2018年12月31日
赤い部屋
「こんな噂を知っているか?」
「なんでも、インターネットをしているときに出てくるポップアップ広告の中に、絶対に消してはいけないといわれている広告があるらしいぜ。」
「絶対に消してはいけないって、どういう意味なんだ?」
「金でもとられるからか?」
「その程度の広告なら可愛いもんさ」
「噂によると、その広告を消してしまうと殺されるらしい」
「誰に?」
Aは思わず笑ってしまった。
「お前はそういう出どころのわからない噂話好きだな。噂流した奴は大喜びだろうよ」
「まあ。最後まで聞けって。テキストトゥスピーチって知ってるだろ?」
「入力した文字をコンピューターがしゃべってくれるやつだろ?」
「そうそう。噂の広告はそのテキストトゥスピーチの無機質な声がでるんだってさ。で、その言葉っていうのが広告に載っている唯一の言葉…」
「あなたは好きですか?
という言葉だけをしゃべって、何の広告かはよくわからないらしい。で、その広告ってのが、どこからもリンクされてないらしくて明らかにおかしな広告らしい。おもしろそうだろ?」
そいつはイキイキしながら俺に話してみせた。
「俺はこれを今度、小説のネタにしようって思ったわけよ。でもなかなかその広告に出会わなくてさ」
「んじゃあ、俺がネットでその広告みたら教えてやるよ」
面倒になったAはそう答えた。
家に着いたAはネットにアクセスした。
言われた広告を調べたりしたものの全く見つからず、時間だけが過ぎていった。
どうでもよくなった俺は自分の好きなサイトで時間を潰していた。
すると。
「あなたは好きですか?」
突然、無機質な声が部屋に響き渡った。
真っ赤なバックカラーに黒い文字で「あなたは好きですか?」だけが書いてある。
音声を聴いたとき、「あなたは」「好きですか?」の間に何かを言っているような気がしたが、よく聞きとる事ができなかった。
しかもこの広告の真ん中には黒い線が1本だけひかれていた。
友人に電話したが、友人Bは電話にはでなかった。
俺はまた画面と睨み合いを始めた。
ふと友人の言葉を思い出した。
「広告を消すと、殺されるらしい。」
鼻で笑いながらも、生唾を飲んだ。
思い切ってクリックした。
「あなたは好きですか?」
また同じ広告が出てきた。
思わず笑ってしまった。
信じた俺がバカだった。
何度消しても現れる広告。つまりこの広告は最初から消すことができないのだ。
Aは笑いながら、何度も広告を消した。
「あなたは好きですか?」
「あなたはすきですか?」
「あナたはスきデすか?」
「アナタハスキデスカ?」
無機質な声が繰りかえされる度、徐々に真ん中の線から文字が現れてきた。
もう広告は触っていないのに止まらない…!!!
「あなたは・赤い部屋・が好きですか?」
どうやら別のサイトに飛んだらしい。
赤い画面の中に、名前がずらっと書かれていた。
その画面の一番下には、友人Bの名前があった。
ヤバイ。何かがヤバい。
コンセントを引き抜こう。
あれ?、
後ろに誰かがいる。
……
翌日の学校では、AとBの自殺話でもちきりだった。
「昨日のAとBって、二人とも動脈切って自殺したらしいよ!」
「知ってる!二人とも部屋が血で真っ赤だったらしいね」
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