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2019年08月27日

これからの再エネとして期待される風力発電  その2




 


 

 これからの再エネとして期待される風力発電  その2


 【インタビュー】「将来はヨーロッパで最大の電源に〜拡大する風力発電」加藤仁 氏(前編)


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            日本風力発電協会代表理事の加藤仁氏 

 再生可能エネルギー(再エネ)のひとつ、風力発電。国によっては電源(電気をつくる方法)の内可なりの割合を占める様に為りつつあります。日本風力発電協会代表理事の加藤仁氏に、風力発電先進国であるヨーロッパの現状や、日本の風力発電に残されている課題を伺い、風力発電の将来像を探ります。前後編の2回に分けてお届けします。


 ヨーロッパで風力発電が普及した要因とは

 ・・・日本では再エネの主流は太陽光で、風力はマダマダ遅れを取って居ます。一方、ヨーロッパでは風力発電が普及して居り、近年更に増えて居ると聞きます。普及の要因には何があるとお考えですか。

 加藤 最近のニュースでは、ヨーロッパの風力発電は、2027年におけるkWhをベースにした各電源の比較において、最大の電源に為ると云う予測が報じられて居ます。我々の予測でも、同様の数字が出て居ます。風力発電は、ヨーロッパにおいて、それだけの存在感を持つ電源と為って居ると云う事です。
 その要因として、先ず、ヨーロッパは、「風況が良い」所謂発電に良い風が吹いて居て、風力発電に打って付けの環境があります。風が強い方が沢山発電出来る訳ですから、風力発電に取って「風況が良い」とは「強い風が吹いている」と云う事です。
どの様な風か?と云うと、風力発電では、年間を通しての平均風速を目安としています。ヨーロッパでは冬場など季節によって非常に強い風が吹く事があり、平均風速はおおよそ9〜10m/s前後です。

 元々ヨーロッパには、風車を動力として利用する文化が古くから根付いて居ました。風車メーカーもヨーロッパから始まりましたから、長年にわたる技術的な蓄積があります。ヨーロッパにおける風力発電の普及の背景には、その様な積み重ねた高度な技術力を活かし、信頼性の高い風車を作る事が出来るメーカーがあると云う事が、先ず前提としてあります。
 風力発電と云うのは、数百万円程の部品が故障した場合、その部品を交換・修理するのにクレーンが必要に為ってしまう事から、結果的には数千万円もの修理費が掛かってしまう事があります。洋上風力発電に為ると、修理に必要なSEP(Self Elevating Platform)と云う大型船の費用が相当に高い為、更に膨大な費用が必要に為ります。ですから、精度が高く信頼性も高い製品が作る事が出来ると云う要素は、風力発電の普及の為には必須なのです。

 ・・・先ず、その様な下地があったと云う事ですね。

 加藤 その上で、この5年程の間に起こった変化とは、陸上の風力発電に加えて、洋上風力発電が増えたことです。ヨーロッパでは、陸上風車の技術を改良しながら、洋上風車の建設をこの20年程の間に少しずつ進めて来ました。
 5年ほど前に8MW(0.8万kW)クラスの洋上専用の風車が開発されると、これ迄の倍以上の電気を作り出す事が出来る様に為り、その為kW当たりの発電コストが下がりました。発電コストが下がる事で風力発電導入費用も下がり、風力発電の普及がドンドン進むと云う相乗効果が現れて居ます。


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      リルグルンド風力発電(デンマークとスウェーデン国境付近バルト海上)


 ・・洋上風力発電が、ヨーロッパの風力発電の成長を更に拡大して居るのですね。

 加藤 そうですね。洋上風力発電に付いては、ヨーロッパは北海油田の開発を進めて来た歴史がある為、海洋エネルギー利用に元々積極的でした。実は、過つて北海油田のプラットフォームで作業をして居た人達が、今、洋上風力発電に携わって居ます。
 北海油田が下火に為った為に、その雇用の受け皿として洋上風力発電に力を入れて居ると云う経緯もあります。

 洋上に於ける風車の建設は、プロレスラーの様な屈強な海の男無しでは無し得ません。彼等は、10kg程の重さのハーネス(安全帯)を着けて海上で作業をします。又、洋上風車建設の作業工程を担うには特別な資格も必要なのですが、その資格を取得する為の訓練場ではヘリコプターのコックピット毎プールに沈められてそこから脱出する等、凄まじい訓練を積んでいます。
 そうした訓練を経て資格を取得した海の男が、洋上風車の建設やメンテナンスに携わる事が出来るのです。北海油田の作業経験者を起用する事が出来たという事も、ヨーロッパで洋上風力発電が拡大する要因の一つと為った訳です。


 




 洋上風力発電の建設を促進した再エネ政策

 加藤 この様な風力発電の増加には、ヨーロッパが再エネ推進へと政策を転じた事も影響して居ます。この再エネ転換政策は、CO2排出を削減して行くと云う課題が世界の高い関心事に為った事から始まって居ます。
 政策を国の方針にしたり、EU全体として取り組んだりして居る事から影響が大きく、特に規模が大きい洋上風力発電に関して言えば、その影響は絶大です。

