2023年08月06日
Alchemy of Actor Channeling - emotion
Alchemy of Actor Channeling - emotion
2-アラキドノイルグリセロール2-Arachidonoylglycerol (2-AG)
内因性カンナビノイドのひとつ。グリセロールの2位にアラキドン酸がエステル結合した構造。
アラキドン酸を側鎖に含むトリグリセリドやホスファチジルイノシトール、
一部のリン脂質から誘導・生合成
化学式: C₂₃H₃₈O₄
モル質量: 378.55 g mol−1
マリファナの多彩な生物活性の多くは,受容体を介したものである.
カンナビノイド受容体には,神経系を中心に発現している CB1受 容体と
炎症・免疫系を中心に発現している CB2受容体の2種類がある.
カンナビノ イド受容体の内在性リガンドとしては,これまでに
アナンダミドと2-アラキドノイルグ リセロールの二つが同定されているが,
,真の 内在性リガンドは2-アラキドノイルグリセロール
マリファナを吸引すると,時間感覚・空間感覚の混乱, 視覚・聴覚の鋭敏化,陶酔感,幻覚,離人感,
こみあげて くる笑い,空腹感,口渇,眠気,結膜の充血,眼圧低下な ど様々な反応が引き起こされる.
マリファナが持っている これらの作用は,Δ9 -テトラヒドロカンナビノール
(Δ9 - tetrahydrocannabinol,Δ9 -THC)を中心とする一連 の化合物(カンナビノイド)によるもの .
その活性発揮,モルヒネな どの場合と同様,特異的な受容体(カンナビノイド受容体)を介して作用.
カンナビノイド受容体の2種類の受容 体(CB1受容体, CB2受容体)遺伝子はクローニン グされている.
これら受容体は,生理的に重要 な役割を担う.一方,内在性リガンドとしては,
アナンダミド,2-アラキドノ イルグリセロールが同定されており
いずれもアラキドン酸 を含有する一種の中性脂質である.
最近の研究によ り,アナンダミドではなく
2-アラキドノイルグリセロー ルが真の内在性リガンドであると考えられる.
【 神経系におけるカンナビノイド受容体と 2-AG の生理的意義】
2-AG は CB1受容体を発現させた細胞のアデニル酸シク ラーゼを阻害し,
細胞内サイクリック AMP レベルを低下 させる
2-AG は分化した NG108-15細胞の脱分極 に伴う細胞内 Ca2+イオン濃度の上昇を抑制する
ラット海馬スライスの長期増強(long-term potentiation, LTP)を抑制し,神経伝達を低下させる .
2-AG は,電位依存性 Ca2+チャネルを抑制, K+チャネルの開口,神経伝達物質の放出抑制,
電気刺激 したマウス精管の収縮の抑制,体温低下,自発運動量の低 下など .ただ,
これらの2-AG の 作用の中には,2-AG が代謝されたあとの代謝産物が効い ているかもしれない.
2-AG が神経の興奮に伴って起こるイノシトールリン脂質などの リン脂質代謝亢進
,神経伝達を抑制的に制御しているカ ンナビノイド受容体の機能をリンクさせる .
神経が興奮して脱 分極・グルタミン酸の放出などが起きると,G タンパク質 が活性化されることにより,
あるいは電位依存性 Ca2+ チャネル等を介して細胞内 Ca2+イオン濃度が局所的に上 昇することにより,ホスホリパーゼ C が活性化され,イ ノシトールリン脂質などから,2-AG が速やかに生成
2-AG は膜透過性の物質で,シナプス間隙に 速やかに放出され,
主として前シ ナプスに存在する CB1受容体に作用し,
電位依存性 Ca2+チャネルを阻害することにより,神経伝達物質の放出 を抑制し,
神経の興奮にブレーキをかける.
2-AG は神経の興奮に伴って生成する 物質で, フィードバックして神経の興奮を抑制する.
ピクロトキシニンをラットに投与し脳を過剰興奮それに伴って2-AG のレベルが速やかに数倍に上昇す ,
シナプトソームを脱分極させると,2-AG が選 択的に速やかに生成し,外に放出される .
神経伝達に伴ってイノシトールリン脂質などから生 成する2-AG と,
その受容体である CB1受容体は,
オー トレセプターなどと共同して,神経伝達のネガティブ フィードバック制御.
,CB1受容体の内在性リガンドは, 神経伝達の抑制的制御において重要,
海馬や小脳等のニューロンでは,後 シナプスを脱分極させると,
後シナプスから逆行性のメ ディエーターが放出され,前シナプスからの神経伝達物質 の放出が抑制される .こ の現象を,抑制性シナプスの場合 depolarization-induced suppression of inhibition(DSI)と
興奮性シナプス の場合 depolarization-induced suppression of excitation (DSE)と呼ぶ.
