若水をとりにいった。これも毎年やってることなんだけど、1年でこんなにしんどいことはないというくらい、非常にしんどい行事である。
若水とは、まあ正直なところよくわかんないんだけど、概要レベルであれば説明できなくもない。簡単にいうなら、元日の早朝に湧出するどっかの湧き水(沢水や井戸水)のこと。我が家に井戸はないから、いつも山に行ってとってくる水である、私の場合。
若水を飲むとその年1年は健康に過ごせるとかなんとかいう、なかなか胡散臭いいわれがあるみたい。私の場合、我が家の飲料水として普段から飲んでる水なので、元日もとりにいっているだけの話である。
いやね、この時期はもう山の道は非常に危険なんですよ。凍っててね。それと、近所になかなか有名な神社があって、車で出ようもんならはらわた煮えくりかえるような渋滞に巻き込まれる危険性が高いというのもある。
そこで、まあこれも毎年のことなのだが、途中までチャリで行って、そっから歩いて若水をくみ、重い水をもって峻険な山道を下ってチャリまでたどりつくという「荒行」を行うのが例年の元日の過ごし方なんだよ。まいっちゃうよなー、ほんと。
やっぱりとんでもねえ山道だから、チャリでのぼるのは不可能なんです。だから途中で止めるんだけど、その「途中」もけっこうな坂道で、7割くらいはずっと立ちこぎしなければならないという、割と苦痛な道程なのだ。
私の愛チャリ・フリートストリートダンシングブレーヴェストローマンゴンサレス号(通称フリくん)
例年であればね、まあ汗だく&息も絶えだえながら、こっから先は物理的にチャリは無理という地点までは行きつくんだけど、今年はどういうわけか、上の駐輪場までに4回も歩かなければならなかった。しかも、疲労の度合いが例年とは違う気がする。
なんつーか、もうすべて出し切ったみたいな感じなんですよ。チャリを転がして歩くんだけど、すっげぇ歩きたくねえの。だんだん泣きそうになってくる・・・この感じわかります?
で、どうにか駐輪場までたどりついたんだけど、そっから急坂を歩くのがもうイヤでイヤで・・・おっかしいなぁ、例年ここまでイヤということはないんだけどなぁ。ふつうにやだなーって程度なんだよ。
ここなんだっけなぁ・・・なんか理由があって撮影したんだけど、疲れすぎてわかんなくなってきた汗
心で泣いて膝だけ盛大に笑ってる状態で、いよいよ登山開始。
のぼり始めてからもう泣く気持ちも薄れてきて、意識もだんだん薄れてくる。それでもここまできたら水を持ち帰らぬわけにもいかず、さらに歩いていると、今度は徐々に笑えてくるの。膝じゃなく、人間全体がね。
しかしもう声を出すパワーがゼロ。もしパワーがあったら真冬の山道を独りで汗だくになってげらっげら笑いながら歩いてたと思う。そんなとき、とてもうれしいコイツに気づいたんだよ。
フユイチゴ。いつも当たり前に食ってるからこういう特殊な状況のときはむしろ思い出さない。ふつうのときに食っても、ワイルドベリーにしてはうまいほうなんだけど、昨日のあのうまさはもう涙出そうになったわ。
こういうタイミングでも、やっぱり山の恵のありがたみを感じることができる。やっとまともな人間の感覚を取り戻すことができた。ありがとう、フユイチゴ(泣)
そんなこんなあって、ようやく若水にありつくことができた。
もうだいぶ水が細くなってきたなー。1月終盤から2月終盤くらいまでは、ほぼ水は出なくなるんですよ。その間だけは水道で飲料水を賄うことになる。もっともこの辺は水道水もかなりうまいらしいんだけどね。
てな具合に、猫ふたつ含む家族の健康のために、不健康寸前の状態に陥りながら、今年も若水をとってきましたよ。若水っつったって、昨日まで流れてた水と同じだからね、これ飲んだからといって健康になるとは正直思わない。
ただね、この修行みてえなキツイことを自らに課すことによって、私自身は多少健康にもなるんじゃねえかなとは思う。大晦日に飲んだ酒なんて全抜けだぜ、間違いなく。
でさ、水をもって歩いて帰るんだけど、今度は猛烈な下り坂なもんだから、寒いのよこれが。1年で一番の汗が全部ひいちゃって、体は冷える一方。そしてフリくん(フリートストリートダンシングブレーヴェストローマンゴンサレス号)に乗って、けっこうな下りを寒風にさらされながら帰ったわけです。
てかおい国交省!俺んちからこの山までなんでこんなにずっとのぼってずっと下るんだよ。お前んとこの役人ども手抜いてんじゃねえのかこんにゃろ・・・などと、完全な八つ当たり思考で、ヘトヘトにへばりくたばりながら家にたどりついた。
てことで、今年も健康にやってけたらいいなーと思う次第である。
まあこれで私の健康は保証されたも同然なんだけど、体力の衰えだけはどうしたもんかなー・・・昨日はちょっとショックだったよ。あー・・・
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