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2012年05月08日

霊使い達の宿題その7・光霊使いの場合(3)









 火曜日、遊戯王OCG二次創作・「霊使い達の宿題」の日です。
 霊使い最後の一人、光霊使いライナの出番となっています。
 例によって作者個人のイメージによるキャラ付けとなっていますので、その所御了承願います。
 

 それではコメントレス

 お疲れ様です。
 今回もまた吉崎よりも珍しいキャラが出てきましたね。
 また、吉崎たちの仲の良さがありよかったです。


 結構好きなんです。このコンビ。原作の方でも、もう少し彼女達の活躍の機会があったら良かったなーとかたまに思います。

 プレゼントは裕一と里香に合っていていいと思いました。

 結構って言うか、かなり悩みましたww
 んで結局、一番無難な所に落としたと言うか何と言うか・・・。


 更新はいつでも平気ですので待ってます。

 ありがとうございます。なるべく早く新しいネタ見つける様に、頑張りますです。


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                           ―6―

 ―ハネクリボーの非常警戒音がライナ達に届いたその頃、虹の泉では―

 「クポポポポポポ。いいのう、ここは。“資源”の宝庫ではないか。」
 愉快気に笑い声を響かせながら辺りを見回すのは、僧侶の様な姿をした男。ただし異様なのはその僧衣の中から覗く顔。その顔は人間のそれではなく、4つの目を持つ奇怪な魚の顔だった。水掻きのついた足が、水辺に咲く花を踏み躙る。
 「やーよ。あたし。こんなにギラギラ光が照ってたら、お肌が焼けちゃうじゃない。ほら、あんたたち!!ボサッとしてないで、さっさと“資源”を捕まえなさい!!」
 僧侶の横でそう喚き散らしているのは、魔法使いの様な衣装に身を包んだ青い髪の少女。
 苛立たしげに地団駄を踏みながら、泉の辺で逃げ惑うモンスター達を捕まえている部下らしき男達に怒鳴り散らしている。
 「へいへい。わかってますがな、御嬢。」
 「そう、がならんでくだせぇ。」
 「あんまり騒がれると、折角の“資源”が逃げるでやんす。」
 そう口々に言う男達は、これまた異様な風体をしている。
 一人は蛸。
 一人は鮫。
 一人はヒレの付いた蜥蜴の様な姿をしている。
 彼らはその触手や手にした鎖を使い、次々とモンスターを捕まえては網の中に放り込んでいく。
 「全く、三匹そろって愚図なんだから。」
 「まぁそう言うなエリアル。愚図は愚図なりに、働いてくれているではないか。」
 「あんたがそう言って甘やかすから、あいつらも図に乗るのよ?シャドウ。」
 そう言い合う二人の杖には、奇妙な形をした鏡がはめ込まれている。否、彼らだけでなく、部下らしき 三人にもそれぞれの武器や衣装に同様の鏡がついていた。
 と、部下達の触手や鎖をすり抜けた一匹のエレキタリスが、シャドウと呼ばれた僧侶の足元に逃げてくる。
 しかしその足をすり抜けようとした所を、シャドウに踏みつけられてしまう。
 キキィッ
 苦痛の声をあげながら、パチパチと放電をするエレキタリス。しかし、シャドウはピクリともせずにせせら笑う。
 「クポポポポ、活きのいいのは良い事よ。“資源”として我ら「リチュア」の糧になれる事を光栄に思うがいい。」
 「は、こんな雑魚チビどもなんか、幾らの足しにもならないわよ。」
 エリアルと呼ばれた少女(※1)は、そう言って酷くつまらなそうに鼻を鳴らした。
 「はー、シャドウはん、えろうすんまへん。こいつ、すばしっこくて・・・」
 エレキタリスに逃げられた蛸頭の男が、触手で頭をかきながら近寄ってくる。
 「ちょっと、マーカー。ただでさえ役立たずなのに、出来る仕事までし損ねる気?何だったら、あんたから“使って”もいいのよ?」
 暴れるエレキタリスのしっぽを掴んでぶら下げながら、エリアルがそういい捨てる。
 「うへぇ、御嬢は相変わらずおキツイでんなぁ。ちゃんとやりますけん、勘弁してください。」
 蛸頭の男―リチュア・マーカーは、そう言ってエリアルからエレキタリスをうけとろうと触手を伸ばした。
 と、その時―
 「クリーックリクリクリーッ!!」
 飛び出してきたハネクリボーがマーカーの触手に齧りつく。
 「おお!?何や、こいつ!?」
 驚くマーカーの後ろで、残り二人の声が響く。
 「おいおい、こっちもですぜ!!」
 「何でやんすか、オメェら!?」
 そう口々に言って身構える二人の前には、他のモンスター達を守る様に立ち塞がる、もけもけとエンゼル・イヤーズの姿。
 双方、かなり怒っているらしく、もけもけは焼いた餅の様に膨れ、エンゼル・イヤーズはその目を真っ赤に充血させている。
 「何や?コイツら。気味の悪い連中でんなぁ。」
 纏わりつくハネクリボーを鬱陶しげに振り払いながら、マーカーが言う。
 「・・・この辺りの野生モンスターじゃなさそうね。何なのこいつら?」
 「ふむ。ハネクリボーにもけもけ、エンゼル・イヤーズか・・・。皆、天使族の外れ者じゃ。」
 エリアルの問いに、シャドウが答える。
 「天使族ぅ?何でそんなもんがここにいるのよ?」
 「さてな。まぁよかろう。マーカー、アビス、チェイン、そいつらも捕まえてしまえ。いい儀式の足しじゃ。」
 「「「あらほらさっさー。」」」
 三人はそう言うと、相変わらず他のモンスター達を守ろうとしているハネクリボー達ににじり寄っていく。
 「にょっにょっにょっ、さぁ、大人しくしいな。」
 「そうそう、痛い思いしたくなけりゃ、大人しくするでやんす。」
 「おぅ、ジッとしてりゃ、直ぐ終わるからよう。」
 マーカーの頭から伸びる触手がハネクリボーに触れようとしたその時−
 フッ
 彼らの上に、暗い影が落ちる。
 「ん?」
 何事かとマーカーが上を向いた瞬間−
 「チョワーッ!!」
 グチャッ
 「おべぇっ!?」
 降って来た靴底に顔面を踏み抜かれ、マーカーは陸揚げされた蛸の様に伸び転がった。


