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ネコとの会話はこれだけ健康にいい! うつの患者がネコと過ごし明るく改善

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イヌを飼っていた人がネコを飼い始めると驚くことがあるそうだ。ネコ好きには先刻承知だが、ネコが飼い主とおしゃべりをする。それがネコの飼い主のいやしになっているばかりか健康効果があることがわかってきた。

また、ネコのおしゃべりの中に、「ネコは生涯に一度、人間の言葉をしゃべる」という都市伝説がある。その真偽も含め、ネコの謎に迫る。

「I Love You」と叫びながら鼻にキスするネコ 女性向けのサイト「発言小町」(2017年4月8日付)に「ネコがしゃべります」という次のような投稿が載った(要約抜粋)。

「飼い始めて半年になるオスネコがいます。最近急におしゃべりになりました。以前は一方的に私が話しかけていました。目は合うが、瞬きで返事を返す程度でしたが、最近、『にゃ〜』『にゃ、にゃ〜』と相づち? 意見? アドバイス? を返します。話し相手になりました。今までイヌしか飼った経験がないので、ネコがこんなにもおしゃべりだなんて知りませんでした」 この投稿には、ネコを飼っている人から共感の投稿が相次いだ。

「2歳の時、家に来たのですが、前の飼い主がしょっちゅうキスしていたのか、うちのネコは『I Love You』と叫びながら、自分の濡れた鼻先を私の鼻にチュッと押し付けてきます。可愛い愛情表現豊かな猫だなと思いながら頬と頬でさすってハグしています」 「うちもおしゃべりしますよ〜。電話している時、インターホンで応対している時など特にそうです。自分も会話に入り、『ウニャニャ』『ニャーォン』『ニャニャッ』と嬉しそうに話していますよ」 実は、J-CASTヘルスケアの記者の家にも、チーコというよくしゃべるメスネコがいる。チーコは家で働いている息子が大好きで、「恋人」のつもりのようだ。息子がパソコンに向かって仕事をする横で、「ニャニャ」「ニャ〜ン、ニャ〜ン」「ニャオン!」と、放っておくと1時間もしゃべりっぱなし。仕事の邪魔なので相手にしないと、「なんで私の相手をしてくれないの」とばかりに、机の上の小物をネコパンチで床に落とす。記者が庭仕事や洗車などに精を出していると、様子を見に来て「ニャ〜ニャ〜」としゃべる。「お父さん、ごくろうさま」と言っているのか、それとも「サボっていると、お母さんに言いつけちゃうから」と言っているのか。どうも後者に聞こえるが。

ネコはうつ患者の気持ちを読み取って寄り添う こうしたネコとの「対話」にはリラックス効果があるという研究がある。ネコは思っている以上に人間の気持ちを読んでいるからだ。スイス・チューリッヒ大学動物行動学研究所のデニス・ターナー博士は、うつ症状の患者に試してみた。動物心理学誌「Animal Psychology」(電子版)の2015年4月27日号に発表された論文によると、博士らの研究チームは、うつ症状のある患者96人(男性49人・女性47人)の自宅を、ネコを連れて訪問した。もちろん、ネコが大嫌いな人は除外した。

そして、1〜2時間ネコと一緒に過ごしてもらった。ネコを連れて行く前とネコと過ごした後の数日後、うつ症状を調べるテストを行ない、比較した。このテストは、「非常に明るい気分」から「非常に暗い気分」まで14段階で評価するもの。その結果、大半の人のうつ症状がネコと会った数日後に改善していた。中には、連れて行ったネコを「飼わせてほしい」と懇願する人もいた。

