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2019年08月25日

アメリカの闇 暗黒史を知る・・・映画の紹介




 




 
 アメリカの暗黒史を調べて行く上で、キリスト教・ユダヤ教を含めた所謂、宗教問題に黒人差別や出身地に依る人種差別・・・麻薬や銃の問題等、図り知れぬ程の闇を抱えた国家、詰まり現在のアメリカの闇である暗黒史の一端は、そのままアメリカ映画に一つのジャンルを得て居ます。
 自らそれを公表し映画化し赤裸々に批判出来る素地も持って居る訳で、そこがアメリカと云う懐の広く深い文化だとも言えるでしょう・・・次のレポートをご紹介します・・・



 クライム・アクション映画から知る 暗黒のアメリカ犯罪史

           〜suppy841ライター 2018/03/05〜


 〜世界の映画と音楽と言語を愛でる アラフォー主婦 特にアクション映画とヘビメタ音楽を好む・・・投稿者が書いた記事を読む〜


 アメリカにギャングが誕生した当時を描いた『ギャング・オブ・ニューヨーク(2002年)』や、西部劇に登場する実在のアウトロー達を追った『明日に向って撃て!(1970年)』等、ハリウッド映画では実話に基づいたクライム映画が数多く製作されて来ました。今回は魅力的なアウトローを主人公にしたクライム・アクション作品を紹介します。
 更に、これ等の実在の人物や事件にフォーカスした作品から、アメリカの犯罪史の変遷を考察して行きたいと思います。アメリカと云う国を形成して来た裏の顔を映画から知るのも又面白いかも知れません!


 





 ギャング・オブ・ニューヨーク【2002年】


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 あらすじ 1864年のニューヨークのファイブ・ポインツ地区では住民集団の支配権争いが続いて居ました。アメリカ生まれの集団「ネイティブ・アメリカンズ」に対抗する為、アイルランド系移民は「デッド・ラビッツ」を結成します。
 リーダー同士の決闘で父親を殺されたアムステルダム(レオナルド・ディカプリオ)は、仇のビル・ザ・ブッチャー(ダニエル・デイ=ルイス)に復讐を誓い「ネイティブ・アメリカンズ」に潜入。しかしそこでビルの元情婦ジェニー(キャメロン・ディアス)と恋に落ちてしまいます。
 見所 マーティン・スコセッシ監督が長年温めて来た念願の企画が、19世紀のニューヨークに生きた移民達の物語『ギャング・オブ・ニューヨーク』。発想の元と為ったのはハーバート・アズベリーの同名著書で、100年に渉ってニューヨークのギャング社会に付いて綴られたノンフィクションです。
 ギャング団の誕生 ネイティブ・アメリカンズはプロテスタント、デッド・ラビッツはカトリックを信仰して居り、民族・宗教的対立が先住民と移民の抗争を生んで居た事が判ります。そしてこれがギャング団の誕生に繋がって行くのです。
 マンハッタン島に先に住み着いたイギリス系移民がWASP(ホワイト・アングロサクソン・プロテスタント)でありネイティブ・アメリカンズです。詰まり先住して居た移民達が現在のニューヨークの街と白人至上主義を、後から来た移民達が多民族国家アメリカを形成して云った事をこの作品から知る事が出来ます。


 明日に向かって撃て!【1970年】


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 あらすじ 開拓時代も終わろうとして居た1890年代の西部で、銀行や列車強盗を続けて居たブッチ・キャシディ(ポール・ニューマン)とサンダンス・キッド(ロバート・レッドフォード)。ブッチには資源豊富なボリビアへ渡る夢があり、スペイン語が話せる教師エッタ・プレイス(キャサリン・ロス)と3人で南米を目指します。
 見どころ 『明日に向かって撃て!』は原題を『Butch Cassidy and the Sundance Kid』と言い、実在した列車銀行強盗犯ブッチ・キャシディとサンダンス・キッドを主人公にして居ます。西部開拓時代から現代史への転換期に活動したアウトローとして有名な2人組です。
 西部開拓時代の終焉 ブッチは元々は無法者集団「ワイルド・バンチ」のリーダーで、サンダンスを途中で加入させました。ロッキー山脈に在った「壁の穴」と呼ばれた隠れ家から銀行や列車を襲撃したと言われて居ます。ボリビアに渡ったのは20世紀初頭。結局彼等はそこでも強盗を続け、警察との銃撃戦で物語は幕を閉じます。
 伝説と為った2人には生存説もありますが、銃撃によって死亡したのは1908年とされています。ブッチとサンダンスは西部開拓時代の終わりを告げるアウトローであり、1914年の第一次世界大戦突入と共にアメリカのフロンティア精神は新時代を迎える事に為ります。


