10年もアメリカにいたし英語ペラペラなんだろうとよく言われるが、
まったくもってそんな事はない。
いくら頑張ったって自分は所詮黄色い日本人だとおもっている僕は、
Rの発音時に必要以上に舌をまきつつ、大振りのジェスチャーで
『私、英語喋ってるの。私、アメリカンライフに馴染んでいるの。』
的な人に、羨ましさと同時に軽蔑の感を抱いているしだいである。
それはジーンズメイト通いの青年が、
代官山を網羅するオシャレボーイズに抱く感とすこぶる似ている。
そんな僕だが、アメリカ生活にてひとつだけグンと発達したものがある。
それはGUESS(推測)能力である。
NOと言えない日本人な僕は、
話の内容を分かってなさそうな僕(実際分かってない)を心配して
『今言ったこと分かった?』
ときいてくれる外国人等にたいして全て『イエス』と答えてしまうヘタレなので、
『今彼は何を言ったのか』
ということを常に推測して行動及び発言をしてきた。
そんな生活を繰りかえしていく中で、
段々と「この場面ではこうだ」ということが分かってきた。
それは話を理解することとはまったく次元の違うもので、
その場の空気を読むのに近い。
今となっては、全く理解できないボスのアメリカンジョークでも
誰よりも絶妙なタイミングで笑うことができるしだいである。
『そんなんじゃ駄目じゃん』と指摘されそうだが
こんな状態な人は僕だけではないはず。
ということで同じ会社で働く日本人に実験を試みた。
僕の働く会社では車通勤の人は会社に専用のパーキングが無い為、
2時間マックスのストリートパーキングを利用している。
なので2時間ごとに車を移動させないといけない。
僕と同様、その日本人の彼もそのうちの一人。
車の移動時間が近付いたので「彼に車を一緒に移動しにいこう」
という意志を最小限の言葉で伝えてみた。
最小限というより最初の言葉である『く』とだけ。
僕: 『ねーねー、くー』
彼: 『え、もうそんな時間? 』
。。。通じた。
やはり僕だけではなかった。彼もかなりのレベルまで達っしていた。
僕に対して、「ペラペラなんでしょう?}と聞く彼等に言いたいのは、
英語をペラペラに喋るには10年いたって、
こんな僕のような調子では絶対なれない訳であって、
並み大抵の努力でないとそうはならないということ。舌を必要以上に巻く努力とか、
理解するまでその場の空気をぶちこわすのを恐れず、
勇敢にしつこく聞き返す努力などをしなければなれないということ。
かといって僕のようなあかんたれな調子でも、なんとか就職もでき、
友達も沢山できたりと、それなりの生活はできたりしちゃうのです。
おしまい。
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