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2022年08月18日
リアル 6
祖父母の住む所は長崎の柳川という。柳川に着くと坂道の下に車を停め両親が祖父母を呼びに行った。
(祖父母の家は坂道から脇に入った石段を上った先にある)
その間、俺は車の中に一人きりの状態になった。
両親が二人で出ていったのは足腰の悪い祖母やS先生の家に持っていく荷物を運ぶのを手伝うためだったのだが、自分で「大丈夫、行って来て」なんて言ったのは本当に舐めた証拠だと思う。
久しぶりに眠れた事や、今いる場所が東京・埼玉と随分離れた長崎だった事が気を弛めたのかもしれない。
車の後部座席に足をまるめて座り(体育座りね)、外をぼーっと眺めていると急に首に痛みが走った。
今までの痛みとは比較にならないほど、言い過ぎかも知れないが激痛が走った。
首に手をやると滑りがあった。…血が出てた。
指先に付いた血が、否応なしに俺を現実に引き戻した。この時、怖いとか、アイツが近くにいるかもって考える前に「またかよ…」ってなげやりな気持ちが先に来たな、もう何か嫌になって泣けてきた。
分かってもらえれば嬉しいけど、嫌なことが少しの間をおいて続けて起こるのってもうどうしようも無いくらい落ち込むんだよね。
気持ちの整理が着き始めると嫌な事が起こるって辛いよね。
この時は少し気が弛んでいたから尚更で「どーしろっつーんだよ!!」とか「いい加減にしてくれよ」とか独り言をぶつぶつ言いながら泣いてた。
車に両親が祖父母を連れて戻って来たんだけど、すぐにパニックになった。
何しろ問題の俺が首から血を流しながら後部座席で項垂れて泣いてるからね。何も無い訳がないよな。
「どうした」とか「何とか言え」とか「もぅやだー」とか「Tちゃん、しっかりせんか!!」とか「どげんしたと!?」とか「あなたどうしよう」とか。
この時は…思わず「てめぇらぅるせーんだよ!!」って怒鳴ってしまった。
こんな時に説明なんかできるわけねーだろって、てめぇらじゃ何も出来ねぇ癖に…黙ってろよ!とか思ってたな。
勝手に悪い事になって仕事は辞めわ、騙されそうになるわ…こんな俺みたいな駄目な奴のために走り回ってくれてる人達なのに…。今考えると本当に恥ずかしい。
で、人生で一度きりなんだけどさ、親父がいきなり俺の左頬に平手打ちをしてきた。
物凄い痛かったね。
親父、滅茶苦茶厳しくて何度も口喧嘩はしたけど多分生まれてから一回も打たれた事無かったからな。
(父のポリシーで子供は絶対殴らないってのは昔から耳タコだったしね)
で、一言だけ「お祖父さんお祖母さんに謝れ」って静かだけど厳しい口調で言ったんだ。
それで、何故か落ち着いた。ってかびっくりし過ぎてそれまでの絶望感がどっかに行ってしまったよ。
冷静さを取り戻して、皆に謝ったら急に腹が据わってきた気がした。
走り始めた車の中で励ましてくれる祖父母の言葉に感極まってまた泣いた。自分で思ってるよか全然心が弱かったんだな、俺は。
S先生の家(寺であるが)に着くとふっと軽くなった気がした。何か起きたっていうよりは俺が勝手に安心したって方が正しいだろうな。
門をくぐり、石畳が敷かれた細い道を抜けると初老の男性が迎え入れてくれた。そう言えばS先生の家にはいつもお客さんがいたような気がする。きっと、祖母のようにかよっている人が多いんだろう。
奥に通され裏手の玄関から入り進んでいくと、十畳ぐらいの仏間がある。
S先生は俺の記憶通り、仏像の前に敷かれた座布団の上に正座していて…ゆっくりと振り向いたんだ。
(下手な長崎弁を記憶に頼って書くが見逃してな)
祖母「Tちゃん、もうよかけんね。S先生が見てくれるなさるけん」
S先生「久しぶりねぇ。随分立派になって、早いわねぇ」
祖母「S先生、Tちゃんば大丈夫でしょうかね?」
祖父「大丈夫って。そげん言うたかてまだ来たばかりやけんS先生かてよう分からんてさ」
祖母「あんたさんは黙っときなさんてさ。もうあたし心配で心配で仕方なかってさ」
何でだろう…ただS先生の前に来ただけなのにそれまで慌ててた祖父母が落ち着いていた。それは両親も、俺にも伝わってきて、深く息を吐いたら身体から悪いものが出ていった気がした。両親はもう体力的にも精神的にも近かったらしく、「疲れちゃったやろ?後はS先生が良くしてくれるけん、隣ば行って休んだらよか」と人懐こい祖父の言葉に甘えて隣の部屋へ。
S先生「じゃあTちゃん、こっちにいらっしゃい。
S先生に呼ばれ、向かい合わせで正座した。
S先生「それじゃIさん達も隣の部屋で寛いでいらして下さい。Tちゃんと話をしますからね。後は任せて、こっちの部屋には良いと言うまで戻って来ては駄目ですよ?」
祖父「S先生、Tちゃんばよろしくお願いします!」
祖母「Tちゃん、心配なかけんね。S先生がうまいことしてくれるけん。あんたさんはよく言うこと聞いたらよかけんね。ね?」
しきりにS先生にお願いして、俺に声をかけてくれる祖父母の姿にまた涙が出てきた。泣きっぱなしだな俺。
S先生はもっと近づくように言い、膝と膝を付け合せるように座った。
俺の手を取り、暫くは何も言わず優しい顔で俺を見ていた。俺は何故か悪さをして怒られるんじゃないかと親の顔色を窺っていた子供の頃のような気持ちになっていた。