 




 アンタッチャブル【1987年】


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 あらすじ 禁酒法が制定されて10年を経た1930年、アル・カポネ(ロバート・デ・ニーロ)は禁酒法を悪用した酒の密造と密輸でギャングのボスに伸し上がり、シカゴを牛耳って居ました。政府から派遣された財務省のエリオット・ネス(ケビン・コスナー)は、シカゴ市警と協力して密造酒摘発で動き出します。
 見どころ 1920年代のシカゴを牛耳って居たアル・カポネ。警察や裁判所さえも買収するギャングのボスを脱税の容疑で逮捕したのが、財務省の特別捜査官エリオット・ネスでした。本作は、この実在の捜査官が率いたチーム「アンタッチャブル」とカポネとの闘いを描いています。
 禁酒法とギャングの台頭 禁酒法とは1920年から1933年に施行された国の法律で、消費の為の酒類製造や販売、輸送を禁止するものです。政治や宗教的な観点から広まった禁酒運動によって制定に漕ぎ着けましたが、逆に違法酒場やカポネの様なギャングの密造密輸を増やし「世紀の悪法」とも揶揄されました。
 アル・カポネはニューヨーク生まれのイタリア系アメリカ人で、1920年にシカゴへ拠点を移して居ます。瞬く間にシカゴギャングの中でも出世頭と為ったカポネは、1926年には組織のトップに立ち、酒の密売と権力の買収で街を実質支配して「暗黒街の顔役」と為って好きました。
 禁酒法とそれに伴うギャングの抗争で、シカゴでも多くの警察官やギャング、そして市民までもが犠牲に為ったと言います。ロバート・デ・ニーロ演じるアル・カポネの不敵な態度も実に印象的で、ギャングに支配されたシカゴ市民達の戦々恐々とした様子が描かれて居ます。


 俺たちに明日はない【1968年】


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 あらすじ 刑務所帰りのクライド・バロウ(ウォーレン・ベイティ)は、盗む車を物色して居た処でボニー・パーカー(フェイ・ダナウェイ)と出会います。直ぐに惹かれ合った2人は車を盗んで銀行強盗を働く様に。そして仲間も加わり「バロウ・ギャング」強盗団として新聞に報道され有名に為って行きます。
 見どころ 原題の『Bonnie and Clyde』が示す通り、1930年代初頭にテキサス州を荒らした実在の銀行強盗犯ボニー&クライドが主人公。2人の出会いから衝撃的な死を描いたアメリカン・ニューシネマの傑作です。
 大恐慌時代の闇 30年代は世界恐慌による不景気で荒んだ時代。底辺の生活を余儀無くされた人々は、権力に抗う義賊的なアウトローとして彼等を歓迎した風潮もあった様です。実際作中には、銀行に押し入ったクライドが市民の金には手を着け無いと云った場面や、銃撃で負傷したボニー達の車を取り巻いて心配そうに様子を伺う人々も登場して居ます。
 逃走するバロウ・ギャング達と警察とのカーチェイスでは、30年代のクラシック・カーの数々を見る事が出来ます。特に2人が逃走の為盗み、最期を遂げたフォードV8は当時最新最速の大衆車。フォードが心血注いで開発した庶民の為の車が、その加速力で犯罪者の逃走に役立って居たと云うもの皮肉な話です。
1934年5月23日、ルイジアナ州警察とテキサス・レンジャーによって待ち伏せを受けたクライドとボニーは、機関銃の連射を浴びて絶命。ボニーとクライドの物語は、ボニーが創作して新聞社に送った詩の様に後世に残る語り草と為ったのです。


 




