岡山駅の商業施設の中にある「吉備の國」さん。
去年訪れた「吾妻寿司」の姉妹店で、明治45年創業の老舗の味だ。
サンプルケースを覗くと岡山の郷土鮨が並ぶ。
長いつけ台に案内される。広々とした店内で開放的。
目的の岡山ばら寿司を注文。
ちょいと清酒でも飲みたいけど、食後は1時間半もみっちり喋らないといけないのでお茶で我慢。
●岡山ばらずし(1,728円)
瀬戸内の海をイメージした器のようだが、残念ながら料理を殺している。
器は料理を引き立てるものであり、主役になってはいけない。
江戸時代、岡山の殿様が食の贅沢を禁止する一汁一菜の倹約令をだしたが、それに反発する庶民の知恵として生まれた鮨。
桶の蓋を取るとただの錦糸卵を乗せただけの酢めしだが、桶の底には海の幸、山の幸を入れ込んだ「隠しすし」だったそうな。
現在はタネは隠さずに酢めしの上に盛られている。
酢蓮を両端に置いてその間に種が並ぶ。
たこ、目鯛の昆布締め、鰆の昆布締め、ままかり、穴子、てっぺんには尾頭付きの海老。
全ての種に仕事が施され、魚の切り身だけのものは一切使っていない。
それではいただきます
お椀は赤だしの味噌汁。
レモンをギュッ!
おっ!これはいい〆具合。
白身の魚は〆ると旨味が増してくるのだ。
東京では鰆は焼き物が中心だが、鮨種にしたらこうなるんだ。
東京ではなじみのない「ままかり」。
小肌のようなもので鮨種以外には使いようがなさそうだ。
エビちゃんのしなやかな腰のラインが魅力的。
瀬戸内のたこもよござんす。
椎茸、ごぼう、人参を混ぜ込んだ酢めしの上には海苔と錦糸玉子を散らし、藻貝の煮付、ちりめんじゃこ有馬煮、山菜や野菜、紅生姜など盛りだくさん。
ばらずしを完食し終わり、胃の中にはちょうどにぎり1貫文の隙間がある。
おこのみの中から黄にらを追加。
●黄にら(270円)
そのまま口に放り込むと、黄にらの苦みと梅の酸味がベストマッチ。
地元ならではの美味しいお鮨に大満足で岡山を後にした。
美味しい食事をいただき感謝をこめて
「ごちそうさま!」
【お店】
・吉備の國
・岡山県岡山市北区駅元町1-1