火曜日、遊戯王OCG二次創作・「霊使い達の宿題」の日。
コノ物語ハふぃくしょんデアリ、実在ノかーど、設定トハ一切関係アリマセン。
詳しく知りたい方はお約束通り、リンクのWikiへ。
それではコメントレス。
秋かなさん
今回も読ませていただきました。今回のストーリーは前回のストーリーと少し違い一つ一つの情景の細かさが際立つストーリーとなっている気がしました。前作では里香や裕一の想いが綺麗に表現されていたので個人的にはとてもストライクでした。また今回は桜や夜の描写が美しく表現されているので結構好きな部類なので続きが気になります。
言葉の選定や文の切り方など一つ一つがしっかりしているので、「モノガタリ」を創るのが大変かもしれませんが、更新を心待ちにしています。
がんばってください、長文失礼致しました。
いえいえ。長文大歓迎ですよ。楽しんでいただけてる様で作者冥利に尽きます。
今後も頑張りますんで、どうぞよしなに。
zaru-guさん
Wiki読んできた。
悪くは無いといっても、やはりファンデッキ、テーマデッキの域ってかんじかなー。でも、ガチに作られて、全然手に入らないよりはましか。とにかく、出してくれたことに感謝。
まー、そういうこってすね。確かに変にガチに作られると手に入りづらくなりますからねー。小生がコレ買った通販サイトでも、トリシューラなんかは品切れ状態でしたし。オマケに高いし・・・。
あとは憑依装着を待つばかりですね。わくわく。
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―7―
『し、死ぬかと思ったー!!』
「ま、まったく、何て事してくれたんですか!?大事なわたし達の収入源を―」
「い、今は忘れなさい!!話は後で―」
死地を抜けたと思い、とりあえず息をつくエリア達。
しかしその数秒後―
ドガァアアアアアン
「「『キャアッ!?』」」
封印宮が轟音とともに崩れ去り、もうもうと立ち込める土煙の中からトリシューラが姿を現した。
「ひえええーっ!!」
「し、しつこいー!!」
『も、もう駄目だーっ!!』
頭を抱える三人。しかし―
「・・・はれ?」
「・・・あれ?」
『・・・ありゃ?』
最期の一撃は、なかなか振って来なかった。
恐る恐る上を見てみると、トリシューラはもう彼女達を見てはいなかった。
三つの首が、何かを見つけた様にそろって一方向を向いていた。
その視線の先にあるのは、数キロ先で繰り広げられている戦場の光景。
響き渡る悲鳴。
漂う血の臭い。
地に転がる、数多の亡骸。
それが、トリシューラの暗い闘争本能に火をつけた。
仮面の様な三つの顔に、ピシリと亀裂の様な笑みが浮かぶ。
その笑みから漂う邪気に、すくみ上がるエリア達。
しかし、もはやそんな彼女達には目もくれず、トリシューラは巨大な翼をいっぱいに広げた。
そして跳躍。
数キロの距離をたった一羽ばたきで超え、破界の凶龍は戦場の只中へと雪崩れ込んだ。
驚いたのは戦場にいた連中である。
なにせ突然周囲に暗い影が落ちたかと思うと、空から巨大な“何か”が地響きを上げて降ってきたのだから。
キシャアアアアアッ
戦場の真ん中で狂喜の咆哮を上げるその姿に、いち早く正体を察したのはやはり氷結界の面々である。
「ぬ、ぬおお!!あれはトリシューラ!?」
「ば、馬鹿な!!何故あやつが!?」
「い、いかん!!戦どころではない!!奴を止めろ!!」
そう言って、氷結界の面々はトリシューラに向かって念を込め始める。
一方、魔轟神達の陣営。
「な、何だ!?これは!!」
「ぬぅ、あの尾の形!!こやつも氷結界の手駒か!?」
「小賢しい!!魔轟神獣を呼べ!!一斉攻撃で片付けるのだ!!」
魔轟神達は、魔轟神獣を召喚するための召喚陣を一斉に展開する。
そして、ワーム。
「ピッピ!?ピッピーピピ!?(何!?何なのコレ!?)」
「ワピッピ!!ワピピピワピ!?(ちょっと、やだ!!これも氷結界のペットじゃないの!?)」
「キュピ、キュピピピ、ピピ!!ピーピッピ!!(もう、あいつらのペットって何でこう趣味が悪いの!?構わないわ!!一斉攻撃で片付けるのよ!!)
