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2022年07月29日

裏S区 4


起きた時に、俺は家の自分の部屋ではなくて、リビングの隣の両親の寝室で寝かされていた。
時間を見たら20時。リビングからの明かりが漏れてて、両親が誰かと話しをしてた。
俺が起き上がり寝室のドアを開けて、その人物を見たときにすぐに飛び掛かった。
AのおじさんとAのおばに当たる人が、そこに坐って両親と話してたから、それを見た瞬間に、もう飛び掛かってた。
直ぐに親父に抑えられてたけど、俺は吼えてたと思う。
Aのおじさんは「ごめん、本当に悪かったね」と繰り返してたけど、どうしても許せなくて、親父の腕の中でもがいてた。
母親がイキナリ俺の頬をひっぱたたいて、「あんたも話しを聞きなさい!」とか言い出したけど、俺はもう親にまで裏切られた感じがして、家を飛び出して親父の手から抜け出し、自分の部屋に向かい上着とサイフをとった。
が、上着を羽織ろうとした瞬間に、上着の腕の中に自分以外の手があった感触がして、再度叫んだ。
両親とAのおじおばが直ぐに来て、Aのおばがブツブツ言いながらお経みたいなものを唱え始めだして、おじが俺の服を掴んで踏み始めた。

親父は青ざめてそれを見てて、母親は一緒に手を合唱して俺を見てた。
この時は、マジで自分が狂人になったのかと思った。

数分後、俺も落ち着いてきて、両親とAのおじおばと共にリビングに向かった。
それまでの短い時間、Aのおじさんはずっと俺に謝ってた。
それからのリビングでの話しは今でも忘れられない死、そこで再度起こったことも忘れられない。

以下会話(Aのおじさん=Bさん、Aのおばさん=Cさん、とする)

Bさん「本当に、殴ってしまってごめんな」
俺「いや、いいです。こちらも苛々してしまったので、すみません」
親父「ん?お前なんかしたんか?」
俺「いや、俺がBさんを殴ってしまった」
Bさん「あ、いや、それは俺が〇君を見ていきなりお経を唱えたから、嫌な気がしたんやろ?〇君のせいじゃないわ。俺がいきなりすぎたんがいけんやったやから」
親父「申し訳ございません。それは聞いてなかったので」
俺「え?なんの話をしよん?俺がBさんを殴って、Bさんがいきなり」


ここまで言って、気絶前の事を思い出した。


俺「あれ??俺、気絶する前にナニカを見たわ…」
Bさん「うん、そやろうな…。俺は〇君を見て直ぐに気づいてなぁ。何かおるって、それでお経を唱えたんよ」
母「大丈夫なんですか?何かって何ですか?」
Cさん「えっとね、私らが住んどる地域が、なんで裏S区って言われてるか知っとる?」
親父「えっと、失礼かもしれませんが、差別的な意味ですよね?」
Bさん「それはそっちだけの認識やな。じいさん、ばあさんびよう言われたやろ?裏Sには近寄るなて」
親父「言われましたね。でもそれは、部落差別的なもんやと思ってましたけど違うんですか?」
Bさん「いや、そうや。そうなんやけど、差別があるけ言うても、今も言い続けよるんは、裏Sの歴史がちと異常なんや」
親父「いや、私も妻も生まれはS区やから、その辺は分かってますけど、部落とか集落系での差別って、どっこも同じようなもんでしょ?だから、異常っていうのはわかります」
Bさん「はは。そうやろ?そういう風にとらわれてしまってるんやな。裏S区は部落やからって事もでも、他国のモンの集まりでもなく、昔からこの地域に住んでたモンの集まりなんや」
親父「はい。ただ、違いが私にはちょっと…」
母「あれですか?あの鬼門がどうのこうのって言う話ですか?」
Bさん「ん?鬼門の話か。まぁ、そんな感じなんやろうけど、裏Sにうちと同じ苗字が多いやろ?」
母「はい。多いですね。A君とことBさんの家は親戚やから当たり前やけど、それにしても多いですね。S区には全然いないのに、裏S出身者では結構みかけますしね」
Bさん「あの辺は、昔から霊の通り道って言われとんな。ナメ〇〇〇(なんて言ったかは不明)とか、そんなの聞いたことないですか?」
親父「いや、名前はしらないですけど、聞いたことはあります」
Bさん「まぁ、その地域にはそういう地域でして、うちらの家系はほとんどが霊感があるっていわれてたんですね。それが原因で発狂する奴もおれば、いきなり何するかわからんって感じで、いつの間にかそういう集落、部落になっていき、差別されるようになったんですわ」
母「でもそれやと、裏S区はかなり広いからおかしくないですか?」Bさんとこの家系だけで、裏S区自体がそういう風にわかれますかね?」
Bさん「うん、わかれるんやろうな。最初は3,4の家のもんが発狂し始めて、それが村中で始まって、最終的には4、50件も起きれば、その周辺全体がおかしいて思われるやろうし。昭和の時代にそんなアホみたいな話を、信仰深く聞く人間が少なくなってきてるしな」
親父「それでも、それで部落になるんかなぁ」
Cさん「まぁ、うちらの家系ではそう教わっとるんです。だから生まれた子らには、例が見えることを前提に接しとる。見えん子もおるんやろうけど、霊はいるって教えとるんですよ」
俺「いや、それと俺が体験しとるのと、Bさんの話と、何が関係するんですか?」
Bさん「〇君。最近Aの様子がおかしくなかった?いきなり学校休んでるのは置いといて、それ以外に何かおかしいことなかった?」
俺「最近っていうか、わからん。急に殴りかかってきたりしたけど」
Bさん「急にか、なんも言わんかったか?」
俺「いや、急に。意味わからんし。あ!そういうことか。Aが急に異常になったってこと?霊が見え始めて、発狂し始めたんっすか?」
Bさん「いや、Aはまともや。でも、何をすればいいかわからかったんよ」
俺「は?まともじゃないっすよ。あいついきなり殴り始めたし、しかも笑いながら。皆怖がって、俺を助けようともせんかったし」
Bさん「〇君。殴られたときに、怪我するようなこと受けてないやろ?いや、殴る事事態は悪いことやらか、庇ってるんじゃなくてな。うちの家系での霊を見つけたときの対応は、笑う事なんよ。やけん、異常者に見られることもあるけど、普通は虫してるんやけどな」
母「ってことは、〇に霊がついてたって事ですか??」
Cさん「うん、今も憑いてる。それと〇君。ベランダに誰か見える?」
俺「はい??なんですか?ベランダですか?」