DSI や DSE が CB1受容体のアンタゴニストによって阻害される,
外から加えた WIN55212-2などの CB1受容体のアゴニス トが,
DSI や DSE における逆行性メディエーターの働き を代行しうる,
DSI や DSE のメディエーターは,内在性カン ナビノイド受容体リガンドである.
DSE を起こす条件下で2- AG が産生されている,アナンダミドは生成し ていない,
ホスホリパーゼ Cβ4を欠損したマウスでは2-AG の生成能が大幅に低下し,
このマウスの 小脳では DSE も著しく抑制されている .
これらの結果は,DSE のメディエーターが,アナン ダミドなどでなく,
2-AG であるということを示唆 ,
シナプス伝達の 調節における2-AG の重要性は,実験的にも裏付けられ ている.
DSI や DSE は,持続時間が短いシナプス伝達の抑制機 構であるが,
LTD のように持続時間の長い現象において も,CB1受容体とその内在性リガンドが重要な役割をす.,
内在性 カンナビノイド受容体リガンドが,マウスの側座核におい て LTD を引き起こす.
同様の結果は,マ ウスの扁桃体 や線条体などでも観察されている.,
ホスホリパーゼ C や DG リパーゼの阻害剤で処理することにより,
ラット海馬やマ ウス小脳の LTD が抑制される,
エフェクター として働いている分子が2-AG である.
Δ9 -THC は傷害や虚血によって引き起こされる脳のダ メージを軽減する作用あり .
同様の活性は WIN55212-2などの合成カンナビノイ ドについても認められている.
CB1受 容体とその内在性リガンドが,脳において保護的な役割を 演じている.
CB1受容体はグ ルタミン酸などの神経伝達物質の前シナプスからの放出を 抑制的に制御,
CB1受容体アゴニストが神 経の過剰な興奮を抑制し,脳が受けるダメージを軽減.
CB1受容体をノックアウトし たマウスは痙攣を起こしやすく,寿命もやや短 い .
,脳虚血に対する抵抗性が低下.一方,
2-AG は,前シナプ スに発現している CB1受容体に作用して神経伝達物質の 放出を抑制し,
脳が過剰に興奮してダメージを受けるのを 防ぐ.
2-AG を脳内 に投与すると,傷害を与えた後の脳の浮腫や梗塞 が小さく抑えられる,
海馬ニューロンの細胞死が減少 する,障害からの回復が早まる.
CB1受容体は鎮痛にも関与.
Δ9 -THC やアナンダミドは,鎮痛効果を発揮 .ただ,アナンダミドは,
カンナビノイド受容体だ けでなくバニロイド受容体(唐辛子の成分カプサイ シンの受容体)にも結合
その鎮痛効果が,カンナビノイド受容体を介した ものかどうかは不明
一方,リパーゼの阻害剤 URB602をラットの中脳 中心灰白質に投与すると鎮痛効果が表れる,
2- AG が実際に痛みの調節に関与している.
神経系と CB1受容体は,視床下部 にて食欲調節に内在性カンナビノイド 受容体リガンドが関与,
CB1受容体の ノックアウトマウスは,野生型マウスに比べて餌の摂取量 が減る,
CB1受容体は, 脳における食欲の調節だけでなく,末梢におけるエネル ギーバランスにも関与,
SR141716A が,CB1受容体を介して脂肪細胞の縮小 化と脂肪分解の亢進を起こす
内在性カンナビノイド受容体リガンドが,脂肪細胞の代謝 に深く関与
.CB1受 容体のアンタゴニストSR141716A には,体重を減 少させる効果のあるが,
当初予想された 食欲抑制によるものではなく,脂肪細胞の代謝を 変化させたことによる.
マリファナの活性成分Δ9 -THC であるが,
この物質は CB1受容体の部分アゴニスト.
受容体に結合しても G タンパク質を十分に活性化す ることができない.
また,2-AG とは異なり,速やかには 分解されない.そのため,一旦,受容体に結合 すると,
受容体を占拠し,生理的リガンド 2-AG が,そのあと作用しにくくなる.
Δ9 -THC には幻覚 等を引き起こす作用があるが,CB1受容体を活性化したための結果では なく,
本来のリガンド2-AG の CB1受容体アゴニ ストとしての働きを撹乱することにより引き起こされたも の.2-AG は,脳内で恒常的に生成・分解を繰り 返している物質で.
2-AG や CB1受容体の本来の役割 は,生理的な現象である神経伝達の抑制的制御であって,
幻覚や異常感覚等を起こすために存在しているので はない.