目の前の、敢えて書くが自分よりも小さくて明らかに力の弱いお婆ちゃんの威圧的でもなんでもない雰囲気に吞まれてた。
あんな人本当にいるんだな。
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2022年08月17日
リアル 5
林は、布団で寝ている俺の右手側に坐りお祓いをしていた。
目を開けると、林と向き合うように俺を挟んでアイツが正座していた。膝の上に手を置き、上半身だけを伸ばして林の顔を覗き込んでいる。
林の顔とアイツの顔の間には拳一つ分くらいの隙間しかなかった。
不思議そうに、俺を斜めにして、梟のように小刻みに顔を動かしながら、聞き取れないがぼそぼそと呟きながら林の顔を覗き込んでいた。
今思うと林に何かを囁いていたのかもしれない。
林は…少し俯き気味に、目線を下に落としたまま瞬きもせず、口はだらしなく開いたまま涎を垂らしていた。少し顔が笑っていたように見えた。時々小さく頷いていた。
俺は、瞬きも忘れ凝視していた。
不意にアイツの首が動きを止めた。次の瞬間、顔を俺に向けた。
俺は…慌てて目をギュッと閉じ、布団を被りひたすら南無阿弥陀仏と唱えていた。
俺の顔の間近で、アイツが梟のように顔を動かしている光景が瞼に浮かんできた。
恐ろしかった。
ガタガタと音が聞こえ、階段を駆け降りる音が聞こえた。林が逃げ出したようだ。
俺は怖くて怖くて布団に潜り続けていた。
両親が来て、電気を点けて布団を剥いだとき、丸まって身体が固まった俺がいたそうだ。
林は、両親に見向きもせず車に乗り込み、まっていた〇〇、〇〇の友達と共に何処かへ消えていった。
後から〇〇から聞いた話では、「車を出せ」以外は言わなかったらしい。
解決するどころか、ますます悪いことになってしまった俺は、三週間先のS先生を待っている余裕など残っていなかった。
アイツを再び目にしてからさらに4日が経った。
当たり前かもしれないが首は随分良くなり、まだ痕が残るとは言え明らかに体力は回復していた。熱も下がり身体はもう問題が無かった。
ただ、それは身体的な話でしかなくて、朝だろうが夜だろうが関係無く怯えていた。何時どこでアイツが姿を現わすのかと思うと怖くて仕方無かった。
眠れない夜が続き、食事もほとんど受け付けられず、常に辺りの気配を気にしていた。
たった10日足らずで、俺の顔は随分変わったと思う。精神的に追い詰められていた。
当然、まともな社会生活なんて送れる訳も無く、親から連絡を入れてもたい会社を辞めた。(これも後から聞いた話でしかないのだが……連絡を入れた時は随分嫌味を言われたらしい)
とにかく、何もかもが怖くて洗濯物や家の窓から見える柿の木が揺れただけでも、もしかしたらアイツじゃないかと一人怯えていた。
S先生が来るまでには、まだ二週間あまりが残っていた。俺には長すぎた。
見かねた両親は、強引に怯える俺を車に押し込み何処かへ向かった。父が何度も「心配するな」「大丈夫だ」と声をかけた。
車の後部座席で、母は俺の方を抱き頭を撫でていた。母に頭を撫でられるなんて何年振りだったろう。
(当時の俺にはだが)時間の感覚も無く、車で移動しながら夜を迎えた。
二十歳過ぎて恥ずかしい話だが、母に寄り添われ安心したのか、久方ぶりに深い眠りに落ちた。
目が覚めるとすでに陽は登っていて、久しぶりに眠れてすっきりした。実際には丸1日半眠っていたらしい。
多分、あんなに長く眠るなんてもうないだろうな。
外を見ると車は見慣れない景色の中を進んでいた。
少しずつ、見覚えのある景色が目に入り始めた。
道路の中央に電車が走っている。車は…長崎に着いていた。これには俺も流石に驚いた。
怯え続ける俺を気遣い、飛行機や新幹線は避け車での移動にしてくれたらしい。
途中で休憩は何度も入れたらしいが、それでもろくに眠らず車を走らせ続けた父と、俺が怖がらないようにずっと寄り添ってくれた母への恩は、一生かけても返しきれそうにない。
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2022年08月16日
リアル 4
〇〇が電話を折り返してきたのは夜11時を過ぎた頃だった。
〇〇「待たせて悪いね。知り合いに相談したら連絡入れてくれて、明日行けるって」
俺「明日?」
〇〇「ほら、明日日曜じゃん」
そうか、いつの間にか奴を見てから五日も経つのか、不思議と会社の事を忘れてたな。
俺「分かった。ありがとう。ウチまで来てくれるの?」
〇〇「家まで行くって。車で行くらしいから住所メールしといて」
俺「お前はどーすんの?来て欲しいんだけど」
〇〇「行く行く」
俺「金、後でも大丈夫かな?」
〇〇「多分大丈夫じゃね?」
俺「分かった。近くまで来たら電話して」
何とも段取りの悪い話だが、若造だった俺には仕方の無い事だった。
その晩、夢を見た。
寝てる俺の脇に、白い和服をきた若い女性が正座してた。俺が気付くと、三指をつき深々と頭を下げた後部屋から出て行った。
部屋から出る前にもう一度深々と頭を下げていた。
この夢はアイツが関係しているのかは分からなかったが。
翌日、昼過ぎに〇〇から連絡が来た。電話で誘導し出迎えた。
来たのは〇〇とその友達、そして三十代後半くらいだろう男が来た。
普通の人とは思えなかったな。チンピラみたいな感じだったし、何の仕事をしてるのか想像もつかなかった。
