2015年03月19日
観劇「Dara」 National Theatre
観劇「Dara」 National Theatre London, 2010年初演 Ajoka Theatre, Pakistan/パキスタン
脚色;Tanya Ronder
原作;Shahid Nadeem
芝居のパンフレッドによりますと
原作;Shahid Nadeem は 1960年より パキスタンにおける人権運動の中心的存在でありました
しかし 軍事政権によって収監され 政治犯として国外追放されます が刑期を終え パキスタン帰国後は
Ajoka Theatre, Pakistanの監督 脚本家 として
歴史 政治汚職 性暴力 少数派の権利 テロリズムに対する抵抗 をテーマに作品を多数書き
監督 上演を続けているのだそうです
「Dara」は インド ムガル帝国 Dara Shikoh/ダーラー シコー( 1615 – 1659) と
弟Aurangzeb/アウラングゼーブ (1618 – 1707) 間に起こった愛憎劇 歴史事実をベースに書かれており
Ajoka Theatre に於いて2010年初演されました
それをTanya Ronder により 英国National Theatre観客向けに脚色されたものです
ムガル帝国第5代皇帝Sha Jahan/シャージャハーンに溺愛されて育つ ダーラー それを妬み嫉み育った
弟 アウラングゼーブ は 皇位継承をめぐり それを期に 長年伏せられていた父兄に対する激しい憎悪を
一気に噴出します それは戦争へ ムガル文化の有り様をも塗り替える激しさでした
親兄弟を次々と処刑暗殺し復讐を果たすのです そしてムガル帝国6代皇帝に立ちますが …
その人生に安泰はなかったようです
芝居は ダーラーを裁判にかけ 多宗教(イスラム ヒンズー シク キリスト 仏教)の共存を告白する兄を
異端者として 斬首刑に処し その生首を病床の父王へ送り届ける経緯をメインとしておりまして
Aurangzeb/アウラングゼーブが皇帝を継いだ後で終わります
時代 文化 宗教も超えた人間の性 愛と憎悪のテーマは シェークスピア劇を見るようでありました
写真はWEBより拝借いたしました
舞台展開はとても速く それを 奥行きと高さのあるNational Theatre 自在に舞台を回転させ
吊り物の移動で 時空の移動を見事に表現しておりました
俳優陣ははインド パキスタン系を母国とする経験才能も確かな役者でありますが 乗りに多少時間がかかり
開幕から30分は 学生や未経験俳優に良く見かける演技で これから3時間つきあうのだろうか
と心配にもなりました が 段々油が乗ってき 見せ場の裁判シーンはすっかり引き込まれ
大きな喝采が観客より沸き起こった程でした
写真はWEBより拝借いたしました
さらに ムガル帝国時代を再現した美しい衣装の数々 そして 民族楽器による演奏 歌 ダンスにより
異文化を心置きなく味わうこともできました
異国の舞台作品を鑑賞する機会がある都度 英国にいて得をしたとつくづく思うのです
と たのしい演劇の日々
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