 パブリック・エネミーズ【2009年】 


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 あらすじ 1930年代初頭の大恐慌時代、ジョン・デリンジャー(ジョニー・デップ)は権力を嘲笑う様に大胆な手口で銀行強盗と脱獄を繰り返し、遂にFBIに「社会の敵No.1」として指名手配されます。そんな中、デリンジャーはビリー・フレシェット(マリオン・コティヤール)と云う恋人を得ますが、捜査の手は確実に迫って居ました。
 見どころ 丁度ボニーとクライドがルイジアナ州で銃撃を受けた2ヶ月後、同じく当時、義賊と民衆に持て囃された犯罪王ジョン・デリンジャーがFBI捜査官に射殺されました。『パブリック・エネミーズ』はデリンジャー・ギャングとFBIとの戦いを描いて居ます。
 ダークヒーローとしてのギャング デリンジャーを全国指名手配したのは、FBI初代長官のジョン・エドガー・フーヴァー。デリンジャーが州を跨いで逃亡した事から、複数の州に渡る広域犯罪に対処する為にFBIの前身機関が改革され、現在のFBI組織が新創設されたばかりでした。
 こう考えると皮肉な事に、大衆が味方した犯罪王を倒した事でFBIの権威を引き上げることに為った訳です。しかしブッチとサンダンス、ボニーとクライド同様、デリンジャーも又権力と戦ったアウトローとして伝説に為って居ます。義賊的な犯罪者に憧れを抱く風潮があるのも、アメリカの国民性の特徴かも知れません。


 L.A.ギャングストーリー【2013年】


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 あらすじ 舞台は1949年のロサンゼルス。ミッキー・コーエン(ショーン・ペン)は、麻薬・銃器取引や賭博・売春で名を挙げ、政治家や警察を買収して街を実質的に支配して居ました。そんなコーエンの帝国を根底から破壊する任務に就いたのが、オマラ巡査部長(ジョシュ・ブローリン)が選んだ極秘チーム「ギャングスター・スクワッド」。
 ウーターズ巡査部長(ライアン・ゴズリング)を筆頭にロス市警の逸れ者ばかりで結成された部隊は、ギャングさながらのゲリラ戦でコーエンを追い詰めて行きます。
 見どころ 邦題を見るとロスの街を支配した実在のギャングであるミッキー・コーエンが主人公の様に感じますが、この作品は原題の『Gangster Squad』が示す通り、コーエンと戦ったロス市警「ギャング部隊」の物語です。
 大都市を蝕むギャングと権力の癒着 原作と為ったのは1940〜50年当時のロサンゼルスの街を描いたノンフィクション作品で、映画化に当たり「ロサンゼルス・タイムズ」の連載記事をまとめたものです。未だ第二次世界大戦後間も無い時代で、オマラも兵士として戦地で戦った事を劇中語っています。
 「"天使の街"ロスで平穏に暮らす為に戦地で戦った、そして今はギャングから守る為に戦う」と。
ミッキー・コーエンはニューヨーク生まれロサンゼルス育ちのユダヤ系ギャングで、10代の頃はプロボクサーを目指して居ました。ギャングの世界に入ったのはシカゴで、アル・カポネに憧れを抱いて居た様です。ロスに戻りバグジー・シーゲルの下で働く様に為ります。映画とは違い、実際はカポネ同様脱税の罪で実刑判決を受けて居ます。
 ニューヨークで発生したギャング集団は、20年代の禁酒法時代や30年代の恐慌時代、40年代の大戦時代を経て、シカゴやロス等の都市部に根を張り、50年代にも為ると政治や警察との癒着を持って悪徳栄える街を形成して行ったのです。


 