と たのしい演劇の日々
2-アラキドノイルグリセロール2-Arachidonoylglycerol (2-AG)
内因性カンナビノイドのひとつ。グリセロールの2位にアラキドン酸がエステル結合した構造。
アラキドン酸を側鎖に含むトリグリセリドやホスファチジルイノシトール、
一部のリン脂質から誘導・生合成
化学式: C₂₃H₃₈O₄
モル質量: 378.55 g mol−1
マリファナの多彩な生物活性の多くは,受容体を介したものである.
カンナビノイド受容体には,神経系を中心に発現している CB1受 容体と
炎症・免疫系を中心に発現している CB2受容体の2種類がある.
カンナビノ イド受容体の内在性リガンドとしては,これまでに
アナンダミドと2-アラキドノイルグ リセロールの二つが同定されているが,
,真の 内在性リガンドは2-アラキドノイルグリセロール
マリファナを吸引すると,時間感覚・空間感覚の混乱, 視覚・聴覚の鋭敏化,陶酔感,幻覚,離人感,
こみあげて くる笑い,空腹感,口渇,眠気,結膜の充血,眼圧低下な ど様々な反応が引き起こされる.
マリファナが持っている これらの作用は,Δ9 -テトラヒドロカンナビノール
(Δ9 - tetrahydrocannabinol,Δ9 -THC)を中心とする一連 の化合物(カンナビノイド)によるもの .
その活性発揮,モルヒネな どの場合と同様,特異的な受容体(カンナビノイド受容体)を介して作用.
カンナビノイド受容体の2種類の受容 体(CB1受容体, CB2受容体)遺伝子はクローニン グされている.
これら受容体は,生理的に重要 な役割を担う.一方,内在性リガンドとしては,
アナンダミド,2-アラキドノ イルグリセロールが同定されており
いずれもアラキドン酸 を含有する一種の中性脂質である.
最近の研究によ り,アナンダミドではなく
2-アラキドノイルグリセロー ルが真の内在性リガンドであると考えられる.
【 神経系におけるカンナビノイド受容体と 2-AG の生理的意義】
2-AG は CB1受容体を発現させた細胞のアデニル酸シク ラーゼを阻害し,
細胞内サイクリック AMP レベルを低下 させる
2-AG は分化した NG108-15細胞の脱分極 に伴う細胞内 Ca2+イオン濃度の上昇を抑制する
ラット海馬スライスの長期増強(long-term potentiation, LTP)を抑制し,神経伝達を低下させる .
2-AG は,電位依存性 Ca2+チャネルを抑制, K+チャネルの開口,神経伝達物質の放出抑制,
電気刺激 したマウス精管の収縮の抑制,体温低下,自発運動量の低 下など .ただ,
これらの2-AG の 作用の中には,2-AG が代謝されたあとの代謝産物が効い ているかもしれない.
2-AG が神経の興奮に伴って起こるイノシトールリン脂質などの リン脂質代謝亢進
,神経伝達を抑制的に制御しているカ ンナビノイド受容体の機能をリンクさせる .
神経が興奮して脱 分極・グルタミン酸の放出などが起きると,G タンパク質 が活性化されることにより,
あるいは電位依存性 Ca2+ チャネル等を介して細胞内 Ca2+イオン濃度が局所的に上 昇することにより,ホスホリパーゼ C が活性化され,イ ノシトールリン脂質などから,2-AG が速やかに生成
2-AG は膜透過性の物質で,シナプス間隙に 速やかに放出され,
主として前シ ナプスに存在する CB1受容体に作用し,
電位依存性 Ca2+チャネルを阻害することにより,神経伝達物質の放出 を抑制し,
神経の興奮にブレーキをかける.
2-AG は神経の興奮に伴って生成する 物質で, フィードバックして神経の興奮を抑制する.
ピクロトキシニンをラットに投与し脳を過剰興奮それに伴って2-AG のレベルが速やかに数倍に上昇す ,
シナプトソームを脱分極させると,2-AG が選 択的に速やかに生成し,外に放出される .
神経伝達に伴ってイノシトールリン脂質などから生 成する2-AG と,
その受容体である CB1受容体は,
オー トレセプターなどと共同して,神経伝達のネガティブ フィードバック制御.
,CB1受容体の内在性リガンドは, 神経伝達の抑制的制御において重要,
海馬や小脳等のニューロンでは,後 シナプスを脱分極させると,
後シナプスから逆行性のメ ディエーターが放出され,前シナプスからの神経伝達物質 の放出が抑制される .こ の現象を,抑制性シナプスの場合 depolarization-induced suppression of inhibition(DSI)と
興奮性シナプス の場合 depolarization-induced suppression of excitation (DSE)と呼ぶ.