俺がちゃんと説明していなかったから両親が訝しんだ。
まず間違いなく偽名だと思うが男は早しと名乗った。
林「T君の話は彼から聞いていましてね。まー厄介な事になってるんです」
(今さらですまん。Tと俺は、会話中の彼は〇〇だと思って読んでくれ)
父「それで林さんはどういった関係でいらしていただいたんですか?」
林「いやね、これもう素人さんじゃどーしようもないんですよ。お父さん、いいですか?信じられないかも知れませんがこのままだとT君、危ないですよ?で、彼が友達のT君が危ないから助けて欲しいって言うんでね、ここまで来たって訳なんですよ」
母「Tは危ないんでしょうか?」
林「いやね、私も結構こういうのは経験していますけどこんなに酷いのは初めてですね。この部屋いっぱいに悪い気が充満してます」
父「…失礼ですが、林さんのご職業をお聞きしても良いですか?」
林「あー、気になりますか?ま、そりゃ急に来てこんな話したら怪しいですもんねぇ。でもね、ちゃんと除霊して、辺りを清めないと、T君、ほんとに連れていかれますよ?」
母「あの、林さんにお願いできるでしょうか?」
林「それはもう、任せていただければ。こーいうのは私みたいな専門の者じゃないと駄目ですからね。ただね、お母さん。こっちとしても危険があるんでね、少しばかり包んでいただかないと。ね、分かるでしょ?」
父「いくらあればいいんです?」
林「そうですね〜、まぁ二百はいただかないと…」
父「えらい高いな!?」
林「これでも彼が友達助けて欲しいって言うからわざわざ時間かけて来てるんですよ?嫌だって言うならこっちは別に関係無いですからね〜。でも、たった二百万でT君助かるなら安いもんだと思いますけどね。それに、T君もお寺に行って相手にされなかったんでしょう?分かる人なんて一握りなんですわ。また、一から探すんですか?」
俺は黙って聞いてた。さすがに二百万って聞いた時は〇〇を見たが、〇〇もばつの悪そうな顔をしていた。
結局、父も母も分からないことにそれ異常の意見を言える筈もなく、渋々任せることになった。
林は早速今夜除霊をすると言い出した。
準備をすると言い、一度出掛けた。(出がけに両親に準備にかかる金をもらって行った)
夕方に戻ってくると、蝋燭を立て、御札のような紙を部屋中に貼り、膝元に水晶玉を置き数珠を持ち、日本酒だと思うがそれを杯に注いだ。
何となくそれっぽくなって来た。
林「T君。これからお祓いするから。これでもう大丈夫だから。お父さん、お母さん。すみませんが一旦家から出ていってもらえますかね?もしかしたら例がそっちに行く事も無い訳じゃないですから」
両親は不本意ながら、外の車で待機する事になった。
日も暮れて、辺りが暗くなった頃、お祓いは始まった。
林はお経のようなものを唱えながら一定のタイミングで盃に指をつけ、俺にその滴を飛ばした。
俺は半信半疑のまま、布団に横たわり目を閉じていた。林からそうするように言われたからだ。
お祓いが始まってから大分たった。
お経を唱える声が途切れ途切れになりはじめた。
目を閉じていたから、嫌な雰囲気と少しずつおかしくなってゆくお経だけが俺に分かることだった。
最初こそ気付かなかったが首がやけに痛い。痒さを通り越して、明らかに痛みを感じていた。
目を開けまいと、痛みに耐えようと歯を食いしばっているとお経が止まった。
しかしおかしい。
良く分からないが区切りが悪い終わり方だったし、終わったにしては何も声をかけてこない。何より、頸の痛みは一向に引かず、寧ろ増しているのだ。
寒気も感じるし、何かが布団の上に跨っているような気がする。
目を開けたらいけない。それだけは絶対にしてはいけない。分かってはいたが……。
開けてしまった。
目を開けると、恐ろしい光景が飛び込んできた。
リアル 5へ
2022年08月13日
リアル 3
実家に帰り、自分が置かれてる状況を理解して3日が過ぎた。
精神的に参ったからか、それが何かしらアイツに起こしたものなのかはわからなかったが、2日間高熱に悩まされた。
首から異常なほど汗をかき、2日目の昼には血が滲み始めた。3日目の朝には首からの血は止まっていた。元々滲む程度だったしね。
熱も微熱くらいに下がり、少しは落ち着いた。
ただ、首の回りに異常な痒さが感じられた。チクチクとして痛くて痒い。
枕や布団、タオルなどが触れると鋭い、小さな痛みが走る。
血が出ていたからカサブタが出来て痒いのかと思い、意識して触らないようにした。
布団にもぐり、夕方まで気にしないように心掛けたが、便所に行った時にどうしても気になって鏡を見た。鏡なんて見たくもないのに、どうしても自分に起きてる事をこの目で確認しないと気が済まなかった。
鏡は見たこともない状況を映していた。
首の赤みは完全に引いていた。その代わり、発疹が大きくなっていた。
今でも思い出す度に鳥肌が立つほど気持ち悪いが、敢えて細かな描写をさせて欲しい。気を悪くしないでくれ。
元々首の回りの線は太さが1pくらいだった。そこが真っ赤になり、元々かなり色時莉奈俺の肌との対比で正しく赤い紐が巻かれているように見えていた。
これが3日前の事。
目の前の鏡に映るその部分には膿が溜まっていた。
…いや、正確じゃないな。
正確には、赤い紐を作っていた発疹には膿が溜まっていて、まるで特大のニキビがひしめき合っているようだった。