 ・・・風力発電に付いて、ヨーロッパではどの様な政策が行われて居るのでしょうか。

 加藤 先ず、国が洋上風力の明確な導入目標をコミットして居ます。そして国が中心と為って、洋上風力発電に利用する海域のゾーニングを行って居ます。海域の利用について洋上風力発電と利害が対立する事もある漁業者との交渉等も、基本的に国が主導して行って居ます。
 イギリスでは、国が一定の海域を洋上風力発電の場所に指定しており、その海域を割り当てられた各事業者が、地盤や風況を調べて洋上風力発電に取り組むと云う流れに為って居ます。     

 一方で、事業者が発電事業以外に煩わされる事の無い様、国が主導して事業環境を整えて居る処もあります。その中で最も徹底して居るのがオランダで、国が風力発電に利用する海域を決めて環境アセスメントを行い、風況データの採取や地盤の状況の調査も行います。
 又洋上の風力発電所と陸上を結ぶ海底の送電線設置等も国が実施します。その様な準備を国が行った上で、「後は発電所を建設するだけですが、幾らで出来ますか」と入札させるのです。これが、オランダのセントラル方式と呼ばれて居るものです。

 ・・・国として風力発電事業者をサポートすることが、結果的に風力発電由来の電力コスト減に繋がって居るのですね。

 加藤 エネルギー政策の転換が起こった事で、電力会社も、これ迄と異なる方針へと転換して居ます。例えば、これ迄原子力発電に携わって居たドイツのRWE社やE.ON社と云ったヨーロッパの電力会社の業績は一時赤字に為りましたが、その後再エネに舵を切り、今や100万kWクラスの洋上風力発電を手がける迄に為って居ます。
 只、そもそものマーケットが存在しなくては、風車を製造する機会が得られず、技術的な蓄積も出来無かったでしょう。米国やヨーロッパでは、陸上風力発電のマーケットが、以前から形成されて居ました。更に、洋上風力発電が推進されたお蔭で、マーケットはより一層拡大して居ます。日本で風力発電が普及して来なかったのは、日本国内にマーケットが無かった事も大きな原因です。ホームマーケットが無い処には、企業は育ちませんから。


 




 日本の自然条件は風力発電に適して居るのか

 ・・・対して、日本の風力発電に関する状況は今どの様に為って居るのでしょうか。そもそも、日本の自然条件は風力発電に取ってどうなのですか。   

 加藤 日本の平均風速はおおよそ6〜7m/s程で、場所によっては8m/sの所もありますが、平均風速ではヨーロッパには及びません。只、日本の風況は「風力発電が出来無い」と云う事ではありません。平均風速からおおよその年間発電量を割り出すと、ヨーロッパに比べて発電コストがヤヤ高く為ってしまうと云うだけのことです。
 風況に関して云えば、日本には台風が襲来するリスクがあります。しかし、その様な強風に対しては、羽の強度を上げる、風を逃す様に作動させる等、現在の技術で対応する事が出来ます。又、ここ数年は台湾等で洋上風力発電の導入が進んで来た事から、風車にも、東南アジア特有の台風等の自然条件を勘案した「クラスT」と云う強度の国際基準が新設されました。
 過去数十年の風況のデータを基にして強度を設定して居り、台風の強風にも耐え得る風車が設計され始めて居ます。

 ・・・日本の海は、陸地から比較的近い海域で水深が深く為って居ますが、洋上風力発電の建設は出来るのでしょうか。

 加藤 その疑問は当然あるでしょう。日本風力発電協会では、10万kW以上の着床式の洋上風力発電所を設置する事が出来る場所の条件を「年間の平均風速7m/s以上の風が吹く場所で、20km2のまとまった面積を確保出来る場所、かつ水深40mまで」と定義して居ます。
 我々は、こうした条件の場所が、日本周辺の海域にどれ程あるかと云う事を調査しました。それによると、理論上では、日本周辺の洋上で合計9,100万kW分の発電所が建設出来ると云う結果が得られました。船の航路や経済的活動をして居るエリアを除いても、1割程度の1,000万kW程は実現可能だと考えて、2030年の洋上風力発電の導入目標を10GW(1,000万kW)とする様に政府に提言して居ます。

 他にも、日本特有の自然条件として地震が挙げられますが、これは大きな揺れに余裕を以て耐えられる基礎を如何に作るかと云う問題で、建物や橋等の構造物と同様です。対処出来無い課題と云う訳ではありません。我々としては、風力発電における日本特有の自然環境に対する不安や課題は、克服する事が十分可能であると考えて居ます。

 ・・・自然条件で見れば、日本も決して風力発電に向いていない訳では無いと云う事ですね。後編出はさらに、日本に於ける風力発電の将来に付いて伺います。


 プロフィール 加藤 仁(かとう じん) 1953年生まれ。1977年、三菱重工業株式会社入社。2008年にエネルギー・環境統括戦略室長、2013年に執行役員原動機事業本部副事業本部長 兼 風車事業部長。2014年、MHI Vestas Offshore Wind A/SのCo-CEO。2017年、日本風力開発株式会社副会長。2018年から一般社団法人 日本風力発電協会代表理事に就任。



 



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