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ハナブサチロロ
世田谷区出身。
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2023年06月01日

映画『たまつきの夢』(2022/田口敬太監督)@映画美学校試写室

舞台は昭和初期大戦前夜。空想浪漫文学的映画。
スタンダードサイズに長回し。カットバックも少ない。

戦いにおける死、病による死、自ら選ぶ死、それら様々な死を潜り抜けていく生を想う。
もう少し人間の色気が漂う感じが欲しかった。



2023年05月28日

映画『老ナルキソス』(2022/東海林毅監督)@K's cinema。

老いてゆく肉体。変容していく社会。様々な家族のカタチ。不安が過る時間。
現代を見つめながらどこか寓話のようでもある。インサートされるカットを含め、青春の残り香を感じる海、あの世の入り口のような海、暗い水の中のイメージなどの映像に痺れる。
老絵本作家・山崎の友人役の日出郎、担当編集者役の千葉雅子、担当医師役の津田寛治、そしてかつての恋人役・村井國夫ら俳優陣が素晴らしい。
明日は月曜日。死に向かっていく日々は現在進行形である。



2023年05月26日

映画『青いカフタンの仕立て屋』(2022/フランス・モロッコ・ベルギー・デンマーク/マリヤム・トゥザニ監督)@京橋テアトル

ある夫婦のかたち。
舞台はモロッコの海沿いの街・サレ。
涙で脱水。

滑らかに進んでいく物語と言葉にならない気持ちを表した脚本がいい。クリスチャン・エイドネス・アンデルセンの音楽もいい。何気ない喜怒哀楽と深い愛を表現したルブナ・アザバル、凄い俳優だ。




2023年05月23日

映画『TOCKA[タスカー]』(2022/鎌田義孝監督)@ K's cinema

前からそうなのかもしれないが、TVから流れてくる情報は庶民にとっては手が届きそうのないものばかり。
病院に行くことさえ躊躇する人がこれから増えてきそうな世の中に合っていない気がするのである。

ヴァイオリン(斎藤ネコ)がレクイエムのように響き、ズシーンとくる。生きる意味を考える時はかなり危うい時だ。荒涼とした風景が誰かの絶望を表しているように見える。
登場人物たちの母親たちのさりげなく印象に残る描写がとても良かった。認めたくはないが認めざるを得ない気持ちで一杯に。ただ3人が出会えたことは本当に良かった。



2023年05月20日

洒落ててロマンティック、せつなくチャーミング

昨日は北沢タウンホールで『石井彰 月影の浪漫。』。まずは石井彰(p) 、吉野弘志(b) 、池長一美(ds)のトリオで。
洒落ててロマンティック、でもここは下北沢ということで、はるか昔、地下にあったステージドアで呑んだ夜を思い出す。色で言えば飴色。溶けていく氷がぬるっと光る、ような。
ゲストで吉田美奈子登場。ジョニ・ミッチェルの「Answer Me,My Love」がせつなくチャーミング、ラフマニノフの「Vocalise」は圧巻。

遅めの夕飯はつ串亭で。
ここは老舗だけど兄弟の料理はどんどん旨くなっていく。
そして安定の牛すじ煮込み、とりわさ。



2023年04月05日

映画『エスパーX探偵社〜さよならのさがしもの〜』(2023/木場明義監督)@映画美学校。

まず、殴られると相手とリンクできるという能力が面白い(もちろんその様も)。
藤村蘭子というモンスターの存在がかなり強力だ。刑事・南野を演じた佐伯大地の「演じ分け」も見どころ。そして、傷だらけの探偵さんが少しダサくて良いのである。

下町の風景も良く、映像の色合いも良かったので、欲を言えばもう少しグッと掴まれる画が欲しかった。

面白い探偵映画登場。



2023年03月23日

映画『アダマン号に乗って』(仏・日/2022/ニコラ・フィリベール監督)@松竹試写室。

パリ・セーヌ川に浮かぶ木造の船。このドキュメンタリーの舞台であるパリ中央精神科医療グループのデイケアセンターである。
素材の半分ほどは監督自らがカメラを回したとのこと。ほとんど警戒されず、患者たちは詩的で哲学的な言葉で語り出す。時には音楽を奏でる。それぞれの孤独が垣間見えながらもここはとても奇跡的な場所なんだろうと思う。
美味しそうにコーヒーを飲み、語らう彼らの姿に、温度を感じた。




2023年03月15日

映画『いちばん逢いたいひと』(2022/丈監督)@シネ・リーブル池袋

急性骨髄性白血病を患った少女・楓、娘を白血病で失った男・柳井の運命の物語。人生は支え支えられのお互いさまと感じる。
崔哲浩が柳井をエネルギッシュに演じ物語をリードしていく。そして柳井の年老いた母を演じた中村玉緒の存在感がとても大きかった。



2023年02月19日

暖かな日の散歩〜梅の季節の合田佐和子に婆娑羅締め〜

お昼は梅ヶ丘のボノボで醤油ラーメン、安定の旨さ。
羽根木公園で梅を見ながらワンカップ。
まだ蕾がある。もう少し花開くだろう。

三鷹市美術ギャラリーにて「合田佐和子展 帰る途もつもりもない」。硬質なイメージ、怪奇な存在感。
常に刺激を求め、しかしながらレンズを通して見える世界、また、眼そのものへの飽くなき探求。
唐十郎、寺山修司から引っ張りだこのアートワーク。おそらくこのお二方には大きな刺激を与えていたのだろう。
それにしても画材を買えない経済事情からモノクロで書いたり、子供を育てながらキッチンで絵を描いていたり、強い人だ。
2000年作の「ロゼッタ・ギャラクシー(幾百万年の舟)」はある到達点か。
オブジェ、絵画、写真、イラストレーション、資料ほか魅惑の300点。

夜は三鷹・婆娑羅。
もつ焼き、もつ煮、旨い旨い。
ホッケ焼き、焼き方最高。



2023年02月17日

映画『雑魚どもよ、大志を抱け!』(2022/足立紳監督)@東映試写室

舞台は1988年。勇気と仲間の物語。『スタンド・バイ・ミー』が重なってくる。
物語が進むにつれ少年たちそれぞれにしっかりスポットライトが当たって来るシナリオ。
若い俳優たち、皆良いが特に西野監督役の岩田奏がとても良い。お芝居は初めてとのこと。
そして、みんなで映画を撮ろうと盛り上がる姿にグッとくる。
長回し&雨降らしが相米映画みたいでいい。採石場での決闘は東映的だ。
足立監督の過去作『14の夜』と同様、確かにバブルの空気は某神奈川の片田舎にも来ていなかったなあと思う。
昭和時代の友の声が聴こえてきそう。ヤクザになった少年のことを思い出した。



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