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2021年04月05日

暑さ寒さも(四月二日)



 職場に入るのに感染していないことを証明する検査結果を求められるようになったことで、在宅勤務に切り替えたことで、外に出る機会がめっきり減った。人間というのは、と一般化するのは不適切かもしれないが、えてして楽なほうに流れようとするもので、外に出られない理由ができてしまえば、出なくなってしまうものだ。
 去年と同様、チェコに住まわせてもらっている身としては、規制を意図的に破るなんてことはしづらいので、外出するためだけに外出するというのはしたくない。散歩や運動のための外出は禁止はされていないのだが、推奨されているようでもないし、外出が許可される特別な理由に含まれると解釈していいのか難しいところである。という言い訳で、散歩や運動のための外出を避けているのだけど、それでは去年以上の引きこもりになってしまう。

 去年のこの時期、規制の緩和が始まるまでは、せいぜいゴミがたまったときに捨てに行くぐらいだったのだが、それを完全に再現するのは避けたいので、外出する理由を作ることにした。買い物である。在宅勤務になってコーヒーの消費量が増えているため、普段なら二週間に一回でいい、コーヒーの購入が毎週必要になる。それで、先月半ばの在宅勤務以降以来、毎週一回は、街中まで出るという「運動」を行えている。
 去年は、在宅での仕事の強要がそこまで強くはなかったから、たまに必要なときには職場に出てスキャンとかしていたのだったかな。ただ、回数で言うと、コーヒー以外の買い物にも出ることのある今年のほうが多い。この前も、歯磨き粉とかフィルターとか買いに行ったし、とにかく一回の外出では一つの店にしか行かないようにして、外出の回数を増やしている。
 それでも、外に出ない日のほうが多いのだけど、たまに出て思うのは、部屋の中では外の気温、寒さ、暖かさはわからないということで、着る物間違えて寒さに震えたり、汗まみれになったりすることがないのは在宅勤務の利点だなあなんてことを考える。ごみ捨てならすぐ終わるから間違えたままでも問題ないし、何時までという時間の制約のない買い物なら、間違えたら一度戻って着替えることができる。

 というのも、この冬から春になる時期のチェコの天候は非常に不安定で、気温が上がる日と、下がる日が、何日かごとに繰り返し訪れる。日本の三寒四温というのは、じつは日本ではなく朝鮮半島北部の春のはじめの様子を表したものだとも言うけれども、チェコの場合には、三と四に入る数字が一定ではなく、一のこともあれば、十以上のこともあるという極端さである。
 さらに極端なのは、上がり下がりの幅で、天気予報で見る限り今年は例年以上に大きいようだ。三月末には、暖かくなって、最高気温が25度に迫る、場所によっては越えて夏日になるという暖かさが何日か続き、これで完全に冬の寒さとはおさらばだと喜んだのだけど、イースターの直前になって寒の戻りがあった。最低気温はマイナスまで落ち、最高気温も十度を超えないという二十度ちかくの気温の低下で、平地でも雪がちらついていた。この寒さがイースター明けぐらいまで続くらしい。

 それで思い出したのがこちらに着た一年目のイースターの前後のことで、今よりも厳しい冬を越えて暖かくなり始めて春が来たと大喜びしていたら、イースターの直前になって大雪に見舞われたのだった。あのときは外を出歩く生活をしていたから冬の再来に絶望的な気分になったものだが、今年は外に出ないから実害はない。とはいえ、この時期の気温の変化対策として買った薄手のコートの活躍する機会がないのはちょっと残念。

 ところで、日本では暑さ寒さも彼岸までなんて言い方をするのだけど、チェコなら寒さもイースターまでと言えそうな気がしてきた。イースターの後に寒さが戻ってきたとしても、それは春の寒さでオロモウツ辺りならマイナスになることはないし、雪が降ることもほとんどない。ちゃんと統計を取っているわけでもなく、単なる思い付きに過ぎないのだけど、これが最後の寒さだと思えれば、気持ちも楽になる。これで、またひとつ寒さに強くなれるのか?
2021年4月3日24時。









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マサリクとチェコの精神 [ 石川達夫 ]





















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