DSI や DSE が CB1受容体のアンタゴニストによって阻害される,
外から加えた WIN55212-2などの CB1受容体のアゴニス トが,
DSI や DSE における逆行性メディエーターの働き を代行しうる,
DSI や DSE のメディエーターは,内在性カン ナビノイド受容体リガンドである.
DSE を起こす条件下で2- AG が産生されている,アナンダミドは生成し ていない,
ホスホリパーゼ Cβ4を欠損したマウスでは2-AG の生成能が大幅に低下し,
このマウスの 小脳では DSE も著しく抑制されている .
これらの結果は,DSE のメディエーターが,アナン ダミドなどでなく,
2-AG であるということを示唆 ,
シナプス伝達の 調節における2-AG の重要性は,実験的にも裏付けられ ている.
DSI や DSE は,持続時間が短いシナプス伝達の抑制機 構であるが,
LTD のように持続時間の長い現象において も,CB1受容体とその内在性リガンドが重要な役割をす.,
内在性 カンナビノイド受容体リガンドが,マウスの側座核におい て LTD を引き起こす.
同様の結果は,マ ウスの扁桃体 や線条体などでも観察されている.,
ホスホリパーゼ C や DG リパーゼの阻害剤で処理することにより,
ラット海馬やマ ウス小脳の LTD が抑制される,
エフェクター として働いている分子が2-AG である.
Δ9 -THC は傷害や虚血によって引き起こされる脳のダ メージを軽減する作用あり .
同様の活性は WIN55212-2などの合成カンナビノイ ドについても認められている.
CB1受 容体とその内在性リガンドが,脳において保護的な役割を 演じている.
CB1受容体はグ ルタミン酸などの神経伝達物質の前シナプスからの放出を 抑制的に制御,
CB1受容体アゴニストが神 経の過剰な興奮を抑制し,脳が受けるダメージを軽減.
CB1受容体をノックアウトし たマウスは痙攣を起こしやすく,寿命もやや短 い .
,脳虚血に対する抵抗性が低下.一方,
2-AG は,前シナプ スに発現している CB1受容体に作用して神経伝達物質の 放出を抑制し,
脳が過剰に興奮してダメージを受けるのを 防ぐ.
2-AG を脳内 に投与すると,傷害を与えた後の脳の浮腫や梗塞 が小さく抑えられる,
海馬ニューロンの細胞死が減少 する,障害からの回復が早まる.
CB1受容体は鎮痛にも関与.
Δ9 -THC やアナンダミドは,鎮痛効果を発揮 .ただ,アナンダミドは,
カンナビノイド受容体だ けでなくバニロイド受容体(唐辛子の成分カプサイ シンの受容体)にも結合
その鎮痛効果が,カンナビノイド受容体を介した ものかどうかは不明
一方,リパーゼの阻害剤 URB602をラットの中脳 中心灰白質に投与すると鎮痛効果が表れる,
2- AG が実際に痛みの調節に関与している.
神経系と CB1受容体は,視床下部 にて食欲調節に内在性カンナビノイド 受容体リガンドが関与,
CB1受容体の ノックアウトマウスは,野生型マウスに比べて餌の摂取量 が減る,
CB1受容体は, 脳における食欲の調節だけでなく,末梢におけるエネル ギーバランスにも関与,
SR141716A が,CB1受容体を介して脂肪細胞の縮小 化と脂肪分解の亢進を起こす
内在性カンナビノイド受容体リガンドが,脂肪細胞の代謝 に深く関与
.CB1受 容体のアンタゴニストSR141716A には,体重を減 少させる効果のあるが,
当初予想された 食欲抑制によるものではなく,脂肪細胞の代謝を 変化させたことによる.
マリファナの活性成分Δ9 -THC であるが,
この物質は CB1受容体の部分アゴニスト.
受容体に結合しても G タンパク質を十分に活性化す ることができない.
また,2-AG とは異なり,速やかには 分解されない.そのため,一旦,受容体に結合 すると,
受容体を占拠し,生理的リガンド 2-AG が,そのあと作用しにくくなる.
Δ9 -THC には幻覚 等を引き起こす作用があるが,CB1受容体を活性化したための結果では なく,
本来のリガンド2-AG の CB1受容体アゴニ ストとしての働きを撹乱することにより引き起こされたも の.2-AG は,脳内で恒常的に生成・分解を繰り 返している物質で.
2-AG や CB1受容体の本来の役割 は,生理的な現象である神経伝達の抑制的制御であって,
幻覚や異常感覚等を起こすために存在しているので はない.
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