なつかしの映画

戦前のギャング映画「汚れた顔の天使」はいい作品だ。

主演はジェームズキャグニー、ギャングを演じさせたら天下一品である。

ロッキー（キャグニイ）とジェリーは無二の親友だ。二人の少年は不良少年で悪事を重ねる毎日である。
あるとき二人で貨車に忍び込んで盗みに入ろうとしたが、警官に見つかりロッキーは逃げ遅れ掴まってしまう。

ジェリーは「共犯がいたら罪が軽くなるから俺も自首しよう」と持ちかけるがロッキーはジェリーを庇って断ってしまう。

それから時はたち、ロッキーは暗黒街の顔役になっていた。ジェリーはそれと正反対の聖職である
牧師になっていたのである。
二人は再会するが、お互いの友情は続いていた。ジェリーは街の少年たちが悪の道へ走らないようにバスケットボールを通じて教導していたが、ロッキーの羽振りのよさやクールな出で立ちに少年たちはあこがれを抱くようになる。

ロッキーの顧問弁護士役をまだ無名のころのハンフリーボガードが演じている。

結局ロッキーは暗黒街ともめて抗争となり最後は警官隊と銃撃戦の末逮捕されてしまう。

面会にきたジェリーはロッキーに最後の頼みを依頼する。それは「死刑執行のとき泣き喚き臆病者として死んでくれ」という過酷なものだった。
少年たちがロッキーが死んだあとも偶像として崇拝することを恐れたのである。
ロッキーは最後のプライドを守るためこの依頼は当然拒否するのだが・・・
英雄として死ぬのは凡人でもできる。しかし臆病者として死ぬはほんとうの勇気が必要であると思う。
なんといってもキャグニイの演技は素晴らしい。ギャング映画でこれほど人間的な映画もなかなか
ないだろう。
ジエリーを演じるパットオブライエンも又素晴らしい。人間の持つ一筋縄でいかない内面を深く
掘っていると思う。
作られてから半世紀以上立つが古さを感じさせない。
機会があればぜひ見てほしい作品である。

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