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2016年01月31日

牛の高騰

搾乳牛高騰、という記事が今日の北海道新聞の
一面に出ていました。

ここ2、3年で牛の取引価格は確かに上がってまして、
バブルなんて言われているくらい一気に
駆け上がった感があります。

牛の価格高騰で喜ぶ人と苦しい人がいます。
酪農に関して言うと、道内の酪農家の大半は
喜んでいます。苦しいのは、自分の所で後継と
なる搾乳牛を持てない酪農家です。

持てない理由は様々です。
本州では子牛を育てるだけの土地がないので、
後継牛を買って来る人が多いです。

道内で後継牛を自分で持てない人は、
本州同様に土地に余裕がないか、人手が足りないか、
資金繰りに困っている人、となるでしょう。
本来は自分の所で産まれた子牛を育てて
母牛にしたい、と思っている人でも、当座のお金に
困って子牛を売る、というケースは結構あります。


搾乳牛だけでなく、肉となる牛の価格も
高騰しています。

こちらも、黒毛和牛を生産している、いわゆる
繁殖経営にとっては、いい状態です。
一番苦しいのは肥育経営と言われる、
市場から牛を飼ってきて肥育して売る農家です。


こういう相場になって、果たしてどういう対策が
取れるのか日々悩んでいます。


今高値の牛を買っても、その牛が売れるようになる
1、2年後に肉として高値で売れるとは限らない。
(そのためのマルキンではありますが。)

かといって、牛を買うな、というと当面のお金は
増えるでしょうが、いずれ売るものがなくなって
困ります。

みんなで一斉に買い控えれば相場も落ち着く
のではないかと思いますが、その「みんなで
一斉に」というのが難問です。
市場参加者は多数いますので、全員の足並みを
揃えるなんて、何か公的な力で強制しないと
無理でしょう。


この相場を受けて、自分で母牛を持つ経営も
出てきています。最近では大手のノベルズさんが
酪農部門を拡大する、という記事がありましたが、
ノベルズさんはもともとは肉牛農家で(たぶん)、
ここ数年で和牛繁殖や酪農へと拡大していってます。

こういう相場を予想していたのか、あるいは幸運
だったのかはわかりませんが、先見の明とは
こういうことかな、なんて思っています。

他にも、自分で子牛生産をしたい、ということで
この相場になる以前に酪農部門を立ち上げた
肥育経営者もいました。
この方もやはり経営者としての才能があるのだと
思います。


今から自分で母牛を持つ、というのは大変です。
技術や施設もいるし、母牛も高いからです。
この相場になる前に母牛を揃えられたかどうかと
いうのは非常に大きいですね。


この相場への対策として考えられるのは、
酪農家については自分の所で子牛を
育成することが一番ですね。
全て自分の所で賄えなくても、少しずつ
育成していけば経営としての流れが
できていくと思います。
公共の育成牧場があればぜひ利用
したいです。

そのための資金が苦しいという人は、
もう金策するしかありません。JA、銀行、
信金、日本公庫。いろんな所でとにかく
相談して、自分の経営を改善したい
思いを熱く伝えていくしかないです。

同時に少しでも無駄をなくし、牛の事故を
減らし、自給飼料の質を上げる、などの
改善も必要になります。


一方肉牛肥育農家はというと、まずは
今後9割補てんといわれるマルキンに
頼るのは仕方ないと思います。

そこから更に一歩進むのが大切です。

マルキンの補てん金の額の算定に
用いられる数値は、市場の取引価格や
国の生産費調査をもとにした費用など
です。

ということで、だいたい平均的な農家を
モデルとして算出していることになります。
なので、平均的な農家を越えられるように、
枝肉の成績を上げる、事故を減らす、
経費削減に努める、などの経営努力が
求められます。

今は枝肉の価格も高騰しているので、
牛の価格が高騰していてもやっていけて
いる農家はいます。でもぎりぎりの状態です。
やっていけてない農家もたくさんいます。

しかし、枝肉の価格が高いのは、単に
枝肉の流通量が少ないからだけでは
ありません。それなりの需要に支えられて
いるからです。
この需要が減ってしまったらどうなるのか?
TPPによる輸入牛肉へのシフト、景気減速に
よる牛肉需要の低下、牛肉人気の低下、
などのリスクは現状でも充分に考えられる
ところです。

そのためのマルキンではありますが、
財源以上には出ませんし、国が新たな
対策を講じてくれる確証もない。

そうなると、やはり自分の経営を強くすること。
生産技術を高めること、これに尽きるのかな、
と思います。
posted by とば吉 at 09:11 | TrackBack(0) | 農業の話題

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