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2019年08月21日
強い母親を描く映画。精神病院に収監されても真実を書き綴った『ローズの秘密の頁』
ルーニー・マーラにこんな役をやらせると、なぜこうもピッタリ来るのかと驚くほどの適役。
参考:ルーニー・マーラ主演作品『キャロル』
二度と帰らない時間に、切ない、やるせない、なぜそうなってしまったの?と震える気持ちを彼女の一点を見つめた表情が如実に物語ってくれる、そんな映画が『ローズの秘密の頁』(The Secret Scripture)です。
精神病院で40年間を過ごしてきた主人公ローズ。
病院の老朽化で引っ越すこととなった彼女を、転院に際して再診をしたのは精神科医スティーヴン・グリーン(エリック・バナ)。
ローズの差し出した聖書の余白に綿々と書かれた記載から、驚愕の事実を知り愕然とするのでした。
ローズを「色情狂」とした暗い過去
入院前後の若い時代をルーニー・マーラ、そして年老いた時代をヴァネッサ・レッドグレイヴが演じます。
どちらも名優ですが、特に濡れ衣を着せられたまま精神病院で隔離される若い頃のローズを演じるルーニー・マーラには引き込まれます。
ローズが無理やり精神病院に入れられることになった理由は、なんと「色情狂」。そして、40年間もの間病院を出られなかった汚名が「我が子殺し」。
そこには、第二次大戦の最中の、閉鎖的なアイルランドの片田舎の出来事という背景が大きく影響していました。
40年後にわかる運命の出会い
(引用:
https://www.facebook.com/rosepagemovie/)
◇閉鎖的な田舎で起こったこと?
映画では、年老いたローズの40年間の歴史がフラッシュバックしていきます…。
家の事情でやむなくアイルランドの叔母の家に引っ越してきたローズ。
都会からやってきた美人の彼女は、田舎町では目立つ存在となり男からしばしば声を掛けられることに。
しかし、女性が目立つことを好まない町の人たちは、ローズの方から男を誘っているとしてしまったのです。
町の教会のゴーント神父(テオ・ジェームズ)にいたっては、「この町で男の目をみていいのは妻だけだ。」と忠告するほどでした。
◇町外れに隔離されて行くローズ
その一方で、ローズに興味を示しなんとか近づこうとしたのはゴートン神父自身でした。
神父にあまり気がなく、彼を避けようとするローズ。これが後になって神父の反感を買い、ローズを精神病院へ送るきっかけを作ることになるのです。
町中ではどうしても目立つ存在となったローズを見かねた叔母は、ローズを町はずれに隔離して住まわせることを決心。
ところが、ここが運命の場所となることに。
ローズが以前から憧れていた、町出身の戦闘機パイロット・マイケルと出会い、逢瀬の場となったのです。
◇最愛の男性を失った結果…
町外れの一軒家で、一旦は幸せに暮らすことになった二人。
しかし、英国籍のパイロットだったマイケルは、不幸にも英国を敵扱いするIRA(アイルランド共和軍)に発見され、殺されてしまうのです。
そこに登場したのがあのゴーント神父。
マイケルを匿ったことを責めるとともに、二人の行状に嫉妬するかのような行動に出たのです。
マイケルの死を狂ったように嘆き悲しむローズを見て、彼はローズを「色情狂」として地元の精神病院へ収監させてしまったのです。
精神病院での発覚した妊娠〜クライマックスへ〜
(ネタバレなし)精神病院へ強制収監された後、ローズをさらに不幸が襲うことに。
マイケルの子どもを妊娠していたことがわかるのですが、病院では産んでも一緒に住めないと言われます。
出産が間近になり夜中に病院を抜け出したローズの行先は、真っ暗な海岸沿いの洞くつ。
そこで彼女は自らの手で「我が子殺し」をしてしまったのだと…。
さて、シーンは戻って冒頭の再診場面。
担当のグリーン医師が、ローズが病院に収監された過去の経緯を確認しようとした時、彼女は擦り切れた聖書を見せます。
そこで医師が目にしたのは、聖書の余白にびっしりと書かれた文字。
40年間のローズの悲痛な叫びが綴られていたのです。
kazemichiの感想とおすすめ度
悲しすぎるストーリー。しかし、最後の予期しないエンディングにちょっと救われます。
涙を抑えきれない結末 ★★★★★
ゴーント神父の残したものに納得 ★★☆☆☆
ルーニー・マーラはやっぱりイイ! ★★★★★
ヴァネッサ・レッドグレイヴの老練度 ★★★★★
アイルランドの当時の事情が難しい ★★★★☆
2019年05月30日
クリスマスは、映画『キャロル』。ケイト・ブランシェットの50年代ファッションに堪能!
