2019年03月20日
ある日突然顔の半分が動かなくなる…末梢性顔面神経麻痺とは?
突然顔の半分が麻痺して動かなくなってしまう…。それは顔面神経麻痺と呼ばれる病気かもしれません。顔面神経麻痺は、顔が垂れ下がった見た目になってしまったり、食べ物が食べにくくなったりと、生活に支障が出てしまうこともあります。今回は顔面神経麻痺の特徴とどのような原因で起こるのかを見ていきましょう。
顔面神経麻痺とは
顔の動きを担当するのが顔面神経と呼ばれる神経です。
顔面神経は脳から直接顔の表面や内部に張り巡らされており、おでこや目の周り、頬や唇や顎の周りなどの表情筋と呼ばれる筋肉の運動を司っています。
他にも耳の中のアブミ骨筋や首の周りの筋肉の動きも司っており、舌の前3分の2の味覚も担当している非常に重要な神経です。
この顔面神経が炎症や出血で途切れてしまうことで起こる顔の麻痺が、顔面神経麻痺と呼ばれています。なお、顔面神経麻痺は顔面神経の途切れた場所によって2つに分類されます。
中枢性顔面神経麻痺
この顔面神経麻痺は、脳の運動の中枢から顔面神経に向かう神経の通り道が脳卒中などで連絡が途切れてしまうことで起きてしまいます。脳の中では橋(脳幹)と呼ばれる顔面神経が外に出てくる場所より中枢側、つまり脳の側で出血や脳梗塞が起きると顔の一部にしか症状が出ません。
その顔の一部は鼻から下半分の場所に症状が出ます。そして顔面神経が途切れた場所と反対側に顔面神経麻痺を発症するのが中枢性顔面神経麻痺の特徴になります。
末梢性顔面神経麻痺
末梢性顔面神経麻痺は脳の中の橋(脳幹)から出て顔に向かう顔面神経が途切れでしまうことで起きてしまいます。若い人でも身近におきやすく、顔の左右半分に麻痺と聞こえの違和感、味覚の違和感が出ることが特徴です。
ポイント 顔面神経は表情や耳、舌で重要な働きをしている 顔面神経麻痺には中枢性顔面神経麻痺・末梢性顔面神経麻痺の2種類がある
末梢性顔面神経麻痺の原因
末梢性顔面神経麻痺には原因が明らかな症候性顔面神経麻痺と、原因が明らかではない突発性顔面神経麻痺(ベル麻痺)があります。
症候性顔面神経麻痺の原因
感染症 ケガなどの外傷 症候性顔面神経麻痺の多くは、ウイルス感染によるものと言われており、原因になるウイルスは単純ヘルペスウイルス、水痘ウイルス、帯状疱疹ウイルスなどです。
新たに感染したことで顔面神経麻痺になることもありますが、過去に感染していたウイルスが神経に残っていて免疫力の低下などで再び活発になり、顔面神経麻痺の症状が出ることもあります。
この過去に感染していたウイルスが活発になり起こってしまう顔面神経麻痺と耳の違和感やめまい・難聴・耳鳴りが出てしまう病気がハント症候群と呼ばれています。他にも交通事故で顔に怪我をした場合、顔の耳の外科手術によって稀に顔面神経が傷ついて起こることもあります。
突発性顔面神経麻痺(ベル麻痺)の原因
アレルギー 顔面神経の腫れ ストレスなど ベル麻痺の原因は明らかにされていませんが、いくつかの仮説が考えられています。その1つがアレルギーです。花粉症やハウスダスト、他にもペットや温度差など空気によって鼻やのど、耳や目の周辺に炎症がおこるアレルギーが原因ではないかと考えられています。
他にも顔面神経そのものが腫れてしまうことでベル麻痺が起こってしまうと考えられており、原因の1つにストレスが上がっています。しかし、未だに原因は特定されていないのが、ベル麻痺の特徴でもあるのです。
ポイント 末梢性顔面神経麻痺には症候性顔面神経麻痺・突発性顔面神経麻痺の2種類があり、前者は原因が明らかなものを指す 突発性顔面神経麻痺には様々な原因が考えられているものの、明確には明らかになっていない
末梢性顔面神経麻痺の治療法
顔面神経麻痺を担当する病院の診療科は脳神経外科と耳鼻咽喉科です。脳神経外科では脳卒中の治療として中枢性顔面神経麻痺を治療していますが、末梢性顔面神経麻痺にも対応しています。
耳鼻咽喉科では、耳の穴などに水ぶくれができるハント症候群やベル麻痺など末梢性顔面神経麻痺を担当しており、顔面神経で診察を受けて脳卒中の可能性がある場合には関連する脳神経外科を紹介してくれます。耳の違和感やめまいがある場合には、かかりつけの耳鼻咽喉科を受診してもいいでしょう。
末梢性顔面神経の治療は原因に対応した薬による治療を行うことになります。中でも多いハント症候群では、原因になるウイルスを殺す抗ウイルス薬、炎症を抑えるステロイド薬が使われます。
外来や入院での点滴治療と飲み薬での服薬の治療が、症状に応じて医師が判断します。めまいが強く1人で動けない発症直後は入院治療の方が負担が少なく安心もできます。
ポイント 顔面神経麻痺は、脳神経外科や耳鼻咽喉科を受診しよう
顔面神経麻痺の予防法
末梢性顔面神経麻痺の中でもウイルス感染が原因の症候性顔面神経麻痺では、ウイルスに感染しないことが重要です。ハント症候群では、子どもの頃に感染した水痘ウイルスや帯状疱疹ウイルスが原因の場合もあります。自分が過去にどんなウイルス感染になったことがあるのかを知っておく必要もあります。
ウイルスに感染しても症状が出ないだけの免疫力を保つことも大切です。過去に感染して体の中に潜んでいるウイルスを封じ込めておくことにもつながります。
健康的な食事と運動、そしてたまの息抜きでストレスを発散することが免疫力を保つことになるので日ごろから心がけるといいでしょう。
ポイント 顔面神経麻痺を予防するなら、ウイルス感染に気をつけよう 規則正しい生活や食事、運動に気をつけて免疫力を保とう
突然起こる顔面神経麻痺には、若い方でも身近に起こりやすい末梢性顔面神経麻痺という種類があります。その末梢性顔面神経麻痺の中でも特に、ハント症候群はめまいも起こり、辛い症状になります。
ウイルスによる顔面神経麻痺を防ぐためには免疫力を保つことが不可欠です。健康的な食事と運動、そしてストレスを発散することで健康を保ちウイルスに負けない体を作って顔面神経麻痺を予防しましょう。
タグ:健康
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