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安全地帯・玉置浩二の音楽を語るブログ、管理人のトバです。安全地帯・玉置浩二の音楽こそが至高!と信じ続けて四十年くらい経ちました。よくそんなに信じられるものだと、自分でも驚きです。
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2022年10月29日

氷点


玉置浩二『EARLY TIMES〜KOJI TAMAKI IN KITTY RECORDS』五曲目、「氷点」です。玉置ソロ3rdシングルです。じつはシングルA面初のバラードですね。作詞は並河祥太さん、この曲で初めて知った名前ですが、それはわたしが無知なだけでいろいろ作詞されてますね。なおカップリング「Will...」も並河さん作詞です。そして安全地帯・玉置浩二通してシングル曲初の三拍子だと思います。

さて曲は遠くからストリングス系のシンセが響いてきて、エレピ系の音でメインフレーズ、コード弾きとアルペジオ、このほかはデジタルパーカッションのガス!カシャーン!ガス!カシャーン!と、もうシンセ全開の音で奏でられます。当時のシンセ事情はよくわかりませんが、現代でこの曲を再現するんだったら迷わずすべての音をシンセだけで作るでしょうし、この音源でも生音感はかなり乏しいのでやはり当時でもシンセを使ったものと思われます。これは『All I Do』のころに試行されたスタイルで、この後ピアノ、生ストリングスを交えた「行かないで」、さらに生ギターを加えた『あこがれ』のスタイルへと発展してゆくその過程上にある曲だと位置づけることができるでしょう。さらにいうとそこからピアノやシンセを大幅に省いてかわりに生ギターを主体にし、ベース、ドラムを入れてゆくと『カリント工場の煙突の上に』のスタイルへと発展してゆきますので、この曲と「行かないで」は玉置アレンジ思想史を語るうえで欠かすことはできない貴重なワンピースであるということができます。

これ、よくわかる気がするんです。というか若いころから安全地帯・玉置浩二の音楽に首まで浸かっていますから自然に影響を受けただけなんだとは思うのですが。わたくしもいっときシンセに夢中になったんですよ(いっときなのでよくわかってませんが)。やりたいこと全部できちゃいますから。でも生音が恋しくなっていくんです。思ったようにいかないのが生音なのに、それでも生音で思ったように音を出したいですし、かりに思った音が出なくても生音のほうがいいんです。そして最近も、現代のソフトシンセは安いしかつてよりも大幅に自由度が高く音もいいですからここ一年二年ばかりまたいじってもみましたが、やっぱ自分でギターなりベースなり弾いたほうがいいやとMTRやオーディオインターフェイスにマイクつっこんでシコシコ録音するようになりました。アレンジ思想史なのか音色嗜好史なのかよくわかりませんが、キッパリ分けられないんですよこの二つは。これに演奏技術や楽器の知識などもろもろが連動して、大きな流れが形成されてゆくのです。あ、いや、わたくしなんぞはよくて沢のチョロチョロか悪いと排水溝でして、玉置さんですと長江や黄河もかくやの大河となるわけです。参考までに昔本で読んだ話を記してきますと、中国からいらした観光客が瀬戸内海を見て「日本にもこんな大きな川があったのですね」と言ったそうなのです。まっことスケールが違うのが玉置さんだという喩え話になっていますでしょうか!

リバーブたっぷりの玉置さんのボーカルが、「ガスッ!カシャーン!」というパーカッションをアクセントに、冬から春への移り変わりを歌います。「冬のこころ」、この時点でもうよくわかりませんが、こういう場合には詞の中に根拠を求めなくてはなりません。ええ、これは大学受験の現代文読解における基本中の基本です。回答はすべて本文の中にある!ですから、「あなた」のもつ「こおらせてほしい」という欲求こそがこの「こころ」なわけです。つまりまだ凍っていないのでしょう。「氷点」に達すると凍り始めるわけですが、まだまだ「白い花びら」すなわち雪がパラパラと舞い降りる程度ですから、そこまでは気温低下していないのです。すべてを白く包み込み、けっして氷点以下には下がらないよう保温をする雪、その雪に降られ「こおらせてほしい」と願う心身、その願いに応えて氷点に向けてじわじわと命の流れは止まってゆきます。雪の中では氷点周辺で気温低下は止まりますが、人間は余裕で死ぬので注意が必要です。ここで酒など飲むとほんとうにあの世行きですので酔ってるときに外を歩かないことを強くお勧めします。わたくし飲み会の帰りに雪の中にゲロをぶちまけ、その奥に倒れ込み、あやうくそのまま眠ってしまいそうになった経験がございます。札幌市内であっても住宅地の夜は静かで、しんしんと降り積もる雪にあっというまにゲロもわたしも包み込まれて行方不明になります。ああ……雪気持ちいいな……こおらせてほしい……と思ったところではっと我に返り、命拾いをいたしました。雪に埋もれたまま春になって、今度は「あたためてほしい」……と願うことは不可能だ!やさしい鼓動はストップしてネバースタートだし!とギリギリ動いていた脳細胞が判断しました。イヤあぶない!皆様どうかお気をつけください!

