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2012年04月10日

霊使い達の宿題その6・闇霊使いの場合(中編)









 火曜日、遊戯王OCG二次創作・「霊使い達の宿題」の日。
 今回の主役は闇霊使い。・・・誰だ、男に用はないなんて言ってるのは?

 あ、地味に学怪SSも復活してます。読まれる方は4月4日のページへどうぞ。

 それではコメントレス


 D・ナポレオン、そう来たか……一瞬だがD・ナポレオンの後ろに女の子が見えたような気がした。いや、多分通りすがりの全く関係ない人か、ダルクのストレスが具現化したものだと思う、うん。 

 ちなみにどんな娘が具現化したのかね?そこんとこ、ちょっと詳しく。(興味津々)
 小生のダルクはその内胃に穴が開くかもしれませんw(女の中に男が一人♪状態なので色々気疲れしています。)


 今回は、厨二成分が多めとなってる仕様のようだ。ダルクが主人公ならそれも止む無し、か。
「地獄(墓地)が俺にすがりついてるぜ!」

 
 ・・・・・・あれ?(←自覚がなかった。)


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                            ―2―

 「D(ディー)!!」
 『ハイ!!』
 ダルクの呼びかけに即座に応じ、D・ナポレオンが憑依装着を行う。
 身構えるダルク達の前で、グバッと闇が弾けた。

 ゾゾゾゾゾッ

 蠢く闇が互いに絡み合い、何かの形を作り出していく。
 見上げる程に巨大な体躯。手の様になった部分から伸びる鋭い爪。頭からは長い角とも触角ともつかないものが生え、顔の両端まで裂けた口にはズラリと鋭い牙が並ぶ。
 「ヤ・・・「闇ヨリ出デシ絶望」・・・!!」
 目の前に立ちはだかったその姿に、D・ナポレオンが呆然と呟く。
 ―「闇より出でし絶望」―
 墓地に堕ちたモンスターの憎念や魔法の残滓が寄り集まって生まれたと言われる、高位のアンデットモンスターであり、その攻撃力は並のドラゴン族すら凌駕すると言われている。
 「まずいな・・・。」
 『・・・デスネ・・・。』
 憑依装着はしたものの、到底ダルク達に太刀打ち出来る相手ではない。

 シャアアアア・・・

 死臭のする呼気を吐きながら、絶望がゆっくりと迫る。
 対してダルク達はジリジリと距離をとりながら、逃げるタイミングを伺う。
 しかし―

 グバァッ

 「うわっ!?」
 『ますたー!?』
 突然死角から黒い腕が伸び、ダルクを襲う。
 辛うじて直撃はかわすものの、鋭い爪がダルクの左肩をザックリと切り裂いた。
 『コノッ!!』
 D・ナポレオンがその腕に向かって目から光線を放つが、それは霧の様な闇の集合体である絶望の腕に巻き込まれ、吸収されてしまう。

 ギャッギャッギャッギャッギャッ

 響く絶望の哄笑。
 そう。絶望は憎念という闇の集合体。闇に堕ちるこの時間、この場所は、全てが絶望の攻撃可能範囲。逃げ場はない。
 「まいったな・・・。」
 体勢を立て直しながらも、ダルクは苦痛に息を漏らす。
 『ますたー!!大丈夫デスカ!?』
 「大丈夫・・・とは言いかねる・・・。」
 肩から溢れる血をローブで拭いながら、ダルクは血の気の失せた顔で答える。
 「どうにも・・・見逃してくれそうにない・・・。」
 『・・・ハイ。』

 ギャッギャッギャッギャッギャッ

 笑う絶望。
 それに合わせる様に、周囲に満ちる闇の中から何本もの腕が生えてくる。
 無数の爪が、獲物に手をかけようと蠢き回る。
 「・・・こりゃ、年貢の納め時かな?」
 『・・・ますたー・・・』
 「何、心配すんなって。出来る限り足掻いてみるからさ・・・。」
 そう言うと、ダルクは腕に抱いていた雛に話しかける。
 「おい、お前は逃げろ。」
 「ピィ・・・」
 「せっかく人が拾ってやった命だ。無駄にするなよ。」
 そして、もがく雛を近くのガラクタ山の中に押し込む。
 「さて、D(ディー)。お前も逃げていいぞ?」
 杖で身を支えながら傍らに寄り添うD・ナポレオンにそう言うが、ナポレオンはかぶりを振って答える。
 『御側ニ・・・。』
 その言葉に、ダルクが苦笑いする。
 「物好きだなぁ・・・。お前も。」
 肩からの血が止まらない。ふらつく身を杖で辛うじて支える。
 その様を見た絶望の顔に、残酷な笑みが浮かぶ。
 周囲の闇から伸びた手が、獲物を嬲る喜びに、踊る様に蠢いていた。
 「ったく、ホント、ついてないよ・・・。」
 
 ギャッギャッギャッギャッ・・・

 響く哄笑。そしてー

 グワッ

 無数の手が、獲物を八つ裂きにせんとダルクに伸びる。
 せめて少しでも主の盾にならんと飛び出すD・ナポレオン。
 しかし、さらにその前に小さな影が飛び出す。
 「『!?』」
 それは先刻、ガラクタ山に押し込んだ筈の小さな身体。
 「ばっ・・・!?」
 叫びかけたダルクが、その声を呑み込む。
 ―雛の赤い目が、一層深い真紅に輝いていた。
 その意味を察したダルクが、制止の声を上げようとしたその瞬間―

 カッ

 雛の身体が、真っ赤な光を放つ。
 地から天を貫く、真紅の光。

 ピィイイイイイイイッ

 高く鳴り響く、雛の鳴き声。否、それは己の全てを賭した命の咆哮。
 同時に巻き起こる、凄まじい暴風。
 その場にいた全ての者が、その視界と自由を奪われる。
 そして光と暴風の両者が消えた時、そこにはもう、小さな雛の姿はなかった。
 視覚を取り戻したダルク達が見たもの。
 それは自分達を守る様に絶望の前に立ちはだかる、巨大な漆黒の竜の姿だった。


                                                           続く
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