2020年06月24日
ゾンビの作法 もしもゾンビになったら 3
これまで『ゾンビの歴史』、『ゾンビの種類や襲撃法』などについて二度に渡って説明を行ってきたが、今回は具体的な脳味噌の特定や襲撃法などについて、記載していきたいと思う。
本書の内容をそのまま記載するのは、ちょっと面白みに欠けるし██████████という衝撃的なオチを考慮して、個人的見解を交えながら、脳味噌たちの生態について記載していきたいと思う。
さて、祝福すべきゾンビの仲間になりたての頃、熱に浮かされ朦朧とする意識・寒気と怖気を訴える悪寒からの死体特有の冷たさと、緩慢ながらも身体の痛みをモノとしない徐々に腐っていくゾンビの腐乱死体を手に入れた。
しかし、耐え難い飢餓感と知性が低下したことにより、胃の中に何かを摂取しないといけない衝動的な本能が絶え間なく訴えて来る。一部ゾンビの主張によれば、脳味噌の姿が豆腐(後の報告では、プリン・杏仁豆腐・蒟蒻・ういろう)などに見え、バケツプリンならぬ存在に食欲を刺激されて、食べずにはいられなかったと述べられている。
上記報告は極一部のゾンビの主張であるため信憑性の方について新たに確かめる必要があり、見識のあるゾンビからは『本来死体であるゾンビが食欲を有している理由が豆腐などのように見えることが要因である可能性』、『有史以前から存在しているゾンビは食欲の本能以外にも、脳シナプスの発達により独自の発達を遂げたのではないか』との意見がある。
知能が低下していくゾンビの主張だけでは埒が明かないので、知性ある若々しい新造の我ら有志あるゾンビに脳味噌(豆腐・蒟蒻・プリン・ういろう・杏仁豆腐)に、捕食される事実についてヨダレを垂らしながら質問したところ、全員から「しばくぞ!」との回答が得られた。
さて、まずゾンビが行わなくてはいけない行動は、人間の住処の特定である。一部地域では半ば廃屋と化しながらも、サバイバルをするにあたってやたら設備の整ったがっこうぐらしをしている女子生徒がいるものの、大まかに脳味噌の巣は家屋かデパートなどの分類に分けられる。例外として、人から離れた山の中や、ゾンビの追跡から逃れるためにクルマ丸々一台を住居変わりにしている脳味噌もいる。
家屋型脳味噌は、夜な夜な涙ぐましい努力をしてシャッターの改造や、窓・玄関口などの強化が施されている。中には交代制で夜間複数名の人間が深夜用心棒として振舞うだけではなく、嗅覚と聴覚に優れた番犬を備えている可能性がある。
中には犬(後にゾンビ化して自ら絞殺した)がゾンビ化した研究員男性の中で、主に夜間行動するゾンビたちを人間に戻すべく、
家屋型脳味噌は食料品なる備蓄をため込み、中々外に出ることはないが、自身が生存するにあたって必要不可欠な食べ物を調達するため定期的に外出しなくてはいけないので、チャンスといったらそこが狙い目であろう。
デパート型脳味噌は大勢の脳味噌が滞在しており、入り口を開きディナーにありつくのは非常に困難でありながらも、全く隙がないわけではない。『食料品の配分を主にした喧嘩』、『過酷な状況がいつまで続くのか分からないストレス』、『警備や設備などの武力や技術を持たず役割のない脳味噌に対する無意識下の差別』、『感染を恐れて避難してきた人を招き入れない対応を疑問に思いその判断に不審を抱く』など、色々な弊害が生じる。
大勢の脳味噌がいることは一種の強みであることは否定できないが、逆にデパート型の脳味噌の一人が歓迎すべき――もしくは食い損ねた脳味噌が建物内で発生した場合、不均衡ながらもどうにかバランスが取れていた天秤が崩れ、一気に瓦解していく。一度、混乱が生じれば協調性もクソもないのである。
そもそもデパートなどといった建物は食料品を外に出る間も無く、ある程度の期間は安全に確保できるものの、家屋型脳味噌同様に弾丸などの主武装・医療品をはじめとして、それらをかき集めなくてはならない。
その他に脳味噌の群れの中でデパートの設計者が存在しない場合が多く、隅から隅まで建物のことを脳味噌が把握しているわけではないので、ダクトや調理場のゴミ捨て場・ダクト・下水道などを経由して中に侵入することが可能である。
