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2019年11月03日

よしなしごと(十一月一日)



 まとまった文章を書く気になれないので、日記ではないけれども、最近のできごとをつらつらと書き連ねてみよう。『枕草子』ではないけど、日記的章段というやつである。たまには難しいことを考えずに、思いつくままかくような日を作っても罰は当たるまい。問題は、普段の文章も、何も考えていないようなものに読めてしまうことだけど。

 さて、すでに十日ほど前になるだろうか。口座を開設しただけで、ほとんど放置してきた銀行からの最後通牒があって、必要な手続きをするために、オロモウツの支店に足を運んだ。EUの個人情報の管理に関する新しい法律のせいで、何らかの手続きをネット上でするようにというメールが来ていたのを、よくわからなかったので放置していたら、郵便での通知がきて、その締め切りが翌々日に迫っていたのだ。
 郵送でも、ネット上での送信でもかまわないと書いてありながら、インターネットバンキングの自分のアカウントには、まともに登録したことがないのでログインできず、郵送で送るための書類には、サインを公証人か、銀行の従業員かの前でして、確認の署名をもらう必要があるというので、年どう臭さを抱えながら出かけることにした。放置したら口座に入っているお金が戻ってこない可能性もありそうだったし、いくらあるかも知らないんだけどさ。

 その支店が入っているのがシャントフカのショッピングセンターで、ついたときには、従業員の数が少ないのか、お昼休み中でしばらく待つ必要があった。ただ待つのも時間がもったいないので、近くのカラのお店に入ることにした。事情があって財布を買わなければならなかったのだ。チェコのブランドなのは確かだけど、お店の人に、念のために本当にチェコで作ってるのかどうか確認したら、チェコだけではなくて、トルコにも工場があるからという頼りない答えが返ってきた。どれがチェコで作られたものかの判別もつかないらしい。
 買い物に際して、チェコに対するパトリオティズムに目覚めた人間としては、チェコのブランドでチェコ製が理想なのだけど、仕方がない。それもこれもグローバリゼーションが悪いのだ。以前も日本のメーカーのをと思ってシャープのテレビを買ったら、日本製ではなく台湾製だったしなあ。チェコの文房具メーカーのコイノールも中国に工場を持っていたから、日本で手に入るのは中国製だったかもしれない。中国の工場は畳んだみたいだけど、他の国にもある可能性は高い。

 それから何日かあとのこと、ここで買わなかったら、ずっと買わないだろうと、懸案だった春秋用の上着を買うことにした。買うのは今年の春にズボンをまとめて何本か買ったピエトロ・フィリッピのネットショップである。一月ほど前にも買おうとしたことがあるのだが、以前は存在した店舗での受け取りというのが消えていたので、配達の時間が合わない恐れがあって買うのをやめたのだった。
 一品だけ買うのはもったいないので、ワイシャツとマフラーも買うことにした。このブランドは、チェコ、もしくはスロバキアで縫製していることを売り物の一つにしていて、ネット上にスロバキア製との表示がなければ、チェコ製だと思っていた。それなのにマフラーは何と中国製。こういう小物は外注しているから仕方がないのかと思って、ワイシャツを見たら、今度はポーランド製。中国よりはましだけどさ。
 救いは、今回の買い物の一番の目的だった、分類上はセーターになっていて、冬場はコートの中にも切ることができそうな上着が、チェコ製だったこと。これまで中国製だったら迷わず返品していただろう。ズボンを買ったときも、チェコ製の方が多いはずだったのに、スロバキア製の方が多かったから、ネット上の表示が完璧でないのはわかっていたけど、ポーランド製はまだしも中国ってのは看板に偽りありすぎじゃないか。

 上から下までOPプロスチェヨフ、つまりはチェコ製の服を着ていた時代の再現を目指しているのだけど、なかなかうまく行かないなあ。マフラーがチェコ製じゃないってことは、靴下なんかも怪しいし。下着に関しては最初ッから諦めているから、完璧に上から下までと行かないのはわかっているんだけど。あ、財布も怪しかったか。うーん。もちろん、チェコ製の服しか買わないというわけではないんだけど、いざというときにはできるだけチェコ製で固められるようにしておきたい。無意味なこだわりだってのはわかっちゃいるんだけどね。やめられないのだよ。
2019年11月1日24時30分。










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チェコとスロヴァキアを知るための56章第2版 [ 薩摩秀登 ]



マサリクとチェコの精神 [ 石川達夫 ]





















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