「キャロル」(原題:Carol)といえば、思い出すのはクリスマス。
この映画のタイトル「キャロル」は、主人公のキャロル・エアード(ケイト・ブランシェット)からきています。
そしてもうひとりのキャストは、テレーズ・ベリベット(ルーニー・マーラ)。
ともに演技派女優の共演となったこの映画は、クリスマスプレゼントでにぎわう百貨店での出会いが発端。不思議な縁に導かれるように二人は愛を深めていきます…。
あらすじ・メインキャラクター
キャロルは豪華なファーコートに身を包んだ中年女性。クリスマスプレゼントを求めてやってきた百貨店で、店員のテレーズに応対してもらいます。
若くて可愛いテレーズですが、どこか垢ぬけのしない彼女。
店員の立場を忘れ、キャロルの洗練された装いや品の良い身のこなしが気になって仕方ありません。
時代背景は1950年代。当時のニューヨーク百貨店の様子やレトロファッションも見どころのひとつ。
❖同年代のファッション⇒「ブルックリン」
さて、店員と顧客のまま終わるはずだった二人の女性。が、ふとしたきっかけで付き合い始めることに…。
あらすじ・見どころ
(引用:
https://www.facebook.com/carolmovie/)
◇気持ちを高ぶらせるテレーズ
二人をその後も結び付けたきっかけは、陳列ケースに置き忘れたキャロルの手袋。
忘れ物係に届ければ済んだはずなのに、なぜか迷うテレーズ。配達依頼品を受けた伝票に、キャロルの住所があるのをテレーズは知っていました。
なぜか気持ちの高ぶりを感じながら、テレーズはキャロル宛に手袋を送り届けたのです。
◇初対面の食事に誘われる…
間もなく、キャロルから返事がきます。
今回のお礼に、テレーズを食事に誘いたいと言ってきました。
もちろん初対面。しかし、二人は売場で出会った時の視線を思い出しながら、お互いのことを語り始めるのです。
キャロルが打ち明けたのは、うまく行かない夫とのことや、子どもを巡る親権問題など。
◇二人の満たされない気持ちは?
一方のテレーズも、付き合っている恋人はいるが、どうもしっくりいっていないことを話します。
満たされないそれぞれの境遇を話しながら、どこか惹かれ合う二人。
見どころは、二人のセリフは少なくても視線や表情でそれが語られるところです。
そして、二人は示し合わせたかのように、気分転換のため旅行に出ることに。
クライマックスからエンディングへ
(最後のネタバレなし)開放されたかのように旅を楽しむ二人。しかし、二人のただならぬ関係は期せずして、キャロルの夫ハージ、そしてテレーズの恋人リチャードに気付かれることに。
夫と離婚協議中だったキャロルは、子どもの親権を放棄せざるを得ない状況に追い込まれます。
また、キャロルの過去が暴かれ自暴自棄になり、キャロルは思わずテレーズに八つ当たり。
キャロルの電話にテレーズが泣き崩れていくシーンは、きっと女優ルーニー・マーラの凄さを確認することになるでしょう。
感想とおすすめ度
二人は、同性愛です。
しかしこの映画は、1950年代でありながらも、二人の関係が特殊なものだと思わせていません。
ふとしたきっかけで付き合いはじめ、その後お互いに求めあったり避け合ったりする、上質な恋愛映画として見ると面白いのではないでしょうか。
余韻の残るラストシーンは最高!ぜひ、ご覧になって下さい。