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2012年03月14日

絆を紡ぐ想い・澎侯の霊樹とマヨイガの森(6)(アニメ学校の怪談・二次創作作品)







 水曜日、学校の怪談の日。
 学怪が終わった直後に書いた話で、学怪の最終話をしってる前提で書いてますので、知らない方には分かりにくい展開だと思うのでご承知ください。
 よく知りたいと思う方は例の如くリンクの方へ。

 それではコメント返し


 900キロというのは何を基準に出したのだろう。さっき調べたけど北海道の宗谷岬から直線で900キロで新潟や福島あたりにいくぞ。

 ああ、あんまり深く考えないで。単純に遠いとこって事で、里から森までの距離を1000キロって設定して(札幌から東京)そっから100引いただけ(笑)

 ネタとしてツッコミたいところはいくつかあったけどあえて省略。アウス編なかなか面白い。バランスが良く、何より私が(笑)読みやすい。最初のウィン編も好きだったけど、今回は話の長さは違うが同じくらいの密度で楽しめている。前の3作より出来がいいんじゃないか

 あ、それは書いてても思う。今回、すごく書きやすいし、なにより書いてて楽しい。(前のが楽しくなかった訳じゃないけど)なんて言うか、筆(?)の走りが違う。う〜ん、ひょっとして小生は思っていたよりアウススキーだったのか・・・?



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                      その6・木霊の筋

 「―あの様な戯言に興じる余裕があるのなら、傷の方はもうよろしい様ですね。」
 「・・・はい、お陰様で・・・。」
 「キキ・・・。」
 わたし達は少女の前で正座をしながら、そう言って頷いた。
 「まぁ、いいでしょう。この事は終わりにします。」
 そう言って彼女はポンと膝を叩く。
 ああ、良かった。どうやら命の危機は去ったらしい。
 などと考えてホッとしていると、
 「ただし、二度目はありませんよ・・・。」
 しっかりと釘を刺される。
 はい。目がマジです。ごめんなさい。すいません。枯れ木にされたくないです。
 ビビッて縮こまっていると、少女が「あら」と言って上を見た。
 つられてわたしも、上を見る。
 何か緑色のものが、フワリフワリと浮いている。
 何だ、あれ?
 「ちょうど、もう一方もお着きの様ですね。」
 もう一方?
 訳が分からずに見上げていると、件の緑色のものがフワフワと降りてきた。
 それは何か大きな葉っぱが幾つか絡み合ったもので、大きさは一抱えくらいもあった。
 本当に、何だこれ。
 わたしがしげしげと眺めていると、不意にそれがモゾモゾと動いた。
 「え?」
 驚いたその瞬間、

 ヒョコッ

 突然飛び出してきた、“そいつ”と目が合った。
 グリグリと動く、緑色の大きな目。
 歯のない口がニタリと笑い、そこから伸びた緑色の舌がベロンとわたしの顔を舐めた。
 ヒヤリと冷たい、嫌な感触。
 「―っうひぃえあああっ!!」
 思わず大声を出して転がる様に後ずさると、背中をトンと抱き止められた。
 「姦しいですね。少し落ち着きなさいな。」
 わたしを抱き止めた少女が、呆れた様に言った。
 「御覧なさい。」
 そう言って、件の緑を指差した。
 そこから飛び出てヘラヘラしていた“そいつ”の顔。見ていると、それと同じ顔がさらにヒョコヒョコと三つも出てきた。
 それと同時に、絡み合っていた葉っぱがパラリと解れる。見れば、解れた葉っぱはその一枚一枚に“そいつ”の顔が付いていた。
 「ケケッ」
 “そいつら”はそう笑うと、ヒュヒュッと空に舞い上がった。
 その後に残されていたのは・・・
 「敬一郎!?」
 そこには、敬一郎がポカンとした顔で座り込んでいた。
 「お姉ちゃん!?」
 しばしの間、何が起こったのか分からないと言った顔をしていた敬一郎だけど、わたしの顔を見るなり、わたしの胸に飛び込んできた。
 「お姉ちゃんの馬鹿!!ぼく一人じゃ嫌だよ!!一緒じゃなきゃ駄目だよ!!」
 「ごめんね・・・。」
 泣きじゃくる敬一郎を、わたしは力いっぱい抱き締めた。
 「でも敬一郎、どうしてここに・・・?」
 「うん。ぼくね、お姉ちゃんがいなくなってから、一人で泣いてたんだ。そしたら、あの緑色のが飛んできて、ここまで連れてきてくれたんだ。」
 「そっか・・・。」
 わたしが見上げると、“彼ら”はピュンピュンと空を舞っていた。
 「ありがとう」と言うと、歯のない彼らは歯のない口で「ケケッ」と笑った。
 「ご苦労様でした。「芭蕉の精」。」
 少女は彼らをそう労うと、改めてわたし達に向き直る。
 「それでは、これよりは澎侯の御方の命を果たすといたしましょう。」
 「命?」
 わたしがそう訊くと、少女はゆっくりと頷いてキジムナー達を見た。
 それに気付いたキジムナー達が、次々に口を開く。
 「オ嬢 きじむなー 道 示スカ?」
 「オ嬢 きじむなー “火” 燈スカ?」
 「ええ、お願いしますよ。」
 少女がそう言うと、キジムナー達はピョンピョンと跳ねて、森の茂みの中へと消えていった。
 「貴方達も、今しばらく、お手伝い願います。」
 それを聞いて、芭蕉の精達も森の中へと消えていく。
 「何をするんですか?」
 少々不安になりながら少女に訊くと、彼女は微笑んでこう答えた。
 「あなた方に、道を示します。」
 「道?」
 少女は頷くと、目の前に広がる森に向き直り両手を広げた。