集まった異形の異星生物達が、一斉に放電を始める。
しかし―
キシャアァアアアアアッ
咆哮一閃。
それだけで、その場に満ちていた異能の結晶が全て吹き飛ばされる。
「のぅわっ!!」
「な、何と!!」
「ピピッピー!?(な、何ですってー!?)」
予想外の事態に浮き足立つ魔轟神とワーム達。
氷結界の軍も、頭では分かっているがそれが現実の事態についていかない。
そこへ襲い掛かる冷凍雷撃。
「グワーッ!!」
「ヌゥオオオッ!?」
「キュピーッ!!(キャー!!)」
敵も味方もない。ただ己の破壊衝動を満たすため、トリシューラは暴挙の限りを尽す。
瞬く間に、無数の負傷者が山と重なる。
「い、いかん!!ブリューナクとグングニールを呼べ!!何としても奴を止めるのだ!!」
軍師の命によって連れてこられた二頭の龍が、トリシューラに挑む。
トリシューラへ向かって、無数の氷弾を放つブリューナク。しかし三つの頭が放つ冷凍雷撃がそれを尽く相殺する。その隙にグングニールが突進を仕掛けるがトリシューラはそれを片手で受け止め、そのままその巨体を放り投げてしまう。
・・・事態はますますいけなくなった。
三頭の巨龍がせめぎ合う場と化したそこは、もはや戦場などと呼べる代物ではなくなっていた。響き渡るのは三頭の龍の叫び声、固い鱗同士がぶつかる金属音、その周囲で巻き起こる爆発音。そしてそれに巻き込まれるその他大勢の悲鳴、絶叫、断末魔。
「ギヤー!!」
「グエー!!」
「キャァアアアッ!!」
「助けてー!!」
「神様ー!!」
「キュピピッピ、ピピーッ!!(ウエーン、おかーさーん!!)」
文字通り、阿鼻叫喚の地獄絵図である。
「・・・あわわわ、何て事・・・。」
戦場を見渡せる高台で、氷結界の風水師は力なくへたり込んでいた。
「ちょっと、どうしてくれるんですか!!このままじゃあ皆・・・って、あれ?」
怒鳴りながら振り向けば、そこにいた筈の張本人とそのお連れがいない。
「あれ、ちょっと!!おいこらー、どこいったー!!責任とれー!!」
風水師の怒号は、騒乱の空に空しく溶けて消えていった。
そしてその頃―
『ちょ、ちょっとエリアー!!一体何処まで走るのさー!?』
「あんた馬鹿!?そんなの、追っ手の手が届かない所までに決まってるじゃない!!いいから、黙って走りなさい!!」
『そ、そんなぁ〜。』
いつか空を染めていた夕日も沈み、替わりに丸い月が浮かび始める。
その柔らかい光の下を、エリア達は走り続ける。
彼女達は知らない。今日自分達がなした所業が、彼の地にどんな結果をもたらすのか。そして帰り着いた自分達を、どんな運命が待ち受けているのか。
・・・彼女達の逃走劇は、まだ始まったばかりである。
―8―
「ふぁ〜。良く寝たぜ。」
宿屋のベッドから身を起こすと、物資調達員はそう言って大きく伸びをした。
寝ぼけ眼で部屋の時計を見てみると、もう昼近くである。随分と寝てしまった様だ。ここの所忙しくて、疲れがたまっていたのだろう。
ポリポリと頭を掻きながら、しばしボーっとしていると何か外が騒がしい事に気が付く。
「あぁ、何だぁ?」
欠伸をしながらベッドを降りると、カーテンを開き窓を開ける。
開けて、固まった。
「な・・・なんじゃ、ありゃあああっ!?」
目の前にあったのは、町の端で太い鎖で幾重にも雁字搦めにされた上、氷漬けにされた三つ首の巨龍の姿。
慌てて目を凝らすと、龍のいる町の端から氷結界の戦場まで続く道が、滅茶苦茶に破壊されている。あちこちに爆発跡の穴が開き、無数の氷の塊が突き刺さって酷い有様である。
どうやら、件の龍が来る道々を破壊しながら町の近くまで接近し、ここまで来てやっと止められたという次第らしい。
っていうか、こんな騒ぎなってんだったら起きろよ、俺!!どんだけ爆睡してんだ!!