                              ―7―

 「マ、マーカー・・・ってウベァ!?」
 「へブゥッ!?」
 伸びたマーカーの心配をする間も無く、横殴りに振られた尾に凪払われ、アビスとチェインも地べたに転がる。
 「マロ君、めー君、もけ君、大丈夫ですか!?」
 「ちょっと、今度は何なのよ!?」
 「ふむ、飛んどるのはエレメント・ドラゴンじゃが、この降ってきた娘は何じゃ?」
 訝しがるシャドウとエリアルに向かって、降ってきた娘―ライナはビシィッと指を突きつける。
 「あなた達!!一体何をしているですか!?罪もないモンスターさん達を玩具の様に扱って!!何様のつもりなのです!?」
 そんなライナを見て、シャドウは嘲笑する。
 「クポポ、面白い事を言う娘じゃな。強い者が弱い者を糧とする。弱者が強者の踏み台となるは、まごう事無く天の理、地の自明というものじゃろうに。」
 そのシャドウの言葉に、ライナはますますその眉根を吊り上げる。
 「何を勝手な事を言ってるですか!!生きとし生けるもの、みんな等しくお友達なのです。」
 それを聞いたエリアルが、大げさに溜息をつく。
 「何か、随分天然オツムなヤツね?じゃあ、訊くけど、アンタ魚は食べないの?肉は好きじゃない?言っとくけど菜食主義者なんてオチは無しよ。植物族だって、“一応”生きてるんだから。」
 「それは、生き物として仕方の無い事です!!だけど、それと貴方達のやってる事は全然別です!!必要以上の搾取は、自然のバランスを崩します!!まして、力が弱いから虐げられていいなんて理屈、あっちゃ駄目なのです!!」
 「うわ、面倒くさっ!!。あたしの一番嫌いなタイプだわ。」
 露骨に顔をしかめるエリアル。
 「なんですってーって・・・エリアちゃん!?」
 「は?」
 お互いがお互いの顔を見て、ポカンとする。
 やがて、エリアルの顔を見つめていたライナがワナワナと震えだす。
 「な、何て事でしょう!!確かにエリアちゃんはお馬鹿で自意識過剰の自信過剰で軽薄な単細胞のお間抜けさんでしたが、こんな悪事に手を染める様な娘じゃなかった筈なのに・・・!!」
 「・・・何言ってんの?あんた・・・」
 「悲しい・・・ライナは悲しいのです・・・!!」
 完全に自分の世界に入って嘆き出すライナに、エリアルは成す術なく呆然とする。
 「何じゃ?お主の知り合いか?エリアル。」
 「知らないわよ。こんな能天気博愛主義者なんて。」
 「何ですって!?」
 ピンッ
 エリアルの言葉に、うつむいていたライナのアホ毛が立った。まるで何処ぞの妖怪少年の様である。
 「いくらエリアちゃんがお馬鹿でも、毎日見ているライナの顔を忘れる筈がないのです!!という事は・・・」
 ライナの指が再びビシィッ、とエリアルに突きつけられる。
 「あなたは偽エリアちゃんですね!!」
 「「・・・・・・。」」
 注がれる二人の視線が冷たい。
 しかし、非常に残念な事に、当のライナには全く通じていない。
 「危なかった・・・。危うく騙される所だったのです。しかし、そんな姑息な手段に惑わされるライナではないのです!!残念でしたー!!」
 わー、パチパチパチ。と、拍手するハッピー・ラヴァー一同。
 「残念なのは、あんたのオツムよ・・・。」
