家電メーカーの「サンコー」はシャツのしわを伸ばす乾燥機「アイロンいらーず」や「おひとり様用
超高速弁当箱炊飯器」といった新鮮な商品を発売している。なぜこうした【面白家電】を手掛けるよう
になったのか?
サンコーの山光博康社長の著書「スキを突く経営」(集英社インターナショナル)より大ヒット商品
「ネッククーラー」の開発秘話を紹介します。
〇 金属プレートで頸動脈あたりを直接冷やす
サンコー創業以来の最大のヒット商品はネッククーラーです。今現在の商品名は「ネットクーラーEvo」
といい市販価格4980円ですが2022年の夏向きに60万個を用意しました。5回モデルチェンジ
して第6代に進化しています。2015年から販売して累計80万個ですからサンコーにとってロングセラー
の超大ヒット商品です。
ネットクーラーはヘッドホンを首から下げるように装着し、首の周りの頸動脈あたり肌を冷やすアイテム
です。先端の金属プレナー部分が冷たくなって首を直接冷やします。
電源をオンにしたら2秒か3秒程度でたちまち冷たくなります。マックスのモードでは環境温度より15度
低くなりますので例えば外気温が35度だったら20度程度まで冷える性能を持っています。
しっかり冷えて気分が楽になったら“ゆるぎモード“に切り替えるとちょうどいい冷たさを維持します。
「ネッククーラ―Evo」では2通りの電源を選べます。一つは専用バッテリーを充電しておいて後ろに
セットすると1時間半から2時間はコードレスで使えます。もう一つはパソコンやUSB電源、市販の
モバイルバッテリーなどとネッククーラーを直接的に使います。パソコンで作業するときはこのコード
をパソコンのUSB端子に挿しておけばいいのです。
ライオンさんのロングセラー商品である「冷えピタ」を首に貼ったときとか白元アースさんのこれも
ロングセラー商品である「アイスノン首元ひんやり氷結ベルト」などと首を直接冷やすところは同じ
ですが、サンコーのネッククーラーシリーズは電気製品であることと見た目が「攻殻機動隊」にでて
くる未来的なデバイスのカッコいいデザインになっているところが売りです。
発売当初、暑さに悩んでいた新しもの好きな若い人たちにパッと人気が出て売れ出したのですが、い
まやそれだけではありません。炎天下で働く農家や倉庫などで働く皆さん、空調のない工場や倉庫など
で働く皆さん、発熱を伴う作業が必要な厨房や溶接現場で働く皆さん、に熱中症予防としてとくに
役立つというので買っていただきました。JA(農協グループ)さんでも大量導入してくレましたし
一括で1万個を購入してくださる企業もあり、おかげさまで超大ヒット商品になりました。
地球温暖化の影響もあって近年は夏の猛暑が深刻な問題になっていて、個人も企業も熱中症対策を
しっかりやらねばならなくなりました。ファンが付いた空調服も大いに売れていますが、私たちの
ネッククーラーもその対策に一つとして選んでいただいています。
ネッツククーラーが超大ヒット商品に育ったのはモデルチェンジの為の改良を重ね使い勝手をどんどん
良くしていったのとデザインをかっこよくしていったことが大きな理由です。
現行商品の「ネッククーラーEvo」は首の両側2か所を冷やすものですが最初のモデルの1か所しか冷
やせませんでした。「首の両側を冷やした方がいい」などというマーケットに意見を取り入れながら
過料を重ねてきたのです。つまり消費者の皆さんに育てていただいた結果今日の大ヒットにつながり
ました。 実はネットクーラーが大ヒット商品の育つまでにはそれなりの時間がかかっています。
そのスタートは当時流行し始めていたハンディ扇風機でした。歩い時には気軽に利用できて便利な
アイテムですが、猛暑になると効き目がありません。扇風機ですから風を起こして体の周りのある
熱い空気を飛ばしたり、汗をかいて気化熱を奪って涼しくなるという原理なのですが、外気温が体温
を超える猛暑になると熱風を超えているだけになってしまいます。そうなると涼しいどころか、生
暖かい風になるのでかえって気持ちが悪くなる。どんなに暑くなっても涼しさを確保できるような
商品ではなかったのです。
その後どのようにされたのかは下記をご覧ください。
https://president.jp/articles/-/59534 今記事をご覧いただきありがとうございます。