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2012年02月08日

絆を紡ぐ想い・澎侯の霊樹とマヨイガの森(1)(アニメ学校の怪談・二次創作作品)







 水曜日、学校の怪談の日です。
 今回から新しい(と言っても書いたのは10年くらい前ですが)話です。
 学怪が終わった直後に書いた話で、学怪の最終話をしってる前提で書いてますので、知らない方には分かりにくい展開だと思うのでご承知ください。
 よく知りたいと思う方は例の如くリンクの方へ。


 それではコメント返し

 まあ、例の彼が登場したこと自体には何も言わんでおこう・・・・・・

 あはは、個人的に気に入ってたので、つい出しちゃいました・・・。(ちっ・・・見透かしてやがる・・・orz)

 その彼のことになりますが、ちゃんと水霊使いから運賃をもらったんでしょうか?もらってないんだろうなぁ・・・。
払ってないんだろうなぁ・・・・・・


 ああ、これに関しては完全に”彼”の善意です。ウィンからももらってませんよ。”彼”は仕事相手と取れる相手からはガッツリもらいますが、それ以外の人達に大しては結構おおらかです(という脳内設定)。

 エリアはワールドイズマインのやつですね、うん、私の妄想キャラと全然違う☆なぁに、全部わかってたことさ!
 
 ふははは、そうでしょうそうでしょう。自信あったもん。絶対他の人とは違うって。ちなみにアウスとライナも違う自信あります!!どうだ、すごいだろう?ふはははは・・・。・・・どうしてこうなった・・・?

 「死なないようにね。」
おそらく、『今までの会話の続き』とでも言わんばかりに普通のトーンで言ったんだろうな。この時の彼の苦笑いが目に浮かぶようだ。
私には最良から2,3番目くらいの激励の言葉に聞こえる。普通なら言えない、でも、このエリアだから言えた。(笑)


 この性格設定の特権です(笑)


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   絆を紡ぐ想い・澎侯の霊樹とマヨイガの森(1)
 
                   プロローグ  
 
 おや・・・久しい客じゃ・・・。何かに迷われましたか・・・?
 おや、お前は誰と・・・?
 ふふ・・連れない事を言ってくれる・・・。そなたとは二八年もともに過ごした仲だというのに・・・。
 まぁ、そんな事よりも、如何した?顔がすぐれぬ・・・。
 いつも傍若無人なそなたらしくもない・・・。
 話してみよ・・・。
 ここはマヨイガの森・・・。
 迷い人が捜し物を見つける場所・・・。
         

                  その1・約束の丘 
 
 弾け飛んだ旧校舎の時計台。
 その下に広がる、脈打つ闇の世界。
 その闇に向って、あいつは消えていく。
 『ありがとよ・・・』
 その一言だけを残して・・・。

 ピピピピピピピピピ・・・・
 
 薄暗い部屋の中に、目覚ましの電子音が無機質に響く。
 「ん・・・。」
 手で探る様にして目覚ましを止めると、わたしはゆっくりとベッドから身を起こした。
 「ミャオ・・・」
 そんなわたしに、一匹の黒猫が甘えた声を出しながら擦り寄ってくる。
 「おはよう、カーヤ・・・。」
 微笑みながらそう言うと、わたしはカーヤの喉をそっと撫でる。
 「ゴロゴロゴロ・・・」
 カーヤは嬉しそうに喉を鳴らし、目を細める。
 「・・・・・。」
 いつものカーヤ。昔通りの、かわいいカーヤ。わたしがずっと、帰って来て欲しいと思っていた猫のカーヤ。
 そのはずなのに・・・

 (何かが違う。)
 
 閉められたカーテンの隙間からは、明るい朝日が差し込んでいる。
 わたしはベッドから降りると窓に歩み寄り、カーテンを開いた。
 澄んだ光が部屋の中を照らし出し、思わず目を細める。
 「いい天気・・・。」
 右手で顔にかかる光を遮りながら、わたしは真っ青に澄み切った空を見上げた。

 「敬一郎、行くよー。」
 玄関で靴を履きながら、わたしは茶の間に向って声をかける。
 「待ってよー!お姉ちゃん!!」
 カーヤを抱いた敬一郎が、慌てて飛び出してくる。
 裏山の丘でピクニック。
 それが今日のわたし達の予定。
 だけど、本当の目的は・・・

 「来たよ・・・。天邪鬼・・・。」
 わたしは、目の前の木に向って話しかける。
 ここは裏山の水仙の咲く丘。
 あの逢魔との戦いの後、消えた天邪鬼が敬一郎との約束を果たしてくれた場所。
 その時、確かにこの木からあいつの声が聞こえた。
 生意気で、高飛車で、人を食った様なあいつの笑い声・・・。
 けれどそれっきり、あいつの声は聞えない。
 「ちょっと・・・人が話し掛けてるんだから、返事くらいしなさいよ!」
 そう言いながら、こつんと木の幹をこづく。
 返事はない。
 「なによ!!約束守ったら、後はしかとする気・・・!?」
 今度は少し力を込めて、きつめに幹をこづく。
 でも、やっぱり返事は返ってこなかった。
 「・・・駄目か・・・。」
 知らず知らずの内に肩が落ちる。
 「お姉ちゃん・・・。」
 傍らでカーヤといっしょに見ていた敬一郎が、しょぼんとした顔をしてわたしを見ていた。
 「なんて顔してんの?そんな顔してると、天邪鬼(こいつ)に笑われるわよ?」
 軽口をたたきながらも、わたしは自分も同じ様な顔をしている事に気が付いていた。
 「・・・。」
 「・・・。」
 寂しい沈黙。
 「・・・お弁当にしようか・・・?」
 その空気を振り払おうと、わたしはお弁当を広げた。