 心底ウンザリしたという態で溜息をつくエリアル。その顔には、疲労の色が濃い。
 「でも・・・思い出したわ。その格好に使い魔・・・。あんた、「霊使い」ね?」
 「ほう、知っとるのか?エリアル。」
 「知ってるも何も、あたしの一族にも“その道”に行った物好きがいるのよ。そいつの名前が確か・・・『エリア』だったわ。」
 ピンッ
 その言葉に、またまたライナのアホ毛が立つ。
 「ライナも思い出したのです!!前にエリアちゃんが言ってました!!ご親戚に変な宗教にはまっちゃった娘がいて困ってるって!!さては、あなたがそうですね!?」
 「・・・あんたに言われると、何だかむしょうに腹が立つわ・・・。」
 苛立つエリアルを制して、シャドウが前に出る。
 「新興宗教扱いは心外じゃな。「リチュア」を知らんのか?」
 「リチュア・・・?ああっ!!最近巷で有名な世界征服を狙う悪の秘密組織!!」
 「・・・今一つ表現に同意しかねる所があるが、まぁ概ねそんな所じゃ。」
 「てっきりただの都市伝説だと思っていたのです。まさか本当に存在するなんて・・・」
 「事実は小説より奇なり、じゃよ。」
 戦慄くライナにそう言って、シャドウはクポポと笑う。
 「く・・・その悪の秘密組織が、なんでこんな無力無実な小モンスターさん達を拉致しようとしているですか・・・?」
 ライナの問いに、シャドウの目が怪しく光る。
 「なに、大した事ではない。少しばかり、儀式の生贄になってもらうだけじゃ・・・。」
 「い・・・生贄ですって!?」
 「何せ、わしらはまだ少数勢力でのう・・・。その不足を補う肝が、ほれ。」
 そう言って、自分の杖にはめられた奇妙な鏡を晒す。
 「この儀水鏡を使った邪悪古代儀式(イビリチュア)じゃ。これによって、わしらは大いなる力を手に入れる事が出来る・・・。」
 その言葉に合わせる様に、杖の儀水鏡が怪しげに光った。
 「そ・・・そんな事の為に、罪も無いモンスターさん達を・・・!?」
 怒りに拳を震わせるライナを見て、シャドウはまた笑う。
 「クポポ・・・確かに、こんな雑魚どもでは大した足しにはならん。おかげで数ばかり必要でのう・・・。しかし・・・」
 ザワリ・・・
 突然の悪寒がライナを襲う。
 次の瞬間―
 ジュルルルルルルッ
 「きゃあっ!?」
 足元から伸びた八本の触手が、ライナの身体を絡め取った。


                                                           続く

 (※1)今回、一番悩んだのがこの娘の立ち位置。エリアと同一人物にしちゃうと必然的に話が重い方向に行ってしまうのと、リチュアが話に使い辛くなるという点からこの様な立ち位置に。
 むろん、異論は認める。
 ちなみに、小生本人はDT世界はデュエルモンスター本筋の過去物語で、エリアやウィンはウィンダやエリアルの生まれ変わりではないかと勝手に思っていたりする。でもやっぱりリチュアとか使いたかった。
 むろん、異論は(ry
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土斑猫(まだらねこ)
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