2021年05月03日
進撃の巨人
進撃の巨人とは言うまでもなく、超絶有名になった漫画である。
今回はその中でもエレンたちが壁画の真実に迫るに至る地下室について語りたいと思う。
「お前が始めた物語だろう」とはエレンポイント満載のセリフであり、まさかまさかの第一話(一巻)の13ページ目において、あらとあらゆる伏線が張られているとは思っていなかった。
巨人の生態も、奇行種……ましてや、エレンがヒストリアの手の甲にキスする際に見せたシーンがまさかまさかの展開になるだなんて……。
【内容】
今回語るのは、進撃の巨人においてキーポイントである地下室。
大まかな設定としては、第一の壁が(超大型巨人と鎧の巨人)に突破され、第二の壁内の中に避難せざる得ざる以前に、エレンの父親が診療所と偽っていた地下室の秘密を隠していたのだが、「好奇心はだれにも止められない」と述べていた。
グリシャのセリフは一見すると、今日の仕事が終われば幼きエレンにこれまで見せて来なかった地下室を見せると思いきや、より詳しく述べるとそれは違う。
まず、物語のキーになる地下室の存在は、進撃の巨人『第一話』から仄めかされていたものである。
その当時、子供エレンが無邪気な様子で「地下室の存在」について鍵をちらつかせながら教えてくれるものの、必然か偶然か超大型巨人(ベルベルト・フーバー)の第一の蹴り、鎧の巨人(ライナー・ブラウン)のタックルにより、ウォール・マリアの壁は崩壊し、幾多の巨人が侵入する羽目になった。
(グリシャ・イェーガーのエルディア復権派で楽園送りにされた一員。初期から登場している巨人)
ちなみにこの時、グリシャ・イエーガーの前妻である無知性巨人になった前妻かつ王族の末裔が、エレンの母親を捕食している場面があるが、これはエレンの父親との約束である前妻(ダイナ・フリッツ)の出会いの約束をし、皮肉にも約束が再現されたものではないかと思われる。
「グリシャ…私はどんな姿になってもあなたを探し出すから」が発端となって、進撃の巨人は始まりになったといってもいい。
過去、強制的に楽園域の注射を受けたダイナ・フリッツであるが、
王家の血筋を引くにも関わらず、ダイナ・フリッツは巨人化の注射を受けていなかったために無知性の巨人と化してしまう。
母親が捕食される中、ハンネスに連れられてミカサと共に逃亡するエレンであるが、この『呪い』がキッカケで必要以上の巨人に対する憎しみが生じる以上に自由に対する渇望と、そうして自由を望むがゆえの不自由さ――正しく籠の鳥になったことはいうまでもない。
そうして最終話では、解き放たれた真の自由の鳥になったことも……。
ちなみに巨人と化したダイナ・フリッツの最後は、二度目の壁内に現れた巨人の調査後、ベルベルトとライナーにユミル(偽)共々攫われたエレンを救出すべく、すぐさま新鋭隊が組まれることになるのだが、絶体絶命の状況下、何かの因縁か――それとも『必ず会いに行く』といった呪いか、巨人化したダイナ・フリッツに遭遇することになる。
ハンネスはかつて医者であったグリシャに恩返しとして二度目の挑戦を行うも、巨人と化したダイナ・フリッツに捕食されることになる。
無力さゆえに己の愚かさを嗤うエレンに、ミカサは「マフラーを巻いてくれてありがとう」と述べる。
「何度だって巻いてやる」といいながらエレンは最後の悪あがきとして巨人の手の平にパンチをお見舞いするエレンだが、知性のない巨人に命令を下すことが可能である『座標』を手に入れた。
ライナー曰く「エレンが座標を所持していることは最悪の事態」と自覚しながら、エレンの命令によって幾多の巨人に襲われる中、逃亡を余儀なくされる。
巨人の駆逐に執念を燃やすエレンだが、
群衆に正式な王と認められたヒストリアの手の甲にキスするとき、嫌悪とも後悔とも言えない悲壮な表情を見せることになる。
おおよそ式典において相応しくない表情なのだが、恐らく……この時エレンは始祖の巨人特有の『記憶巡り』で自分がどうすべきか、己の周囲で誰が死ぬのか知ったと思われる。
エレンの硬質化の能力を転用してほとんどの巨人を滅ぼした壁内の人間は、ウォール・マリアの果てである海辺に向かうことになる。
道中、地面にうずくまったまま『楽園送り』にされ動けなくなった巨人を目の当たりにするのだが、エレンは「同胞」と述べている。
エレンのこの「同胞」と述べたセリフは、エレン奪還後ヒストリアが王になり、獣の巨人(ジーク)やベルトルト・ライナーとの熾烈を極める戦いで勝利した末に、ようやく地下室の秘密を知り、会得した知識だと思われるが、巨人に並々ならぬ憎しみ(リヴァイ曰く、飼い慣らせない獣)を抱いていたのに、日記の内容を知ったぐらいで仲間(同胞)といえるのは少々おかしい。
「ここから 近いぞ。間違いない。ここの場所でエルディア人は巨人にされた」
「そして あの先に」
と、まるで先を知っている発言を行っているのである。
グリシャ・イェーガーの『世界の真実』である日記の内容を知っている以上、エレンも知っているものだろうと、さらっと読み流してしまいそうな場面であるが、進撃の巨人の場面であるパラディ島の端――海に到達した一行は思い思いにはしゃぐも(ハンジは海の生物に興味津々であった)、エレンだけが達観した様子である。
父親の日記を見る前(正確にはヒストリアの手の甲にキスをする前は)、島(外の世界に)対して、マグマや氷河を見ることがアルミンと共に夢であったにも関わらず、エレンは
「壁の向こうには海があって」
「海の向こうには自由がある。ずっとそう信じていた」
「でも違った。
海の向こうにいるのは敵だ。
何もかも記憶で見たものと同じなんだ。
…なぁ?
向こうにいる敵…
全部殺せば
…オレ達」
「自由になれるのか?」
と、一人だけ違う思考をしており、この発言をきっかけにエレンはラストに向けてまるで何もかもを悟ったかのような姿を見せるようになる。
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