 「さぁ、此方、彼方におわします同胞(はらから)の皆様方。どうぞ道をお示しくださいませ。現世(うつよ)より来たりし客人(まろうど)が、然るべき地に至れる様に、隠れ里(こちら)に迷いし客人(まろうど)が、在るべき地へと帰れる様に。」

 薄暗い森の中に、少女の鈴音の様な声が朗々と響き渡る。
 その途端―

 ザザザザザザザザザッ

 それまで鬱蒼と茂っていた森が動き始めた。
 茂みがまるで動物の様に地を動き、大木の幹がグネグネと不自然に捻じ曲がる。
 呆気にとられるわたし達の前で、森がその姿を変えていく。
 そして数分後―
 「わぁ・・・」
 「すごい・・・」
 わたし達の前には、木々で出来た大きなトンネルが出来ていた。
 唖然とするわたし達に、少女がトンネルの向こうを指差した。
 「この道を、真っ直ぐにお進みください。その先に、あなた方が目指す「マヨイガ」があります。」
 「この先に・・・?」
 木々が折り重なる様に出来たトンネルは、月のない夜の様に真っ暗だった。
 敬一郎が、わたしの手をグッと握ってくる。その手は僅かに汗ばんでいた。
 無理もない。
 ここに来てから、散々怖い目にあったのだ。これ以上、こんな暗闇の中を歩くのは正直、わたしでも腰が引けた。
 だけど、そんなわたし達の様子を見て取った少女が、クスリと笑った。
 「キジムナー!!」
 響く声。そして―

 パァ・・・

 わたし達は思わず息を呑んだ。
 少女の声に応える様に、トンネルのあちこちに蒼白い光が灯ったのだ。
 それまで真っ暗だった空間が、柔らかい光に包まれる。
 それは、物凄く幻想的で、物凄く綺麗な光景だった。
 灯る灯りから、チラチラと青い火の粉が降ってくる。
 それを手で受けると、熱くも冷たくもなく、手の平の上で軽く弾んで消えた。

 きじむなー 火 灯ス・・・

 何処からともなく、キジムナー達の声が聞こえた様な気がした。
 「これで、お怖くはないでしょう?」
 そう言って、少女が敬一郎の頭を優しく撫ぜる。
 敬一郎はそれに答えて、元気良く「ウン!」と言った。
 「この道は、我々木霊の筋です。他の妖(あやかし)は入って来れませんので、どうぞ御安心を・・・」
 少女の言葉通り、明るく浮かび上がる道にはさっきまで感じていた沢山の気配がなかった。
 これなら・・・。
 わたしと敬一郎は頷き合うと、一度だけ少女を振り返る。
 「ありがとうございます。」
 わたしの言葉に、少女は微笑みながら頷いた。
 そしてわたしと敬一郎は、優しい光に満ちる道の中へと足を踏み出した。
                                                           
                                                     
                                                      続く
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