2012年05月23日
絆を紡ぐ想い・澎侯の霊樹とマヨイガの森(13)(アニメ学校の怪談・二次創作作品)
水曜日、隔週連載学校の怪談SSの日です。
学怪の最終話をしってる前提で書いてますので、知らない方には分かりにくい展開だと思うのでご承知ください。
よく知りたいと思う方は例の如くリンクの方へ。
それではコメントレス
秋かなさん
お疲れさまです。
今作も前編中編後編と三部に分かれているようなので、楽しみです。
里香の作り出した料理が凄まじいモノみたいなのが病院で暮らしていた里香っぽくて、いいなと思いました。
次回いよいよ裕一が里香の作った料理を食べるようなので、裕一がどのような反応をするのかや里香がどんな料理を作るのかが楽しみです。
引き続きがんばってください。
毎度ありがとうございます。
次回、いよいよ裕一運命(笑)の日です。
彼の生き様を見届けてください。
zaru-guさん
エンゼル・イヤーズ「ほわ〜ほわほわほわ〜ほほわわ〜ほ〜わ〜、ほわほわほわ〜ほ〜わ〜ほ〜わ〜ほわ〜。」
(訳:シュワッシュワシュワシュワッシュッワッチ。)
ハネクリボー「クリックリクリックリクリクリ、クリ〜。」
(訳:もけっもけもけっもけもけもけ、もけ〜。)
・・・ええぃっ!!何言ってるのか分からんわー!!!(ノ#-_-)ノ=Σ┻┻
なかなかテンポよく読めた。シリアスな空気がうまく出てたと思う。戦闘自体は単純にしてキャラそのものをみせてくれる回だった。
ああ、良かった。誉められた(ホッ)
※1→出る。出るともさ!だが、そのカードはすでに完成し存在しているんだ。そう、僕たちの心の中にね。(え?それって出ないフラg……)
そんな時は、コ〇ミにはティロフィナーレか荷電粒子砲かライザーソードのどれかを選んでもらう事になりませう・・・。 その13・帰郷
「準備はよろしいですか?」
椿さんにそう訊かれ、わたし達は「うん」と頷いた。
わたしの左手には、それをシッカリと握った敬一郎。そして、右手の中には静かに寝息を立てる天邪鬼。
もうわたしが求めていたものは、全て手の中にある。
後は、わたし達が帰れれば、皆元通り。
でも・・・
「どうすればいいの?」
わたしが問うと、キジムナー達がピョンピョン跳ねながら答えてくれた。
「ソレ 簡単。」
「ココ 迷イ家(マヨイガ)。」
「迷イ人 求メルモノ 与エル。」
「迷イ人 求メルモノ 貰エル。」
「ソレナラ」
「ソレナラ」
「ドウスル?」
「ドウスル?」
そう言いながら、ニタニタとわたし達の顔を覗き込んでくる。
ああ、そうか。
わたしが頷くと、キジムナー達は嬉しそうにキャッキャッと飛び跳ねた。
「お解かりになられたようですね。」
微笑みながら言う椿さん。
その様子は、どこか寂しそうで・・・。
わたしは敬一郎の手を放すと、彼女に近寄った。
「椿さん。」
「何ですか?」
「はい。」
「え・・・?」
わたしが差し出した手を、不思議そうに見つめる椿さん。
少しの間の後、その意味を察したのか、おずおずと手を差し出してきた。
わたしはその華奢な手を、しっかりと握る。
冷たいけど暖かい、生きた木の体温が、握った手の中に広がる。
「色々、ありがとう。」
わたしがそう言うと、椿さんはにっこりと微笑んだ。
とてもとても綺麗に、微笑んだ。
「用意はいい?敬一郎。」
わたしがそう尋ねると、敬一郎はわたしの手をギュッと握って「うん」と頷いた。
わたしも頷くと、大きく息を吸い込んで声を張り上げた。
「道をください!!わたし達の町へ、家へ、皆の所へ!!わたし達が帰る道を、扉をください!!」
スターン
わたしの声に応える様に、後ろの扉が大きな音を立てて開いた。
「・・・わぁ・・・。」
振り向いたわたし達は、感嘆の声を上げた。
開いた襖の向こうにあったのは、広い広い大空。
そしてその下には町が、わたし達の町が広がっていた。
「・・・ここから、下りるの・・・?」
「・・・みたいね・・・。」
不安げに訊いてくる敬一郎。
うん。正直、わたしも怖いぞ。
「大丈夫ですよ。」
後ろに立った椿さんが言う。
「マヨイガが訪れた者を謀る事はありません。マヨイガが与えたのなら、その道に間違いはありません。」
「で・・・でも・・・。」
躊躇するわたし達。どうしても、その一歩が踏み出せない。
すると―
「はい。」
ポン
「え・・・?」
背 中 押 さ れ た。
「き、きゃ・・・」
傾いた身体が、宙に舞う。
クルクルと回る視界の中で、微笑みながら手を振る椿さん達の姿が見えた。
わたしは敬一郎と天邪鬼を放さない様に、二人を掴む手にしっかりと力を込めた。
眼下に見える町が、少しずつ近づいて来るのが分かる。
ふと、そこにいる皆の顔が見えた。
パパやおじいちゃん、ハジメやレオ君、桃子ちゃん。そして・・・。
ふわりと温かい風が、わたし達を包む。
それに混じる、キラキラと光る金色の砂。
「・・・ママ・・・澎侯・・・。」
呟く。
優しく、抱き止められる感触。
そのまま、気が遠くなって・・・。
―気がつくと、わたしは木漏れ日の下で横たわっていた。
どこか夢心地のまま、身を起こして辺りを見回す。
そこは、最初にわたし達がいた裏山の水仙の丘。
空に浮かぶ太陽は、眠り込む前から、ほとんど動いた様子がない。
傍らを見ると、敬一郎とカーヤがスヤスヤと寝息を立てていた。
敬一郎に抱かれて眠るカーヤの喉を、人差し指でそっと撫でる。
ゴロゴロゴロ・・・
小さく喉を鳴らすカーヤ。
そんなカーヤに、わたしは静かに訊いた。
「・・・晩御飯、何がいい?」
黒い耳がピクリと動き、カーヤがス、と目を開ける。
わたしを見つめる、青と黄色の瞳。
そして、
「・・・餃子。」
ポツリとそう呟くと、“そいつ”はまた敬一郎の腕の中で丸くなる。
「・・・了解。」
そう答えて、わたしは木の幹に背をあずけた。
冷たくて暖かい、木の体温。
サヤサヤサヤ・・・
木の葉の間を通り過ぎて来る風が、心地良い。
それは、まるで優しく流れる子守唄の様。
その音色を聞きながら、そっと木の幹を撫でる。
「・・・ありがとう・・・。」
わたしはそう呟いて、また、瞳を閉じた。
終り
posted by 土斑猫(まだらねこ) at 18:56| 絆を紡ぐ想い・澎侯の霊樹とマヨイガの森(学校の怪談・完結)