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2022年07月20日

不思議な場所から帰れなかったかもしれない 2


え?と思った。普通ならここは、「ご乗車ありがとうございます。まもなく、〇〇駅、〇〇駅に到着致します。電車を降りる際は〜」とか言うもんだ。
それが「もうすぐ駅に到着します。」
それだけ言うと、アナウンスはもう何も喋らなかった。

その一瞬。ヒュン。とトンネル内に駅らしきものが一瞬だけ見えて通過してしまった。
「停車しないのかよ!」と俺は内心突っ込んでいたんだが、ふっと自分の座席の横を向くと、そこには牡丹があって、「次の駅で止まります」と小さな標識があるのに気づいた。
ワンマン電車なのかよ!今更かよ!と思ったが、俺は今何処にいるのかさっぱり検討もつかなかった。
こんなに速いスピードで走ってるんだから、もう近くまで来たのかもしれない。そう思っていると、またアナウンスが。

「次はー。軍事工場跡ー。軍事工場跡です。」

は????
軍事上場跡!?!?

俺は即座に混乱して、一体自分は何処にいるんだ?
ひょっとすると、乗る電車間違えた!?
俺はそう思って、席を立って急いでそのボタンを押したんだ。
そうすると、電車はみるみる間に速度を落とし、トンネルを抜けて一つの駅で停車した。

そこは俺が今まで来たことも見たこともない駅で、無人改札駅のようだった。
何よりもビビった事が、外が薄暗かった。
俺はビックリして、一体何時なのかを知ろうとした。

駅の構造としてはじょーむは4つあったと思う。ただ、普通だとよ、ホームとホームは何らかの接続口があるもんだ。大抵は歩道橋でホーム同士は接続されているようなもんだが、そういう接続口は一切無かった。
つまり、別のホームに行く時には、一旦線路に降りなければならないというような駅だった。
一番奥のホームの後ろは山になってた。
当然、時計なんてものは見当たらず、それどころかホームには柱すらなかった。

なので、一応そんな標識は無かったが、便乗上、俺が降りた無人改札口に一番近いホームを1番ホーム、一番奥を4番ホームとしよう。
改札口と言っても、ホームから道へ出る為のコンクリートの階段が一つ付いてるだけで、その下には民家があった。
昔風の木造の民家で、二階建てで民家というより、木造アパートという感じだった。
余談だが、1番ホームからその家の庭を覗けたw
庭には屋根だけ無いバスルームがあって、丸見えじゃんwwwとか思ってた。
タイルは青で、ピッカピカに掃除されてたから、多分今でも使われてるんじゃないかな?

てか、今考えれば、携帯電話を見れば良かったんだが、そん時にはテンパリ過ぎて考え付かなかった。
んでまあ、1番ホームから階段を降りたアパートの1階は実はお店で、大きな看板で「チャーハン屋」と書いてあった。
木で出来た看板で、大きな筆でチャーハン屋と書いてあったのをよく覚えている。
店の大きさは小さく、厨房しかないスペースを1人の男が何か作ってた。
チャーハン屋って書いてあるから多分チャーハンだとは思うが。

どうやっらお店というより、窓越しに料理を渡すような屋台に近いようなお店で、俺はテンパリながら

「す‥!すみません!今何時ですか!!」

って聞くと、男は鍋振りながら「5時34分!」って答えた。
その瞬間、俺の頭によぎったのは、真っ赤に激怒したT社の会長の顔だった。
あーーー!!どうしてこうなった!
ぜってーーー叱られる!5時過ぎとか就業時間じゃねえか!!!
オマエのすぐ向かいますってのは7時間後の事を言うのか!とかぜってーー怒られる!

ますますテンパッて、俺はその駅を飛び出して道路に急いだ。
もちろん今いる場所を確認する為だ。
そしたら、道路は1車線同士の2車線の大きな山道で、今まで来た方向を見ると、先にはトンネルがあって、トンネルの中は漆黒の闇。
普通山道のトンネルってライト付いてるもんなんだが、まったくの闇。
オマケに道路の向こうは大きな川と来たもんだ。

俺は一体何処に着いてしまったんだと本気でパニクった。


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