そのほとんどが膿を滲ませていて、あまりにもおぞましくて気持ちが悪くなりその場で吐いた。
真水で首を洗い、軟骨を母から借り、塗り、泣きながら布団に戻った。何も考えられなかった。唯一「何で俺なんだ」って憤りだけだった。
泣きつかれた頃、携帯がなった。〇〇からだった。
こういう時、ほんの僅かでも、希望って物凄いエネルギーになるぞ?正直、こんなに嬉しい着信はなかった。
俺「もしもし」
〇〇「おぉ〜!大丈夫〜!?」
俺「ぃや…大丈夫な訳ねーだろ…」
〇〇「ぁー、やっぱヤバい?」
俺「やべーなんてもんじゃねーよ。はぁ…。っつーか何かなにんかよ?」
〇〇「ぅん。地元の友達に聞いてみたんだけどさ〜、ちょっと分かる奴居なくて…、申し訳ない」
俺「ぁー、で?」
正直、〇〇なりに色々してくれたと思うがこの時の俺に相手を思いやる余裕なんてなかったから、かなり自己中な話し方に聞こえたんだろう。
〇〇「いや、その代わり、友達の知り合いにそーいうの強い人がいてさー。紹介してもいいんだけど金かかるって…」
俺「!? 金とんの?」
〇〇「うん、みたい…。どーする?」
俺「どんくらい?」
〇〇「知り合いの話だけどとりあえず五十万くらいらしい…」
俺「五十万〜!?」
当時の俺からすると働いているとはいえ五十万なんて払えるわけ無い額だった。金が惜しかったが、恐怖と苦しみから解放されるなら…。選択肢は無かった。
俺「…分かった。いつ紹介してくれる?」
〇〇「その人今群馬にいるらしいんだわ。知り合いに聞いてみるからちょっと待ってて」
話が前後するが、俺が仏像の前で南無阿弥陀仏を繰り返していた時、母は祖母に電話をかけていた。
祖母からすぐにS先生に相談が行き(相談と言うよりも助けて下さいってお願いだったらしいが)、最終的にはS先生がいらしてくれることになっていた。
ただし、S先生もご多忙だったし何より高齢だ。こっちに来れるのは三週間先に決まった。
つまり、三週間は不安と恐怖と、何か起きてもおかしく無い状況に居なければならなかった。
そんな状況だから、少しでも出来るだけの事をしていないと気持ちが落ち着かなかった。
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2022年08月12日
リアル 2
会社に着くと、いつもと変わらない日常が待っていた。俺は何とか〇〇と話す時間を探った。
事の発端に関係する〇〇から、何とか情報を得ようとしたのだ。
昼休み、やっと捕まえる事に成功した。以下俺と〇〇の会話の抜粋。
俺「前にさぁ、話してた△すると●が来るとかって話あったじゃん。昨日アレやったら来たんだけど。」
〇〇「は?何それ?」
俺「だからぁ、マジで何か出たんだって!」
〇〇「あー、はいはい。カウパー出たのね」
俺「おま、ふざけんなよ。やっべーのが出たってんだよ」
〇〇「何言ってんのかわかんねーよ」
俺「オレだってわかんねーよ!!」
駄目だ、埒があかない。
〇〇を信用させないと何も進まなかったため、俺は渋々と昨日の出来事を説明した。
最初はネタだと思っていた〇〇もやっと半信半疑の状態になった。
仕事が終わり、俺の部屋に来て確かめる事になった。
夜10時、幸いにも早めに会社を出たれた〇〇と俺は部屋に着いた。扉を開けた瞬間に今朝嗅いだ悪習が鼻を突いた。締め切った部屋から熱気とともに、まさしく臭いが襲ってきた。
帰りの道でもしつこいくらいの説明を俺から受けていた〇〇は「…マジ?」と一言呟いた。信じたようだ。
問題は〇〇が何かしら解決案を出してくれるかどうかだったが、望むべきではなかった。
とりあえず、お祓いに行った方がいいことと知り合いに聞いてみるって言葉を残し奴は逃げるように帰って行った。
予想通りとしか言いようがなかったが、奴の顔の広さだけに期待した。
臭いとこに居たくない気持ちからかその日はカプセルホテルに泊まった。今夜も出たら終わりかもしれないと思ったのが本音。
翌日、とりあえず近所の寺に行く。さすがに、会社どころじゃなかった。
お坊さんに訳を説明すると「専門じゃないですからね〜。しばらくゆっくりしてはいかがでしょう。きっと気のせいですよ」なんて呑気な答えが返ってきた。世の中こんなもんだ。
その日は都内では有名な寺や神社を何軒か回ったがどこも大して変わらなかった。
疲れはてた俺は、埼玉の実家を頼った。
正確には、母方の祖母がお世話になっているS先生なる尼僧に相談したかった。っつーかその人意外でまともに取り合ってくれそうな人が思い浮かばなかった。
ここでS先生なる人を紹介する。
母は長崎県出身で当然祖母も長崎にいる。
祖母は、戦争経験から熱心な仏教徒だ。S先生はその祖母が週一度通っている自宅兼寺の住職さんだった。
俺も何度か会ったことがある。
俺は詳しくはないが、宗派の名前は教科書に載ってるくらいだから似非者の霊能者なそと比較にならないほどしっかりと仏様に仕えてきた方なのだ。
人柄は温厚、落ち着いた話し方をする。
俺が中学に上がる頃親父が土地を買いに家を建てることになった。
地鎮祭とでも言うんだっけ? 兎に角その土地をお祓いした。
その一週間後に長崎の祖母から「土地が良くないからS先生がお祓いに行く」という内容の電話があった。当然、母親的にも「もう終わってるのに何で?」ってことでそれを言ったらしい。
