は7日の衆院議院運営委員会で「現実的で無い」と否定。
飲食店に物品を納入する業者と飲食店を例に挙げて「自粛養成して居る人(飲食店)に限って補てんするのはバランスを欠く」との見解を述べた。
労働者の場合はどうか。労働基準法26条では会社が労働者に仕事を休ませる措置を執る等、会社の責任・判断で労働者を休ませる場合は、休業期間中に休業手当(平均賃金の60%以上)を支払わ無ければ為ら無い。只、緊急事態宣言に基づく休業が〔使用者の責任〕に為るかどうか不透明だと云う声がある。
労働者の権利擁護に取り組む弁護士団体〔日本労働弁護団〕は〔国や地方自治体から自粛の要請を受けたと云う事を理由にしたとしても、 会社が労働者に労務を提供させる事が可能であるのに、自らの判断に依って休みにする場合には『使用者の責めに帰すべき事由』(民法条項)が有るものと考えられます」と指摘する。
その上で「労働者としては、会社に対して就労させる様求め、賃金全額の支払いを求めましょう」と呼び掛けて居る。日本労働弁護団の東京本部では、毎週月・火・木の 15〜 18時、土の13時〜16時に電話による無料の労働相談に応じて居る。 電話番号は03-3251-5363
文・吉川慧 ※編集部より:安倍首相が緊急事態宣言を発出した事を受けて記事を更新しました(2020/04/07 17:49)
吉川慧 以上
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