2022年07月22日
不思議な場所から帰れなかったかもしれない 4
なんとなくピーちゃんがピーピー鳴きながら俺の所に歩みよってきたので、俺はコンビニで買ったパンを半分あげた。
そしたら、ピーちゃんがこれまた物凄い速度でパンを食べ始めたんだ。
何に例えられるかなー。ほら、トムとジェリーっていうアニメあったでしょ?
あのジェリーが3口で巨大なチーズを食べ尽くす。そんな感じ。
食べ終わるとピーちゃんは、のそのそチャーハンカレーの中に戻っていってしまった。
「最近、ずっとそこを巣にしちゃってんだよなー。毎日作ってんだけどねー。」
と、野中オッチャンがぶっきらぼうに言うが、俺はすかさず
「ピーちゃん熱くないんですかね?www」
って突っ込むと
「夏場は暑いだろうね。」
とまあ、素っ頓狂な返事が帰ってきた。
そんなやり取りをしているウチに、1番ホームの方から電車の音が聞こえてきた。
向こう側へ行く列車だろう。
慌てて俺は1番ホームに行くと、列車が停車していた。
ここで俺はふっと頭によぎった事が
ひょっとしたら、進めばちゃんと目的の駅に行くんじゃね?
今考えたら本当にバカだった。
俺はまた折りたたみ自転車を持って、電車の中へ入った。
やっぱり中には一席だけ空いていて、俺はまたドカッと折りたたみ自転車を通路に置いて、その席に座った。
まもなく列車のドアがプシューと閉まって、列車が動き出した。
相変わらず、他の皆は無言のままで、真っ直ぐ前を向いて座っている。
微動だにせず、手を膝の上に置いて。
電車が動いて5分程でまた列車が漆黒のトンネルの中に入って、俺はしばらく揺られてた。
それから10分ぐらいして、ふっと今何時なんだろう?と携帯電話を見たんだ。
そしたら、携帯電話には9時35分って書いてあった。
おいおい。ここでは時間の進み方が違うのかよww
もーあかん、ゼッタイ終わったら怒られるフヒヒッサーセンww
そんな事をのんきに思いながら、ふと携帯の画面の隅に目をやると
あ!!アンテナ立ってる!二本も!
さすがはAU、やるなあ!と喜び勇んでいたんだが、ふと違和感を覚えた。
携帯のアンテナの色が緑色になってた。
でも、緑のアンテナバーも2本立ってた。
何がともあれ、俺は急いでT社に電話を掛けようとした。
なんだか発信音がいつもの音とは違っていた。
あのいちも聞いているプーーーーっていう音じゃなくて、よくアメリカ映画なんかの電話のシーンで出て来るあの独特の発信音。
まあ、いいやと思って、そのまま電話帳からT社の電話番号を探しだして掛けた。
そしたら、しばらくプップップッと音がして音声アナウンスが。
「‥‥お客様の電話番号は、圏外です。」
へ?固定電話に掛けているのに圏外?
しかもなんだこの素っ気ないアナウンスは。
その瞬間、俺の頭に思い出してはいけないキーワードが思い起こされてしまった。
それは…それは…
きさらぎ駅。
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