2022年07月25日
不思議な場所から帰れなかったかもしれない 5
そこに行くかどうかは知らんが、そのキーワードを思い出した瞬間に何かとっても駄目なような気がしたんだ。
これ以上行ってはダメだと本能が言ってた。
ザーーーーと全身の血が引いた。
瞬間、パニックになった。
これは‥これは‥
俺は飛び上がって次止まりますボタンを連打しった。
これはあかん。これはあかん。
もうパニック過ぎて意味が分からなくなっていた。
程なくして列車は止まった。何処に止まったかは知らない。
外は真っ暗で、トンネルの中だったかもしれない。
ドアが開くと、ちょうどホームの反対側に列車が止まっていて、ドアも開いていた。
俺はそれに乗らなきゃならないと本能で思った。それも急いで!
自転車を蹴り飛ばし、俺は転がるように反対側の電車に乗った。
乗った瞬間に、電車のドアが閉まって、今まで来た道とは反対方向に列車は進みだした。
何が違うって、その列車には誰も乗っていなかった。
そして、次止まりますボタンも無かった。
俺は椅子にへたばるように座りこんで、ただ祈ってた。
携帯を握りしめて祈ってた。
これに乗ったからと言って、帰れる保証なんてない。
でも祈るぐらいしか出来なかった。
列車はどんどん進んで、進み続けた。
30分ぐらい乗ったかな。時間は曖昧でよく覚えていない。
俺はひたすら携帯を握りしめて目を瞑ってどうか帰れますようにとひたすら祈ってた。
列車はようやく止まった。
プシューと列車のドアが開いた音で、俺も目を開けた。
外は明るかった。
列車の外に出ると、それはいつものT駅だった。
いや、本当にT駅に戻ってきたのかは分からないが、少なくとも俺が知っているT駅だった。
携帯電話を開いてみた。
時刻はAM11:40と表示されていた。
日付は進んでいなかった。
何よりも、携帯電話のアンテナの色が白色に戻っていた。
だから多分俺は帰ってきたんだと思う。
そう思いたい。
俺はとりあえず、自分の車に乗って、ぶっ飛ばしてT社まで行った。
会長はテラ不機嫌で怒り狂ってはいたが、あの経験より怖ろしくはなかった。
ここは俺が前から居た世界なんだよな?
そう言ってくれ。
とりあえず、オマエラ、変な世界に来てしまったかもと思ったら、携帯電話のアンテナの色を確認してくれ。
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