そしたら祖母から「でもS先生がまだ残ってるって言うたったい」って。
つまり、俺が知る限り唯一頼れる人物である可能性が高いのがS先生だった。
日も暮れてきて、埼玉の実家があるバス停に着いた頃には夜9時を回る少し前だった。
都内と違い、工場ばかりの町なので夜0時でも人気は少ない。バス停から実家までの約20分を早足に歩いた。人気の無い暗い道に街灯が規則的に並んでいる。
内心、一昨日の事がフラッシュバックしてきてかなり怯えてたが、幸いにも奴は現れなかった。
が、夜になり涼しくなったからか俺は自分の身体の異変に気が付いた。
どうも首の付け根辺りが熱い。
伝わりにくいと思うが、例えるなら首に紐を巻き付けられて左右にずらされているような感じだ。
頸に手をやって寒気がした。首だけ熱い。しかもヒリヒリしはじめた。どうも発疹のようなモノがあるようだった。
歩いていられなくなり、実家まで全力で走った。
息を切らせながら実家の玄関を開けると母が電話を切るところだった。
そしれ俺の顔を見るなりこう言ったんだ。
「あぁ、あんた。長崎のお婆ちゃんから電話が来て、心配だって。S先生があんたが良くない事になってるからこっちにおいでって言われたって。あんたなにかしたの? あらやだ。あんた首の回りどうしたの!!?」
答える前に玄関の鏡を見た。奴が来るかもとか考えてなかったな……、何故か。
首の回り、付け根の部分は縄でも巻かれているかのように見事に赤い線が出来ていた。
近づいてみると、細やかな発疹がびっしり浮き上がっていた。
さすがに小刻みに体が震えてきた。
何も考えずに、母にも一言も返事もせずに階段を駆け上がり、母の部屋の小さな仏像の前で南無阿弥陀仏を繰り返した。
そうする他、何も出来なかった。
心配して親父が「どうした!!」と怒鳴りながら走って来た。母は異常を察知して祖母に電話している。母の声が聞こえた。泣き声だ。
逃げ場ないと、恐ろしい事になってしまっているとこの時やっと理解した。
リアル 3へ
2022年08月11日
リアル
リアルとは、やってはいけない行動を取ってしまった人間の恐怖体験である。
最後の方が非常に創作臭い。
【内容】
何かに取り憑かれたり狙われたり付きまとわれたりしたら、マジで洒落にならんことを最初に言っておく。
もう一つ俺の経験から言わせてもらうと、一度や二度のお祓いをすれば何とかなるって事はまず無い。
長い時間かけてゆっくり蝕まれるからね。
祓えないって事の方が多いみたいだな。
俺の場合は大2年半位。
一応、断っておくけど五体満足だし人並みに生活できてる。
ただ、残念ながら終わったかどうかって点は定かじゃない。
まずは始まりから書くことにする。
当時俺は23才。社会人一年目って事で新しい生活を過ごすのに精一杯な頃だな。会社が小さかったから当然同期も少ない、必然的に仲が良くなる。
その同期に東北出身の〇〇って奴がいて、こいつがまた色んな事を知ってたりやけに知り合いが多かったりした訳。
で、よくあれをしたら××がなるとか△△が来るとかって話あるじゃない?
あれ系の話はほとんどどガセだと思うけど、幾つかは本当にそうなってもおかしくないのがあるらしいよ。
そいつが言うには何か条件が幾つかあって、偶々揃っちゃうと起きるんじゃないかって。
俺の時は、まぁ悪ふざけが原因だろうな。
当時は車を買ってすぐだったし、一人暮らし始めて間もないし、何よりバイトとは比べ物にならない給料が入るんで週末は遊び呆けてた。
8月の頭に、難破して仲良くなった子達と〇〇、そして俺の計4人で所謂心霊スポットなる場所に肝試しに行ったわけさ。
その場は確かに怖かったし、寒気もしたし何かいるような気がしたりとかあったけども、特に何も起こらず、まぁスリルを満喫して帰った訳だ。
3日後だった。
当時の会社は上司が帰るまでは新人は帰れないって暗黙のルールがあって、毎日遅くなってた。
疲れて家に帰って来て、ほんと今思い出しても理解出来ないのだが、部屋の入口にある姿見の前で、「してはいけないこと」をやったんだ。
試そうかと考えた訳ではなく、ふと思い付いただけだったと思う。
少し細かな説明をする。
当時の俺の部屋は駅から徒歩15分、八畳1R、玄関から入ると細い廊下がありその先に八畳分の部屋がある。姿見は部屋の入口、つまり廊下と部屋の境目に置いてあった。
俺が〇〇から聞いていたのは、鏡の前で△をしたたま右を見ると●が来るとかいう話だった。
体勢的にはちょっとお辞儀をしているような恰好になる。
「来るわけねぇよな」なんて呟きながら、お辞儀のまま右向いた時だった。
部屋の真ん中辺りに何かいた。
見た目は明らかに異常。
多分160センチ位だったと思う。髪はバッサバッサで腰まであって、簾みたに顔にかかってた。っつーか顔にはお札みたいなものが何枚も貼ってあって見えなかった。
なんて呼ぶのか分からないけど、亡くなった人に着せる白い和服を着て、小さなふり幅で左右に揺れていた。
俺はと言うと…、固まった。声も出なかったし一切体は動かなかったけど、頭の中では物凄い回転数で起きていることを理解しようとしてたと思う。
想像して欲しい。
狭い1Rに、音もない部屋の真ん中辺りに何かいるって状態を。
頭の中では原因は解りきっているのに起きている事象を理解出来ないって混乱が渦を巻いている。
とにかく異常だぞ?