 逃亡者【1993年】


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 あらすじ シカゴ記念病院に勤める外科医リチャード・キンブル(ハリソン・フォード)は、或る日突然、妻ヘレン(セーラ・ウォード)の殺人容疑で逮捕されてしまいます。裁判でも無実を証明することは出来ず、死刑判決を受けるのでした。
 しかし刑務所へ護送される途中、他の囚人の逃亡に乗じて逃走。連邦保安官補ジェラード(トミー・リー・ジョーンズ)の執念の追跡の中、真犯人を追う覚悟を決めます。
 見どころ 1993年公開の映画『逃亡者』は、1960年代に人気を博したテレビドラマ『逃亡者』を元にリメイクした作品です。妻殺しの冤罪を晴らす為、逃亡しながら真犯人を探すと云うクライム・サスペンスの要素も持って居ます。
 全米が注目した冤罪事件 ドラマ版『逃亡者』の元に為って居る冤罪事件が、1954年に起きた「サム・シェパード事件」です。サム・シェパードは、自宅で妻マリリンを殺されたオハイオ州の医師。しかし警察はサムを容疑者として逮捕し、裁判では終身刑の宣告を受けました。
 ドラマや映画の様に逃亡して真犯人を探す事はありませんでしたが、再審中に脚色して放送されたドラマにより、事件は世間の注目を集めました。そして1966年の再審でサムは無罪を勝ち取って居ます。アメリカ現代史に存在する冤罪事件の中でも有名であり、警察組織やマスコミ・世論の闇を感じられる事件です。杜撰な捜査と無責任な世論で有罪と為り、又興味本位な世論により無罪と為った訳です。


 ブラック・スキャンダル【2016年】


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 あらすじ 1970年代のサウスボストン。その一帯で地元アイルランド系ギャングとしてイタリア系マフィアと抗争を繰り広げて居たジェームズ・"ホワイティ"・バルジャー(ジョニー・デップ)は、互いの利害が一致するFBI捜査官ジョン・コノリー(ジョエル・エドガートン)から密約を持ち掛けられます。それはFBIに敵の情報を売る事。FBIの後ろ盾を持ったバルジャーは、弟で政治家のビリー(ベネディクト・カンバーバッチ)共手を組んで街を思うママに操る様に為ります。
 見どころ 『ブラック・スキャンダル』はFBI史上最悪の汚職事件とも言われる、FBIとギャングと政治家の癒着を告発した実録クライム映画です。「ボストン・グローブ」紙の記者ディック・レイアとジェラード・オニールがスクープした記事によって驚愕の事実が明らかに為りました。原作はその記事をまとめた著書「密告者のゲーム−FBIとマフィア、禁断の密約」です。
 暴走する裏社会と権力者 バルジャー兄弟とジョン・コノリーの3人はサウスボストン出身の幼馴染み。3人の癒着は、バルジャーをボストン一の犯罪王、ビリーをマサチューセッツ州議会上院議長に迄押し上げて行きました。サウスボストン、通称「サウシー」は善悪の境界が曖昧な街として知られ、警官とギャングの兄弟等珍しく無いと言います。
 フィクション作品だと、イタリアン・マフィアの成り立ちに付いては『ゴッドファーザー(1972年)』も参考に為りますが、特に『ディパーテッド(2007年)』はサウシーを舞台にした潜入捜査官の物語で、バルジャーをモデルにしたギャングのボスも登場して居ます。
 FBIはそれ迄公式にマフィアの存在を認めて居なかったものの、FBIの初代長官ジョン・エドガー・フーヴァーが去った後、イタリアン・マフィアの台頭が問題化して居ました。『ブラック・スキャンダル』は、70年代に入ってFBIが本腰を入れてマフィア浄化に乗り出した頃の状況を描いて居るのです。


 




