2022年07月27日
裏S区2
その次の日から、俺は学校を休んだ。行く気にはなれんし、行っても一人だし。と思って。
ただ、この登校拒否中にありえないものを見てしまい、俺はちょっと頭がおかしくなりかけた。
起こったのは、『飛び降り自殺』。
俺の住んでたマンションから人が飛び降りた。
たまたまエレベーターホールでエレベータ町だった俺の耳に「ギぃーーーーー」っていう奇怪な声と、その数秒後に「どーーーーーん!」っていう音。
そのどーんっと言う音は、自転車置き場の屋根に落ちたらしいのだが、これを覗き見たときは、本当に吐き気と涙がボロボロ出た。
これはただの恐怖心からなんだが、でもイジメにあっていた俺には、とてつもなく大きな傷だった。
これは本当にトラウマになっていて、今でもエレベータ―に乗れなくなった。
会社とかにある、建物の中にある奴はまだ何とか乗れるが、マンションにあるような、外の風景が見えるものには全く乗れなくなった。
なぜなら、このときに絶対にありえないものを見たから。
自転車置き場を見下ろしていた俺が、前を向きなおした瞬間に、螺旋階段が見えた。
そこに、下に落ちてる人間と全く同じ服で髪型(これは微妙で、下にあるモノとは異なってたようにも見える)のニンゲンが立ってた。
これは多分、見てはダメだったんだと思う。
螺旋階段を下に向かって、ゆっくり降りていってたんだ。
すごくゆっくり、下を向いたまま歩いてた。
下にあるものと瓜二つのニンゲンが。
ここでエレベーターが来たときの合図の「ピン」って音が鳴ったんで、ビク!ってなり後ろを振り向いた。
そこにも居た。と思う。多分いたんだろう。でも良く覚えてない。
今考えれば居たのか?と思うけど、そのときは居たって思ってた。
「ピン」の音に振り返った瞬間に、どーんって再度聞こえたんだ。
でも今度の音は、エレベータ―の中から。
どーん、どーーん。どーーーん。どーーーーーーん。って。
俺はもう発狂状態になって、それから倒れたみたい。
直ぐに病院に連れて行かれた。
見たもの、聞いたものを全て忘れるように医者から言われて、薬も処方されて、それから1週間は、「うぅぅ」ってうめき声を上げてるしかなかった。
1週間過ぎくらいにはだいぶ良くなっていたのだけど、本当は親や医者をだましてた。
よくなってなんか無かった。寧ろそのときから、その「どーん」って音はずっと付いて回ってた。
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