たった数匹でも、一度デパートに侵入できれば内部から外部へ開き、脳味噌を求めてやまないゾンビたちと一緒になってビッフェ式に舌鼓を打つことが出来るだろう。
警備警護している人間がいるとしても、心のどこかではここは安全な場所であると武装派脳味噌は甘い認識を抱いている他、施設内で排泄などのタイミングを狙えば計らずとも奇襲が成功する。
脳味噌は、入眠状態以上にトイレで用を足している瞬間が一番油断している時であり、いくら訓練を重ねた戦歴の傭兵とはいえども咄嗟の判断ができない内に、ガブリとやってしまえば良い。
クルマ型脳味噌は、ノロノロと追跡する我々をクルマ特有の驚異的な速度で距離を隔てることが可能なだけではなく、道路でうろつくゾンビを微々たる努力でありながらも轢き殺すことなどの独自の生態を見せている。
しかし、移動した距離の分だけ枯渇したガソリンの供給・食糧問題、そして多くは単独であるためにゾンビではなく、脳味噌に襲われ財産を奪取される可能性がある。ゾンビ・脳味噌が敵であると常に想定しておかなければならず、生き長らえるには相当な強さ――もしくはゾンビが横溢する状況を打破するために強い信念と使命が必要とされる。まさに選ばれし脳味噌にしか出来ない、果敢にして孤高の単独行動である。
脳味噌を食らう隙があるとするならば、排泄行為中は周囲の見回りが用意周到に行われているためあまり期待できないが、こちらも御馳走になる可能性が低率でありながらも、誰も住んでいない家屋や教会などの廃屋で休憩・入眠している間の襲撃が比較的、成功率が高い。
中には隠し通路などを把握し、知能の低下した我々ゾンビでは到底発見することが出来ない場所に隠れているか、海を渡って島国などに移動しようと海路を目指す剛の者もいる。船の旅路の場合、ガソリンのエンジンもそうであるが向かう先がゾンビパンデミックになっているリスクがあるため、よほどの切羽詰まらない状況にならないと実行する脳味噌はいないだろう。
極稀にゾンビに仲間入りする以前の脳味噌が、大型車で我々の群れに神風特攻よろしくぶつかり、煙草を吸いながら爆散したことがある。
「正義の味方になりたい」と宣いながら、滑空機をミサイルで打ち落とした脳味噌までいる始末だ。
隠居型脳味噌は、大量生産で排出された食料品が奪い合いになることを早々に判断して、独自の知識で山菜や木の実などで生活の糧を得る、山の中で生活する隠居した脳味噌である。猟銃で健康体の野生動物を狩ることも。
そもそもゾンビは、時折動物の肉や同胞食らいをするものの、脳味噌の肉を主な食糧供給源としているため、野菜などを食することはないので、食料の供給はある程度安定している。
山中で生活するため、図書館やインターネットなどで知識の見聞を独自に会得したり、元々農家や山育ちだった少数派の脳味噌が隠居型として適切とされている。
ゾンビの中で都会から離れ、山中にウロウロと移動することがあるが、飢餓感のため耐え難い空腹にグルグル唸っているため、野生の動物とは明確に異なると半ば野生児になった隠居型に遠距離から発見されるが、こちらは脳味噌の存在を察知することは殆ど出来ない。
もしも、何らかの間違いや発覚の遅延でゾンビが家に邪魔しても、地下通路や様々な隠し部屋を構築している可能性があり、クルマ型・家屋型の良点を兼ね備えた優秀な存在であるが、人間の敵襲には若干弱く、年齢が年配ならば容易くねじ伏せられ家屋ごと乗っ取られてしまうことだろう。いずれの型にしても一長一短なのである。
さて、これまで長々と『ゾンビの作法』について語ってきたが、三つの記事に全ての内容が記載されているわけではない。
ゾンビの虎の巻ともいえるこの白書は基本的に脳味噌の手に渡ることが禁忌とされている。本書の随所随所に血糊が付着しているが、もしも健康体の脳味噌が少しでも触れれば……。
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