ここで俺は、気絶するまえにみたモノとは別のものを見て、発狂しそうになった。

Cさん「大丈夫。絶対ココには入れんから」
親父「え?なにがですか?」

親父には見えてないし、もちろん母にも見えていない。

Bさん「あ、いえ。それでね、〇君にはちょっと憑いてるんや」
俺「あ、あれか…飛び降りの奴見てしまったからか…」
Bさん「いや、ちがうよ。あれは多分たまたま。本当に偶然。でもその偶然がベランダの奴で、それ以外についちゃだめな奴が憑いとる」
俺「あ?」
Bさん「うん、それがついちゃだめなんよ。厳密に言うと霊とかじゃなく、うちの家系では××××って言うんよ。それを言葉にしちゃだめですよ。すぐ移るから」(両親を見て)
母「××××」

(なんて言ったか忘れた。バラ??なんとかだったけど不明)

俺「!?」
母「これで私についたけん、〇は大丈夫でしょうか」
Bさん「いや、そういうもんでもないけど、本当にそれは言わないでください」
母「息子が困るのが一番いやですから」
Bさん「多分、それをするともっと困ります」
俺「もう、やめていいよ。っていうかなんなん?俺が霊に呪われてて、Aはそれをみて俺をなぐってたん?でも、それはおかしいやろ。そんなんします?普通。っていうか、笑いながら殴ったらううbb?霊が追い払えるん?」

(ちょっと困惑しててまくしたてた)

Cさん「ごめんね、そういう風にしか教えてなかったから、やったんやろうね」
Bさん「お祓いするときにはな、絶対に笑いながら相手を追い出すんよ。こっちは余裕だ、お前ごときって感じで。んで、憑かれている者を叩くと、憑いているものが逃げ出すって感じなんよ。もちろんお経やったり、お呪いやったりが必要なんやけど、あいつは見様見真似でやってしまったんやろうな」
俺「でも、あいつは蹴ったりもしたし」
Bさん「うん、それは行き過ぎやな。でも、Aが学校や死んでる理由は〇くんが怖いって。まぁ、〇君に憑いてる者が怖いってことなんやけどな」


それから数分そういう話をした後に、Cさんが御祓いをするための道具を駐車場に取りにいって、Bさんが俺を守る形で周りを見張ってた。

その後、準備が整い御払いが始まったけど、今まで見たどの御祓い方法よりも異常だった。
神社のような御祓いでもなく、お寺のようにお経を唱えながら木魚を叩いてるわけでもない。
ただただ笑いながら、お経を読んでる感じ。
そのお経もお経という感じではなく、ブツブツブツブツを繰り返してて、小声でただ話してるような感じだった。
それから何度か手を叩かれたり、頭を払われたりした。
それが終了して、Bさんが「もう大丈夫」と俺に言い、Cさんが「もう見えないでしょ?」って言うので、ベランダを恐る恐る見てみたが、何も無かった。


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