灯りをつけてたけど、逆にそれが怖いんだ。いきなり出て来たそいつが見えるから。そいちの周りだけ青みがかかって見えた。
時間が止まったと錯覚するぐらい静かだったな。
とりあえず俺が出した結論は「部屋から出る」だった。足元にある鞄を、何故かゆっくりと、慎重に手に取った。
そいつから目が離せなかった。目を離したらヤバいと思った。
後退りをしながら廊下の半分(普通に歩いたら三歩くらいなのに、かなり時間がかかった)を過ぎた辺りでそいつが体を左右に振る動きが少しずつ大きくなり始めた。
と同時に何か呻き声みたいなのを出し始めた。
そこから先は、実はあんまり覚えてない。
気が付くと、駅前のコンビニに入ってた。
兎にも角にも、人のいるコンビニに着いて安心した。ただ頭の中は相変わらず混乱してて「何だよアレ」って怒りにも似た気持ちと「鍵閉め忘れた」って変なとこだけ冷静な自分がいた。
結局その日は部屋に戻る勇気は無くて一晩中ファミレスで朝を待った。
空が白み始めた頃、恐る恐る部屋のドアを開けた。良かった消えてた。
部屋に入る前に、もっかい外に出て缶コーヒーを飲みながら一服した。
実は何もいなかったんじゃないかって思い始めてた。本当にあんな有り得ないしね。
明るくなったってのと、もういないってので少し余裕出来たんだろうね。さっきよりはやや大胆に部屋に入った。
「よし、いない」何て思いながら、カーテンが閉まってるせいで薄暗い部屋の電気を点けた。
昨晩の出来事を裏付ける光景が目に入ってきた。
昨日、アイツがいた辺りの床に物凄く臭いを放つ泥(多分ヘドロだと思う)が、そても足跡ってレベルを超えた量で残ってた。
起きた事を事実と再認識するまで、時間はかからなまった。
ハッと気付いてますますおあにっくになったんだけど、俺、電気消してねーよ…ははっ・
スイッチ押した左手見たらこっちにも泥がついてんの。
しばらくどんよりした気持ちから抜けられなかったが、出ちまったもんは仕方ねーと思えて来た。
まぁここら辺が俺がAB型である典型的なとこなんだけど、そんな状態にありながら泥を掃除してシャワーを浴びて出社した。
臭いが消えてなくてむかついたし、こっちはこっちで大問題だから会社を休むことも一大事だったからね。
リアル 2へ
2022年08月10日
行方不明になった友達 6
今日、探偵さんにまた会ってきました。
色々聞かせてもらいました(僕に教えてくれる=ここに晒すのはおk)
まずいくつか質問に回答
封筒の写真はもってるかどうかわからないけど、探すのが面倒だと言われました。
僕がまた写真を撮りに行くこともできますが、ちょっと気が引けます。
普通の何も書いていない封筒だったので、あまり気にしないでください。
用務員のおじさんの年齢は65歳だそうです。
車の免許は持っていたそうです。
そのおじさんに面会した人がいるのか、
親戚の人がいたみたいで、その人が何回か来たことはあったそうです。
いつ頃、その施設に入居したのか。
これは前にも書きましたが2年前です。
ついでに用務員と絵を描いた人が別だと思うも知りたいな。
他の方の質問と関係してくるのですが、これは僕も今日はじめてちゃんと聞いたのですが、老人の描いた絵がすでにあったそうです。
で、探偵さんはそれを見た限り、どうも御札を描いた人物と同じには見えないと。
御札の絵が届いたのは、Dちゃんが行方不明になってから半年後の2005年の冬、そのころの絵と、老人ホーム入居後の老人の絵を比べると、同じ人物が同じ時期に描いた絵には見えないそうです。
僕もさっきメールファイルを送ってもらって見たのですが、僕もそう思います。
痴呆老人の描いた絵を勝手に晒すのはやばい気がしますが、2ch的なノリで許してください。
見たらみなさんも納得してくれると思います。(これは怖くはないですよ)
で、結局じゃあ御札描いたのは誰だよっていう話に戻ってしまうわけで、それが悪戯でしかなくて、老人と繋がらなくなると、手紙という事件を関連付ける要素を一つ失ってしまうわけで、そこは探偵さんもけっこうしぶい顔をしていました。
もう一つ話があって、それは事件発生場所について、前に少し言いかけてたことなのですが、5年前の事件は、正確には同じ学区で起こったわけではないのです。
簡潔に言うと、E君とE君のご両親が夏に近くのハイキングに行って、小川の沢で遊んでいたときに、E君が急にいなくなったそうです。
(と言うとこまでは僕もある程度知っていましたが、以下は今日聞いた話です)
最初両親は、E君が川にさらわれたと思って通報したそうです。
なのですが、警察や消防が調べると、両親の証言に食い違いがあったそうで(E君がどのあたりで遊んでいたか、いつ見えなくなったか)さらに調べていくと、E君が山に来ていた痕跡(足跡とか臭い)が見つからなくて、両親が怪しいって話になったそうです。
結局は証拠もなかったので、遭難して行方不明のままっていう扱いだそうです。
ですから、これが他の2つの事件と同列に語られるのか実に微妙で、だから『手紙が送られてきた』っていう関連が重要になってくるんですが、両親の騙りもありうるんです。
警察はこの件に関してはかなり消極的な扱いらしいんです。
これは余談ですが、E君の父親は現在精神を病んでしまって、病院で療育しているそうです。
母親は実家に帰ってしまったそうです。
