日々のつぶやき

中学・高校と授業で歴史を勉強した。

歴史に興味はあったが、

日本史・世界史とも単元・項目ごとぶつ切り、

日本と世界との関連付けもないし、

年号を覚えることが優先していて、

教科書の歴史は面白くなかった。


長じて歴史をかじり始めて、

ストーリーに肉付けしたり関連付けしたりしていくと、

段々と楽しくなってきた。


小学生の低学年のころから、

近所のお兄ちゃんたちと「百人一首」で遊んだ。

得意なのはもちろん「坊主めくり」。

それでも死守した(させてもらった)１首がある。


第３３首『久方の　光のどけき　春の日に　

しづこころなく　花の散るらむ』

紀友則。


もちろん、意味など分かるはずもないが、

「久方の」　が枕詞というものであるこを知り、

「らむ」という現代ではあまり使われない言葉があったらしい、

というようなことを覚えた。



「こんなに面白かった百人一首」

吉海直人監修　PHP文庫　２０１０年４月１６日　第１版1刷　　

吉海先生は監修役で、

執筆・デザイン・イラストなど何人もの方が係わった書下ろし版である。


最初は「はじめに」と「目次」と「百人一首とは何か」と

「知っておきたい和歌の基本用語」の合計１２ページを読んで頓挫。


長い空白期間を作ってしまった。


藤原定家が息子の嫁の父親に乞われて、

ふすまの裏張りならぬ、別荘のふすまに貼る色紙を頼まれ、

趣向を重ねて書いたものだということ。


また、和歌の基本用語をナルホドなどとやっているうちに、

先に１００人の登場人物のことを知っておいたほうが

楽しく読めるのではないかと思い始め脱線した。


教科書に出てくる場合の歴史上の評価と和歌の作品とのギャップ、

数百年に渡る貴族や役人・坊主がいかに働いていなかったかなどよくわかる。


就労時間は１日何時間だったのか・・・

働き方改革などと国会ですったもんだしているが、

「百人」の中の役人などからすると「シンジラレナァーーイ」話だろう。



また、多くの歌が「恋」の歌であり、

現代なら週刊誌のゴシップネタなのかもしれない。

田舎の小学生にはなかなか理解できない世界だった。




２０１１年の東北大震災で、

津波が松林をなぎ倒して押し寄せる動画を何度も見て、

しばらくして何か心に引っかかるものを感じ始めていた。



ある日ふとこの本が目に入り、

『スエノ　マツヤマ　ナミコサジ　トハ』

という言葉か浮かんだ。


４２首『契りきな　かたみに袖を　しぼりつつ　

末の松山　波こさじとは』

清原元輔。


「末の松山」とは、陸奥国(現代の宮城県岩手県周域)を代表する枕詞で、

モデルになったのは宮城県多賀城市あたり。


意味は、海岸からかなり離れたところにある松山のことで、

そこまでは波が来て超えることもあるまい。

そこで、男女の変わらぬ愛の誓いの言葉として使われた。

この句も小学生のころ覚えていた句だ。


恋の固い約束ごとも、１０００年の時を経て、

津波によって約束の基盤が壊されてしまった。


付録で個々の歌を取り上げたい。