 お弁当を食べ終わると、わたしと敬一郎は天邪鬼の木の幹に背を預け、それとなく無言で時を過ごす。

 (わたしって・・・随分自分勝手だったんだな・・・。)
 木陰とそこを通る風の涼しさに、まどろみを覚えながら、私はそんなことを考えていた。
 (天邪鬼(あいつ)がいた時には、散々「早くカーヤの中から出てけっ!!」とか言っといて、いざその通りになったらこの有様・・・。)
 目に映る風景がぼやけていく。
 (・・・呆れてるだろうな・・・天邪鬼(あいつ)・・・。)
 そして、いつしかわたしは深い眠りに落ちていった・・・。

 ザァアアアアアアア・・・・・

 静かに響く水の音。
 辺りに満ちる、緑の香り・・・。
 気付くと、わたしは見たこともない場所に立っていた。
 目の前に広がるのは、延々と続く深い森。
 後ろを見れば、そこには高い崖がそそり立ち、遥か上からは澄んだ飛沫を上げながら、大きな滝が幾筋も流れ落ちて、下に広がる深い淵を満たしていた。
 そして・・・
 「大きな木・・・。」
 その淵の辺には、今まで見た事もない、大きな、大きな木が、まるで天を支えるかの様にそびえ立っていた。
 「お姉ちゃん・・ここ、何処・・・?」 
 いつの間にか傍らに立っていた敬一郎が、そう言いながら不安そうに袖を引いてくる。
 「・・・分からないよ・・・。」
 わたしの言葉に、不安に耐えかねたのか敬一郎がしがみついてくる。
 「怖いよ・・・。お姉ちゃん・・・。」
 「・・・大丈夫・・・。」
 震える敬一郎を抱きしめようと、わたしが腰をかがめた その時―
 
 『珍しい客じゃ・・・。何かに迷われましたか・・・?』

 不思議な響きを持つ声が、静寂の空気の中に静かに響いた。
          

                   その2・澎侯 

 「!!、誰!?」
 そう叫びながら、わたしは声のした方に目を向けた。
 目の前にそびえる巨木。その根元に、それはいた。

 「・・・犬・・・?」
 わたしの後ろから、おずおずとそれを覗き見た敬一郎が、そう呟く。
 確かに、巨木に寄り添うように寝そべるそれは、まるで尾のない、大きな黒犬の様に見えた。ただ、その頭の部分の毛だけが白い。
 「・・・?」
 わたしが恐る恐る近づこうとした時、不意に犬が頭をもたげた。
 今まで前足の間に埋められ、わたし達からは見えなかったそれの顔があらわになる。
 「・・・!!!」
 わたし達は思わず息を呑む。

 白く、長い髪が風に揺れる。
 その白髪の間から覗くその顔は、まぎれもなく人間のそれだった。

 「・・・お姉ちゃん・・・!!」
 敬一郎のしがみつく手が、汗でじっとりと濡れているのが分かる。
 「・・・人面犬・・・?」
 わたしは一瞬、以前旧校舎の中で出会った、人面犬身のお化けの事を思い出した。
 けれどー
 「・・・違う・・・。」
 今、わたし達の目の前にいるそれから感じられる気配は、わたしの知る人面犬のそれとは明らかに違っていた。
 はるかに大きく、強大で、それなのにひどく穏やかで、優しげで、そしてどこか懐かしい気配。
 それは、わたしが今まで出会ったどのお化けとも違う、不思議な存在感だった。
 当惑するわたしの様子に気付いたのか、それは再び声をかけてきた。
 『如何した・・・?我が、お怖いかな・・・?』
 穏やかで、涼しげな声。
 「・・・。」
 わたしは無言で首をふり、それに答える。
 そして、不安そうにわたしにしがみついている敬一郎の頭に手を置くと、そっと囁く。
 「大丈夫だよ・・・。敬一郎・・・。こいつ、悪いお化けじゃない・・・。」
 「・・・どうして・・分かるの・・・?」
 不思議そうに訊ねる敬一郎に、わたしは自信を持って答える。
 「なんとなくね・・・分かるんだ・・・。」
 「・・・?」
 そんなわたし達のやり取りを見て、それはその顔に微笑を浮べながら言った。
 『なるほど・・・。気丈な娘じゃ・・・。なかなかに良き眼(まなこ)、それに良き魂魄(こんぱく)を持ち合わせておられる・・・。あの天邪鬼の悪たれ坊主が惚れ込むのも分かるというもの・・・。』
 「!!、あなた、天邪鬼を知ってるの!?」
 驚きに思わず詰め寄ったわたしに、それは微笑みを浮べたまま答える。
 『知っているもなにも、あの悪たれは悪さが過ぎてそなたの母君に霊眠させられてからの二十余年、ずっと我の内で眠っておった故・・・。我にとっては、あれは出来の悪い孫も同然・・・。』
 「ママの事も、知ってるの・・・!?あなた・・・一体・・・!!?」
 『人間(そなた)方には、古きより「澎侯(ほうこう)」と呼ばれております・・・。』
 「ほう・・こう・・・?」
 『・・・まぁ、我の事など、今は詮無い事・・・。それよりも、そなた様方が何故にここに参られたのか、それをお聞きいたそう・・・。』
 そう言うと、澎侯は身を起こし、きちんと座り直すとわたし達と向き合った。
 

                                                    続く
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