2022年06月21日
邪霊の巣窟 5
入口の鳥居にたどり着いたもののその不気味な雰囲気はそのままで入るのに躊躇してしまいましたが意を決して入りました。
恐怖に震えながら進んでいるとあの悪霊たちが姿を見せないので不思議に思いました。神社の境内は静かなものでした。
いや‥静かすぎたんです。
何か起こっているなら皆の叫びなり悲鳴なり聞こえてくるはずです。
さらに進むと誰かが座り込んでいるのが見えました。
よく見るとAでした‥。
自分はすにに駆け寄って
「A!!大丈夫?何があったの?皆は?」
とAの肩を抱きながらききました。
「あ‥T‥。う‥うう‥」
とAは泣き出してしまいました。
「一体何があったの?怪我とかはない?皆はどこにいったの?」
「わかんないよ‥しばらく歩いていたら皆急に無口になって先に行っちゃって‥追いかけようとしたら転んじゃって‥いくら叫んでも答えてくれなくて‥そしたらへんな子供が出て来てここまで引っ張られて…」
自分はそれを聞いてまずいと思いました‥。あの時と酷似してる‥とあの電話の事もその時気づきました。
とにかくAを連れてここから出よう‥そう思って振り返ると‥。
子供が2〜3人こちらを見つめていました‥。
しまった!!と思いAを立たせて逃げようとして気づきました。
その子供たちは表情があの時の子供と違うんです。怒った顔でこっちをみていました
‥。
「あの子たちだよ‥私をここまで引っ張ってきたの…」
Aが涙声で言いました。
「帰れ」
「ここから早く出ていけ」
その子供たちが自分らに向けてそういいました。
どうして?と自分が子供たちを見ていると‥。
知ってる‥俺はこの子たちを知ってる‥。
そう感じた瞬間、その子たちが誰かわかりました。あの時巻き込まれた兄の友達でした‥。
「あぁ‥そっか‥そうなんだ‥君たちがAをここまで連れてきてくれたんだね?今、悪霊から守ってくれてるんだね?」
自分は泣いていました。
そしてAに
「あの子たちは大丈夫だから‥今のうちにでよう…大人たちも後でくるからそれから皆をさがそう」
と言って落ち着かせました。
Aは素直に頷き歩き初めました‥。
ところがいきなり周りの空気が変わったのです。
Aもそれに気づき足を止めました。
そして周りを見ると‥悪霊たちが自分たちを取り囲む様に立っていました。
「ひっ!!」「きゃああああ!!」
ほぼ同時に悲鳴を上げその場にへたり込んでしまいました‥。
あの子達が抑えてくれていたのが限界がきてしまったのでしょうか?自分たちはお互いを抱き合い恐怖に震えるしかありませんでした‥。
しかし‥悪霊はこちらに近づいてこようとはしませんでした‥。
自分はすぐにお守りがあるからだと気づきました。Aをみるとちゃんと腕にお守りをしていました。
お守りが二つあるから効果も高いのでしょうか?それ以上は近寄ってこれないみたいでした。
「A‥走るよ‥お守りがあるから何とかなるかもしれない‥いい?止まったり振り返らないように走るよ」
とAに言いました。Aも頷き手を固く繋ぎました。自分はその辺の棒切れを掴んで無駄な事とは思いながらもそれを振り回しながら走りました‥。悪霊たちが追ってきているのを背中越しに感じながらも走りました。
そして鳥居が見えてきて
「鳥居を潜れば大丈夫だから!!もうすぐで逃げられるよ!!」
とAに声をかけながら走り続け、ついに鳥居を抜けました…。
逃げ延びた安堵感でいっぱいになり二人してその場に坐り込みました。
しかし顔を上げるとなんと悪霊たちがすぐ傍まで来ていました。かなりの数がいたと思います。
あの時は4〜5体くたいだったのに‥。
浄化が少しづつ行われて数は減っているはずなのに‥。
しかもどうして神社からでてこられるんだ?お守りを持っているのになんでそこまで近寄れるんだ?さっきまで大丈夫だったのに…。
恐怖に震えながらそんな考えがうかびあがってきました。そして悪霊たちが自分らにさらに近寄って来たのです。
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