自分で自分に突っ込みながら急いで服を着ると、宿屋を飛び出す。
「ありゃあ、確か氷結界の最後の龍だよな。何で封印解かれてんだ?氷結界の連中、血迷ったか?」
そこまで言って、調達員はある事に思いつく。
頭に浮かぶのは、昨日件の地においてきた少女の顔。
「ま・・・まさか、な・・・。」
顔を引きつらせながら、調達員は足を速める。
現場に近づくにつれ、人の数が増えていく。龍の足元まで来ると、もう身動きも取れない程の人ごみである。その人壁の向うから、何やら話し声が聞こえる。
テレビクルーであるD(ディフォーマー)達の姿が見える事から察するに、どうやら誰かがインタビューを受けているらしい。
「はい、御免よ。」
人込みを掻き分け、なんとか列の最前列まで来ると、インタビュアー兼録音係のD・ラジカッセンがマイクを三つの人影に向けていた。その三人を見て、調達員は我が目を疑った。
一人は良く知っている。氷結界の紋章を模した帽子を目深に被った老人。氷結界の現場指導者、氷結界の軍師である。
問題は他の二人。
一人は金色の鎧に身を包んだ、身の丈3mはある巨漢。血の様に真っ赤な長髪を後ろに流し、背には大きな蝙蝠の翼を生やしている。
・・・どう見ても、魔轟神である。
さらにもう一人にいたっては、(人)という単位を使っていいものかも疑わしい。
ヌルヌルテラテラした、彼ら特有の表皮。下半身は得体の知れない四足の怪物。その頭部から伸びる上半身には四本の腕が生えている。
・・・ワームだ。
三人(?)とも、ボロボロの態ではあるが、その顔には満足げな笑みが溢れている。
何だこれは?どういう事だ?
この三勢力は現在絶賛戦争中の筈である。
それが何で親しげに肩を並べ、仲良くインタビューなど受けている?
よく見れば、氷漬けの龍の向こうでも三勢力の面々が親しげに肩を組み、笑い、歌い合っている。
・・・どうしてこうなった?
少なからずの混乱を覚えながら、彼らの話へと耳を傾ける。
『ソレデハ、今回ノ事ハミナ、魔轟神トわ−むノオ陰ト言ウ事デスカ?』
その質問に、氷結界の軍師が答える。
「さよう。レヴュアタン殿達魔轟神の方々と、ワーム・キング殿達ワームの皆様方のお力添えにより、この凶龍の再封印に成功したわけじゃ。」
その言葉に、レヴュアタンとワーム・キングが倣う。
「いやいや、今回の事はみな、何千年もの間彼奴めを封印し、研究し続けてこられた氷結界の方々の知恵あってこそのものよ。」
「ギキユピ、ピピ(全くもって、その通りよ)。」(訳)D・ラジオン)
『エー、ソレデハ、戦争ハモウ終結ト受ケトッテモヨロシイノデショウカ?』
その問いに、軍師が頷く。
「うむ。今ここに至っては、我々が争う理由など最早在って無き様なもの。」
「その通り。今回の件で我らは暴力による支配というものが、どれだけ醜くかつ脆い物であるかを知った。全く、やられる側に回ってみなければ分からないものよ。」
「ギュピピ(完全に同意だわ)。」
畏まるレヴュアタンとワーム・キングの肩を軍師が親しげにポンポンと叩く。
「なんのなんの。それを理解出来たという事は、貴殿達がそれだけの器量を持っていたという事。これまでの非礼、すまなんだ。」
「何を言う。それはこちらの台詞。」
「ギュピ(そうよぉ)。」
すすだらけの顔にそれぞれキラキラと爽やかな笑顔を浮かべ、頷き合う三人。
『ソレデハ、今後ハドノ様二?』
「そうじゃの。本心としては、この凶龍の封印を解いたという”余所者の娘”とやらをを見つけ出してお灸をすえたい所じゃが、まぁ、それは後の話じゃ。のう、レヴュアタン殿。」
「うむ。まずは我ら魔轟神、今後氷結界に協力し、我らが荒らした土地の再生に力を尽そうと思う。」
「ギュピギュピピピピ。ギュピ、ピア(私達は母星に帰るわ。家族、恋しくなっちゃった)。」
「そうか。長い道中じゃ。気をつけての。」
「ギュッピー(ありがとねー)。」
和気藹々と語り合う三人(?)。その様子に「ハァ・・・」と頷くと、とりあえずラジカッセンは三人(?)に向かって言った。
『アー、ソレデハ、戦争ノ終結ト友愛ノ証トシテ、握手ナドオ願イ出来マスデショウカ?』
その言葉に、三人(?)が容易い事と歩み寄る。
「これから、お願いしますぞ。」
「こちらこそ。友よ。」
「キミ、ボク、トモダチ。」
そして、がっちりと硬い握手。
後ろの三陣営からワッと歓声が上がり、祝福の拍手が場を包む。
その反面、集まった町の衆は冷めていた。
・・・っていうか、”これ”どーすんだよ・・・。
町の入り口を塞ぐ形で固定された”それ”を見上げ、誰かがつぶやいた。
思いは皆、同じである。
ピュ〜と冷たい風の中、歓喜にわく三陣営と、途方にくれる町民達。その間で、調達員は一人ヒクヒクと顔を引きつらせていた。
「余所者の・・・娘・・・。」
立ち尽くすその身に当る風は、ただただ、冷たかった。
終わり
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