 フェイク【1997年】


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 あらすじ ニューヨークのイタリアンマフィア5大ファミリーの一大勢力であるボナンノ・ファミリーへの潜入を命じられたジョー・ピストーネ(ジョニー・デップ)。彼は宝石窃盗のドニー・ブラスコと名乗り、階級の末端に居たレフティ・ルギエーロ(アル・パチーノ)と接触します。
 そしてレフティと組んで着実にファミリー内でもFBI内でも仕事を熟して行くピストーネ。しかしそんな偽りの二重生活に疲れ、苦悩する様に為ります。
 見どころ ジェームズ・"ホワイティ"・バルジャーがFBIとつるみ始めた1970年代中頃、FBI捜査官ジョー・ピストーネがドニー・ブラスコと名を変え、イタリアン・マフィアに潜入しました。その潜入捜査の回想録を「フェイク−マフィアを嵌めた男」として出版、映画『フェイク』はこれを原作としたクライム・アクション作品です。
 曖昧で脆い善悪の境界線 FBIがニューヨークのイタリアンマフィアの麻薬販売ルート摘発に力を入れ始めた70年代と、ファミリー同士の抗争の様子を窺い知れる作品です。又、マフィア潜入捜査と云う厳しい任務を全うしたピストーネの実話から、善悪の境界は脆く、表裏一体だと実感します。
 1969年にFBI潜入捜査官と為ったピストーネは、その後ボナンノ・ファミリー潜入に志願したと言います。ファミリー同士の抗争が激化した為、1981年に6年間に及ぶ潜入捜査から撤退しました。FBI退職後は映画・テレビのプロデューサーやコンサルタントをして居るそうです。好く元犯罪者がその道のコンサルタントに為って成功する話もありますが、こう言った二面性を有効活用すると云う点では、つくづくアメリカの懐の深さに驚かされます。

 
 バリー・シール アメリカを嵌めた男【2017年】 


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 あらすじ 民間航空会社に勤めるバリー・シール(トム・クルーズ)は天才的な操縦技術を持ったパイロット。
 しかし或る日CIAからスカウトされ、中南米への偵察機パイロットとして極秘作戦に加わる事に為ります。その一方で密かにコロンビアの麻薬カルテルとも取り引きし、大量のコカイン密輸も請け負って居ました。CIAの黙認も追い風と為り、大金を手にしたシールは暴走して行きます。
 見どころ 嘘みたいな本当の話『バリー・シール アメリカをはめた男』は、1970年代中期からの10年間、麻薬と銃器の密輸を行ったバリー・シールの破天荒な人生に迫ったクライム・アクションです。ブッ飛び過ぎてコメディの要素が無いと付いて行け無い程、飛んでも無い実話なのです。
 銃と麻薬の国アメリカ? その当時のレーガン政権はコカイン撲滅を目指して居ましたが、皮肉な事にシールがセッセと国内に大量のコカインを運び込んで居た訳です。80年代はアメリカ国内でコカイン中毒が問題視され始めた時期です。シールはその原因の一端を担って居たという事に為ります。
 又レーガンは強硬な外交政策を打ち出し、共産主義化が進むニカラグアを危険視して「イラン・コントラ事件」を起こします。当時敵対して居たイランに武器を売り、その代金でニカラグアの親米反共ゲリラ「コントラ」を援助して居たと云う政治スキャンダルです。実はこの事件に一枚噛んで居たのもシール!アメリカ政府の依頼でコントラに銃器を密輸して居たのです。
 この作品は現代のアメリカの闇を凝縮した様な1本です。政府が密かに国家的な犯罪を指示し、矛盾に満ちた政治が行われ、麻薬が蔓延する国内では中毒者が増加。共産主義を叩く為には銃器密輸も厭わ無い!大統領が変わっても、基本的には現在もこのスタンスは変わって居ないのでは?


 




 多くの犠牲と闇を抱えて来たアメリカ裏社会

 ニューヨークの覇権争いから西部のフロンティア精神、そして世紀の悪法「禁酒法」と世界大恐慌の時代を経て、現代に続くアメリカを形成し支えて来た最底辺の土台は、紛れも無く裏社会で暗躍して来たアウトローや犯罪者達。
 ギャングの抗争や警察組織の汚職と癒着、銃器売買や麻薬ビジネス等切っても切れ無い悪の連鎖があるのも又事実。多くの犠牲を払って、闇を抱えたママ生きて来た裏社会の人々が居たと云う事も、これ等の作品で知る事が出来ました。アメリカでは何故銃に対する信仰が根強いのか、そして何故麻薬が無く為ら無いのか、その答えがここにある様な気がします。

 最後に

 クエンティン・タランティーノ監督が、1969年に起こった「シャロン・テート殺害事件」を題材にした作品を手がける用ですが、これも又アメリカ社会の暗部を教えて呉れるクライム・アクション映画に為るのではないでしょうか?今後も機会があれば、是非90年代以降の社会を描いたクライム映画にも触れて行きたいと思います。


                以上





 


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