それを考えると、2通目の手紙がちょっと予言めいていて、皮肉だなと探偵さんは言っていました。
(探偵さんはオカルトはあまり信じない人ですが)
2022年08月09日
行方不明になった友達 5
よく抜け出してということはないと思います。
探偵さんは2ヶ月以上監視を続けて、やっと老人が現れたんです。
そこらへん曖昧な書き方で、分かりにくかったかもしれないです。
探偵さんは、御札っぽい柄を描いた人物と廃墟の絵を描いた人物は一緒で、それは老人とは別の人物だと考えていると思います。(一昨日、暗にほのめかされました)
探偵さんによると、2通目は今のところ悪戯の可能性が高いと思うとのことです。
まず、事件に直接関係のあることが何も書かれてないし、前のスレの書き込みのコピペをさせてもらいますが、
サナトリウムへ父が戻る
何も知らずにノックする
そうして怖ろしい獣との思わぬ鉢合わせ
良かったー父は結局生きてもいないのだし
実際にはこの事件が父に降り掛かることもない。
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これ声に出して読んでもらったらわかると思いますけど、妙に言葉が流れる感じがすると思いませんか。
あと、最後の横線なんですが、(これは最初『トモナイ』を強調してるのかと思ったんですが)これたぶんダッシュ記号なんですよね。
普通手紙にダッシュ記号って使わないじゃないですか。
だから犯人が他人に何かを伝える文章ではなく、もっと内省的な詩のようなものじゃあいかと。
それと、一つ僕が強調しておきたいことがありまして、それは、まずこの3件の事件に、関連があるのかどうかはまだ本当にわからないんです。
探偵さんの受け売りになりますが、客観的に見れば3件が共通しているのは、
・同じ地域での発生(正確にはちょっと違うかもしれませんが、それはまた今度に話します)
・被害者?は3人とも小学生
・大まかに言って夏ごろ
・一定時間がすると手紙が来た(ただし3通の関連性は気迫)
っていう4点は共通しているものの、これだけで3つの事件が連続性をもっていると断言することはできないと探偵さんは考えているそうです。(彼はとても慎重な人なんです)
現在、本気で3つの事件に関連があると思ってるのはDちゃんのご両親だけで、探偵さんは一歩引いたスタンスで調査をなさってます。
僕自身は、関連はあると思いますが、なにかすっきりしないのも事実なので、ひたすら混乱します。
つかれてしまったので今日はもう寝ます。
みなさん。このスレに関心いただいてすごくありがたいと思っています。
何か疑問に思うことがあったら気軽に聞いてください。
レスは基本的に家に帰ってからの夜になると思います。
行方不明になった友達 6へ
2022年08月08日
行方不明になった友達 4
今後の対応についてですが、問題は証拠が何一つないことです。
例のご両親の話では、今のところ警察は以前より協力的になっていますが、子供達の行方は知らないままです。
探偵さんは、とりあえず用務員がこれまで住んでた場所を徹底的にまわって、何か痕跡がないか調べていくつもりだとのことでした。
僕としては、もうこれ以上積極的に治験医関わるのはやめようと思っていますが、探偵さんからの情報は、引き続き僕にも流してもらえることになっています。
長文すみませんでした。
もし読んでくれた方がいたら、この事件をどう思われたのか、感想を聞かせてください。
どうも。昨日投下したものです。
色々教えてくださる方がいて助かります。
私は2ちゃんねるにはわりとよく来るのですが、オカルト板は最近見始めたばかりの者です。
知り合いに霊感のある人がいまして、(彼の自称です。具体的なことは僕は知りません)そもそも、その人にオカルト板で相談してみるように言われたんですが、その友人からこのスレを見たっていう電話が今日来ました。
あの御札っぽいヤツを、彼はこのスレではじめて見たんですが、彼曰く、ああいう危険なものは簡単にネットに晒すもんじゃないとか、晒すにしてもちゃんと注意を促してあげるべきで、無防備にリンクを貼るなとか、結構きつく言われてしまいました。
きついっていうか、かなり真剣な感じで、彼の忠告を聞こうと思います。
(他の方がすでに忠告してくださってるみたいですね)
なのでみなさん、どうかあの写真を見るときは注意してください。
何をどう注意したらいいのかの僕には詳しいことはわかりませんが、何かの覚悟をもって見てください。
なんか、僕が言っても説得力がない感じですが、とにかくよろしくです。
あともう一つ報告がありまして、今日、探偵さんにこっちから連絡を取りました。
探偵さんは2chに晒していることは言ってなかったのですが、一応今日承諾は取りました。(ちょっと心配だった)
情報収集と私の個人的な悩み相談をかねていると言ったら、一応OKだしていただきました。(こんなことにうかつには相談できないんです)
ただし、調査の邪魔になるようなことは絶対にやめてもらいたいので、地域を特定するようなことは絶対書き込んだりするなと言われています。
廃墟の写真もNGだと言われました。ごめんなさい。
なんか、「詳しいことは後日言いますが、あそこはまだ調査中なので今は完全にNG」と言われました。
で、代わりと言ってはなんだがっていう流れで、前に言ってた手紙の2通目のコピー画像を、メールに添付して送ってもらいました。これは公開OKをもらってます。