曲はまたメインテーマを奏でる間奏から二番へと向かいます。二番もよくわかりません。春が「ひかりあふれる」のはわかるのですが、それが「遠い悲しみ」を愛する……?ちょっと頑張って想像してみましょう。こういうとき大学受験の現代文読解など屁の役にも立たないことを痛感し、想像の翼を自由に広げるべきなのです。なにせ出題された作品の作者本人がその入試問題を解いてみたら満点じゃなかったという逸話があるくらいですから、現代文読解法なんてアテにはならないものなのです!いや、それは作者のほうが自分の書いたことをよくわかっておらず勘違いしているんじゃないかとは思うんですが……それは言ってはならないという雰囲気をビシビシと叩き込んでくるような人が嬉々として紹介するエピソードですので、ここは目いっぱい想像力を駆使することにしたいと思います。「遠い」には物理的に遠いことと時間的に遠いこと、そして心理的に遠いことの三通りがあります。実際にはこれらの要素が順序を変えて絡み合うことがありますからまず三つの組み合わせ順列で3‣2‣1の六通り、そして三つのうち二つの組み合わせで、3‣2/2の三通り、その逆パターンもアリで三通り、そして単独で三通り、合計で十五通りあります。この時点でもう想像力を駆使するのはムリだと気がつくわけなんですけども(笑)。想像力というのがいかに根拠の薄い思い込みであるかがよくわかります。ランダムで1/15の正答率しかありません。もしここに受験生の方がいらっしゃったら、想像力を働かせろ!という現代文講師の話はつとめて聞き流すようにしましょう!(笑)

そんなわけでやっぱり詞の中に根拠を探していきますと、冬の間にこおった心のことだとわかります、ああ、ゲロのことじゃないですよ(笑)。季節をまたいでいますから時間的に遠いのです。ざっと三か月前です。そして、悲しいことが起こった場所からフラフラと彷徨いたどりついた凍り場までの距離もそこそこはあるのかもしれません。これは不確定ですね。そして、これが恋愛沙汰であったとしたら、心が遠く離れてしまった、あるいはもともと遠かったのを確認してしまったという心理的な遠さが加わります。これもまあ、不確定でしょう。うん、普通に考えてこれしかないですね。想像の翼など無用です。

冬の間に凍ってしまった心は、春の訪れを迎え、僅かに残していた鼓動を再び活性化させます。すなわち、あらたな恋愛沙汰受け入れ状態スタンバイ!あ、恋愛沙汰とは限りませんね。これが想像力のよろしくないところです。勝手に好きなほう好きなほうに話をもっていきがちになります(笑)。まあ、何やら心がざわめき始めるわけですね。寒さが悲しみを凍らせ、時間がそれを癒すのです。そしてあたたかい春のひかりが癒えた心を解凍(解答)してゆくのです。これが自然の営みというもので、人間の心も大自然の一部ですから、このように季節によって変わりゆくものなのです。そのもっとも劇的な変化を「冬」「春」とその間にある「氷点」という言葉で表現したものと思われます。

さて、いつもどおり屁理屈でいろいろ説明してきたわけですが……この曲はいろいろな意味でターニングポイントになった曲ですので、いつもどおりの説明ではなんだか文章を終えてはいけない気がしてならず、まだ少しだけ語ろうと思います。あれはたぶんこの曲が出て一年くらい後のことでした。

「氷点」って歌があったよね、あれが好きかな……

これがわたくしが今までに他人から聞いたことのある唯一の「氷点」評なのですが、わたくしそのときちょっと驚きました。えっ「氷点」かい?もっといっぱいいろんな歌あるのに「氷点」を選ぶとは?意外!でした。ですが、この曲には他の曲にはないいろいろな要素が絡まりあっていますので、他の曲でなくて「氷点」を選ぶ理由はたくさんあったのです。作詞ですとか、拍子ですとか、オールシンセアレンジですとか……ですから、「氷点」が好きで他の曲はあまり耳に入らないということは当然起こるものと思われますし、その逆も然りなのでした。

そう思って聴きますと、玉置さんの歌もこれまでにないものであるような気がしてきてなりません。ウイスパーもビブラートもブレスも玉置さんそのものなのですが、どこかのちの『あこがれ』へと続いてゆく階段の一歩目であるように聴こえてきます。そして歌詞の大自然の移り変わりを思わせるスケールがこれまでの松井さんの詞とは大いに異なるものでしたから、玉置さんの声が生きる新しいフィールドを見せられたように思ったものです。松井さんでなく並河さんだったのにはドラマの都合とかいろいろ事情があったんだと思いますが、ここで90年代後期以降の玉置さんや2000年代の安全地帯の世界を拓く可能性がほの見えたといえるかもしれません。

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posted by toba2016 at 00:00| Comment(2) | TrackBack(0) | EARLY TIMES