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大延長

三冊目の堂場瞬一作品、読了です。

大延長 (実業之日本社文庫 堂場瞬一スポーツ小説コレクション)

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本作は高校野球が舞台。

社会人、メジャーときて高校野球作品ですが、
なぜか日本プロ野球の作品がないですね。

これだけスポーツモノでも評価の高いの作家さんですから、
すでに書いているとは思いますので、ちょっと探してみよう。


さて、内容ですが、今までの堂場作品では一番面白く、
分厚いのに一気読みしてしまいました。

高校野球にまつわるさまざまなドラマ、
その裏で進行するさまざまな思惑が、
選手や監督、そして解説者などの視点を通して
語られていきます。

ころころ視点が変わるザッピング手法で
描かれていますが、その視点数の多いこと。

それでも、ストーリーの骨子がしっかりしているせいか
素直に読み進めることができます。

その骨子は、夏の甲子園決勝戦
延長でも決着がつかず、翌日の再試合を軸に展開します。

いやぁ、もう高校野球らしい手に汗握る展開が
見事に文章で表現されています。

プロローグとエピローグが、その試合の15年後、
その試合を戦ったライバル同士が監督となり、
甲子園出場を賭けた試合を戦っているあたりも、
大きな時間の流れの中に、今回の試合が
存在していることを意識させてくれます。
(時間の輪は、この試合の監督さん達の
大学野球の選手時代にまで遡ります)


ただ、アクの強いキャラ達が、試合終盤で
何かを悟ったかのようにいい人になっていく様は、
なんだかちょっと理解できませんでした。

解説の元ヤクルト外野手の栗山英樹さんは、
そのあたりにジーンと来た、と書かれていますが、
私には理解できない。

この当たりの心情は、実際に甲子園やプロを知る者と
傍観者の違いなのかな?
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