これはF君のご両親に来たものじゃなくて、別の家に来たもののコピーだそうです。
有人にもメールで見せたんですが、これは多分大丈夫って言われました。
霊がどうとかはあんま感じない、悪戯っぽいと言われました。私もそう思います。
御札っぽい奴を描いた人と同じような人が書いたようには見えません。
皆さんはどう思われますか。
他の方ぼ指摘(でも池沼の用務員のじじいが、こんなおされな絵描けるかなあ)はすごく鋭いなぁと思ったのですが、(いや、僕が単に鈍いかもしれませんが)たしかに、あの老人が絵を描いたかどうかはまだわかりませんよね。
僕の中ではすっかり確定事項みたいな気持ちでしたが、探偵さんは、「まだその結論に飛びつくことは早いよ」と今日言っていました。
この手紙は5年前のものだそうですが、「用務員がこれを描いた可能性も消去しきれてない」って言っていました。
その話は僕は予想外で、えっそうなんだって感じで。
僕の中で、事件を早く消化してしまいたいっていう焦りがあったのかもしれません。
まず簡単のために、行方不明になった3人の子供に仮名をつけることにいたします。
14年前の事件:F君(男)
5年前の事件:E君(男)
2年前の事件:Dちゃん(女)
誘拐された子の年齢と性別には共通点はあるのか。
性別は上にある通りです。
F君は5年生、E君とDちゃんはどちらも二年生のときだったはずです。
季節に共通点はあるのか。
3件とも夏頃でした。
用務員に身よりは全くいないの?
母親が死んで以来、身よりらしい人はいないらしいです。
親戚が一人もないのかと聞かれると、そこまでは今ちょっとわかりません。
知的障害は先天的か否か。
程度は知りませんが、先天性だったと聞いています。
僕が小学生の頃はそれとわからなかったので、生活を営む上ではあまり支障はあかったと思います。
筆者は女性ではなく男性で間違いない?
男です。
行方不明になった友達 5へ
2022年08月05日
行方不明になった友達 3
タクシーが着いたのは老人ホームの前でした。
例の老人は、カメラに映った日に無断で抜け出していたそうで、職員の人が見る限りたぶん本人だろうと。
探偵さんとふたりでその老人のいる部屋(と言ってもたくさん人がいる相部屋なのですが)に行ってみました。
ベッドの一角にそいつがいました。
なんか呟いていましたけど、目の焦点が合ってなくて、痴呆症って感じでした。
5mぐらい手前でそいつがこっち向いて、僕しばらくわからなかったんですけど、「あっ…」て気付いちゃって。
それに気付いちゃったら、もう怖くて緊張で筋肉がギューって抑縮して、探偵さんに「え?この人なの?」て聞いて、そしたら探偵さんが、あーやっぱりかみたいななんとっも言えない顔して、
「えー、すみません。えーと要するに、僕知ってますよね、この人。前に会ってますよね。そいつ用務員なんですよ。小学校のときの。あのウジが湧いていたときに言いに行って、「は?」って顔した用務員なんですよ。最初歳取ってるからわかんなかったけど、ぜったあいつなんですよ」
たんていさんもこいつの経歴調べて、用務員だって知ったときに、「あ、これはヤバイかも」ってすぐ直感したらしいんですが、そいつが勤めてた小学校が変わるのと、行方不明の子がいなくなる場所がちゃんと符号するらしくて、しかも何年か前、老人ホームに入れられてから、この辺で猫の死体が出したのもちゃんと辻褄があってたりして、これはあたりかもって。
でも、もうそいつ完全にボケてて、会話もほとんど成立しません。
自分の好き勝手なことばかり喋ってて、内容も意味不明なんです。
もとからちょっと知的障害だったらしいです。子供の頃は全然知りませんでしたけど。
結婚もしてないし、子供もいません。完全に独り者のボケ老人です。
「〇〇さん」って老人に予備かけても「私は×××××です。(何言ってるかわかたな)とか言うし、子供を誘拐したことはあるかとかストレートに聞いても、ごにょごにょなんか呪文みたいなことを言うし、すごい不気味です。
一番怖かった彼の言葉があります。
「鶏が死んだ事件を覚えていますか」
「知らんよ、わたし。××うじが×××××、二回やぞ、二回。あー、捨てておけばよかった」
ここから先は完全に僕の妄想です。
まず、用務員は鶏をわざと飢え死にさせたんだと思います。
で、F君は何かの拍子にそれに気付いて、用務員に口封じされたのかもしれません。
僕はあいつの「二回やぞ、二回」という言葉がすごく気になってます。
何が二回だったのでしょうか。
絶対に僕の妄想なのでしょうが、用務員は僕とF君がそれぞれ苦情を言いに行ったのを、同じ子供が2回来たのだと思ったのではないでしょうか。
僕とF君は背格好はわりと似てましたから、もしかしたらありえたかもしれません。
それで、用務員はウジに関係する『何か』をあまり知られたくなくて、F君を襲う決意をしてしまったのかもしれないんです。
もしそうだったとしたら、F君は僕の身代わりになってくれたのかもしれないんです。
そんな考えたが頭から離れず、最近本当に体調を崩します。本当にツライです。
老人に会ったのはその一度っきりでした。
もう会うことはないと思います。
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