一部の患者たちがネコと交流する様子を研究者も同席して観察した。ターナー博士によると、ネコたちは患者の心理状態をよく読み取り、その患者のうつ症状のスコア(度合い)に合った行動をしていた。極度に落ち込んでいる人に対しては大人しく寄り添うだけ、比較的明るい状態の人には、脇腹をこすってスリスリするなど。博士は「このネコたちの中立的な態度が、魅力的なペースメーカーとなり、患者の心にいい影響を与えたと思います」と語っている。中には、返って症状が悪化した人もいた。その場合は、ネコが過剰にはしゃいだり、大人しすぎたりと、患者との相性がよくなかったという。また、男性より女性の方が改善効果は高かった。

都市伝説「ネコは生涯に一度、人間の言葉を話す」 ところで、「ネコは生涯に一度、人間の言葉を話す」という都市伝説があるのをご存じだろうか。ネコ好きの間ではかなり広まっている。「ネコはしゃべる」のタグが付いたサイトは多くあり、「おさかなくわえた名無しさん」は次のように残念な経験を投稿した(2011年5月11日)。

「ネコは一生に一度だけ人語を話すという。大概とても重要で意味深なことを言うらしい。昔話では浄瑠璃を語ったとか、事故を予言したとか。ある日家族でオムライスを囲んでいた。『ケチャップ足りない。ケチャップもらってきて』と、くり(ネコ)に言うと、くりはおもむろに立ち上がり台所に行った。そして、『けにゃっぷ!』と鳴いた。家族全員びっくりした。しかし、これが一生に一度だけ話す人語かと思うと、何だかとても悲しかった」 「生涯に1度」どころか毎日のように「人語」を話すネコの動画がネット上に多くある。その中で2017年4月現在、333万回再生されている「兵庫県のチャーちゃん」は、大好物のマグロを食べる時、「マグロ、うまいな」としゃべることで有名だ。のぞいて見ると、確かに飼い主の女性がマグロを与えると、ガツガツ食べながら、「マグロ、うンまい」「あ〜、うンまい」「マグロ、うンまいな〜」と聞こえる。代わりにドライフードを与えると、普通に「ニャ〜オ」とイヤそうな声を出して顔をそむけた。

ネコ動画は仕事をサボってでも見る価値がある ネコの動画といえば、これを見ることが心の健康にいいことが科学的に実証されている。米インディアナ大学メディア学部のジェシカ・ガル・マイアック助教授(コミュニケーション学)が、2015年6月にコンピューター心理学専門誌「Computers in Human Behavior」に発表した。マイアック助教授は、猫動画が(研究時の2015年)年間300億回以上も視聴される世界最大の動画コンテンツであることに注目、「何か視聴者に健康上のメリットがあるに違いない」と考えた。そこで、ネコ動画をよく見る男女6795人を対象に調査した。ネコ動画が心理面に与える効果について、次の項目に絞って対象者に尋ねた。

(1)ネコ動画を見る前と見た後では、エネルギー感や物事に取り組む意欲などのプラスの感情にどのような違いがあるか。見る前と見た後では、不安感やいらだち、悲しさなどのマイナスの感情にどのような違いがあるか。

(2)仕事中や勉強中であってもネコ動画を見ることがよくあるか。その場合、ネコ動画を見ることによって得られる喜びなどのプラス面は、仕事や勉強を先延ばしにした罪悪感などのマイナス面を上回るかどうか。

その結果、回答内容は次のように肯定的なものが圧倒的に多かった。

「やる気がない時や疲れた時に見ると、明るい気持ちになり、元気が出ます」 「仕事中もよく見ますが、罪悪感を覚えることはほとんどありません。気分転換になり、かえってはかどることが多いです」 対象者の性格面を分析すると、もともとネコが好きな人に肯定的な効果が表れるのは当然だが、特に内気な人や他人との協調が苦手な人にプラスの効果がより高かった。この結果について、マイアック助教授はこう語っている。

「仕事中にこっそりネコ動画を見ることは、本来推奨されない行為ですが、喜びの感情に満たされることによって生産性が上がり、その後、困難に立ち向かう勇気をもらっていることがわかりました」 ネコ動画は仕事をサボってでも見る価値があるというのだ。





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