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2020年02月06日
チェコの疫病対策(二月三日)
一月下旬の時点では、チェコでは新型ウイルスに感染したことが確認された例はまだ出ていなかったが、二月に入ってもその点では状況は変わらない。ただ、中国国内の感染地域が拡大しつつあるのと、ヨーロッパでも感染者が確認され始め、各国で中国発着の航空便の規制などの対策が取られ始めたこともあって、チェコでも具体的な対策がとられ始めている。
その一つが、週に何便か飛んでいるプラハ発の中国便の停止である。ただし、停止が始まるのは即刻ではなく、2月9日の日曜日からということになっている。イギリスが即刻の停止をしたのにチェコはどうしてという疑問には、現在中国に150人弱のチェコ人が滞在しており、そのうちの100人ほどが帰国を希望していることを理由に挙げた。つまり、今週末までは、現時点でプラハと直行便のある町ではそれほど感染者が出ていないこともあるので、民間の飛行機で帰って来いということのようだ。
直行便の運行が停止になった後は、必要があれば政府の特別機を中国に飛ばすと言っている。というのもチェコ人の中には、感染者のほとんどいない町で用心して生活しているほうが、感染者が乗っているかもしれない飛行機に乗るよりも、リスクが小さいと判断して、中国に残ることを選択した人もかなりの数いるのだ。事態の進行如何によっては、そんな人たちを政府の特別機で救出に向かう必要が出るということのようだ。
それから、今回の感染症の中心地である武漢に滞在していた5人のチェコ人が帰国した。これは、外務大臣が交渉して、フランスが自国民を武漢から帰国させるために出した特別便に同乗させてもらったのである。フランスのマルセイユ近くの空港に降りて、ベルギー人の乗客もいたのか、ブリュッセルが終着点となっていた。そこからチェコの空軍が運用する政府特別機に乗り換え、プラハの近くの軍用の空港に到着した。武漢からプラハまで関係者以外との接触をほぼ完全に絶つ形で移動したようである。
そこから救急車でプラハ市内の病院に運ばれ、検査を受けた上で14日間隔離されることになっている。検査の結果は全員陰性だったようだが、念には念を入れて潜伏期間とされる14日間は隔離され外部との接触は最小限に限るのだという。隔離期間が過ぎた後も、検査を受けて陰性が確認されてからの解放ということになるようだ。
厳しすぎるという意見もないわけではないが、感染のリスクの最も高い地域からの帰国であること、飛行機の同乗者に感染者がいた可能性が高いことを考えると、これぐらいの処置を取るのは当然なのだろう。5人の人が14日間隔離され不自由を感じるのと、感染症が国内に持ち込まれるリスクを比較すれば、文句を言うほうが間違っている。5人とも事前に説明を受けて納得していたのか、特に文句を言うこともなく隔離されたようだ。
ちなみに同じ飛行機でスロバキア人二人もチェコに到着しており、軍用の空港から救急車に載せられて、バンスカー・ビストリツァの病院に運ばれて、こちらも隔離されたようだ。武漢、マルセイユ、ブリュッセル、プラハの飛行機での移動だけでも大変だったろうに、さらに中部スロバキアまで車で移動というのは、体力を失わせることだろう。この人たちが病気にかからないように祈っておこう。
翻って、日本政府の対応を見るに、どうしてあんなに中途半端なことをするのだろうと疑問を感じてしまう。武漢の日本人を特別機で日本に帰国させたのは、日本人を守るためであろう。それなのに病院に隔離しないのでは、高々数百人を守るために、一億人以上の人を危険にさらすことになる。政府の特別機で帰国させてもらっていながら、隔離どころか検査すら拒否するというのは、何を考えていたのか。これはもうれっきとした犯罪である。民間の空港じゃなくてどこかの自衛隊基地に下ろして機関銃持った自衛隊員に警備させていれば、こんなバカも出なかったんじゃなかろうか。そのまま基地の施設に隔離してしまえばよかったのに。
政府の対応が中途半端なのもいけないのだろうけど、こういうときの対応には、チェコって意外とまともだよなあと思ってしまう。今でも厚生大臣が、新型ウイルスに頭を悩ませるよりも、流行しているインフルエンザ対策をしっかりしてほしいと繰り返している。インフルエンザ対策が、新型ウイルス対策にもなるわけだし、他にできることはない。その一方で、流行の真っ只中から帰って来た人たちは問答無用で隔離するのだから、日本にも見習ってほしいところである。
大学の中にはパニック起して、武漢に限らず中国からの留学生の受け入れを停止したとか、東アジアへの留学を禁止するとか言い出したところもあるみたいだけど、ちょっと心配になる。
2020年2月4日24時。